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友人作り

 まるでスキャンダルを起こした芸能人の会見シーンのようだ。

 そう考えたら芸能人の人も大変だよな。


 本当に法を犯すような悪事を働いて騒がれるのならまだしも、単なるゴシップで騒がれる方はたまったもんじゃないだろうな。


 私の場合芸能人でもなければスケールも凄く小さいけれど、何となく芸能人の人の苦労が少し伝わったわ。

 全ての芸能人の人に"お疲れ様です"と心の中で述べた。


「皆んなまず落ち着いて。

 一個ずつ答えるから一個ずつ質問して?」


 私がそう言うと、モヤモヤした表情をしながら一瞬少し静まった。

 そしてその後、中神さんが口火を切り


「森脇さんが盗ったって本当?」


 と言う。


「未央達から話は聞いたんでしょ?」


「まぁ…ちょっとだけ話は聞いたけど…」


「じゃあそのまんまだよ」


「相瀬さんの意見も聞きたいんだけど…」


 …私の意見って…何!?

 …何を聞きたいんだろうか?

 よく分からないな…。


 そうだなぁ…強いて言うならば、あんまり皆んなが騒ぐと、後で里中から色々と文句を言われそうだから、この辺で話を終わらせたいなぁというのが本音である。


「私の意見?

 う〜ん…。

 今先生にこの事を話しに行ったから、後は先生が何とかしてくれるんじゃないかな?

 言いに行った時にあまりこの事を口外しないでくれと言われたから、私からはもう何も言えないんだよね。

 ごめんね」


「いや〜…でもさぁ…。

 悪いのは森脇さんなんだから相瀬さんのせいじゃないんだし!!」


 うん、分かってるんだったらもう取り囲むのやめてくれるかな?


 "キーン コーン カーン コーン…"


 チャイムが鳴った。

 そろそろ里中もこちらにやって来るだろう。


「うん。

 まぁ…だから未央達から話を聞いたんだったら、その話のまんまだから。

 私も同じ事しか知らない訳だし」


「会話を録音したって言うテープは今日は持ってきてないの?」


 なるほど。

 事件の話を聞きたいと言うよりも、こっちが本命だったのか。

 負のオーラってどこまでも人を呼ぶね。

 でも私は負のオーラで友人を作りたいとは思わない。


 負のオーラで作った友人は"負"に集まってきている訳だから"負"な話ばかりをする友人である傾向が強いと私は思うからだ。


 日常的にネガティブな会話しかしない友人と付き合ってしまうと、いつしか自分もその負のエネルギーにつられてしまう気がするからだ。


 キミらも一度考えてみて欲しい…。

 キミらの周りにいる人達はどんな人たちですか?


 もしもネガティブな友人がいたと仮定して、いつも口を開くたびにネガティブな会話ばかりをしてきたら、話を聞いているこちらも段々と気が滅入っては来ないかい?


 ネガティブな話からはポジティブなものは生まれないと私は思っているので、負のオーラで私は人を集めたいとは思わない。

 これは綺麗事でも何でもなく単純に自分にとって利益があるかそうでないかと言うだけの話である。


「ごめんね。

 学校に余計な物を持ってきちゃうと先生に怒られると思って持ってきてないんだ」


「そうなんだ…。

 でもそれ他にも聞きたい人がいると思うから、今度持って来てよ」


 …だから話をちゃんと聞いて?

 持ってくると何か言われるのが嫌なんだってば。


「う〜ん…。

 学校に不要なものを持ってきちゃうと、先生に言われるからさ…。

 ごめんね」


「じゃあさ!

 今日遊べる!?」


 本当、食い下がるねキミ。

 食い下がる子との押し問答を続けていると


 "ガラガラガラ"


 と勢い良く教室のドアが開き、里中が入ってくる。


「オイ!

 チャイム鳴ったんだぞ!?

 お前らさっさと自分の席に戻れや」


 チンピラのような口調で里中が言う。

 テープに固執して食い下がってきた子や、その周りで話を聞きながら様子を伺っていた者達も、一斉に口を閉じ各々の席に戻る。


「そしてお前ら何騒いでんだ!?」


「先生シャープペンの犯人森脇さんだそうです」


 中神さんが腹立たしそうに森脇の方を見つめながらそう言う。

 森脇は両サイドの男子達に机を離さなれて孤立し、俯いたまま小さくなっている。


 未来Bではは散々な目に遭わされたからね。

 いい気味である。

 因果応報とはこの事を言う。


「オイ相瀬、俺さっき職員室で言ったよなぁ?

 ベラベラベラベラとよぉ?

