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狼先輩

作者: 絹毛鼠
掲載日:2026/05/30

高校1年生の城田 祐希と高校2年生の真神 類(狼先輩)のお話です。

初心者で上手な文章ではないですが、一生懸命書きました。読んでいただけたら嬉しいです。

感想待ってます!

ギロリと向けられたその目はまるで、狼のようだった。


「朝練ですか?早いですね。」

俺はシューズのつま先をトントンと床に打ち付けながら話しかける。

「まぁね。」

ぽつりと呟くように吐かれた言葉は少し冷たく感じた。一匹狼で有名な狼先輩だから、当たり前といえば当たり前なのだけど。

「俺、1年の城田祐希です。狼先輩ですよね?」

「あぁ、うん。」

俺はしまった、と思った。勿論、狼先輩は狼という名前ではない。真神類といい、狼という文字は一文字も入っていない。冷たい態度や一匹狼なところから狼というあだ名がついたのだと、入部後にバスケ部の先輩が教えてくれた。怒らせてしまっただろうか。シュートを打つ背中からは怒っているのかわからない。 

「城田くん、ボールあげる。」

狼先輩はワンバウンドでボールを俺に渡し、リュックを背負って体育館から出て行った。






俺は授業中も狼先輩のことが頭から離れなかった。狼先輩は普段、部活に来ない。所謂、幽霊部員だ。なのに、なぜ朝早くからシュート練習をしていたのだろう。俺は「狼」という字をノートの端に書いた。






結局、その日の部活に狼先輩は顔を出さなかった。

「垣田先輩、狼先輩今日も来ないですか?」

「狼?ああ、来てないな。」

「そうですか。」

それから毎日、狼先輩の姿を部活で見ることはなかった。






狼先輩と話した日から一ヶ月ほど経った。

「祐希、昼飯食べようぜ」

友達の山田と清水が購買のパンを抱えて言う。

「あー、了解。」

俺は弁当をリュックから引っ張り出し、山田たちの元へ行く。本当は、今日は一人の気分だったが仕方ない。

「そういや祐希、バスケ部に狼って人いる?」

「いるけど、なんで?」

「俺、見ちゃったんだよ。あの人がシュークリーム食べてるの!」

山田は大発見かのような口ぶりで言う。

「シュークリームくらい食べるだろ。誰でも。」

清水が軽くツッコみを入れる。

「だけど、狼だぞ?肉しか食べないと思ってた。」

「狼先輩は人間だよ。」

俺は軽く受け流すが、自分も狼先輩のことを何も知らないことに気がついた。

「でも俺、あの人がどんな人かイマイチわかってないんだよなぁ。」

俺の言葉に山田が身を乗り出す。

「狼っていうくらいだから、ヤンチャなんだろうな!」








ヤンチャという言葉はなにか違っている気がする。今日は部活がない。久しぶりにあの場所に行こう。校舎の裏庭に潜む小さな花壇、その前にあるベンチは俺の密かなお気に入りの場所だ。四季折々の花が植えられており、どの季節も何かしらの花が咲く。今の時期は向日葵が咲き誇り、太陽に照らされている。たまに一人になりたい時にはここに来る。しかし、ベンチは既に座られていた。

「狼先輩?」

ベンチに腰掛け、耳にイヤホンを付け、シュークリームを片手に花を見ている狼先輩と目が合う。

「城田くん」

イヤホンを外し、鋭い眼孔がこちらを見る。

「あ、えっと、お邪魔しました。」

俺が立ち去ろうとすると肩をポンと叩かれた。

「隣いいよ。」

狼先輩はそう言うとベンチに座り、シュークリームをかじった。俺も隣に座る。

狼先輩の一口は意外にも小さく、狼というより兎のようだ。

「シュークリーム好きなんですか?」

「うん。ミニシューもあるけど、いる?」

狼先輩はリュックから小さなシュークリームが六つほど入った袋を取り出し、俺の前に差し出した。

「ありがとうございます。狼先輩、部活来ないんですか?この間朝練は来てたのに。」

狼先輩はシュークリームを頬張り、飲み込んだ。

「気分によるね。この間は気分が乗ったから行った。」

「なんか、狼先輩ってかっこいいです!」

俺はもらったミニシューを口に運ぶ。

「どこが?ぼーっと生きてるだけだよ。」

「自分の気持ちに正直ですごいです。俺にはできないから、憧れます!」

狼先輩は立ち上がり、リュックを背負う。「俺、帰るわ。またここに来たら会えるかもね。」

狼先輩はふっと微笑んで去って行った。少し耳が赤くなっていたように見えたのは気のせいだろうか。








俺は次の日の放課後、裏庭のベンチに走って向かった。ベンチには昨日と同じようにシュークリームを頬張る狼先輩がいた。俺は地面を蹴って走り出す。



「狼先輩!」

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