第一話 辺境のパブにて
この世界にはかつて勇者と呼ばれた者がいた。
漆黒のローブに身を包みオオカミの面を付けて顔を隠し巨大な鎌を振り回し世界を救った謎の男だ。
その後、彼は姿を消し表舞台から消えていった。
「まあ、死んだとは言われてないけどね。」
ここはある街はずれのパブ、冒険者が集うところだ。
そんな辺鄙なところに客なんて早々来るはずもなくただ食器を磨いている男が一人いた。
彼の名は『エイキ』 東国出身の獣人で数年前にここにパブを建てた男だ。
「最後に人が来たのはいつだったかな。」
そんなことを考えているとドアに付けている鈴が軽快にチリンチリンとなった。
入ってきたのは一人の女の子だ。その人は入るなりカウンターに座って周りを物色し始めた。
髪色は茶髪でスラっとした10代後半くらいの子だ。最も目を引くのは頭の上の猫耳と大きなリボンだ。
口元をローブで隠しており顔はあまりよく見えない。
「今日は何の用で来たんだい。」
俺はいつものように聞く。ここでの仕事は、これくらいフランクに話しかけると良いと誰かが言っていた気がする。すると女の子は、「なんとなく」と言ってカウンターに張り付けているメニューを物色し始めた。
パブといっても様々ある。クエストを用意しているところ、料理を提供しているところ、物品販売をしているところ等、俺のところはその中でクエストと料理を取り扱っている。
チリンチリンとまた鈴が鳴った。今度は武装をした複数人の男たちだ。俺はお決まりのセリフを言いながらメンバー構成を見た。
メンバーは4人 剣使いと槍使いが一人ずつほかの二人は装備からして魔法使いとパラディンのようだ。パラディンとは珍しいなと思っていると
「やあ、初めまして。私たちはギルド『白銀の翼』だ。ここ当たりのパブでかなり難度の高いクエストがあると聞いてね。」とリーダーと思わしきパラディンの女性が話しかけてきた。ほかのメンバーは、テーブルに座ってメニューを物色している。
「アタッカー2人、サポーター1人、ヒーラー兼アタッカー1人か……」
正直に言うと特別強いとは思えない。『白銀の翼』といえば最近ここ当たりでは、活躍していると聞いていたが期待はしないほうがよさそうだ。俺は一枚の羊皮紙を彼女の前に差し出した。
「じゃあここの近くにあるダンジョンの探索を頼むよ。できるだけ、マッピングしてきて欲しいんだ。報酬は、探索中に手に入れた素材やアイテムでどうだ?」
すぐに女性の顔が赤くなった。それもそうだ自分たちはあの『白銀の翼』なのだから。
「貴様!私たちをこんなただの探索クエストを与えてもいいと思っているのか!」
そう言って詰め寄ろうとしたときカウンターにいた女の子が声を上げた。
「すみません!この『エレキバイソンのステーキ』ってのをください!」
どうも初めまして!士田傭兵と申します!今回の物語は初めて書いたので文章がおかしかったりしていたら申し訳ございません。このお話を不定期で連載していこうと思っているので、ぜひ応援よろしくお願いします。