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密会

「うん!

 また!」


 そう言って私達は一旦別れる。

 家に帰って手洗いを済ませてから、いつもの如くに月曜日の用意を済ませてプリントに目を通してメモを貼っておく。


 特に凄く重要な内容は書かれていない。

 インフルエンザが流行っているので、手洗いうがいをしっかりとし、冬だからといって室内に篭らず外で元気よく遊びましょうと言う様な内容をつらつらと無駄に長く書かれているだけの内容だった。 


 メモには


 "特に期限付きの重要な事項は無し。

 インフルエンザについて書かれている。

 手洗いうがいしっかりとと言う内容が長く書かれているだけ"


 と書いておいた。

 リビングに降りる。

 誰もいない。


 冷蔵庫を覗くも野菜と梅干し、卵、バターやマヨネーズなどの調味料、牛乳くらいしか入ってない。

 キッチンの収納スペースを見る。

 インスタントラーメンすら無い!


 さて、どうするか…。

 テーブルを見るとカレンダーを破いた物の裏に


 "これでお昼食べて下さい"


 と五百円玉が2枚置いてある。

 ラッキー♡

 臨時収入だ♡


 2枚置いてあると言う事は1枚は私ので、もう1枚は速宛のものであろう。

 私は早速部屋に戻って財布に500円玉をしまった。


 大方自分は出かけたかったが、冷蔵庫の中に何も入ってない事に少しは後ろめたさでもあったのだろう。

 インスタントラーメンの買い置きも無かったしね。

 恐らく買って来るのを忘れたのだろう。


 だがきっと毒親の事だ…買い物に行ってから出かけると言う選択は面倒臭かったに違いない。

 もちろん作ってから出かけると言うのもだ。


 何にしろラッキー♡

 私は再びリビングに降りて、すかさず何か作れないかキッチン付近を見回した。

 レンジの上に食パンの入った袋が目に付いた。

 これだ!!!


 フレンチトーストを作ろう!

 冷蔵庫にある材料で足りるはずだ。

 バター、牛乳、卵、砂糖、そして食パン。

 材料は揃っている。


 私は少し大きめのお皿に卵と牛乳を混ぜて食パンをそれにつけてバターで焼いた。

 そしてポットからお湯を出して紅茶を淹れる。


 紅茶に牛乳を混ぜてミルクティにして焼き上がったトーストに砂糖を少々まぶして食べる。

 作り方としては本来卵に砂糖を混ぜるべきなのかもしれないが、砂糖を混ぜると何故か焦げやすい。


 とろ火で焼いても中に火が通る前にあっという間に色がついてしまう。

 そう言う理由から私は砂糖は最後にまぶす様にしているのだ。

 結果的に美味しいのなら間違えたレシピで良いのだ♪

 と言う拘りがあるのだ。


 お昼を食べ終えた後いつもの様に物を元あった場所に戻すなどの片付けをして歯を磨く。

 部屋に戻りテープとレコーダーをコートのポケットに入れて出掛けた。


 待ち合わせ場所に到着するもまだ誰も来ていない。

 暫くここで待つ事にしよう。

 寒いなぁ…。

 歩きながらの数分と立ち止まって待ってる数分は冷え込み方が全然違うな。


 やはり動いていないと寒い。

 誰か来ないかな…?

 そう思いながら待ってると梢が


「雅〜」


 と手を振りながらこちらへ歩いてくる。

 私も手を振り返して


「梢〜。

 待ってたよ〜」


 そう言った。


「あれ?

 雅だけ?」


「うん、まだ私達だけ。

 もう少ししたら皆んな来るとは思うけど。

 そういえば家の方はどうだった?

 お家の人良いって言ってた?」


「ごめん、ダメだって」


 梢が掌を合わせる。


「いやいや、謝らないで!

