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ハロウィンの魅力

「ですからその代わりに、適当に道端に転がっている食べても美味しくない土手南瓜を株の代わりに用いられているのが一般的となっているそうです。


 …と言う伝承がありまして、それがジャック・オ・ランタンの発祥となっているそうです。


 …と言うことで、ハロウィンと言うのは地獄から悪魔が現れて人間の魂を持っていこうとする日の事で、街中の人がフランケンシュタインや魔女、幽霊、ドラキュラなどに変装をして人間の姿を隠すことで悪魔の目を(くら)まそうと言う訳です。


 なので人だけでなく街や家もお化け屋敷のように変装させたりと言うように、楽しい行事が海外では親しまれているそうです。


 なのでこの教室を魔女や幽霊が出て来そうな洋風のお化け屋敷のようにするというのはどうでしょうか?

 あとはジャック・オ・ランタンの行灯(あんどん)を作るのも有りかなと考えたりしています」


「今の説明を聞いて質問がある人」


「はい」


「どうぞ」


「ジャック・オ・ランタンって言うやつのイメージが全然わからないんですけど、なんか写真とかないんですか?」


 そうだよね、百聞は一見にしかず。

 どうしよう!?

 なんの資料も無しに人に物を伝えるのは難しいなぁ…。


 下手くそだけどせめて黒板に絵を描いてみたら少しは伝わるだろうか?

 一度はどこかで見たことある人いると思うんだよな。


「今手元に資料がないので、下手なんですけどザックリとした絵を黒板に書いてみていいですか?」


 私がそう言うと


「どうぞ」


 実行委員からのOKが出たので、前に出てなるべく大き目に南瓜の絵に三角の目、鼻、ギザギザの口を描いた。

 更にもっとイメージが伝わる様に十字架のお墓や枯れ木、蝙蝠(こうもり)を描き足した。


 私、絵心無いけどハロウィンの絵だけは描ける様になりたくて、昔こっそり家で練習してた事があったんだよね。


「こういう南瓜の中にろうそくなどを入れて、ランプの代わりにするものをジャック・オ・ランタンと言います。


 日本で言うチョウチンの外国版だと思ってくれたら一番イメージしやすいと思います」


 と黒板に書いた南瓜の絵を見せながら私は説明をした。


「あ!!

 分かった!

 俺そう言うの見た事あるわ!」


「私も見た事はあるけど、あれが何かは全然分からなかったんだよね」


「うちも!

 そもそもハロウィンって何の日なのかって言うのも今初めて知ったし」


「ね!

 私なんかハロウィンが10月31日だって言うのも今知ったところから始まったよ!」


「え!?

 ハロウィンって10月31日なの!?」


「え!?

 違うの?

 さっき相瀬さんが学祭の日は丁度ハロウィンとか何とかって言ってなかったっけ???」


「あぁ!!

 そう言えば!

 言ってたような無かったような…」


 クラスの皆々が近くの席の人と話しているのが聞こえる。


 正確に言うならば31日は前夜祭だから、展示物を皆んなに見てもらえるのは1日の日になっちゃうんだけどね…。


 そしてもう一つオマケに、今の時代だと日本でハロウィンイベントを先駆けてやっているのは、恐らくウィズミーランドくらいであろう。


 知らない方が普通の感覚なのだ。

 だが出来れば皆んなにハロウィンの魅力を今伝えたい!!

 私はまた挙手をした。


「どうぞ」


「ハロウィンについて知らない人もいたと思うんですけど、今どんなものかを皆んな知ったと思うので、他のクラスの方々や他の学年の方々にも、ハロウィンの可愛さや魅力をB組が皆んなで広めていくというのはどうでしょうか!?


 どこにでもありがちな、ただのお化け屋敷とかをやるよりも、こういった一風変わったやり方で他のクラスとの違いや個性を出して行けるのではないかと思うのですがどうでしょうか!?


 資料に関しては明日まで時間を頂けるのなら図書館で参考になるような蔵書などを探してきて持ってくるなりして、何となくイメージだけでも皆んなに伝わるようにしたいと考えております。


 なので一度皆んなに絵本などの絵を見てもらいたいなと思うのですがどうでしょうか?

