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焼きマシュマロ

「おはようございます!

 今日は炊事遠足です。

 今日はこの後クラスごとにバスに乗ります。

 バスが7台あるので違うクラスのバスに乗らない様に!

 ちゃんと自分の乗るバスを確認してから乗って下さい。

 バスのフロントガラスの上側の方に"緑の森中学校1年B組様"って書いてあるそうなので、1年B組様って書いてあるバスに乗って下さい。

 まぁクラスの面子が違うから仮に間違っても直ぐ気付くと思うんだけどさ、一応な。

 よし!

 先生の方からは以上です!

 ここまでで何か質問はあるか?

 分かんない事があったら今のうちに聞いてくれ」


「先生、荷物はバスの中に持って行くんですか?」


 誰かが良い質問をしている。


「うん、修学旅行とかじゃないから荷物そんなに多くないと思うからバスの座席の上にある荷物置き場を利用して下さい」


「分かりました」


「あと他に何か質問あるか?」


「…」


 シーンとしている。

 全員特に問題はないようだ。


「よし、チャイムが鳴ったら皆んな速やかに移動して下さい」


 先生の説明は以上のようだ。

 誰も話さず教室が静まり返っている。

 先生は腕時計を見ながらソワソワしている。

 まぁ待っているだけの時間ほど、つまらなくて退屈な瞬間は無いよね。

 密かに私はそう同意した。


 待つ事1〜2分ほど後にチャイムが鳴り出し、私はのどちんと一緒に玄関へ向かった。

 バスのフロントガラスの貼り紙を確認し、バスに乗り込む。


 席は自由席で良いそうなので、のどちんの隣に座る。

 全員が乗り込みバスが動き出した頃、先生の方から現地でのマナーやお約束事等の説明を聞く。


 その後現地に着くまでの間は自由に近くの席の人たちと話をしていて良いと言う事だったので、のどちんと世間話をしながら過ごした。


 推定数十分後に現地に到着した。

 バスを降りた後、まずは指示に従って背の順で並ぶ。


 そしてクラスごとにそれぞれの担任の先生の指示に従って順番に公園内へと移動する。

 そして公園内でのマナーや禁止事項等の説明を再度受けた後、各班に分かれて火起こしの準備を始める。


 私も手伝って自宅から持って来たチラシや新聞紙で、火を起こしやすいようにネジリを作る。

 火起こしをするにはまずはこれである。

 今回は焚き付けが無いのだからこのネジリが無いと話にならない。


「相瀬さんありがとう〜!」


 湯川さんが言う。


「いえいえ、沢山作ってるから皆んな遠慮なく使ってね!」


「これ何?

 使って良いやつ?」


 男子がネジリの存在に気付いた。


「うん、良かったら火起こしに使って!

 まだ一杯あるからとりあえずここにある奴全部持ってって良いよ!」


 そう言って男子にネジリを渡した。


「あ、マジで?

 ありがとう。

 貰ってくわ!」


「いえいえ。

 じゃ、頑張って!」


「あのさぁ焚き付けとか持って来てないよね?

 他の班は焚き付けとかも買ってるらしいんだけど…」


「ん?

 焚き付け無くてもそのネジリがあったら火起こし出来るよ。

 そのためにネジリ作ってるんだから」


「マジ!?

 焚付け要らないの!?

 火起こしやり方分かる!?」


「うん、多少は」


 オバちゃんは人生を何回もやり直しているから人生の経験値はあるからね。


「あ、じゃあちょっと来て!

 どうやってやるのかちょっとやってみて!」


 そう言われて火起こし場に行くと、やり方が分からないのか一生懸命着火マンで直接炭に火を点けようとしている無謀な男子を見かけた。


「相瀬が火起こしのやり方分かるって!

 ちょっとやってもらうべ!」


「あぁ、そうなんだ。

 じゃあ宜しく」


 そう言って男子が手を止めてその場を少しよける。

 私は一旦火挟みで炭を退かしてから先程のネジリを並べて積み上げる。


 そしてそれらを囲うように炭を置き、積み上げる。

 そして炭と炭の間のわずかな隙間から着火マンの点火口を差し入れて、ネジリに火を点ける。

 後は火が炭に燃え移るのを待つだけだ。


「後は待つだけ。

 置いてある炭が赤白っぽい色になったら、積んである炭を火挟みで満遍なく(なら)すだけ」


「OK!」


 待つ事数分後、ジワジワと炭に火が燃え移り炭の端の方から段々と赤白く変化して来た。

 良い頃合いになって来たので火挟で炭を平す。

 炭が順調に燃えてパチパチという音が聞こえて来た。

 もう大丈夫であろう。


「もう良い感じになって来たから鉄板を置いても大丈夫よ」


「おぉ!

