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部活選び

 ですよね♡

 それ私もそう思います♡


「はい。

 私もそう思って色々考えた結果、化学部かパソコン部辺りならどうかな?って思ったんですけど。

 時間や活動頻度についてはその部活の顧問の先生に聞いてみないと分からないので、休みが明けたら話を聞きに行ってみようかと思ってます」


「そっか。

 顧問の先生は誰か分かってる?」


「いえ…。

 でもどこで活動しているかは何となく想像が付くので、ちょこちょこ放課後辺りに様子を見に行って活動している時に部員の人にでも聞いてみようと思います」


「うん。

 もし俺が忘れてなかったら聞いといてあげるよ。

 化学部とパソコン部?」


「はい。

 ではすみませんが、もし覚えてましたら休み明けにでも教えて下さい」


「ん!

 分かった!

 部活動の活動内容とか頻度に関しては相瀬が直接聞きに行った方が良いと思うから、顧問の先生に相瀬が直接聞きに行ってな!

 俺は相瀬の普段の都合とかは分からないからさ」


「はい!

 顧問の先生を聞いておいて頂けるだけでも助かりますので、ありがとうございます!」


「ん!

 じゃそれは良いんだけど、お前の塾どっち?」


 あ"!!

 話に夢中になってすっかり忘れていた!

 本当に先生といると冷静さを失ってしまう。

 幸せ過ぎて。


「あっ!

 ここの道曲がって下さい!」


「了解」


 先生は前方、横などを確認しながら注意深く右にハンドルを切る。

 "白金塾"と大きく描かれた塾の看板が見えてきた。


「ここをもう少しだけ真っ直ぐです」


 私のナビに先生はゆっくりと徐行をしながら進んでくれる。

 塾の真ん前に来た所で


「ここです」


 そう言うと、先生はブレーキを踏んで車を停止させた。


「よし!

 じゃあ頑張って来いよ!」


「はい!

 ありがとうございました!」


 そう言ってシートベルトを外し、ドアを開ける。

 このまま降りずにずっと先生と居たいけど、そんな訳にもいかないので、名残惜しいが私は車を降りた。


「じゃあまた始業式の日にな!

 体調に気をつけて良い夏休みを過ごせよ!」


「はい!

 先生も!

 体調に気を付けてお仕事頑張って下さい!」


「ん!

 ありがとう!

 それじゃあな!」


「はい!」


 ひとしきりの別れの挨拶を済ませて私は車のドアを閉めた。

 車が発車し、走り出す。

 私は先生の車が見えなくなるまで見送った。


 その後いつもと変わらぬ塾と宿題に囲まれた夏休みを過ごし、夏休みは明けて行った。


 ―始業式―


「おはよう、ミッピ!」


 のどちんと久しぶりに再会する。


「おはよう、のどちん!

 元気だった?」


「うん、いつも通り元気だったよ!

 ミッピは?」


「うん、私も特に風邪を引く事もなく元気に過ごせたよ!」


 恒例の挨拶を交わす。

 そして恒例の始業式も終わり放課後、先生からお呼びがかかった。


「部活動の事だけどな、化学部は斉園(さいえん)先生で、パソコン部は院多(いんた)先生なんだけど、斉園先生と院多先生は知ってる?」


 過去Aでは中学生活3年間、ずっと帰宅部長を貫いたから、全く関わりの無かった先生に関しては知らないな。

 知るはずもない。


「いえ…。

 でも職員室に行ったらお会い出来ますよね?」


「うんまぁ…多分いると思うけど」


「では今日は始業式も終わったばかりでどの学年の先生もお忙しいと思うので、後に日を改めて職員室へ伺う事にします」


「うん。

 もしその時に俺が職員室にいたら、どの先生か教えてあげるから俺に声かけて!」


 本当に優しい♡

 ここまで聞いてくれたんだったら、もう充分なのに。


「わざわざありがとうございます。

 では休み明けテストが終わりましたらそのように致しますので、その時は宜しくお願い致します」


「ん!

 分かりました!

 よし!

 じゃあ気を付けて帰るんだぞ!

 草津もな!」


「はい」


 のどちんも返事をする。


「ではさようなら」


 ペコリとお辞儀をして私たちは帰った。


「ミッピ化学部とパソコン部に入るの?」


「うん、両方やるとは決めてないけどとりあえず話だけ聞きに行こうかな?と思ってさ」


「そうなの?

 どっちに入るとかまだ決めてないの?」


「うん、話を聞いてみてからにしようかなって…」


「そうなんだ〜。

 …で何で化学部とパソコン部なの?

