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ドラクロの世界へ1

 気が付くと、見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。

 

 そこは、典型的なファンタジー世界に出てくる欧州の古民家といった佇まいの部屋で、何処か田舎の祖父母の家に行った時の素朴な温かさのようなものを感じさせた。

 

 壁には石材を中心に用いながらも、天上の梁や四隅の柱などには木材を使った。天上が高い室内の内装は、至って簡素で、四方の隅に一つずつ置かれたベッドに、タンス、物入れらしき大きな箱くらいしかない。


 それでも殺風景だと思わせないのは、出入り口となる木製の扉と向かい合う壁に設けられた、大きな木枠の窓が二つ開け放たれており、閉塞感は感じさせないからだろう。


 窓の外に目を向けると、これぞファンタジー世界というような、広大で、長閑な、何処かノスタルジックさを感じさせる農村の風景が広がっている。


 雄大に聳える山脈を背景に、風を受けてゆっくりと回る木製の風車と、黄金色の絨毯が波打つように揺れる広大な麦畑。


 そんなジブリ映画の世界のような光景に目を奪われながら、風が吹き抜けていく優しい音と共に、何処からか聞こえてくるケルト音楽のように楽しげで、クラシック音楽のように雄大なBGMに暫しの間、身を委ねるようにジッと耳を澄ます。


 ―――さて、そろそろ目の前の現実に向き合おうか。


 暫しの間、ドラクロの世界に浸っていたが、いつまでもそうしてはいられない。


 これまで、敢えて意識しないようにしていた問題へと向き直る。


 具体的には、隣のベッドで寝ている同世代くらいの2人の少女についてだ。


 神秘的な魅力を感じさせる、透けるような透明感のある肌に、薄っすらと紫がかった白銀の髪が印象的な美しい顔立ちの少女と。


 それとは対蹠的に、健康的な魅力を感じさせる、明るい茶色の長髪に、寝ていても分かる立派な山脈をお持ちのグラマラスボディーが目を引く、中性的な顔立ちの少女だ。


 問題なのは、この二人の少女が自分と一緒にゲームを始めた二人なのかだ。


 プレイヤーであることを示すカーソル表示などがないため、NPCなのか、別のプレイヤーなのか判然としないのだ。


 これまで一緒にさまざまなゲームをやってきた経験上、この白銀の髪という中二病チックな髪型をした少女は、おそらくアオで間違いないのだけれど……グラマラスボディーの少女の方が、シャロなのかが確証を持てない。


 シャロは、基本的にリアル寄りのゲームの時は男性キャラを使い、ファンタジー寄りのゲームでは女性キャラを使う傾向がある。


 そして、ゲームの難易度やシビア具合に合わせてガチムチ度も変わることが多い。ガッチガチのサバイバルゲームなら、ガチムチのマッチョマンなキャラメイクをするし、逆にメルヘン寄りのゲームならネタ的にロリ少女にもなったりするくらいだ。


 本当に、そのゲームの種類や、その時の気分で使用キャラを変えてくるので、今回はどんなキャラを作ってくるのだろうかと、密かに毎回楽しみにしているぐらいには、使用キャラに節操がない。


 それに比べて、アオの方は毎回、分かりやすい。銀髪碧眼に変えてくるか、黒髪のままオッドアイにしてくるかの、2パターンくらいしか変化がないからだ。


 まぁ、パターンが決まっていて面白味がないという意味でなら、基本的にデフォの顔のパターンの中から適当に気に入ったものを選ぶだけでキャラメイクを済ませてしまうことが多い、自分が何か言えるようなことでないのだが……。


 ―――まぁ、なんにしても、暫くは待っているべきだろう。


 少しばかり考えた結果、そういう結論に落ち着く。


 銀髪少女の方がアオである可能性が高い以上、グラマラス少女もシャロである可能性が高い。


 そして、もし、この二人の少女がアオとシャロであるならば、二人が起きてくるまでの時間差は、キャラメイクに掛かった時間の違いだろう。


 それくらいの時間差ならばゲーム側が、タイムキーパーとしてゲーム内の時間操作を用いて、起床タイミングを調整してくれているだろうし、それほど待たずに二人は起き出してくる筈だ。