 なぁ!?

 オイ!?」


「お言葉ですが…」


 私がそう言いかけると


「先生!

 言ったのは相瀬さんじゃなくて、私は遠藤さん達から話を聞きました」


 そう言って庇おうと勇気ある発言をしてくれたのは中神さんだった。

 そして続いて


「雅からこの事を聞いて中神さん達に話してしまったのは私たちです。

 雅が悪いわけではありません」


 と音葉も参戦してくれる。


「うち言ってしまいました。

 すいません」


 未央と梢も庇ってくれる。

 キミら本当に良い子達だよ。

 私の想像以上に!


「じゃあ遠藤達に言ったの誰よ!?」


 と里中。

 まぁこの辺については一応里中も馬鹿じゃないよね、冷静な質問だわ。


「それに関してはすみません。

 先生にご報告に行く前に3人には予め話してしまっていましたので…。

 配慮が足りずすみませんでした」


「…チッ…!!

 本当、何なのよ!?

 お前!?

 次から次へと問題ばっかり持ってきてよ!?

 頼むからこれ以上仕事増やさないでくれや!?

 俺の立場を考えろや!」


 大きくしたうちした後大きな溜め息を吐きながら、被害者面をして言う里中。

 え"…!?

 私のせいなの!?

 そんなの元はと言えばこの事件の発端は森脇なんだから森脇に言ってよ。


 人のせいにしないで下さーい!

 心の中で森脇口調で言う私。


「先生犯人松本じゃないんですか?」


「松本は何で学校休んでるんですか?」


「先生、森脇さんには何も言わないんですか?」


 などとクラスの皆々が里中に口々に抗議する。


「オイ!

 静かにすれや!

 他のクラスは授業やってんだぞ!」


 と里中がやや強めの口調で言うと、皆んなモヤモヤした表情をしつつも一瞬でシーンと静まり返った。

 まぁ授業というより朝の会だけどね。

 どうでも良い突っ込みを心の中で入れる。


「まず松本に関しては、今朝も体調崩していると言う電話がお母さんからあって今日も休むそうだ。

 俺はそれ以上の事は知らねぇから。

 それと森脇の件については先生も今朝知ったばかりだから、本人に話を聞いてみるまでは何も言えない。

 …で森脇、放課後話があるからな!?」


 と里中が森脇の方を見ながら言うと


「…はい…」


 森脇が小さくなったまま小さく返事をする。

 なるほど。

 騒ぎになった以上対応せざるを得なくなったと言う事か…。


「先生今聞かないんですか?」


 クラスの男子がそう言うと


「お前らのせいでここんとこ授業遅れてんだわ。

 そんな暇ねぇから!

 あと森脇の件については、先生と森脇が放課後話するから!

 お前らはもうこれ以上ベラベラベラベラと余計なこと喋んなくていいから!

 この話は終わりな!?

 と言うことで今日は特に重要な連絡事項は無いから、朝の会はこれで終わりです。

 皆んなは1時間目の授業の準備をして下さい。

 以上!」


 里中はそう言って朝の会を締めくくった。

 1時間目の授業の教科書を出し、待機しつつ教室内の会話に耳をそば立てる。

 教室内は森脇の話で持ちきりだった。

 良かったじゃないか!

 ある意味では人気者になれて。

 心の中でそう毒吐いた。


 その後授業は普通に行われ、休み時間には森脇は


「ドロボー!

 ドロボー!

 泥棒は学校に来んな!」


 などとまたもや袋田たちに虐められていた。

 要するに袋田にとっては虐める相手なんか誰でも良いのであろう。

 単に人を虐めるのが好きな輩なのだ。

 こいつにも天罰が下って欲しいと私は密かに願った。


 今回は松本君の時のような、大怪我をした人間は誰も出なかったことが幸いである。

 流石に前回はガラスを割るなどの大問題と化したことにより、里中からこっぴどくシメられたであろう事もあって、袋田の虐め方も少し松本君の時よりは控えめになっていたようだ。


 そしてこの日の1日は森脇の話でクラス中が持ちきりになり、翌日の朝の会に森脇は皆んなの前で泣きながら謝っていたのであった。


 そして今世でも松本君には変わりはなく、松本くんが学校へ登校してくる事は二度と無くそのまま転校していった。


 里中は松本君の件に関して


「先生だって人間だから間違うことがある。

 松本も違うんだったら違うって言ってくれないと!

 先生だってそういうの言われなきゃわかんないんだから」


 などと皆んなに言い訳をしていた。

 何度も言うが誰かこいつに冤罪してくれないだろうか?

