5/17
第5話
カランカランとドアにかけてあるベルが鳴った。
「いらっしゃいませ!」
角と牙が生えた、赤い肌の男性が訪れた。
「見慣れないお店があったから入ってみたが......このお店は雰囲気がいいな。
お嬢さんはここの店員さんか?」
「そうです! ここでは、お客さんの不要になった物の買い取りと販売を行っています。」
男性は目を丸くした。
「不要なものを買い取ってくれるのか! 俺は赤鬼のアオだ!
じゃあこれと、その品を交換することはできるかい?」
アオが差し出したのは、棘が潰れた金棒と、交換を希望する特大の寸胴鍋だった。
「人間と鬼が助け合って生きる世界を理想とするやつがいてな。そいつが縁を繋いでくれた村から、いつも食料などを分けてもらっているんだ。そのお礼に料理を振舞っているんだが、これがかなり好評でな。いつも量が足りなくなる。だからもっと大きな鍋が欲しくてな......」
アオは少し照れくさそうに頭を掻いた。




