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第11話
女性の話をひと通り聞き終えたあと、私はそっと尋ねた。
「どのようなものをプレゼントしたいとお考えですか?」
女性は黒いローブの袖口から小さな包みを取り出し、そっと開いて見せた。
中には、淡く光を帯びた小さな宝石が二粒、静かに横たわっていた。
「これは……?」
「娘が残したお守りの石でね。孫たちを守ってくれるよう、形にして渡したいんじゃ。
ただ、これと一緒に使えそうな物が、わしには思いつかなくてのう。」
宝石を見つめる女性の表情には、深い愛情と同じくらい、申し訳なさの影が揺れていた。
お孫さんは幼く、兄妹はとても賢くて、優しい性格をしているという。
私はしばらく考え、棚の一角に置かれた布製の小物に目を止めた。
「こちらはどうでしょう。アクセサリーを作れるキットです。
これなら、お孫さんと一緒に手作りできますし、肌身離さず持ち歩けるお守りにもなると思います。」
女性はしばらくそれを眺め、ゆっくりと微笑んだ。
「……あの子らは手先が器用でね。きっと喜ぶわい。」