 何か凄っごい地味だよね!」


 うん、それは否定しないよ。

 地味で良いの。

 寧ろ地味が良いの。


「うん、私が塾通ってるのはのどちんも知ってるしょ?」


「うん、知ってるけど」


「だからまずスポーツ部とかブラバン部みたいな毎日活動しなきゃいけないやつは無理なんだよね」


「あぁ!

 なるほど!

 確かにブラバンは毎日練習してるね。

 夕方とかよく音楽室の窓開いてて何か練習してる音聞こえるもんね!」


「でしょ?

 スポーツもそれ然りじゃん?

 毎日体育館なり校庭なりでトレーニングしてるじゃん?

 まぁそもそもスポーツ嫌いだから週に3回って言われても入りたくないけど…」


「ブッ…!!!

 アハハハハ!!!

 それ私もそうだわ!

 だから無所属なんだもん!」


 のどちんが失笑後に爆笑して言う。


「…でさ、美術部も演劇部も見る感じ毎日活動してるっぽいじゃん?

 帰りがけに美術室とか通りかかったら誰かかれかいるし」


「まぁまぁ、確かにそうだね」


「そしたらさ、そうやってどんどん消去法していくとあんまり活動頻度が高くない部活ってパソコン部と化学部くらいしか残らない訳よ。


 噂で週に1〜2回くらいの活動頻度だって聞いた事があるような、無いような…って感じだから、もしそうなら良いなぁと思って」


「…ってかそもそも忙しいなら部活入らなきゃ良いじゃん!」


「うん、まぁその方が私も楽なんだけどさ。

 高校受験の時とかに例えば面接とかある学校だったら、何か部活動はやってなかったのか、とか色々聞かれたりするって聞いた事があるんだよね。


 その時に3年間何かしらの部活動を続けて頑張りましたって言うアピールポイントがあった方が面接官に良い印象を与えやすいし、そうなれば合格する確率も少し上がるかもしれないって言う話もあるのさ…。


 だから続けられる範囲で何かやった方が良いかなって思ってさ。

 私生活に支障の無いものを選ばなきゃいけないから色々考えててさ」


「え!?

 そうなの!?

 部活とかそういうの受験に関係あるの!?」


 のどちんが驚愕の声を上げながら言う。


「もちろん直接は関係ないし、あくまでも当日の点数次第だとは思うんだけど…。


 でも面接で部活動を何かやっていたかを聞かれた時に、"3年間何もしてませんでした"って言う無気力な人よりも、"3年間何かしらの部活に入って意欲的に取り組んできました"って言う人間の方が好印象を与えられるって事よ」


「そうなの!?

 面接って何か分からないけど、そう言うのを聞かれるものだったんだ…」


 そっかぁ…。

 そうだよね、私たちはまだ中学生になったばかりのようなもの。


 受験や面接なんてまだ経験したことがないから知らないのも当然だよね。

 そう考えたら私のように大人が子供に戻って人生をやり直している事って相当強いアドバンテージなのかもしれない。


「うん、もし仮にのどちんが面接官だったとしてAさんとBさんが自分の学校に受けに来たとします。


 そして学校の合格のボーダーラインが150点だったとして、AさんもBさんも同じ150点だったとします。


 ですが人数制限の関係でどちらか一方しか合格にさせてあげられないとしたら、のどちんだったらどうする?


 片やAさんは部活動だけでなく委員会などにも積極的に参加をしてきた実績があって、片やBさんは何をするのでもなく、3年間無気力に過ごしてきましたって言う状況だったらAさんの方を選ぼうかな?って思わない?」


「確かに!!」


「でしょ!?

 ほんのちょっとした事だけれど、そのちょっとした事が合否を分ける可能性があるのなら、何でも良いから何か活動しておいたほうが得だと思わない?」


「確かにそうだね!」


「でしょ?

 だからもし良かったらのどちんも何か一緒に入らないかい?

 もちろん無理強いはしないけどさ」


「うん!

 それ良いねぇ!!

 何か一緒に入ろう!」


 のどちんも乗り気になったので


「じゃあテストが終わったら一緒に話聞きに行こう。

 今はまだ先生が忙しそうでバタバタしてるっぽいから、多分テストが終わったら落ち着くと思うからさ」


「へぇ〜!!

 ミッピってそんな事まで考えてんだぁ!?」


 吃驚した面持ちでそう言うのどちんに


「まぁ…一応気にしておかないと、バタバタしている時に行ったら苦い顔されそうじゃん?

