転生してエルフになった。翼があるのでシルフです。~旅の途中に~
『仙道企画その1』に参加させていただきます!音楽を聴いて妖精達が舞い踊る姿が頭の中で弾けていました!なので是非参加したくて書きました。「転生してエルフになった。翼があるのでシルフです。」は完結しています!その流れになるのしょうか‥‥‥?とりあえず完結後の旅の途中の話になります。
僕は風の妖精、シルフィード。みんな僕の事をシルフィーって呼ぶんだよ。皆もそう呼んでね。
これは、僕達が旅の途中に出逢った不思議な少女の話さ。
川岸に座って何かを見つめる少女、その先には小さな妖精達が集まって踊っていた。僕はその少女の元へ飛ぶ。
「ねえ! もしかして君って妖精が見える目を持っているの?」
少女は不思議そうに僕を見る。
「僕の姿は誰にでも見えるから大丈夫だよ。君を変に思ったりしないさ」
にこっと笑って僕は彼女の傍に行く。
「貴方って変わっているのね。妖精はその姿を見せてはいけないのでしょう?」
「僕はね、妖精王のオベロンから許しを貰っているんだ! だから、大丈夫なんだよ。僕は風の妖精、シルフィーだよ。宜しくね」
そう言って彼女の前で飛ぶ。
「私はエレナよ。宜しく、シルフィー」
「僕ね。仲間と一緒に旅をしているんだ!」
少女は川岸の方を見る。
「あそこにいるのがそう?」
「そう! 皆良い奴だよ。紹介したいなあ。おいでよ」
「‥‥‥私はいい」
そう言って反対側へ走ってしまった。僕はミュラーの肩に乗りフレアに話す。
「さっきの女の子。もしかしたら。チェンジリングなんじゃないかな」
フレアは眉を寄せて、
「だとしたら、ほっては置けないわね。きっと彼女は辛い思いをしている」
「そうだね。彼女は元は妖精だからね。人間社会で生きて行くにはきっと辛いはずだ。妖精を見る事が出来る目は人間からしたら理解出来ないからね。だって人間には見えていないんだ。それを見えているっていったらどう思われるか想像できるよね」
スライムさんはずっと考えているようだ。
「この街の長に逢おう」
急に喋り出したと思ったら!
「そして、あの子を連れて来てくれ。心配は要らない。彼女に対しての誤解を解いてやりたいだけだよ。シルフィー。君の助けも要る」
「任せてよ!」
いつもの様にスライム相談所が出来上がる。スライムさんの相談所には沢山の人間達がやってきては相談していく。そこでスライムさんが急に言う。
「君達はチェンジリングを知っているか? 妖精と人間が生まれた時に取り換えられる事を言うものだ」
途端に騒めき始める店内。
「シルフィーここへきてくれ」
スライムさんに呼ばれて僕は出ていく。
「シルフィーの事はもう皆は知っているだろう。このシルフィーの本当の姿をみせよう」
僕はスライムさんの言う通り本来のシルフィードの姿になる。騒めく店内。祈りを始める婆さんまでいる。「天使だ」「天使がいる」
「シルフィードは皆この姿だよ」
僕はにこっと笑う。騒めく中、顔色を変えない少女が居た。スライムさんが呼ぶ、
「エレナ。こっちへおいで」
少し迷いながら前に出るエレナ。
「この少女の事を知っている者はいるかい?」
そこで、
「嘘つきエレナだ」
スライムさんが聞く。
「何故そう思う」
「だって見えない物を見えるって言う。可笑しいよ。他の者は見えていないのに、見えるだなんて!」
「君はシルフィーを見てどう思う? シルフィーは妖精だ。普段姿を見せない事は知っているだろう?」
「‥‥‥でも、今は見えているよ」
「そうだね。見えているというか見せてくれているといった方がいいだろう。このように姿は見えなくても本当はそこにいるんだ。隠しているその姿を見る事が出来るなんて凄いことなんだぞ。彼女は見える目を持っている。それは特別なんだよ」
店の中で誰かが言う。
「特別ってなんだよ!」
「そういう目を持った者の事を【賢者】【聖人】とも言われている。知っていなかったようだな。彼女は元は常若の国の住人だ。だが長く人間の国にいた。人間の両親に可愛がられてきたようだが、この街の人間が彼女を否定するのならシルフィーに彼女をとこわかの国に返してもらおうじゃないか、君達にとってはその方がいいのだろう?」
少女は両親にしがみ付く。
「聖人って神の声も聞くって言われているよなあ」
ざわざわと店中がうるさくなる。
「私はパパやママがいるここがいい! 何処にも行きたくない!」
エレナが叫ぶ。スライムさんが言う。
「フレア。皆にも見えるようにする事は出来るか?」
フレアにっこりと微笑むと
「簡単よ」
僕はそこで言う。
「さあ! 隠れている皆ここにおいでよ。皆で踊ろうよ! ミュラー宜しく!」
ミュラーが笛を吹く。アリーナも鍵盤を叩く。リズミカルな音楽が流れる。楽しい事が大好きな妖精達が集まって来る。そこは瞬く間にダンスホールになった。
僕達もダンスに加わる。その様子を見ていた街の人間達は何が起こっているのかわからないといった表情だ。だが、誰もエレナに対して嫌味な顔は見せていない。
「すごいなあ。エレナにはこの妖精達が見えていたってことか!」
フレアが人間に頭を軽く下げダンスに誘う。流石、ギルマスから教えて貰っているだけあって優雅な振る舞いだ。その夜は楽しい時間が過ぎていった。朝日が昇る頃妖精達は光の中に消えていく。エレナは見えている。妖精達が自分に手を振っている姿が、スライムさんは言う、
「どうする? エレナは常若の国に帰ってもらうかな?」
街の人間が膝をつき言う。
「悪かったよ。エレナを悪く言って。エレナは責任をもってこの街が育てる! 嫌、守らせてくれ!」
スライムさんが言う、
「彼女は人間にとって貴重な存在だ。命を狙われる危険もある。だが、エレナを守れば精霊達の加護が受けられるだろう」
フレアがエレナに言う。
「エレナ。精霊使いになりなさい。貴方になら妖精達は力を貸してくれる。貴方にも見えているでしょう? 私の周りにいる妖精達が」
「はい! でも、お姉さんの様に沢山の妖精を呼ぶ事なんか私に出来ない」
「そうね。そこに隠れているパック! この子の面倒をみてくれないかしら」
フレアに見つめられ怖気ずくパック。
「しゃあないなあ。フレアに直接命令されたら断れないじゃないか‥‥‥」
と、お茶目な笑顔で答えるパック。
「これから宜しくな! エレナ!」
「宜しく!パック」
僕達の旅は続く。
参加させて頂きありがとうございます。楽しんで書く事ができました!