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20年前のあの日

掲載日:2026/03/07

何年ぶりだろう。どこ懐かしく切ない心地のするこの場所。耳が痛くなるほどの車の音も、目眩がするほどの人の群れとも縁のないここは紛れもない私の故郷だ。遠い遠い記憶に眠るこの美しい場所には「君」とすごした全てが詰まっていた。

少し歩こう。このまま突っ立ていたままだとすごく胸が苦しくなる。そう思って私は先へ進んだ。

「君」がいなくなってから世界は大きく変わった。「スマートフォンに任天堂スイッチ。アニメだって今じゃ写真みたいに綺麗なんだぜ。ちょっとリアルすぎて目に痛い時もあるけど笑

」気のせいか空気も不味くなった気がする。「ま。それは俺が東京へ出てったせいか。」

だけどここだけは変わらない。君と毎日きた駄菓子屋、日が沈むまで走り回ったあの丘も。何もかもがあの時のまま。世界は恐ろしく早いスピードで変わってるというのに。この場所は、いやそれだけじゃない。あの時から変わってないものがもう1つ。「心」は私の心はあの時のまま。君と過ごした春夏秋冬。その全てがまだ私の胸の中には変わらず眠っている。

そんなことを考えながら歩いていると。向かいの田んぼに1人の少年がいるのが見えた。

「おじさん誰?」少年がこっちに歩きながら話しかけてきた。「お、おじさんてまだそんな歳じゃ、、いや君から見たらもう十分おじさんか」「でおじさんは誰?」少し失礼なガキだなと思いつつも「私は昔ここに住んでたんだ。今は東京でせっせと働くサラリーマンですけどね」

「ふーん社畜か。」「このガキ、、いやなんでもない」「なんだか急に懐かしくなっちゃってね、、それで数年ぶりにここに帰ってきたんだ」「へー、なんか奢ってよ。お腹減ったんだ僕。うーんそうだな駄菓子でいいや。あそこのお店」なんて厚かましい奴なんだと思いつつもなんだか懐かしい気持ちになった。なんでだろうと思いいつも仕方ないから買ってやることにした。「サラリーマンなめんなよ、、金ねーんだからな。」

「これ!これ買って!」少年はイカが竹串に刺さった甘酸っぱい匂いのするものを手にとっていた。ああ私もよく食べたな、、昔は毎日「君」とこれを食べてたっけ。私はそんなことを考えているとふとある事に気づいた。この目の前にいる少年に見覚えがあったからだ。私はこの子を知っている。どこかで見かけたのか、いやそんなじゃない。遠い遠いはるか昔からおれはこの子を知っている。頭に乗った少し大きめの麦わら帽子。私の記憶にいる「君」もちょうど同じ帽子をかぶっていた。それに帽子だけじゃない。改めてこの少年を見ると服もズボンもサンダルも記憶の中で「君」が着ていたものだ。なぜすぐに気づかなかったのだろう。いや気づけなくても不思議ではないか。私は必死にこの記憶を、思い出を忘れようとしていたし、君と別れて実際とても多くの月日が経った。すぐに思い出せなくても無理はなかった。「ね、おじさん、聞いてる?」私は現実へ戻った。「えっとこれが欲しいんだね、わかった奢ってあげる。感謝しなさいよ」「いぇーい、ありがとう!おじさん」「おじさんは余計だ、あとお母さんにはこのこと言うなよ。」「えっなんで?」こんなどこの馬の骨かも分からんやつにおかし奢って貰ったなんて怪しすぎる。「怪しいヤツにお菓子もらったなんて言ったら怒られるだろ?」

「いいよ別に」「母ちゃんに怒られていいのかー」「いねーよ」私は思わず驚いた。この子の母親がいないことにじゃない。「同じだ」。そう「君」にも母親はいなかった彼がうまれるに、病気で死んだらしい。まさか容姿だけでなく、家族関係まで同じなのか。そんなこともあるんだなとこの子のをじっと見つめると私は驚きを隠せなかった。「君名前はなんて言うのか?」あきと、「秋斗。季節のあ」「季節の秋に北斗の斗だろ?」少年はすごく驚いた様子だった「なんで知ってんだよ」知ってるよ、

知ってる。そう「君」いや秋斗はいつもそう自己紹介していた。「どどうしたんだよ?なんで泣いてんの?」ああ、私はこの有り得るはずのない事象に。驚くよりも嬉しさが込み上げていた。会いたかった。ずっとずっと会いたかった。そう心の中で終わったがきっとこの子に言っても何も分からないだろう。この子は僕のことを知らない。だけど私は知っている。「ううん、何も無い。おじさんになると涙脆くなるんだよ少年。覚えとくんだな」この子は口をとんがらせて「ふん、だっせー。俺は絶対に泣かねーよ」

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