第15話
「「こんにちは」」
小さく元気な声とともに、女の子と男の子が店に入ってきた。
この二人は、例の女性――あのおばあさんのお孫さんだそうだ。
「この間、おばあちゃんが買ってきたものね、とっても楽しかったの。見てください!」
差し出されたのは、手作りのお守り。
宝石は丁寧に紐で留められ、子どもたちの個性が光っていた。
「きれい.....とても上手に作れているね。」
足元では、黒猫がちょこんと座っている。
「この黒猫は、あなたたちの家族?」
「違うよ。このお店に来る途中で、ずっとついてきたんだ。」
黒猫はまるで当然のように尻尾を揺らし、こちらを見上げた。
「それでね……おばあちゃん、いつも座るときにお尻と腰が痛そうなの。」
「だから、少しでも楽になるものが欲しくて。」
「なるほど……」
店の棚を思い返しながら、私は一つの品を手に取った。
「このクッションなんてどうかな?
座りやすい形になっていて、腰の負担も和らげてくれるよ。」
「わあ……これ、よさそう!」
「おばあちゃん、きっと喜ぶよ!」
私はそっと微笑んだ。
「お代はいりません。おばあさんのおかげで、私も素敵なものをいただきましたから。」
「「お姉さん、ありがとう!」」
二人が元気よく退店したあと、黒猫だけがその場に残っていた。
「……ここの子になりたいの?」
黒猫は「にゃあ」と、小さく鳴いた。
私はしゃがみ込み、その頭をそっと撫でる。
「ふふ……じゃあ、今日から家族だね。」
黒猫は嬉しそうに目を細めた。