 ありがとう!」


 男子はそう言って早速鉄板を置いた。


「おっ!?

 こっちの班はもう火起こし出来たのか!

 早いな!」


 先生が8ミリビデオを片手に話しかけて来た。


「はい!

 思った以上に順調に行って良かったです」


「ん!

 この班はもう心配ないな!

 じゃ俺は他の班の方も見て回ってくるから引き続き頑張って!」


 もう行ってしまうんですか…。

 非常に残念です。

 でもまた後でお昼のおかずを貰いにでも来て下さいね♡


「はい」


 先生が他の班へ移動するのと入れ替わる様に、のどちんが空き缶を持ってこちらへやって来た。


「ミッピ米研ぎもう終わった?」


「ううん。

 全然まだ。

 のどちんもこれから行くの?」


「うん。

 ミッピもまだなら一緒に行こうと思って」


「うん。

 じゃあ一緒に行こう!」


 のどちんとそう話していると


「そういえば俺らもまだ米やってねぇな」


「でも俺らも行ったらここ無人になんねぇ?」


「あぁ…」


 との男子勢の会話が聞こえてくる。


「あ、じゃあ私たちが行って戻って来た後に私が火の番代わるからその時に行ってきたら?」


 そう言うと


「あぁ…」


 今すぐ行きたいのか微妙な生返事が返ってくる。

 そこへ湯川さんと道後さんが現れて


「皆んなで集まって何やってんの?」


 と話に参加する。


「米研ぎ行こうと思ってたんだけど、皆んなで一斉に行っちゃったら火の番が居なくなっちゃうねって言う話をしてたんだよね。

 湯川さんたちは米研ぎはもう済んだかい?」


「うん。

 私たちは今戻って来て何かやる事無いかなぁと思って見に来た所だったから。

 丁度良いから火の番私たちが代わるよ」


 流石!

 仕事が早いな!


「うん。

 そしたら頼んで良いかい?」


「うん。

 行って来なー」


 湯川さんたちが代わってくれる事になったので


「じゃ俺らも行ってくるわ!」


 男子勢の方も火起こし場から離れそれぞれの荷物の方へ。


「じゃのどちん、私たちも行こう!

 なんか待たせちゃってごめんね」


「ううん。

 良いよ良いよ」


 私も一度自分の荷物の方へ戻り、米が入った缶を持って水場へ行く。

 水場は人が溢れていた。

 それもそうだろう。


 7クラスの全生徒が皆んな同じ水場を使うのだから至極当然の事である。

 私たちは列の最後尾に並ぶ。

 待っている間のどちんが


「ミッピ、米どのぐらい持って来た?」


「半合分くらいかな?」


「なんかさ、何グラム持って来いとかプリントとかに何も書いてなかったから凄く分かり辛くなかった!?」


「あぁ!

 分かる!

 凄く分かり辛いよね!」


 私も激しく同意する。


「もうちょっとさぁ何グラムとか書いて欲しいよね!」


「うんうん。

 因みにのどちんはお米どのくらい持って来たんだい?」


「あぁ私?

 何か分かんないから適当に100g計って持って来たよ」


 なるほど。

 推定普通のご飯茶碗で1膳半くらいの量かな…?

 まずまず丁度良いくらいの量だと思うよ。

 そう話している間に順番が回って来たので、私たちは米を洗った。


「ねぇ水どのぐらい入れればいいと思う?」


 流石にそこまでは分からないけど、缶の上まで並々と注いでしまうと多い様な気がするので、大体缶の7分目辺りにしておく。


 大凡米一合あたりで水が200ml辺りが目安だと言う情報を昔ネットの情報で見た事がある。

 勿論米の硬さに好きずきがあるので、あくまでも目安でしかないが。


 そして大体それを参考にして考えると半合で大体100ml辺りが丁度良い所であろう。

 だがしかし、ここで問題が一つある。

 ここには計量カップは無い。


 だから100mlとは言ってもそれがどの程度の水量なのかは分かり兼ねる所だ。

 よって大凡100mlを想像して入れるしかないのだ。

 そして何となく100mlと言う量の水をイメージしてみた結果、恐らく7分目辺りが100mlに近い量なのではと言う結論に至ったのである。


 勿論大凡なのでこれが正しいかどうかは分からない。

 だが仮に米が硬めに出来上がったとしても、水っぽいお粥のようになってしまったとしても全て自己責任なので、これで良しとする事にしよう。


 私はのどちんに


「私もよく分からないけど、大体缶の7分目くらいにしておいた」


 そう言いながら缶の中身を見せた。


「ね!

 分かんないよね!

 でも私もそのぐらいにしておこうかな?

