00,プロローグ
ネットで流れる都市伝説にはいろんなものがある。
トイレの花子さんや人面犬が有名だがこんな噂をご存知だろうか。
『最強のゲーマーmeg』の噂を。
「は?」
「ちょっと……ねえ!」
「やめてくれ!」
あるMMORPGであるひとりのプレイヤーに喧嘩を売ったパーティーがまた壊滅された。
「でさ?今度は何をくれるのかな?」
そう悪魔的な笑みで女子高校生のようなアバターのプレイヤーが言った。
「…………すいませんでした。どうか、どうかこの装備だけは。初めて獲得したレア装備なんです。」
男はそのプレイヤーにそういった。
「だめだよー。初めて獲得した?だからなに?取られたくなかったらこんな始まりの街みたいなところで初心者狩りなんてしなければ良かったのに。」
男にはもう逃げる意思は一切ない。
あるのは恐怖のみだった。
「―――わかった。わかった……から、お前の名前くらい教えてくれ。」
「うーん、どうしよっかな?まぁ、megっていえば伝わるかな?」
【meg】都市伝説にもなっている世界最強のゲーマー
今までに表向きの大会などには出た事は無いが、
その圧倒的な操作精度と戦略で、常にどのゲーム
の最上位にも君臨する生きる伝説
「それじゃあまたねー」
megは消えた。
おそらくログアウトしたのだろう
もう男にはゲームをやる気力なんかこれっぽっちも残っていなかった。
ふー疲れた。
久しぶりに人と話したわー。
自分が圧倒的な正義のときは強気に出ちゃう癖直さないとな。
いつもはもう本当に根暗な感じだから普段とのギャップでめっちゃ疲れる。
その女はあるマンションの物置のような部屋で一人ゲームをしていた。
まあ、高校にも行かずに部屋にこもってゲームばっかりしてるようなのにコミュ力あるっていうほうが怖いけどね。
それにしても……さっきのパーティー馬鹿だったなー。
魔法使いを前に配置して騎士が後ろにいるって流石に初心者でもそんなミスしないよ。
まあ、そんなだから初心者狩りなんてしてたんだろうけどね。
あーとにかく疲れた。
もう今日は寝ますか。
おやすみなさい。
―――ん?なんか焦げ臭くね?
外でなんかあったのか?
「バシャッ」
おーなんかいつにも増して空が眩しい。
ひっさびさに窓開けたわ。
えーと何か変化は?
うーん、何にもな―――あったわ。
マンション燃えてる!
流石にこれはやばい。
とりあえずは外に。
えーっと……玄関どこだっけ……?
ガシャ
早く行かないと。
バチバチバチ
……玄関前も燃えてますか。そうですか。
ていうかほんとにやばい。
逃げ場がない。
玄関は炎で閉ざされてて、窓からはここ地上十階だから降りれない。
流石に今までゲームの中では誰よりも逆境に勝ってきたと思うけど、リアルではねー。
ここまでか。
まあここらが潮時ですかね。
ゲームに関しては後継者が出てくれたらもう私は要らないし。
でも、次の人生があるんだとしたら。
あるんだとしたら次こそは絶対にこんな逆境にも打ち勝ちたいな。
じゃなきゃ『あの頃』と何も変わっていないじゃないか。
だから、来世までは、ゆっくり、しよう、か、な。
燃え盛る炎の中そんなことを考えながら私は死んだ。
初めましての方ははじめまして。ゆめうめいろです。新たな作品を書き始めたので色々と不安なことも多いですが、こっちはしっかり完結させようと思っておりますので応援よろしくお願いします。面白いと思ってくださったらブックマーク登録やレビューをよろしくおねがいします。




