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40/41

40 教会

 ミーシャが居なくなってから今日で一週間。

 僕が帰れって追い出したのだけど。

 今日は土曜日、何をするわけでも無くぼーっとしていると。


「ちょっと、うっとおしいんだけど。どいてくれない?」


 ソファに座って、ぼーっとしている僕にリビングを掃除する沙也加に追い出された。

 ダイニングキッチンに移動する。

 キッチンでは母さんが、掃除をする沙也加を眺めていた。


「お掃除なんて、お母さんがするのに…沙也加はのんびりしていて良いのよ?」


「良いのよ。わたしがしたくて掃除しているのだから、お母さんはのんびりお茶でも飲んで休んでいて?」


「まあ、良い子ねえ。友樹とは違って…」


 沙也加は掃除機で、ガーガー埃を吸い取っている。


 ミーシャどうしているかな…寂しくしてないかな…。


「ああ、もう!うっとおしい!いつまでもウジウジと悩んでいて…とっとと、会いに行けばいいじゃないの!」


「はぁ?会いに行けって言われても…どうしたらいいのか分からないのに…」


 天界っていったいどこだ?

 ていうか、人間が行けるところなのか??


「神様がいるっていうんだから、お願いすれば会わせてくれるわよ…多分」


 沙也加から投げやりな答えが返ってきた。

 うーん。

 

 異世界では教会でお祈りすると主人公が会わせてくれるよね?

 キリストの教会?

 何か違う気がする。



 *** 創造神 ゼビウス 視点



「ミーシャ、友樹が会いたがっているようだな」


 わたしは水晶で下界の様子を覗いていた。


「ふん!そうかの…今頃、木崎やらと仲良くしておるのじゃろう?」


 彼女はすっかり拗ねてしまっていた。

 気にはしているようだが。


「学校では、普段とかわりないようだな。若干元気が無いようだが…」


 最初の頃は木崎という女子が、気にかけて優しくしていた。

 だが、だんだん遠慮せずに声を掛けている気がする。

 昨日もデートに誘っていたようだが。

 友樹は断ったようだった。


「そんなに拗ねていると、友樹とやらが彼女に取られてしまうが…いいのか?」


 ミーシャの顔色が変わる。


「嫌じゃ!取られてしまうなら…いっそ…」


 全く、素直になればいいのに。


「彼の記憶を消して…楽になるか?ああ、だったら彼の方の記憶も消さないとな。神との恋愛なんて前代未聞だからな」



 *** 日下部 友樹 視点



 近所にある教会に来てしまった…。

 キリスト教に入っていない人が、急に来ても祈らせてもらえるのだろうか?


 外でうろうろしていると、ホウキで掃除をする若いシスターに声を掛けられた。


「教会に何かごようですか?」


「あ、あのえっと。お祈りしたくて…洗礼は受けてないんですけど」


「分かりました。初めての方は大歓迎ですよ。どうぞ、お入りください」


 クスクスとシスターが微笑む。

 どうやら無料で入れるらしい。

 お布施を払って入るのかと思っていたのだけど。



 人は僕以外に居ない。

 もっと人が居るのかと思っていたけど。

 神父は忙しくて出払っているとか。

 祭壇の最前列の長椅子に座る。


「神様、お願いです。ミーシャに会わせて下さい」


 僕は、両手を組み必死に祈った。



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