時計の街
雪が降る夜。
十二月の三センチ手前に、時計の街はあった。
三角屋根の家々には、大小さまざまな時計が飾られている。
街の中心には、高い高い時計塔。
その大時計がカチリと針を進めた。
リンゴン、リンゴン、リンゴン
雪空に鳴り響く鐘の音。
街中の時計たちが、大時計に合わせて歌う。
りん、りん、りん
ちりりん、ちりりん
かーん、かーん
かちこち、かちこち
しんしんと降る雪に、埋もれかけていた街が息を吹き返す。
ちゃりん、ちゃりん、ちゃりん
らん、らん、らん
ごーん、ごーん、ごーん
るりりりん、るりりりん
カチリ、と大時計が針を進める。
ぴたり、と時計の音が止む。
あとには静寂が残された。




