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35 僕の彼女

風よ(ウィンド)


 部屋に置いてあるコップが宙に浮いている。

 風をコントロールして、コップを僕の手元に引き寄せる。


「あはは、魔法使えるようになっちゃった」


 ミーシャに改めてステータスを見てもらったら、全属性魔法が使えるようになっていたらしい。

 ステータスが自分で見れるようになったら便利なのだけど。


「異世界だったら大活躍できたのにな」


「この世界だと魔法は不要じゃろうからの」


 お金を払えば、どこでも行けるし大概の事は可能だろう。

 魔法を使った日には、捕まって閉じ込められてしまうかもしれない。


 魔法が使えるとバレたら、研究用として人体実験される。

 そういうのあるよね。

 マンガとか小説とか。


 今から考えると「創造の能力」も結構チート能力だったのではないか。

 田舎じゃなくて、王都などの都会だったらお金が稼げたのかもしれない。


「それは無理じゃの。それこそ異世界でも王族に捕まって軟禁生活になってしまうじゃろうて」


 すっかり忘れてたけど、ミーシャって思考を読めるんだよね…。

 思考を読めなくする方法ってあるのだろうか。


「二人してお尋ね者って勘弁してよ」


「あはは。そうじゃのう」


 ミーシャはカラカラと笑っている。


「一緒に過ごす時くらいは、のびのびと過ごしたいのう」





 夕飯時、食事をしながら沙也加と母さんに話した。

 今日の夕飯は焼き鮭だ。

 米とみそ汁が美味しい。


「友兄が魔法使いになった。とうとう人間辞めちゃった?」


「えらい言われようだな、おい」


 沙也加に魔法を使えるようになったと言うと、とんでもないことを言われた。

 人間辞めるってどういう事?


「友樹も魔法を使えるようになったのね。今度は友樹にお願いしてみようかしら」


「母さん、何をお願いするつもりなのか知らないけど、僕、簡単な魔法しかできないし…人に対してなんて怖くて魔法掛けられないよ」


「また若返ってみたいのかの?物好きじゃのう」


「シワを取ったりとか出来ないかしらって…ほら美容整形って高いじゃない?術後の後遺症とかも怖いし」


 魔法でシワを取るって…。

 母さん・・・何かと魔法を勘違いしてないか?


「魔法をかけても一時的で直ぐに元に戻るぞ?後で、がっかりするから止めたほうがよいのう」



      *




「日下部くん、ちょっといいかな」


 学校の教室内で、僕は中野くんに呼び止められた。

 次の授業は体育で着替えないといけない。

 体育着を出している手が止まる。


「今?放課後じゃだめかな?着替えないと…」


「昨日、君がマックで木崎さんと一緒にいるところを見たんだよ。何もないなんて…嘘はつかないでほしかったな」


 中野くんの眉間にしわが寄っている。

 これ、怒ってないか?

 っていうか、昨日見られていたのか。

 駅前で窓際の席だったし、外から見られていたのかもしれない。


「二股かけるなんてサイテーの奴だ。木崎さんと別れろ」


「え?別れるも何も…付き合ってすらないのだけど」


 二股って…ミーシャの姿も見られていたのかな。




 ガラガラガラ…。

 

「あれ?」


 教室のドアを開き、木崎さんが入ってきた。

 僕と、中野くんを見て首を傾げている。


「まだ人が居るとは思ってなかった。あれ?着替えないの?次男子も体育だよね」


「うん、着替えるよ」


 彼女は、自分の机の中から何かを取り出しポケットに仕舞う。


「日下部くん、またね」


 今それをされたら、中野くんに誤解されそうなのだけど。


 パタン。


「…今ので付き合っていないって?」


 中野くんに、ギロリと睨まれた。


「信じられないだろうけど、僕には大切な彼女がいるから。マックでの姿を見ていたのなら、もうひとりの女性を見たでしょ?あれが僕の彼女なんだ」


「…信じてやるよ」




「「おい、日下部と中野!次、このクラスは体育だろう。校庭に行くんじゃないのか?」」


 男性教師から怒鳴られる。

 移動の為廊下を歩いていたらしい。


「やっべ、急いで着替えて校庭に行かないと」

「そうだね」


 始まる時間までもう数分しかない。

 少し遅れるけど仕方ないよね。

 時間を巻き戻す魔法は…ない。


 僕と中野くんは、遅れて校庭に到着し体育教師に怒られたのだった。





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