 なんかそのぐらいが丁度良さそうだよね」


 そう言ってのどちんも缶の7分目まで水を注ぐ。

 これで一応米の処理は終わったので、私たちは火起こし場の方へ戻った。


 何やら先生が指示を出しながら各班を回っている模様。

 私は先生のいる場所に近づきながら話を聞きに行った。


「米を洗い終わった人は先生たちの方で用意した場所があるのでそこに米を置いてください。

 今から油性ペンを各クラスに1本ずつ回すので、缶に自分の名前をしっかり書いて下さい。

 自分たちの所に置かなくていいから、そこを利用して下さい。

 あと火起こしが出来ている班は、もう焼きそばなり何なり作り始めていいからな!」


 との事だった。


「だってさ!」


 と私はのどちんの方を見る。


「私たちも名前書かなきゃね。

 今油性ペン誰が持ってるのかな?」


 私は周りを見回す。

 砂糖に集まる蟻の様に油性ペンに集まって軽く人集りが出来ている所を発見した。

 恐らくあの集まりの中の誰かが持っているのだろう。


「なんか人が集まってるから多分あそこじゃない?」


 そう言って指をさす。


「うん、私たちも行こう」


 私たちも群れに混ざり順番を待つ。

 そして分かり易いように名前を大きめに書く。

 その後先生たちが用意してくれたと言う場所に缶を置いた。


 一作業が終わったので私たちはそれぞれの班に戻った。

 火起こし場に戻ると


「相瀬さんマシュマロ焼いてみようと思うんだけど、焼き方って普通に焼いていいの?」


 と湯川さんと道後さん。

 先日凄く嫌な顔をしていた2人が焼きマシュマロへの抵抗はもう無くなったのか、ノリノリな様子で楽しそうに聞いて来た。


「うん。

 普通に割り箸に刺して火で炙れば良いだけ」


「あ!

 鉄板に並べて焼くんじゃないんだ!?」


「うん、割り箸に刺したほうが多分いいと思う。

 鉄板だと多分溶けてくっついちゃうんじゃないかな?」


「え?

 そうなの?」


「うん、多分だよ。

 ごめんね。

 私は割り箸に刺す方のやり方しかやったことないからさ。

 鉄板で綺麗に焼けるかどうかまではちょっと分かんないんだ」


「あぁそうなんだ」


「予備の割り箸ある?

 何本か持って来たから無いならあげるよ?」


「あ、本当?

 うちご飯食べる分しか持ってきてないから貰おうかな?」


「うん。

 はいどうぞ」


 私は自分の荷物の所からポリ袋を取り出し、中の割り箸を1本を取り出して道後さんに渡した。


「湯川さんもいる?」


 そう言って割り箸を差し出すも


「いや、私は自分で予備用意して持って来てるから良いよ。

 ありがとう」


 との事。

 流石!

 用意がいいね!


「じゃあ早速マシュマロ焼くか!」


 そう言って私たちは火の場に移動し、割り箸に刺したマシュマロを焼き始めた。

 上に乗っている鉄板が邪魔なので、少し焼肉を始めたらしき形跡のある鉄板を少し退かし、マシュマロを炭に近づける。


「あぁー!!

 何かもうマシュマロ焼いてる!!!

 俺らにも頂戴!」


 先日から楽しみにしていた雰囲気の男子勢が騒ぎ出す。

 道後さんが


「はいどうぞ」


 そう言ってマシュマロの袋を男子に渡す。


「あれ割り箸は!?

 誰か割り箸頂戴!

 誰か持ってないの!?」


 あぁ。

 まぁ予想はしていたけど予備は持ってきてないんだね。


「その割り箸誰の?

 皆んな自分で持ってきたの?」


 と男子が。

 仕方ない。

 まだ予備があるから男子たちにもあげましょう。


「少ないけど私予備持って来てるからあげるよ」


 そう言って私は一度荷物置き場の方に戻って割り箸を取り出す。


「あとの2人にも1本ずつあげて。

 割り箸はもうこれしか持ってきてないから、これで最後だから箸無い人はそれを再利用してね」


 私はそう注意喚起をしながら割り箸を3膳渡す。


「うすっ!」


 男子はそう言いながら割り箸を受け取った後、火起こし場に戻って行った。

 私も戻って引き続きマシュマロを焼く。

 マシュマロに茶色い焼き色が付いて来たので


「そろそろ良いと思う。

 食べてみよう!」


 湯川さん達に声をかけてみる。


「あぁこのぐらいになれば良いんだ?

 じゃあちょっと食べてみよう!」


「熱いから気をつけて」


 そう言いながら私たちは焼きマシュマロをふぅふぅと冷ましながら端の方を嚙ってみる。

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