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第5話 危ないデート

ここはいつものパブ 空も青くて小鳥がさえずっていて嫌なこと一つ考えられない。こんな日には、

「リア充を爆破させるしかねえよなぁー!」

「おい、どうした急に!?」

突然物騒なことを言い始めたミミに俺は恐怖を感じた。

「聞いてくださいよマスター!最近、冒険者の中にはカップルで冒険している連中がいるらしいんですよ!」

「おいおい、そんなのは個人の自由だろ。胸の奥底に閉まっとけって。丁度、カップル向けのクエストを用意したんだから。」

こいつが物騒な思想をさらけ出し続ける限りこのクエストが腐るかもしれないから正直困る。

そんなことを思っていると、ドアの鈴の音と共に男女の二人組が入ってきた。

「すみません。ここにカップル向けの特別なクエストがあると聞きまして…」

「ああ!ありますよ!内容としては食べれば男女の仲がより親密になると言われている『スカーレッドハニー』を協力して取ってきてください。地図は渡しておきますね。」

なんだか近くから威嚇をするクマのような殺気を感じるが、気にせずに地図を渡した。

「親切にありがとうございます。じゃあいこっかアベル。」

二人は仲良くパブを出て行った。



~第8階層 輝きの神殿~

「わあ~綺麗~」

このエリアに入って見えた光景に私は思わず声を上げた。

ここ一体が一つの神殿になっていて地下にあるはずなのに非常に明るく、邪気も感じない。ここのダンジョンは『白銀の翼』があっけなく全滅するほどのレベルらしいけど私にはアベルがいるから大丈夫だ。

アベルはギルド『獣の雄叫び』に所属する大剣使いだ。持っている武器はかつて巨人殺しの異名を持った戦士『レオナルド・ディアス』が使用した『聖剣ダンダリオン』だそうだ。

「アベルがいれば安心だね」私はそう言ってアベルに抱き着く。

「…俺から離れるなよ…」

そうして私たちは深部へと歩いて行った。



何時間たったのだろうか、私たちの目の前には巨大な物体がある。そこから染み出ている真紅の液体を見る限りこれがスカーレッドハニーであることは確かであろう。

直ぐに目的のものに向かおうとした時に彼は険しい表情で私を止めた。

「おい、あれを見ろ」

彼が見上げているほうに視線を向ける。そこには巨大な蜂型の生物の群れがいた。

「俺が剣の能力で奴らを足止めする。その隙に採りに行け」

私たちは一度目配せをして蜜がある群れのほうへ向かっていった。ダンダリオンには固有スキル「閃光シャイニング」という強力な光を放つ能力がある。この光を直視した相手に麻痺を付与し行動不能にすることができる。この効果で蜂たちをダウンさせつつ蜜を採取する作戦だ。

私たちは次々と迫ってくる蜂どもを捌きながら巨大な蜜のもとへ進んでいく。しかし、目の前に巨大な生物が出現した。トカゲのようなフォルムをしているが口には虫系モンスターのような顎、尾には巨大な針があった。

「グギャオオオオ!」

トカゲは私に向けて針の付いた尾を伸ばしてきた。私は恐怖のあまり目をつぶった。

パキンッ

何かが割れる音がした。目を開けると針を剣で受け止めるアベルが映った。

「アベルッ!」

私が安心したのもつかの間彼の持つ剣が聖剣が折れた。さっきの音はヒビが入った音だったのだ。

そして、トカゲの前足が彼の体を吹き飛ばした。彼は出口の方まで飛んで行った。

「アベルッ!助けて!」

私は彼に懇願した。しかし彼は、

「こんなところで死んでたまるかよ!女なんざいくらでも寄ってくる!お前なんかに捧げる命はないんだよ!」

そう言って出口の扉を開けようとした時、彼のもとに無数の蜂たちが攻撃を開始した。ある個体は彼の腹を貫き、ある個体は彼の腕を食いちぎった。

「う、うあああああああああ」

今までの頼りになる姿はどこにもなく、情けない声を上げながら彼は息絶えたようだった。

そんな一瞬の出来事に気を取られていた私に痛みが走った。

ボトリと何かが落ちる音がした。それは私の腕だった。次は足にも痛みが走る。見れば奴が私の足に食らいついていた。

「いやだいやだいやだいやだいやだ」

蜂が私の体を持ち上げて蜜のほうへ向かっていく。そして蜜の中には無数の蜂の幼虫がいた。

「いやだ死にたくない死にたくないいいいいいいい!」

私は叫びながら幼虫たちのもとへ落されたのだった。


「おっ!今日のハニーは大量だな。」

「スカーレッドハニーって想像以上に真っ赤ですね!」

俺らは特殊防護服を身にまとい蜜を採取している。

「この蜜はな奴らの幼虫が排出するヘモグロビンによって赤くなっているんだ」

「それって倫理的に大丈夫な奴ですか?」

「しらん!」「知らんじゃないでしょ!」

そんな茶番をしているとふとミミが聞いてきた。

「ところでなんで私たちは、襲われないんですか?」

そんな質問に俺は簡潔に答えた。

「この服は虫系の視界には映らない効果があるからだよ」

「そういうのを渡さないからクエストクリア者が出ないんですよ」


~パブ~

「うっはー!おいしそー!」

彼女の目の前にあるのは、スカーレッドハニーを使用したタルトだ。ルビーのように輝く蜜をたっぷり使った味よし見た目よしのスイーツだ。

「甘~い!っそういえばなんでこれがカップルが親密になる食材なんて言われているんですか?」

タルトをひょいひょいと口の中に投げ込みながらミミが聞いた。

「そんな話はデマだぞ。まあ協力プレイが必須みたいなところもあるし食材の見た目と合わせてカップル向けかなって思ってな」

そんな答えにミミは苦笑しながら、「まあ協力プレイでもクリアできてなかったですけどね」と呟いた。

どうも士田傭兵です!

前話とかなり時間が空いてしまってすみませんでした!

途中でアベルをどういう風にしようか悩んでいたら時間がかかってしまいました!

ということで小話のコーナーです。

今回の話で出てきたトカゲ型のモンスターは「スピアーリザード」と呼ばれる蜂の変異種です。

一応蜂です!毒がない代わりに筋肉が発達していて、中でも尾についた針の攻撃はすさまじくどんなものでも貫けると言われています。こいつはほかの蜂に比べると知能が高く、弱いものを攻撃するいじめっ子のリーダー的なことをやってきます。

小話はこれくらいでお終いにします。次回がいつ頃上がるかは本当にわからないのですがどうぞ気長に待っていてください!

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