第二話 ミミ
私は『ミミ』
獣人と人間のハーフだ。だから獣人特有の動物寄りの見た目はしていない。そのかわり唯一の判別ポイントとして猫耳があるだけだ。
私は一応冒険者をやっていて、村で狩りをしていたある時に旅人から入手難度の高い食材を提供するパブがあると聞きやってきた。
パブに入って即カウンターに座りメニューを見る。メニューには聞いたことのない料理ばかりでどれを頼もうか正直悩む。すると…
「貴様!私たちをこんなただの探索クエストを与えてもいいと思っているのか!」
隣から女性の怒鳴り声が聞こえた。見てみれば鎧を身に着けた女性がパブのマスターに詰め寄ろうとしていた。
マスターは驚くこともなく呆れたような目で彼女を見ている。正直見ていられなかった。
「すみません!この『エレキバイソンのステーキ』ってのをください!」
とっさに出た一言だった。
場はしんと静まり返る。やはり余計だったか、そんなことを思っているとマスターが最初に話し始めた。
「お嬢ちゃん。エレキバイソンでいいんだね?じゃあ今から場所を教えるから狩ってきてくれ。」
マスターの口から出たセリフにほかの人たちが反応したことに気づいた。そして奥のテーブルに座っていた剣を持ったお兄さんが私とマスターを交互に見て口を開いた。
「なら俺らが手伝おうか?これでも腕っぷしには自信があってな。」
そのセリフにほかの人たちも同意なようだった。
「おっ!なら頼むよ。せいぜい生きて帰ってきてくれよ。」
マスターの一言に私は嫌な予感を感じた。
そういえば、マスターの姿をよく見てなかった気がする。そう思い私は振り返った。
銀の毛を持つ狼の獣人だ。声を聞いてておじさんかと思ったらそこそこ若いように見える。そして深緑の眼からは退屈そうな感情が見えた。
〜ダンジョン内〜
私たちはマスターが言っていた場所に来たわけだけどそこはダンジョンの中だった。
「こんな場所に本当に生息してんのかよ。」
最初に私に協力を申し出た人が言った。
「おいグレン。ここは未開拓のダンジョンだ。まだどんな生物がいるかわかんないだろ。エレキバイソンなんて聞いたことがないんだから。」
「レオの言うとおりだ。グレン!カオリ!警戒を怠るなよ。」
「「了解!エレンさん!」」
彼らはグングン進んでいく。私はそれについて行くのに精一杯だった。
どうも士田傭兵です!
今回は最初にパブに来た女の子ミミ視点で話を進行させてみました。
次回の投稿をどうぞお楽しみに!