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ショッピング

 だがこんな目立つシミがついた布団など、親戚か誰かが泊まりに来た時などに恥ずかしくて出せなかった…と言うところであろう。


 "勿体ない"でも"使わない"


 恐らくこれを寄越した人の家は、昔の人ならあるあるな、布団だけ何故か無駄に沢山ある家だったのかもしれない。


 きっとこの布団が無くても、そう滅多に来やしないお客様の為の客用布団のスペアが沢山あったはず。

 ならば尚更の事、この汚くなった布団は不要だったと言うわけだ。


 年末の大掃除の時などに押入れの整理をしようものならば、こう言った不要な布団の処分には毎年頭を悩ませる物があるであろう。


 まだ使えるのに捨てるのは勿体ないし、この布団を使う機会もそうある訳でもない。

 せいぜい多くても2セット有れば恐らく充分だ。


 仮に捨てるとしても重すぎてゴミ捨て場に捨てに行くのも一苦労だ。

 こんな時誰か身内が布団を欲しがってくれたら丁度良いのに…などと思う所であろう。


 誰かが適当に持って行ってくれるのなら、誰かが使う訳だから有効活用してもらえる訳だし、捨てずに済んで良心が痛む事も無い。


 更に重たい物を自分で処理しなくて済むのだ。

 客用として使えないような要らない布団をそうやって処分出来たのなら一石二鳥の事であろう。


 そこへ孫が生まれたり何だりと体の良い押し付け役が親族にいた…。

 …と考えたとしたらこの布団の元々の持ち主は母方か父方の方か、どちらかは分からないが婆さんである可能性が高い。


 だがまぁこれはあくまでも私の妄想と憶測にしか過ぎない。

 毒達にとっては


 "え"〜、こんな汚い布団なんか使いたくないから要らないよ"


 と内心思いつつも


 "沢山あるから持ってって頂戴、買ったら勿体ないんだから。

 この布団に孫でも寝せれば良いんでしょ"


 などと丸め込まれ、断るに断れず


 "まぁ子供なんて良い布団に寝てもどうせ漏らしたり何だりと汚すんだから丁度良いわ"


 と言うノリで貰ってきたりしたのだろうな。

 そしてそれが権力の1番弱い私に回ってきたと言うエピソードを脳内で作り上げてぼんやりする私。


 途中で我に返ってどちらにしてもせめて掛け布団のカバーくらいはお安ければと言う感じで視野に入れておくことにしよう、と本題に戻った。


 …とそれよりも、ぼんやりしていたらもうこんな時間!!

 時計は夕方の4時を指していた。

 汚い布団の下らない由来なんて想像している場合ではない。


 私は財布と鞄を持って外出の準備をした。

 オールインワンへ行くのだ。

 オールインワンなら種類は少ないかもしれないが、一応寝具も置いているはずだ。


 善は急げだ。

 パパッと行ってササッと帰って来よう。

 早速私はオールインワンへ向かった。


 2階の寝具のコーナーを見に行く。

 棚に陳列されている商品を見る。

 どうやらピローケース、シーツ、カバーの3点セットのようだ。


 気になるお値段は…と商品を手に取って値札を見る。

 3980円!!!

 高っ!!!

 約4000円!?


 こんな高い物とてもじゃないが買えんわ!!

 無理無理。

 布団カバーだけで良い。

 だからお願いだからお安くして下さい。


 心の中でそう願いながら他の棚を見て探す。

 あっ!

 これなんか黒っぽい色でシンプルな感じでいいな。

 そう思って手に取って見てみるも、カバーだけで1980円とは…。


 カバーってそんなに高かったっけ!?

 私が転生する前に使ってた布団カバーなんて3点セットで1980円くらいだった気がしたんだけど…。


 やはりデフレスパイラル真っ只中の時代の値段と比べてはいけませんかね…?

 …こんなに違うんだ…。

 今の時代なんてもう高度成長期なんてとっくに終わってるはずなのに…。


 ゔ…ゔ〜む。

 布団カバーを買うのは()そうか…。

 そう思って次はコロコロローラーを探しに行こうかと寝具コーナーを出ようと歩き出したところ、コーナーの隅のほうに小さいワゴンがあるのを発見した。


 もしかしたら何か安いかもしれないので、とりあえずワゴンの方を見に行ってみることにした。

 こちらにも布団カバーやピローケースなどが置いてあるようだ。

 まずはお値段次第なので適当な物を手に取って値段を見る。


 780円!?

