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オールインワン

 皆んなカッコよくてお金持ちのオジさんを選ぶに決まってるよ。

 と言うかさっきの話では"禿げてて口も臭い"とかそこまで言ってなかったよね?


 まぁ仮に禿げてて口も臭くって加齢臭もしてて…って言う条件が更にプラスされていたとしても、私は顔だけ男よりはお金の方を選ぶけどね。


「良いしょ〜。

 お金があるんだったら。

 一生困らないと思うよ?」


「うわぁ〜、ミッピって何か汚れてるぅ」


 良いさ、汚れてても。

 もうね、ババァは世知辛い世の中を散々生きてきたからすっかり心が汚れてしまったんだよ!


 何にしろのどちんはやっぱり若いんだなって事は伝わった。

 もしも仮にあと20年経った時にも、まだのどちんの意見が変わっていなかったら、その時は本気で尊敬するかもしれない。


 ―学力テスト―


 入学してまだ間もないと言うのに、学校では早々と学力テストが行われたのであった。

 学校の授業もまだそんなに進んではいないので、テストの内容もまだ難しい内容のものでは無かった。


 だけどこんな内容でも成績表に大いに関係してくる物なので、手は抜けない。

 どの教科も満点取るくらいの気持ちで臨まねば!!


 どの教科も空欄を作らず全部埋めた。

 問題用紙は解答用紙と同じように"不正を防ぐため"等の理由にて回収されてしまうので、家で自己採点ができないのが残念である。

 だが仕方がないのでテストが帰ってくるまで待つことにした。


 ―数日後―


 学力テストが帰ってきた。

 ずっと勉強を頑張って来たから内心多少の自信はあったとは言え、自分でも吃驚してしまう程の結果となって帰って来たのであった。


 まずは国語。

 ちょっとしたニュアンスの違いにて三角が付いてしまい、惜しくも満点を逃したが57点であった。


 う〜ん…満点取る自信あったんだけど、なかなか満点取るのって難しいね。

 因みに学力テストは60点満点で計算されるテストである。


 そして次に社会科。

 60点であった。

 人生で初めて小学校以外のテストで満点を叩き出せた記念すべき結果だと思ったのも束の間。

 驚いた事に残りの3教科も満点の60点を叩き出せたのであった。


 どの教科の授業でも"トップは相瀬、60点!"と言われる度、目立ってしまう気不味さと内心嬉しく思っている感情が心の中に同居していて複雑な気分であった。


 だけど南先生に褒められた時だけは嬉しさも格別であった。


「お前…凄ぇな…。

 他の教科の先生も皆んなお前の事褒めてたぞ!」


 凄く嬉しそうに先生が言う。


「ありがとうございます」


 私も満面の笑みでそう返した。

 他の先生に褒められるよりも何よりも先生が一言"頑張ったな!"って言ってくれるだけで私は天にも昇る気持ちだし、これからも滅茶苦茶頑張れます!!!


 先生私を褒めてくれるその言葉が何よりの私へのご褒美なんですよ!

 人生やり直してから初の学力テストは想像以上の結果にて幕を閉じたのであった。


 私がと言うよりは日々対策問題やら何やらの対策をしてくれた白金塾が凄いだけだと思う反面、ずっと頑張ってきて良かったなと、今までの自分のしてきた努力に対して達成感を得られた気持ちもあったのであった。


 学力テストが終わって落ち着いた頃、クラスで席替えがあった。

 席の決め方は恒例のくじ引きだ。

 まぁこの歳になると席なんて別にどこでも良いんだけどね。


 私の席は後ろの方で、前の席はBの世界でお馴染み…と言う程ではないが、言い争ったことのある道後さんだった。

 とは言っても今世では話したこともないから別にどうと言う事も無いのだが。


「はい!

 じゃあまだ少し時間があるので、ここからここまでの6人で班を作ってそれぞれ机をくっつけて下さい。

 炊事遠足について各班で話し合いをしてもらいます」


 そう言いながら先生は指で範囲を指定する。

 私たちは先生の指示通りに自分の席の近辺の5人と集まり、机をくっつけて話し合いの体制を取る。

 偶然にも道後さんと同じ班になった。


 もう1人の女子はまだ名前も知らない女子だ。

 メンバーの内訳は各班男女3名ずつの6人1組の班となっている。


 6人が向かい合いながら、互いに誰かが喋り出すのを待っているような空気が流れた。


「皆んな、集まったら各班で班長1人決めて下さい。

 話し合いでもジャンケンでもくじ引きでも、決め方は何でもいいです!」


 との先生の指示があったので私たちは班長決めを始めた。


「班長誰やる?」


 話し始めたのはまだ名前も知らない女子。

 同じ班になった事だし、お互いに名前くらいは知っていないとこの先不便になるな。

 そう思って相手の名札を見る。

 湯川さんて言うのか、覚えておくことにしよう。


「誰かやりたい人いる?」


 道後さんも話に参加する。

 お互いに目を見合わせながら、皆シーンと静まり返っている。

 どうやら誰も立候補する気はないらしい。


「どうする?

