表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/41

34 嫉妬

「へえー。彼女を見ていたら、授業中に偶然目が合ったと。…このシュワシュワ好きだのう」


 僕と木崎さん、ミーシャはファーストフード店にいる。

 ミーシャにはコーラを飲んで座ってもらった。

 彼女の最近の好みは炭酸飲料らしい。


 少しは機嫌が直ってくれると良いのだけど。

 駅前の店は、学校帰りの学生で溢れかえっている。


「まあ、たまたま日下部くんと目が合っただけだし、気にしないで?ほら、そういう事もある…よね?」


「そ、そうだよ。たまたまだよ」


「ふうん?たまたまのう」


 ミーシャが僕を睨んでる。

 家に帰ったら理由を説明するつもりなんだけど。

 こういう時、念話テレパシーとか使えたら便利なのになぁ。


「……」

「……」

「……」


 店内には明るいポップな曲が流れていて、僕たちは口を閉ざしていた。


 …この空気どうしようか。





 どうしようか考えていたら、木崎さんがミーシャに話を振った。


「え、えっと、ミーシャさんって凄く美人さんですね…外国の方ですか?それにしては日本語がお上手で…あっ!私、木崎かなめと言います。日下部くんのクラスメートで…」


 ああ、自己紹介をすっかり忘れていた。

 ミーシャは黒髪だけど、肌は白いし眼は金色だし…日本人っぽくないよね。


「ワシはミーシャじゃ。女神をやっておる。姿は人間に似せておるが…」


「「わーーーーっ」」


 僕は慌てて、ミーシャの口を手で塞いだ。

 いきなり何て事を言うんだ。

 女神だなんて、信じてもらえないだろう。


「ミーシャさんは女神様なんだ。じゃあ、日下部くんは最強の彼女を味方につけているんだね」


 


      *




「最強の彼女か。木崎さんは良い事を言うのう」


 帰り際、ミーシャは上機嫌になっていた。

 木崎さんと二人で居るところを見つかった時は、どうしようかと思ったけど機嫌が直って良かった。


 ミーシャと、やっと二人きりになったので、僕は教室での出来事を話す事にする。

 薄暗い路地を歩く。

 街灯がチカチカと切れかかっている。


「僕、感覚が鋭くなったみたいなんだよね。彼女を教室で見てしまったのも匂いに敏感になったから…つい」


 香水の匂いに気が付いたから、つい見てしまったんだよね。


「確かに甘ったるい匂いがしたのう。だったら、最初からそう言えば良かろう…ワシは、変な誤解をしてしまったではないか。でも、その様子だと他にも変化があるかもしれんな

 …でも友樹が、他の女子と仲が良いのは嫌じゃのう」


 ミーシャの頬はぷくっとむくれた。

 あれ?僕に嫉妬してくれているのかな。


「木崎さんは学校でのただのクラスメートだよ。僕の好きな人はミーシャしかいない」


 僕は、彼女の華奢な肩を優しく抱き寄せる。


「そうだといいのじゃがな。やはりワシも学校に行くべきでは…」


 ミーシャはまだ納得していない様子だ。

 ぶつぶつ呟いていて、小さな声はよく聞き取れなかった。





「おかえりー。遅かったね。あれ?二人とも一緒だったの?」


 沙也加がエプロン姿で、玄関まで出迎えてくれた。


「偶然、途中で会ったんだよ」


「黒いしゅわしゅわをご馳走になったぞ」


「デートといえば、デートかな?」


「あっ!アイスを食べればよかったのじゃ!」


「ミーちゃん。冷蔵庫にハーゲンダッツ入ってるよ。ってご飯食べてからね」


「「わーい」」


「ご飯食べてからにしなさい!」


 台所に向かったミーシャは、沙也加に怒られてしょんぼりしている。

 女神と言ったけど、人間ぽくてとてもそう思えないよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