04.vsドラゴン
結果から言ってしまうと、ドラゴンとの距離を詰めたのは失敗だった。
流石に片腕吹き飛ばされて、冷静な思考を保つ方が無理だったんだよ。うん。
だって、あんなに大きい体が小回りが効くとか知らないし。
普通にあいつ回転しやがって、回転してスピードがついた尻尾が当たって吹き飛ばされましたよ。
この攻撃のせいで、多分骨は折れてないだろうけど結構なダメージを負った。
さっきは、突進してくるっていう、単調な攻撃だったから斬撃を与えれたけど、私から行くとなるとどうしても私のほうが不利になってしまう。
圧倒的に自分から突っ込むより来る相手にカウンター与えたほうが効果的だからね。
そりゃ私だって待ちたいけど相手には飛び道具がある。
これじゃ、飛び道具を持っていない私のほうが圧倒的に分が悪い。
さーてどうしたものか。
こんなに苦戦したのはいつぶりだろう。
多分こんなに苦戦したことは今までなかったと思う。
認めよう。私は弱い。
所詮このドラゴンから見てみれば、少し反射神経が良い獲物くらいにしか思ってないんだろうな。
でも、それでも。
私は諦めない。
ていうか諦めたら死ぬ。
ある人は言った。
「勝負に負けるとき、それは自分の戦いができなかった時だ」と。
なら、私の戦い方で、私が、私のためにこのドラゴンを倒す!
まずは、行動パターンや癖を見抜く。
これは、格ゲーで学んだ。
行動パターンが同じなら、対応してカウンターを叩き込めばいいし、癖を見抜いたなら、相手の動きを読み切って一撃を与えることができる。
次に、相手の弱点を探る。
これは、RPGで学んだ
相手の弱点が分かれば大きな一撃を叩き込める。
最後に、相手のやられたら嫌なことを押し付ける。
これはFPSとかで学んだ。
相手がやられたくないことをされる=その対処で相手の動きが鈍くなる
ってことになる。
私が今までの人生で学んだこと全てを使って、こいつを倒す。
えっとまずは行動パターンや癖。
これはなんとなくわかっている。
まず、あのドラゴンは、走るときに大きく構えるということ。
だから、私は来ることがわかって反撃を入れることができた。
まあ、その反撃の量は置いとくとして。
それと、あいつブレスを撃ったあとしばらくは動かない。
ブレスは一回しかあのドラゴン使っていないけど、それでも私のカンがそうだと言っている。
今はこのカンを信じてみる。
次に、弱点。
多分、ここは地球通りに行くなら逆鱗ってことになるんだろう。
逆鱗は顎の下に逆さに生えた鱗。
まあこれはどちらかというと龍の弱点なんだけど、一応逆鱗らしいものはここから確認できているしあれが弱点ってことでいいだろう。
最後に相手がされたら嫌なこと。
それは、近寄って小さな攻撃を重ねられること。
これは、私がさっき失敗だと思っていた距離を詰めていたときのことを思い出してみて考えついた。
さっき私が距離を詰めたとき、ドラゴンは私を追い払うように尻尾の打撃で私を吹き飛ばした。
もっと有効な攻撃があったはずなのに。
そりゃ、結構ダメージはもらったけど、別にダメージを与えるだけならならわざわざ回転なんてしたのに骨が折れないくらいの攻撃なんてことにはならないはずだ。
それでいてだいぶ私は吹き飛んだ。
そりゃ、力を入れても吹っ飛ぶだろうけど、力を入れなくても別に力を入れたときと同じくらい飛ばすことはできる。
しかもそのあと追撃に来るわけでもなくドラゴンはそのままそこにいた。
これは近寄ってほしくなくて吹き飛ばしたということではないだろうか。
これで、勝ち筋が見えてきた。
つまり私の勝ち筋は。
細かい攻撃で相手の攻撃を鈍らせながら、相手が逃げようと構えたときに龍鱗に一撃を叩き込む。
これだ。
でもこれは、私の憶測や、地球の考え方が入っている。
しかもドラゴンの攻撃を避けながら細かい攻撃を与えて、正確に相手の逆鱗に渾身の一撃を叩き込まなければいけない。
はっきりいって成功する確率は、とんでもなく低い。
でも、圧倒的不利な状況でも、不利な方にはどんな事が起こるかは最後までわからない。
それは私が一番知っている。
だから、この作戦を実行するんだ。
ということで、私は私が考えていたときに一切動かなかったドラゴンに一気に近づいた。
なんで動かなかったんだろ?
まあ良いか。
それからは、小さい攻撃を重ねた。
まあ、2つ想定外だった事があって、1つ目は方腕がないからバランスが取りづらかったこと。
あともう1つは、私の体力が大幅に増量していたこと。
で、この2つの想定外だった出来事は若干プラスになっていて、片腕のせいで崩れたバランスを体力を使って立てなおしてるから結局いつもどおりくらいの体力で戦えてる。
だから結構ありがたい。
でも、全然このドラゴン逃げない。
あからさまに動きは鈍く遅くなってるんだけど、それでも絶対にこのドラゴン逃げない。
プライドか?
こんな小動物みたいなのから逃げるわけには行かないみたいな。
でも残念。
私、【meg】なんで。
小動物だと思わないほうが良いよ。
今だって、的確に逆鱗以外のところに的確に体を滑り込ませて攻撃してる。
逆鱗には極力触れないようにしないとドラゴンが危機感持っちゃうからね。
この作戦は一度きり。
絶対に成功させなくちゃいけない。
でも、流石に体力も限界に近づいてきた。
流石に十分以上、一応この剣は軽いけど何か持ちながら動き回るのはきつい。
早く逃げてくれ。
プライドを捨ててくれ。
と思った瞬間だった。
龍が逃げる姿勢を取った。
それを私が見逃すはずもなく、
「バシュッ」
逆鱗に渾身の一撃を叩き込んだ。




