02.裁判
−−−−−刑務所−−−−−
うん、とりあえず現状の整理からだ。
とりあえず今の状況は
冒険者ギルドに行ったらいきなりおっさんに絡まれて、でそこでやめてほしいっていったらはめられて今この状況と。
やっぱ私の悪い点なくね?
強いて言うならやめてほしいって言ったところかな。
酒飲んでるおっさんにそんなこと言ったら逆ギレされるのは目に見えてたんだけどなー。
どうやら私は相当浮かれていたみたいだ。
でもここまで大掛かりなことできるってことは、あのおっさんはそこそこ権力の持った人ってことになる。
流石にどんな人でも昼間っから酒のんでるおっさんがそんな権力持ってるなんてわかんないって。
でも、ここからでも少しくらい無罪にちかづいてやりますかね。
まあ現実的に考えると、刑が軽くなっても無期懲役みたいになっちゃうだろうし多分証人も何も用意させてくれないだろうし。
どうしますかねーー。
−−−−−3日後−−−−−
「おい、お前。ついてこい。」
朝に起きたらいきなり看守にそう言われた。
「はーーい」
まあ色々考えてみたし、なんとかなるだろう。
歩いている途中の廊下の外には様々な骨董品のようなものがおいてあった。
クイズゲームのためにこういう知識をつけたりもしたけど、ぱっと見贋作っぽい。
まあ地球とこの世界で基準とか違うかもしれないからわからないけどね。
そんなことを考えていると。
裁判が行われる部屋についた。
−−−−−裁判室−−−−−
「今から被告人の裁判を行う」
ザ・裁判長みたいな人がそんな言葉を言って私の裁判が始まった。
結局私の弁護士はいなかった。
「それでは、被告人の罪状と求刑を」
「は。被告人は冒険者ギルドにて、食事をしていた大貴族シェルーダ家長男リコリス・シェルーダ様にいきなり大声でに話しかけ、まともに相手をしてくれないとわかった瞬間リコリス様の食べていた料理を地面に落としてそれを踏みつけました。そして我々騎士団は被告人に死刑を求刑します。」
うっわひどい。正しいところが一つもない。
ていうかあの男大貴族だったんだな。
大貴族(笑)が昼間っから酒のんでるってそれ世間的にはどうなの?
まあそんなことは置いておいて。
なんとこの裁判、全国放送されているんですよ。
さすが剣と魔法の異世界。
電気はなくても魔術で遠くの映像をいろんなところで見ることができるらしい。
魔術すげーな。
久ぶりにこんなに注目されるから、震えが止まらないよ。
「それでは被告人質問に参ります。被告人は前へ。」
私は渋々前に出た。
「あなたはこの事件を行いましたか?」
「いいえ」
「あなたはなぜ冒険者ギルドに行ったのですか?」
「冒険者になろうと思いました。」
「ふむ、ではなぜわざわざ冒険者になろうと思ったのですか?他にも仕事はたくさんあったでしょうに。」
「私の技能を使える職だと思ったからです。」
「女性なのにですか?」
「女だから何が悪いんですか?」
「いえ、なかなかそんな人はいないのでね」
なんかもう関係い事ばっかり聞いてきてない?
「では質問を事件のことに切り替えましょう。もし本当にやっていないとしても、ではなぜリコリス様に話しかけたのですか?」
「あの人が先に話しかけてきたので私はそれにやめてくださいと返しただけです。」
それから、関係のなさそうなことをたくさん聞いてきた
「以上で被告人質問を終わります。
ふーやっと終わった。
で、次は何?
「それでは次に被害者への質問を行います。
被害者の方は前に出て下さい。」
おっさんが前に出ると被害者への質問が始まった。
「あなたは、なぜあの場所にいたのですか?」
「冒険者の様子を観察し、より良い領地を作り上げようと考えていたためです。」
おいー嘘つくなや。
酒飲みまくってただろ。
「次に、被告人に犯行を行われたときには何を感じましたか?」
「まず最初に来たのが恐怖でした。
いきなり目の前に現れて大声で叫ばれてとても怖かったのを覚えています。
次に感じたのは怒りでした。
そして次の瞬間いきなり私の食べていたものが落とされたからですね。」
もう私突っ込まない
「ありがとうございました。」
あれ?早くね?
まあ勝確の裁判で長引かせる必要もないわな。
「それでは被告人の意見をきこう。被告人は前に出ろ。」
扱いが変わり過ぎではないですかね?
まあもう今更だけど。
私は前に出た。
「それでは、被告人。意見を言え。」
なんか口調が強いからちょっと苛つくけどまあいいか。
「はい。まず、私はこの人に話しかけても、料理を落としてもいませんし踏んでもいません。」
私はテンプレートのような文言を言った。でもここからが本番だ。
「では考えて見ましょう。別にお酒にも酔っていない私がそんなことをする必要を。大声を出すということは、苛ついていたという理由が考えられます。では私が苛ついていたとして、わざわざ男の人に当たるのでしょうか。もっと普通なら弱い存在。女の人とかに当たるのでしょう。ここで、一つ矛盾が生まれました。なぜ人に当たりたいときに男に当たるのか。何故かあなたには分かりますか?」
私は裁判長に言った。
「黙れ犯罪者。犯罪者の質問に答える義理なんかない。」
「いいから答えてくださいよ。」
裁判長の顔には私の落ち着いた表情をみて恐怖が浮かんでいた。
「そ、そうだな。でも苛ついているのであれば、突発的になにをやってもおかしくはないぞ」
「そんな考え方もあるでしょう。確かにそれならおかしくはありません。でもそれくらいしか理由は考えられませんよね。
ではここで料理を私が落とした理由について考えてみましょう。大貴族のリコリス様が食べていたものは なんですか?」
「片手で食べられる。ファストフードですね。名前まではわかりませんが」
「はい。ありがとうございます。例えば私が料理を落としたとして、それでは手で持っているものをリコリス様が不注意や驚いて落としたわけではなく、私が的確に狙って落としたことになります。これっておかしくありませんか?握っているものって、なかなか落としにくいんですよ。しかも柔らかいものは更に落としにくくなります。まあ本当に私が落としたということにして話をすすめましょう」
私は裁判室を見回した。
「ここまでをまとめると苛ついている冷静さのない私が、正確にリコリス様の握っているものを落とした、という現実的にはあまり考えられないことが起こっているんですよね。ここまでのことを考えて裁判を行ってほしいですね。これで私を陥れようとするのをやめてもらいたい。私の意見は以上です。」
……さあやれることはやった。ここまでしたけどどうなるか?
「判決を言い渡す。被告人を有罪判決として、被告人をライルセルダンジョン送りとする。」
………え?