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16 ターゲット

「とにかく、一緒に来てくれないか」


 タツヤに連れられて、僕とミーちゃんは演習場に来ていた。

 城の中庭にある広い演習場。


 大勢の男たちが、剣を交差させている。

 城を守る騎士が訓練をしているようだ。

 西洋剣を見て、異世界だなと改めて実感する。

 耳障りな金属音が響く。


 少し離れた場所に、タツヤと先ほどの金髪の女性と貫禄がある銀髪の大柄の男性がいた。


「君たちどうしたんだい。湯あみはしたんだよね?」


 騎士を指導していた、ドラゴが僕たちを見つけて駆け寄ってきた。

 未だに城内にいたのが不審だったのだろう。


「実は、タツヤに急に連れて来られてしまって…」


「オレは、ミーシャが加わればいい戦力になると思ったんだが、連れてきたら不味かったか?」


「ワシはまだ何とも言ってないのじゃがの。勝手に話を進めるでないわ」


「美人な姉ちゃんだが、ずいぶんと気の強そうな女だな」


 ミーちゃんを見て、大柄の男が呟く。


「まあ、確かに今のままでは魔王には打ち勝てるとは言い難いがの」


「何だと?女のくせに生意気な口を…」


 ミーちゃんって、喧嘩を売るのが得意だよね。

 わざと煽っているのだろうか。

 大柄の男が、彼女に食って掛かろうとしたがドラゴに制止される。


「勇者様、ミーシャ様に何か話してしまわれたのですか?」


「あーオレが召喚された理由を少し。それとミーシャは数年後に魔王が復活すると言っていたな」


 何だか物騒な話になってきた。

 このままではミーちゃんが巻き込まれてしまうかもしれない。

 オロオロしていると、白く優しい手が僕の頭を撫でる。


「心配させて悪かったの。ワシは何処にもいかないから安心せい。帰ろうかの」




 *** 勇者 南 竜也たつや 視点




「何者なの。あの女は!」


 キッティが、金髪を振り乱して激高している。

 冷静な彼女にしては珍しい光景だ。


「オレも詳しくは知らないが…彼女、ただの魔法使いじゃなさそうだろ?」


「あれ、魔法使いなの?教会の預言者か何かかと思ったわ」


 数年後に魔王が…っていうやつか。


「せっかく黙っていたのに、何で知っているのかしら?」


「黙っていたとは聞き捨てならないな。どういう事だ」


「信憑性が薄いから黙っていただけよ。これから数年後に魔王が復活するかもしれませんーって小娘が言っても誰か信じてくれるかしら?」


「小娘って…仮にもアンタは王女様だろう?」


 キッテイは自己評価が低いんだよな。

 もっと自分に自信を持てばいいのに。


「彼女、先を見通すスキルでも持っているの?」


「まあ、持っていても不思議ではないがな」


 オレは異世界から召喚された勇者だ。

 この世界の住人とは体質スペックが違うらしい。

 魔法でダメージを受けないかわりに、回復魔法も効かない。


 ミーシャに拘束された時も、瞬時に魔法が解除されると思っていたのだ。

 ところが、魔法は消えなかった。


 オレは魔法が効かない体質なのに。


 ミーシャの放った魔法ならダメージがあるだろう。

 逆に彼女の回復魔法なら効くという事。


「彼女を何とかパーティに引き入れたいんだがな」


 ミーシャの興味は、トモキという少年だけらしい。

 強大な魔力は、使わないと勿体ない気がするのはオレだけだろうか?


「キッテイ、協力してくれるか?」


「何?改まって。明日は雪でも降るんじゃないかしら」


「酷い言い草だな」


 美しい女性としても興味があるが、それ以上に持っている力に興味が湧いてきた。

 召喚されてから、つまらなかったが楽しくなってきたようだ。



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