 そして


"警察や検察の人も人間だから間違うことがあるから仕方がない"


 ってそのままこいつに言ってやってくれないだろうか?

 人の痛みを知れよ。


 その後森脇と友人だった人間も森脇から離れ、森脇はクラスで孤立したのであった。

 こうして森脇の1件以外は何の変化のない日々を中学入学の日まで過去Bと同様に過ごしたのであった。


 ―中学入学受付の日―


 過去Bの時と同様に音葉達と学校へ向かう。

 あの時と同じセリフを互いに言い合って、あの時と同じ先生に東門の場所を教えてもらい、あの時と同じように私たちは東門から入場し、あの時と同じセリフを言い合いながらクラス分け表を見る。


 前回同様に1年B組に私の名前はあった。

 そして森脇もまた同様に。

 また森脇と同じクラスになってしまったのは残念だが、前回と変わらず先生のクラスになれた事は飛び跳ねるほど嬉しい限りである。


 音葉達とはクラスがバラバラになってしまったので、3階へ移動した後各々の教室に入ってからは、お互いに別行動となった。

 前回と同様に適当に空いてる席へ腰掛ける。


 そして暫し待つこと十数分ほどだろうか?


 "ガラガラガラ"


 と教室のドアが開き先生が現れた。


 来たーーーーーー!!!

 来たッッッッッッ!!!

 来たーーーーーー!!!


 と心の中でついつい前回と同様の反応をしてしまう。

 やっとまた会えた。

 森脇のせいで人生をやり直さなきゃいけない羽目になって過去に戻ってからは、またずっと会えなかったから今またやっと会えて凄く嬉しい限りである。


「はい!

 皆んな、おはようございます!

 と言いたいところだけどもう昼か…」


 あの時と同じく、そう言いながら先生は自分の腕時計を見る。


「…じゃあこんにちはだな!

 今日は今日のこの後の予定の説明と入学式の説明をします!」


 うふふ。

 あの時と全く同じことが繰り返されている。

 何だか微笑ましいなぁ。

 だけどそう思っているのは私だけで、皆んなには全てが初めての事に映っているんだろうなぁ。

 改めてそう考えてみると何だか奇妙な感じがするな。


 その後過去Bの時と同じ説明を受けた後、過去Bの時と同じく指示に従って行動し、この日を過ごした。

 さてと次回の登校日は入学式なわけだけど、今世ではやはり誰かかれかに話しかけに行くべきだろうか?


 恐らく5年生の時のあの一件があるから森脇から何かされると言う事はなくなるだろう。

 とは言えできれば1人くらいは友人とまではいかなくとも誰か話せる人を見つけるべきであろうか?


 だがそう思っただけでそれが簡単に出来たら今頃人生やり直しなんかしていないんだけどね…。

 心の中で深い溜め息を吐いた。


 前回は友人になる事ができなかったけど、今回は草津さんにでも声をかけてみようかな?

 若干お花畑の気があるとは思ったこともあったけど、言い方を変えれば"優しさを持った人"と言う考え方もできる訳で、きっと良い子だとは思うんだよ。


 あんな状況でも友達を信じる信念の強さもあるわけだし。

 幸いなことに過去に同じクラスになったことがあるし。


 話した事は無かったけれど。

 うまくいけば今世では草津さんと友達になれるかもしれない。


 入学式の日は勇気を出して思い切って声をかけてみようかな?

 …と言ってもなんて声をかけたらいいんだろう?

 まずは"おはよう!"って声かけ…る?


 う〜ん…。

 知らない人にいきなり"おはよう"って挨拶されても向こうも困るだろうな。

 どうしよう…。

 なんて話しかけたらいいんだろうか…。


 一応過去に同じクラスにはなった事があるから、向こうも私の名前ぐらいは知っているであろう。

 いきなり"おはよう"と声をかけるよりも、寧ろ名前を呼んで話しかけたほうがいいかもしれない。


 "草津さんだよね?

 前同じクラスになった事あったよね"


 …とちょっと白々しいがこの線で行くのが1番無難かもしれない。

 あぁ!

 もぅ!

 我ながらコミュ症とは本当に面倒臭い障がいであると思う。


 "前も同じクラスだった事あったよね"


 って言われても


 "だから何だ"


 と思われそうな気もするが、それしかボキャブラリーがないんだよ、私は!


 "良い天気ですね"


 "えぇ…本当に…"


 と言う会話以外何も会話が無い、昭和初期の出来立てホヤホヤのカップルじゃあるまいし!

 と心中自分にツッコミを入れながら深い溜め息を吐く。

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