 ジャンケンで決める?」


 私も少し話に参加しなくては。

 そう思って私はジャンケンを提案。


「面倒臭いからシンプルにジャンケンで負けた奴にしよう!」


 と男子勢も話に参加し始める。

 皆が話に参加していて良い感じだ。


「うちもジャンケンでいいよ!」


 と道後さん。


「私もそれで良いよ」


 と私も言う。


「うん、私もそれで良い」


 と湯川さん。


「俺もいいよ」


 と男子勢も。

 皆の意見が一致したので、私たちはじゃんけんを始めた。


「最初はグー!!

 じゃんけんしょっ!!!

 しょっ!!!

 ほっ!!!」


 と数回あいこが続いた後、班長は湯川さんに決定した。


「じゃあ湯川さん、早速仕切りをお願いします」


 私がそう言うと


「はーい。

 じゃあまず何を作るか決めよう?」


 と湯川さんが早速話を進める。


「これ作りたいっていうのがある人ー!

 一応言っとくけど、炊事遠足で作れるものにしてね!」


 と湯川さん。

 ごもっとも。

 あんまり大それてズレた事を言う人は稀にしかいないだろうけど"炭火でお菓子作りをしたい"とか言われたら凄く困るよね。


 まぁ…ホットケーキぐらいなら作れるだろうけどさ。

 でも炭火の香りが付いたホットケーキってちょっと微妙じゃない…?


「焼いて作れるものだったら何でもいいの?」


 と男子。


「うん、炭火で焼いて作れるものにしてね!」


 湯川さんが念を押すように言う。


「じゃあ俺焼肉ー!!」


「あ!

 それ良いな!

 俺も焼肉が良い!」


 そう言った後、男子3人がもう焼肉に決まったかのように焼肉の気分になって盛り上がり出す。


「普通に肉買ってきて焼けばいいだけだもんな!

 作るのも簡単だしめっちゃ良くね?」


「な!

 俺もそう思う!

 網とかキャンプ用の鉄板みたいなのを買って、味付きの肉も買えばもう完璧じゃね?」


 うん問題ないと思うよ。

 私は焼肉でも焼きそばでも何でも良いから皆んなが良ければいいよ。


 男子の意見を聞いて湯川さんは


「私も焼肉で良いけどお二方はどう?」


「うん、私も焼肉で良いよ!」


「うん、うちも良いよ!」


 と皆んなの意見が順調に決まったので、私たちの班は焼肉を作ることになった。


「どうする?

 肉だけだとなんか寂しいから、何か野菜も買うしょ?」


 私がそう言うと湯川さんは


「うん、そうだね。

 なんか適当で良いと思うんだけどさぁ。

 ピーマンとか玉ねぎとか持っていけばいいんじゃない?」


 と湯川さん。


「ごめん、うちピーマン嫌いだから買う分にはいいんだけど、当日うちピーマン食べなくていい?」


 と道後さん。


「あ、私はピーマン別に無くてもいい人だけど、ピーマン食べたいって人がいるんだったら買ってもいいと思うしどっちでもいいよ?」


 と私は言っておいた。


「私も別になくてもいいけど男子はどう?

 ピーマン食べたい?」


 と湯川さんが男子勢に聞く。


「…いや…別に…。

 だったら他の野菜とかでも良いんじゃね?」


「あ、じゃあピーマンやめてもやしとかにする?

 道後さんもやしは大丈夫?」


「あ、もやしなら全然良い!

 皆んななんかごめん。

 ありがとう」


 と言う事で"玉ねぎともやしと肉"とメモ用紙に湯川さんは書いている。


「ねぇ材料ってどうすんの?

 自分で用意するの?」


 と道後さんがごもっともな疑問を口にする。

 私の過去の記憶では各班で各自用意だった記憶がある。

 だが説明する根拠として"転生前の過去ではそうだったから"とは言えないので、ここはいっそ先生に説明してもらうのが1番である。

 そう思って私は挙手をして


「先生材料って各班で用意するんですか?」


 と聞いた。


「うん!