 え!?

 本当に!??


 これ布団カバーだよね?

 心の中でそう思いながらパッケージの表示を確認する。

 "布団カバー"ときちんと書かれているのを確認した後、サイズの方もチェックする。


 セミダブルやダブルでこの値段は有り得ないだろうから、恐らくシングルと考えて大丈夫だろうなどと思いつつも念の為に確認をする。


 思った通りサイズはシングルだった。

 万歳!

 デザインはどれも売れ残る理由が分かるなと思ってしまうような模様だった。


 ザッと見た感じ在庫が多いのは、年配向けといったような今時古臭い隙間なくガチャガチャと花模様が埋め尽くされている感じのデザインの物だった。


 何ともうるさい模様である。

 どこの派手好きのBBAが買うんだよ!?とついついツッコミたくなってしまう様なデザインだった。


 こう言った大量に売れ残っている在庫を目にする度にいつも思う事は、何故売れ残るのが分かりきっているようなデザインのものを作るのか、私はいつもそこに疑問を感じる。


 いっそ無駄に変な模様を入れるくらいならば無地の方がよっぽど売れそうなものなのに。

 少なくとも私だったらこの微妙なデザインの物と無地の物が同じ値段で店で売られていたとしたら、迷わず無地のシンプルな物の方に即決するであろう。


 色合いも何もかもが私の好みでない。

 そして模様をよく見てみると、折角薔薇の花の模様になっているのに色が全体的にブラウンになっている。


 勿論ブラウン自体は良い色だと思うのだけれど、茶色い薔薇の花って…それを綺麗だと思う人が世の中にどのくらい存在するだろうか?


 全体的な色合いを茶色にするのなら、模様をわざわざ薔薇にする理由があるのだろうか…?

 華やかな色合いにしないのなら薔薇模様にする意味がないような…。


 …というか何と言うか、薔薇の花が綺麗に見えないんだよね…。

 と言う個人的な見解を心中で述べる私。


 模様を薔薇の花にするんだったらせめてもう少し明るい色合いにすれば良かったのに。


 薔薇だからと言って色を真っ赤にする必要は無いが、せめてもう少し薄ピンク色とか薄い黄色の様な優しめの色合いにするとか、もう少し工夫があっても良かったのでは?と思う。


 それかもしくはどうしても茶色を推したいのなら、模様なんか最初から入れないでいっそ生地自体をブラウン一色にするとかだったらシックな感じで売れただろうに…。


 心の中で文句の限りをボヤく私。

 う〜ん…確かに安い事は安いのだが、もう少しシンプルなデザインの物は無いのだろうか…?


 そんな風に考えながらワゴンの中を漁るように見る。

 どれも同じ模様ばかりが残っている中、1つだけ薄い水色で模様も派手でなく、優しめのデザインの物が残っていたのを見つけた。


 これもどちらかと言うと年配向けのような花模様のデザインだったが、ガチャガチャと隙間なく模様が描かれているものよりは断然マシであった。


 お値段は先程のものよりも200円お高いようだ。

 なるほど。

 だから残っていたのね。


 だがそれでもこのデザインより200円も安いのに、沢山在庫が余っている物だって存在している事を考えると、皆んな私と同じように200円だったら妥協して出してもこちらの方買おうと思ったのかもしれない。


 だからこちらの方は在庫が残り1つだったのだろうと考えると妥当なところだろう。

 私は980円の方を買う事にした。

 素敵なデザインとは言えないものだが、せめてこれで少し小綺麗には見えるであろう。


 会計を済ませた後、私はコロコロローラーを探しに生活用品コーナーへ向かった。

 コロコロローラーは特に種類は無く、本体は1種類しか置かれていない。


 それに比べて取り替えのローラーは2〜3種類あると言う感じだった。

 今回は本体自体を買いに来たので本体の方の値段を見ると…450円!?

 高くない!?


 未来で100円ショップで売られているのを見かけた事があるだけに、凄く高く感じる。


 えぇ〜…。

 じゃあ替えのローラーはいくらさ?