 そうなったらこっちもあんまり良い気分にはなれないから、お互いに嫌な思いをしない為のケアだよね…」


「なるほどね!

 それより、ミッピって本当色んなことよく知ってるよね!?

 面接の話にしてもさ、ミッピは何処からそう言う情報を持ってくるの?」


 経験した事があるからとは言えないので、ここは姉の存在を上手く利用する事にしよう。


「うん、私に姉がいるって言うのは言った事あったっけ?」


「あ!

 そうなんだ!

 いや…今知ったわ!」


「んで、姉は高校受験を経験した事があるから、そう言う関係で話を少し聞いた事があったんだよね」


 こう言えば恐らく矛盾はない筈。


「へぇ〜、そうなんだぁ。

 良いなぁ、お姉ちゃん」


 あげるよ!

 タダで良いから持ってって!

 正直要らない。


「のどちんは兄弟は居ないのかい?」


「うん、うち一人っ子なの」


 多分ね、無い物ねだりだと思うよ。

 居たら居たで私のように要らないって思うんだろうね。


「そっか…」


 一通り話し終えたところで自宅の近くに到着したので、私たちは途中の道で別れた。


「じゃ、また明日!」


「うん!

 また!」


 互いに手を振って別れた。

 そして無事休み明けのテストが終わって


 ―数日後―


 帰りの合礼の後、のどちんに


「部活動の話を聞きに行こう」


 と声をかける。

 職員室前のベンチに荷物を置いてドアをノックし、一礼をして入室する。


「失礼致します」


 先生の席の方に視線を向けると先生は何か作業をしているようで、下を向いてワープロを打っている。


 うわぁ〜…。

 数十年ぶりに見たよ、そんなレトロな道具。

 こないだの夏休みの時は机に無かったし。


 まぁ今の時代ってパソコンの容量もせいぜい1GBあったら良い方だと思うくらいに小さいものだし、入ってるソフトもおそらく一次郎だろうから使い勝手はワープロと大差は無いのだろう。


 出だしだからと高い値段で売り出されているロースペックのパソコンを購入するくらいなら、少し型落ちした安いワープロでも買ったほうが今はお得なのかもしれない。

 そんなふうに1人納得しながら先生に声をかける。


「先生、部活動のお話を伺いに来たのですが、担当の斉園先生と院多先生はどちらにいらっしゃいますか?」


「おぉ!

 待ってたぞ、聞きに来るの。

 斉園先生は今コピー機の所にいるあの先生で、院多先生はあそこの窓際の席に座って作業してる先生」


 そう言いながら指をさして教えてくれる。

 この場合後ろ向いていて顔を確認する事ができないコピー機の先生の方から優先して聞きに行った方が良さそうだ。


 何故ならコピーが終わり次第動く可能性があるからだ。

 顔が確認できていないので、窓際の先生を優先してしまうと、説明を聞いている間にコピー機からいなくなっていたら、探す手間が増えるからである。


 窓際の先生は今現在、事務作業に没頭中の様子で暫く動く気配が見られないし、仮にどこかに移動したとしても席は覚えたのでまたお会いする事が可能だ。


 そういう理由で私はコピー機の前の先生に先に説明を聞きに行った。

 確かコピー機が斉園先生の方だったよね…。


「ありがとうございます」


 先生にそのお礼を言った後、コピー機の方へ移動し声をかける。


「すみません、斉園先生でいらっしゃいますか?」


 そう言うとコピー機をいじっていた手を止めて、その先生がこちらに振り返った。


「はい」


 自分の知らない生徒から話しかけられた事に吃驚の表情をし、こちらの名札等をジロリと見ながら言った。


「すみません、斉園先生は科学部の顧問の先生だと言うお話を聞きましたので、科学部についてお話をお聞きしたくお伺いさせていただきました」


 私がそう言うと


「あぁ、南先生の所の…。

 話は聞いてるよ。

 何を聞きたいの?」


 話が呑み込めた様子で緊張が無くなったのか、愛想笑いを向けて斉園先生はそう言った。


「化学部は何曜日に活動していますか?」


 私がそう聞くと


「えーっとねぇ…、水曜日と金曜日だったと思う」


「そうですか…」


 水曜日は大丈夫だけど、金曜日はなぁ…。

 私の考えながらの生返事に


「何か不都合があるのか?」


 ポケットに手を突っ込みながら斉園先生は言う。


「えぇ…。

 水曜日は良いんですが、金曜日は他の習い事がありまして…」

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