 ―――とは言え、ただ待っているだけというのも芸がない。


 この世界で何ができるのか調べて、試しておいてもいいだろう。

 

 「……ステータスオープン」

 

 とりあえず、試してみるとすれば、これだろうと独り言を呟くように唱えてみる、

 

 すると、期待通り眼前に〝半透明の空間ウィンドウ〟が浮かび上がった。

 

 〖???の加護【スキル ???】→【スキル 適応】が発動〗

 

 〖【スキル 適応】 異世界エデンで生きていくために必要な力が与えられる。異世界の大気環境、重力空間、魔力反応など特殊な異世界環境下に適応する〗

 

 〖【スキル 適応】から2つスキルが派生しました〗

 

 ・【適応(祝福)選択】 〖どのような方法で環境に適応するのか、自身でステータスを選択して振り分けて選択することができる〗

 

 ・【鑑定】 〖【適応】の能力の範疇である、言語の差異、認識の差異などを、(母国後などに)自動変換して認識する能力を応用して、未知のものでも認識できる形で理解することができる〗

 

 「おぉぉー」

 

 ゲーム世界では、お馴染みの能力が手に入ったことに思わず歓声を上げる。

 

 こういうファンタジーもののゲームで、ゲームの中ならではの力を入れた時は、本当に何度経験してもワクワクしてしまう。

 

 ステータス画面には―――。

 

 ・ステータス

 ・スキル

 

 ―――という2つの項目があった。

 

 プレイヤーネーム モト Lv7【アルカナ 死神 Lv2】

 

 ○ステータス 

 STR 15

 VIT 8

 AGI 10

 INT 7

 MEN 7

 DEX 15

 LUK 15

 ステータスポイント 8

 

 ○スキル

 ・???の加護 【適応】【???】【???】

 ・アルカナスキル

 【致命の一撃】Lv2 クリティカル威力超アップ

 【死神の目】Lv2  敵の弱点(クリティカル部位)が見える

 スキルポイント 8

 

 それらの数値をザッと【鑑定】を使って仕様を確認すると、どうやらドラクロのレベルアップシステムは、それまでの戦闘(経験値習得)時のロール(役割)に応じた基礎能力の向上に加えて、ステータスポイントとスキルポイントが得られるというシステムであるようだ。

 

 例えば、戦士のような前衛アタッカーというロール(役割)を担えば、レベルアップ時にSTR値を中心に補正が働き。

 

 前衛のアタッカー兼タンクというロールを担えば、レベルアップ時にSTRとVITが両方少しずつ上がるという具合だ。

 

 そして、その上昇率は、戦い方が洗練されていたか、どうかなどで変わったりはしないようだった。


 とは言え、上手く、効果的に戦えた場合のメリットがない訳でもない、経験値が多めに貰えるほか、LUKの上昇に別枠で補正が掛かってくれるようだ。

 

 ここら辺の少し複雑なレベルアップシステムは、【スキル 適応】という加護によるものだという、設定を下地にしているからだろう。

 

 そして、レベルアップや一定の習熟度を満たすと貰える〝スキルポイント〟を使って、戦士や魔法使いといったロールを担うのに必要なスキルを習得できるシステムとなっているようだ。

 

 スキルの習得の際には、ジョブ縛りのようなものはないようだが、スキルはスキルツリーシステムであり、また習得の際に必要ステータスが設けられていたりするので、実際には自分のロールに即したスキルを習得していくことになりそうだ。

 

 ―――そんなことを一通り確認していると。


 眠っていたアオと思しき白銀髪の少女が「こらー、質問に応えなさいー」と叫びながらガバリと起き上がり、その騒々しさに釣られたようにシャロらしきグラマラス少女も「うーん」と唸りながら、ゆっくりとベットから身を起こすのだった。

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