 決断は今日中でないと難しいですか?」


「…いや、多分…次の委員会がある日まで決めればいいから、明日なら多分大丈夫だと思うけど…皆んなはどう思う…?」


 実行委員の人の言葉に教室はシーンと静まり返り、皆んなが周りの様子見をしている。

 私はまた挙手をした。


「どうぞ」


「もし皆さんが絵を見るまでもなく"全く興味ねぇよ"って思うなら、他に出ていた候補の中から今日中に決めて頂いても構わないんですが"とりあえずここまで言ってんだから絵くらいは見てから決めてやろうぜ"って思ってくれているんだったら明日まで時間を下さい。


 と言うのが私の個人的な意見なんですけど、皆さんはどうですか?」


「私はそれで良いと思うけど、皆んなはどうですか?」


 と実行委員の人は賛成し、皆んなにも意見を聞いてくれる。

 他の皆んなも


「あぁ、それで良いよ」


「うん」


「まぁ…絵を見るくらいだったら…」


 と口々に賛成のコメントを返してくれる。


「じゃあ今の意見で良いと思う人、手を挙げて下さい」


 ザッと見た限りでは恐らくほぼ全員と思われる人数が手を挙げてくれている。


 皆んなありがとう!

 ハロウィンに目がない下らない女の道楽に付き合ってくれて。


「じゃあ、まずは一旦学祭の演し物の案については保留と言う事になりましたので、今日はこれで終わりたいと思います。

 先生、宜しいですか?」


 と実行委員。


「うん!

 OKです!

 じゃあ先生の方からは簡単に明日の連絡事項だけ話します」


 そう言って実行委員の人と先生がバトンタッチをし、先生からの連絡事項を終えた後に合礼をし、私たちは解散した。


 帰り支度をしていると


「ミッピ一緒に帰ろう」


 と、のどちんがいつものようにお誘いをくれる。


「うん、今日は途中で図書館に寄って行きたいから学校の玄関から出た所までなっちゃうけどいい?」


「図書館って近くにある森のフクロウ図書館?」


「うん、そう」


「そっか、さっき言ってた絵本探し?」


「うん」


「もし良ければ私も一緒に行っていい?

 真っ直ぐ帰っても暇だからさ」


「うん、全然OK!

 むしろ付き合ってくれるの?

 ありがとう!」


「いやいや。

 じゃあ一緒に探そう」


「うん」


 会話の流れからのどちんも付き合ってくれることになったので、私たちは帰宅する足で図書館へ向かった。


 休み中とは違って随分と空いているので、私たちは先に背負っているリュックを適当な席に下ろし、資料になりそうな絵本を探した。


 絵本コーナーは子連れのお母さんと低学年の子しかいない為、もうだいぶ大きい年齢の私たちは凄く目立ち、子供たちやお母さんは不審者を見るような視線をこちらに向ける。


 凄く気まずいな。

 早いとこ探して立ち去りたい。


「ねぇミッピ、どんな絵本を探せばいいの?

 私あんまりハロウィンってやつのイメージが分かってないんだよね。

 南瓜の絵が書いてあれば何でもいい感じかな?」


「う〜ん…南瓜の絵って言うよりもどっちかと言うと、魔法使いとかが登場してくるようなちょっと怪しい感じの風景とかが載ってる本とかを探して欲しいかな。

 私も今そういうのを探してるんだよね」


「魔法使い?

 例えばヘンゼルとグレーテルみたいな?」


「そうそう!

 お菓子の家とかも有りだと思うよ!

 ハロウィンってさ、子供たちが各家を周って"trick or treat!"なんて言いながらキャンディーをもらいに行くイベントでもあるんだよ。

 日本のイベントに例えるなら"ろうそく出〜せ〜出〜せ〜よ〜♪"と同じようなものよ」


「あぁ!!

 なるほど!

 へぇ〜…初めて知ったわ!

 じゃあちょっとグリム童話探して来るわ!」


「うん、お願いします」


 のどちんとヒソヒソ話を終え、私たちは互いに絵本探しを手分けした。

 何分も探す中やっと見つけられたのは2冊程だった。 


 魔女が物語に出てくる本は割と少なくは無いのだが、魔女が住む森や家などの絵が描かれているものに限定するとなると、グッと少なくなってしまう。


 とりあえず全てイメージ通りとはいかないが、何とかイメージに近い絵を見つける事が出来たのは良かった。


 ひとまず席へ持って行ってゆっくり絵を見てみよう。


 席へ戻るとのどちんがヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のページを開いて見せてくれた。


「ねぇミッピ、こんな感じでいいのかな?」


「うん、良いと思う。

 まず1冊目はそれ借りて行こう」


「OK。

 ミッピはどんなの持って来たの?」


「ん?

