狼先輩
高校1年生の城田 祐希と高校2年生の真神 類(狼先輩)のお話です。
初心者で上手な文章ではないですが、一生懸命書きました。読んでいただけたら嬉しいです。
感想待ってます!
ギロリと向けられたその目はまるで、狼のようだった。
「朝練ですか?早いですね。」
俺はシューズのつま先をトントンと床に打ち付けながら話しかける。
「まぁね。」
ぽつりと呟くように吐かれた言葉は少し冷たく感じた。一匹狼で有名な狼先輩だから、当たり前といえば当たり前なのだけど。
「俺、1年の城田祐希です。狼先輩ですよね?」
「あぁ、うん。」
俺はしまった、と思った。勿論、狼先輩は狼という名前ではない。真神類といい、狼という文字は一文字も入っていない。冷たい態度や一匹狼なところから狼というあだ名がついたのだと、入部後にバスケ部の先輩が教えてくれた。怒らせてしまっただろうか。シュートを打つ背中からは怒っているのかわからない。
「城田くん、ボールあげる。」
狼先輩はワンバウンドでボールを俺に渡し、リュックを背負って体育館から出て行った。
俺は授業中も狼先輩のことが頭から離れなかった。狼先輩は普段、部活に来ない。所謂、幽霊部員だ。なのに、なぜ朝早くからシュート練習をしていたのだろう。俺は「狼」という字をノートの端に書いた。
結局、その日の部活に狼先輩は顔を出さなかった。
「垣田先輩、狼先輩今日も来ないですか?」
「狼?ああ、来てないな。」
「そうですか。」
それから毎日、狼先輩の姿を部活で見ることはなかった。
狼先輩と話した日から一ヶ月ほど経った。
「祐希、昼飯食べようぜ」
友達の山田と清水が購買のパンを抱えて言う。
「あー、了解。」
俺は弁当をリュックから引っ張り出し、山田たちの元へ行く。本当は、今日は一人の気分だったが仕方ない。
「そういや祐希、バスケ部に狼って人いる?」
「いるけど、なんで?」
「俺、見ちゃったんだよ。あの人がシュークリーム食べてるの!」
山田は大発見かのような口ぶりで言う。
「シュークリームくらい食べるだろ。誰でも。」
清水が軽くツッコみを入れる。
「だけど、狼だぞ?肉しか食べないと思ってた。」
「狼先輩は人間だよ。」
俺は軽く受け流すが、自分も狼先輩のことを何も知らないことに気がついた。
「でも俺、あの人がどんな人かイマイチわかってないんだよなぁ。」
俺の言葉に山田が身を乗り出す。
「狼っていうくらいだから、ヤンチャなんだろうな!」
ヤンチャという言葉はなにか違っている気がする。今日は部活がない。久しぶりにあの場所に行こう。校舎の裏庭に潜む小さな花壇、その前にあるベンチは俺の密かなお気に入りの場所だ。四季折々の花が植えられており、どの季節も何かしらの花が咲く。今の時期は向日葵が咲き誇り、太陽に照らされている。たまに一人になりたい時にはここに来る。しかし、ベンチは既に座られていた。
「狼先輩?」
ベンチに腰掛け、耳にイヤホンを付け、シュークリームを片手に花を見ている狼先輩と目が合う。
「城田くん」
イヤホンを外し、鋭い眼孔がこちらを見る。
「あ、えっと、お邪魔しました。」
俺が立ち去ろうとすると肩をポンと叩かれた。
「隣いいよ。」
狼先輩はそう言うとベンチに座り、シュークリームをかじった。俺も隣に座る。
狼先輩の一口は意外にも小さく、狼というより兎のようだ。
「シュークリーム好きなんですか?」
「うん。ミニシューもあるけど、いる?」
狼先輩はリュックから小さなシュークリームが六つほど入った袋を取り出し、俺の前に差し出した。
「ありがとうございます。狼先輩、部活来ないんですか?この間朝練は来てたのに。」
狼先輩はシュークリームを頬張り、飲み込んだ。
「気分によるね。この間は気分が乗ったから行った。」
「なんか、狼先輩ってかっこいいです!」
俺はもらったミニシューを口に運ぶ。
「どこが?ぼーっと生きてるだけだよ。」
「自分の気持ちに正直ですごいです。俺にはできないから、憧れます!」
狼先輩は立ち上がり、リュックを背負う。「俺、帰るわ。またここに来たら会えるかもね。」
狼先輩はふっと微笑んで去って行った。少し耳が赤くなっていたように見えたのは気のせいだろうか。
俺は次の日の放課後、裏庭のベンチに走って向かった。ベンチには昨日と同じようにシュークリームを頬張る狼先輩がいた。俺は地面を蹴って走り出す。
「狼先輩!」