 学校の方で用意できるのは炭だけだから、材料とか網とか鉄板とかの各自使うものは各班で用意して下さい」


 と言う先生の返答に


「えー。

 何で食べ物とかも学校で用意してくれないんですか?」


 と不満気にどこかの班の男子が聞いている。


「ごめんな。

 学校で用意してあげたい所なんだけどさ、全クラス分の炭だけでも結構経費がかかってるんだ。

 皆んなの分の食べ物まで用意できるだけの経費がないから、そこは理解して下さい」


 との事。

 まぁそうだろうな。

 学校の行事は何も炊事遠足だけではない。

 予算で決められた金額の中から他の行事へも上手く割り振っていかなくてはならない。


 年間通して全ての行事に使われている金額は意外と吃驚するほど高額だったりするのが現実だろう。

 お金は有限だから仕方がないのだ。

 理解しましょう。


「買い物いつ行く?

 食べ物だからなるべく当日近い方がいいしょ?」


 湯川さんにそう聞いてみる。


「うん、だね。

 じゃあ明後日に学校が終わったら各自1回家に帰って、学校からちょっと歩いた所にあるオールインワンで5時くらいに皆んなで待ち合わせしようと思うんだけどどう?

 皆んなオールインワン分かるよね?」


 湯川さんの提案に


「うん、私はそれでOKよ」


 と答えた。


「うん、うちもそれで良いよ」


「うん、俺も良いよ」


 と皆んな特に異議はないようだ。


「じゃあ5時に皆んなオールインワンで!」


「お金いくら持って行けば良い?」


 との男子の質問に


「え〜…、まだいくらかかるか分かんないから何とも言えないけど、1人千円もあれば充分足りるんじゃない?」


 と言いながら湯川さんが私たちに意見を求めるように目配せする。


「うん、6千円以上も買い物しないと思うからそれで良いと私も思うよ。

 寧ろそれだけあればお釣り来るんじゃないかい?」


 と私も湯川さんに同意する。

 私たちの意見を聞いて道後さんも


「うん、うちもそう思う」


 と頷いている。


「OK!

 千円ね!」


 と男子。

 話が順調に纏まったので私たちは帰りの時間までの間各自で時間を潰した。


 ―明後日―


 学校から帰宅後洗面所で手を洗った後、自室に戻り制服を脱いでハンガーに掛け、私服に着替える。

 今日は班の皆んなで買い物に行く日だ。

 待ち合わせはオールインワンだ。


 オールインワンとは学校から少し歩いた所にある大きめのスーパーで、そこに行けば大抵の物は最低限揃うと言うくらいに多種多様な物を取り扱っているお店である。


 電化製品に寝具、書店やファッション系のお店も入っておりアウトドア用品やペット系の用品までも、色んな物が取り揃えられているお店はこの辺ではここだけである。


 オールインワンと言う店名はきっとそう言う所から命名されたのであろう。

 私も普段から文房具やら参考書やら、絵の具等の学校の授業で不足した物などを買う時にはいつも利用しているお店である。


 待ち合わせの10分前にお店に到着した私は、店内にあるベンチに腰掛けて待つ事にした。

 店内の何処で待ち合わせと言うように細かい約束をした訳ではなかったので、適当な所で待っていれば誰かかれかが来るだろうと思う。


 きっと他のメンバーの人ももう着いているとしたら誰かを探して歩いて来るであろう。

 誰かが通りかかった時、見逃さないように店内をよく見回しながら待つ事にしよう。


 見回していると道後さんが歩いて来た。

 見た限りではどうやら1人のようである。

 友人ではないにせよ、一応班のメンバーだから声を掛ける事にしよう。


 Bの世界では色々揉めたけれど、今世ではまだ何も起きていない訳だし。

 班行動の時だけでも互いに仲良く行動出来るのならそうしたいところだし。


「道後さん!」


 近寄って声を掛けてみた。


「あぁ。

 相瀬さん?

 他の人はまだ来てないの?」


 と少し無愛想に言う道後さん。

 あぁ…今世でも道後さんは森脇の友人なのかな?

 きっとあれこれ吹き込まれてるんだろうな。

 まぁ仮に私の事嫌ってたとしても、私に害さえ加えて来なければ後はどうでも良いんだけどね。


「うん。

 今の所見かけてない。

 何処で待ってて良いか分かんなくてとりあえず座ってたんだよね」


 ポーカーフェイスで私はそう返した。


「じゃうちもここで待ってようかな?」


 そう言って道後さんもベンチに腰掛けた。

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