 とりあえず魔女の森とか夜の風景っぽい物が描いてあるものを探してみた」


 そう言って本を開いて後に見せた。


「へぇ〜…こういう感じのイメージなのかぁ」


「ほらほら、見て見て!

 こういう感じの枯れ木とかさぁ、ちょっと魔女っぽくて不気味な感じじゃない?」


「あぁ!

 確かに!

 なんか魔女が怪しいキノコ煮てそうな森だよね」


「そうそう!

 そう言うイメージ!!

 そう言うのを伝えたかったんだよね!」


「なるほどね!

 段々ミッピが言ってるイメージが分かって来たわ!」


「良かった〜。

 じゃあこの本も借りて行こう。

 皆んなに見せたらのどちんみたいに伝わる人、他にも出てくるかもしれないし」


「うん、そうだね」


「魔女の釜とかも描かれてるページもあるし、良い感じの本を見つけられて良かったよ」


「 ミッピここの会員カード持ってる?」


「うん、なんで?」


「私持ってないからミッピに借りてもらっていい?

 ヘンゼルとグレーテルも」


「いいよいいよ。

 元々そのつもりだったし」


「本当?

 ありがとう」


 一通りの会話をヒソヒソと終えた後、本を借りて私たちは帰宅した。


 幸い今日は塾がない日なので手を洗って着替えた後、別紙を用意し教室をどんなふうにしたいのか、物の配置図を描いてみることにした。


 まず入り口の所にはアーチ型の両開きタイプの扉の絵を描く。

 そしてその周りに石レンガの壁を描く。

 教室内は枯れ木や魔女の家、焚き火の上に魔女の釜を置く。


 "薄暗い森の中を歩いていたら魔女の家があった!"と言うような設定にしたいので、薄暗さを演出するために暗幕とランタンが必要だ。


 ランタン用に本物の土手南瓜を仕入れる事は難しいし、第一当日までの何日も学校で保管しなくてはならないことを考えたら、作っている間に腐ってしまう危険性もあり現実的ではない。


 ならば段ボールなり発泡スチロールなりで作る方が良いだろう。

 要するに外からの見てくれがジャック・オ・ランタンに見えれば何でも良いのだ。


 色塗りは絵の具でもあれば充分だろう。

 そしてキャンドルの代わりにクリスマス用のライトをランタンの中に張り巡らせれば火災の心配もなくなる。


 暗幕は理科室から借りられるように先生にお願いするとして…あとは魔女の家と釜、そして焚き火だ。

 家は段ボールで形を作って、その周りに白紙でも貼り付けて色を塗れば大体OKだろう。


 家の中にもクリスマスライトを設置して魔女が住んでいる感を出したい。


 お菓子の家にするのなら新聞紙を丸めてそれをセロファン紙で包んで飾りキャンディーを作ってもいいな。

 セロファン紙の赤色で焚き火の炎を演出できるし。


 薪は適当に新聞紙を細長く丸めてその上から白紙を貼って茶色い絵の具を塗るだけだから難しくないだろう。


 釜は掃除用のバケツに紙なり新聞なりを貼って釜に見立てて、色を塗ったらそれっぽいものが出来そうだ。

 バケツなら当日に中に水を入れたりしても問題ないだろう。


 水を紫の絵の具で着色すれば妖しい水の完成!

 出口付近にお墓とミイラがあってもいいよね。

 お墓は段ボールでミイラは新聞紙と白紙トイレットペーパーがあれば作れそう。

 お墓に横たわってる感じで配置っと…。


 その他諸々の装飾はみんなの采配にお任せすることにしよう!

 そしてこの出し物の題名は"ハロウィンのお菓子な森!?"なんていうのはどうであろうか?

 我ながらナイスなアイディアだと思う。


 それぞれの装飾の材料を簡単に書いて配置図は完成した。

 学祭なんてどうでも良いと最初思っていたが、ハロウィンともなるとついつい熱が入ってしまった。

 我ながら幼いな…。


 とにかく明日これらを皆んなに見てもらおう。

 ハロウィン企画が通ればいいな。

 そう願いながら私は図と絵本を通学カバンに入れた。


 ―翌日―


 放課後を使ってのHRにて、昨日借りてきた絵本と配置図を実行委員の人に渡す。


「主に付箋(ふせん)を貼っている所を優先して見て欲しいです。


 あと絵下手なんですけど、ザックリなイメージで配置図も書いてみたので見て下さい。

 大まかな材料も書いておきました。


 殆どが紙や段ボール、発砲スチロールで作れるものばかりなので経費もあまりかからず、安価で出来ると思うので、皆さん宜しくお願いします!」

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