 心の中で誰にと言うわけでもない質問をしながら替えのローラーの値段をチェックする。


 3本入って398円かぁ…。

 結構いいお値段しますねぇ。

 まぁどちらにしても本体がないのに替えを買っても仕方がないので、私は渋々450円のローラーを買うことにした。


 とりあえず今回は本体に付属されているロールがあるので替えを買うのはまた今度にしよう。

 会計を済ませながら私は心の中で深〜い溜め息を吐いた。


 今回はお小遣いを貰うなりいきなり出費が(かさ)んだな…。

 悲しい…。

 今月はもう何も買うまい。


 そう思いながらエスカレーターで1階に降り、入り口の方へ向かう。

 だがその途中でファッション系のお店の入り口の所の衣装掛けにデカデカと"500円!!!"と書かれたプライスが付けられているのが目に留まった。


 500円か…。

 もう何も買うまいと思っていたばかりなのに、ついつい激安価格のプライスにつられて私はお店の前で足を止めてしまった。


 とりあえずちょっと見るだけ…。

 そう自分に言い訳をしながら私は掛けられている服を手に取って見る。


 これが500円!?

 本当に!?

 先程の寝具コーナーの時とは大違いで、こちらは何故売れ残ったの!?と思うような至って普通のデザインの服であった。


 いや、むしろシンプルで可愛い!!

 私が気に入ったのは両胸のところにフラップポケットが付いているだけの、シンプルなデザインのカーキ色の長袖のブラウスだった。


 他には色違いで薄いピンクの物と白いブラウスだけで、黒などの無難な色の物は置かれていなかった。

 まぁ考えずとも無難な物は直ぐに売れるよね。

 残ってる訳が無い。


 それにしてもこのカーキ色のシャツだって、むしろ何故残っていたのだろうか?と思うほど凄く無難だと思うのだが、まさかこれだけ値段が違うとか!?


 一瞬不安になってシャツの値札を見直す。

 "1980円"と書いていた値札に赤いペンで横線が引いてあり、その下に"値下げ価格!!500円"と書かれたシールが貼られている。


 どうやらお値段は500円で間違いなさそうだ。

 そんな風にブラウスを眺めていると、突然横から


「それもう残り1品限りなんですよぉ〜」


 と店員が話しかけてきたので吃驚し、思わずビクッとなってしまった。


「あははは…。

 ビックリしちゃいましたか?

 すいませ〜ん。

 あははは…」


 如何にも頭が軽そうな金髪の女性店員が愛想笑いを浮かべながら言う。

 …なんだか苦手だな、こういうの。


 向こうも仕事だから仕方ないんだろうけどさ。

 あんまりこうやって店員にペッタリくっ付かれると、落ち着いてゆっくり見られないから嫌なんだよね。

 そう思いながら適当に会釈で返す私。


「そのシリーズのぉそのカーキの奴はぁもうそのSサイズの奴しか残って無くてぇ〜。

 MサイズのとぉLサイズの奴はぁもぉ全部売れちゃって無いんですよぉ〜。

 良かったらぁ〜試着室とかもあるんでぇ〜試着とかしてみても大丈夫ですよぉ〜」


 如何にも頭が軽そうな喋りで話し続ける店員。

 あまりこう言った馴れ馴れしいノリの人は苦手なので、無駄に喋らずさっさと試着だけさせてもらおう。


「じゃあ試着だけ…」


「あははは…着てみますかぁ?

 じゃあこちらにどーぞ〜」


 試着室に向かって歩き出す店員に付いて行き、試着室へ入る。

 この時代はまだ上着の試着もさせてくれる良い時代だったんだな。


 あと数年もしたら大抵のお店が上着の試着を禁止するようになってしまうのだから、更に服を買い辛い時代になるんだよな。


 客側の意見としては、もしかしたら着れないかもしれないサイズの服を試着もせずに買う事はリスクが高いので買い辛い。


 だけど一方お店側の視点からすると、試着で商品に口紅やファンデーションなどを付けられてしまってそれが原因で売れなくなってしまうと言う大きな問題もあるのだ。


 フェイスカバーを使用していても、着用する時にそのカバーがずれて商品に何らかの物が付着してしまう問題は、未来Aの世界でもまだ逃れられない問題としてあった。


 どちらにもWin-Winになれる方法があれば良いのだが。

 どちらの意見もごもっともなだけに凄く難しい問題である。


 試着室にて着ていた服を脱いで、ブラウスを試着する。

 サイズはぴったりだった。

 こんな時自分がチビで良かったなと思う時もある。


 だけど大抵は私の着たいなと思う服は、サイズがMサイズかLサイズしか売られていない事の方が多いので、やはりもう少し身長が欲しいなと思う事の方が多い。

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