 これは仕方ない事だからさ。

 うちだって駄目な訳だし。

 だから聞いてくれただけでも本当ありがとね!」


「いやいや、全然だよ」


 そんなふうに会話をしていると次は音葉が


「おーい!」


 そう言って手を振りながら走ってくる。


「あ、音葉。

 待ってたよ〜。

 まだ未央と沙奈ちゃんがまだなの」


「そうなんだ。

 2人は結構前から待ってたの?」


「いやいや、うちはさっき来たばっかりなの。

 雅が1番早かったんだよ」


「いやいや、私も梢のちょっと前に来たくらいだったから」


「そうなんだ。

 それなら良かったけど、ここで待ってるの寒いでしょ?」


「まぁまぁ、他に待ち合わせ場所思いつかなかったからしょうがないよ」


 私と音葉がそう会話している間に沙奈ちゃんが手を振りながら歩いてくる。


「あ!

 沙奈ちゃん、おーい!」


 そう言って梢が手を振った。

 私達も手を振った。


「あと未央だけ?」


 沙奈ちゃんがそう言う。


「うん、そう。

 もうちょっとしたら来るんじゃない?」


「うん、ね!」


「そういえばお家の人に聞いてくれた?」


 私がそう言うと


「あ!

 そうそう。

 言うの忘れてたんだけど、今日はお母さん出かけないから良いって!」


 なんと音葉の家からはOKサインを頂けたようだ。


「え!

 本当!?

 じゃあ皆んなでお邪魔させてもらって良いかい?」


「うん、お母さんが良いって言ったから全然良いよ!

 うち何も無いけど皆んな来て来て!」


「本当ありがとう音葉!」


「うん!

 本当ありがとう音葉!」


「ありがとうね!」


 皆んなで口々に音葉にお礼を言う。


「あ、いやいや。

 全然気にしないで」


「あ!

 あれ未央じゃない?」


 そう言って向こうから歩いて来てる子に手を振る沙奈ちゃん。

 私達もそこへ視線をずらす。


「あ!

 未央だ!

 おーい!」


 私達も手を振った。


「皆んな早っ!

 うちかなりゆっくりして来ちゃった。

 なんかごめんね皆んな」


「いやいや、そんな大した待ってないよね?」


「うん、ね?」


 と互いに相槌を打ちあう。


「それよりも音葉の家お邪魔して良いんだって」


「あ!

 本当!?

 凄い助かる!

 ありがとう音葉」


「あぁ、いえいえ。

 そしたら揃ったから早速行く?」


「うん、そしたらお邪魔させてもらいます」


 私達は音葉の家へ向かった。


 ―音葉の家にて―


 音葉の家も立派な一軒家だった。

 皆んな裕福だねぇ。


「じゃ、良かったら皆んな上がって!」


 そう言って音葉は私達を招待してくれた。


「お邪魔します」


 私達は軽く頭を下げて靴を揃えた後、音葉の後について行く。

 リビングらしき部屋のドアが開き音葉のお母さんらしき人物がエプロンをしたまま登場して


「音葉、さっき話してたお友達?」


「うん、そう。

 いっつも学校で仲良くしてる人達」


「あぁ!

 そう!

 いらっしゃい、何も無いけどゆっくりしてってね」


 そう言いながらニコニコ顔で私達に視線を向ける音葉のお母さん。

 音葉のお母さんはちょっと教育系のママと言う印象を受けるような真面目そうな雰囲気を受ける。


「いえいえこちらこそ、お邪魔してしまってすみません」


「良いの良いの、ゆっくりしてってね」


「ありがとうございます」


 私達はそう言って軽くお辞儀をして音葉の後に着いて行く。

 音葉の部屋らしき部屋に到着する。

 立派な学習机とベッド箪笥などなど必要なものは揃えられている部屋だった。


 そしてローチェストの上には可愛らしい大きな熊のぬいぐるみが飾られている。

 実に女子だ。

 同じ女子だけど私の部屋とは大違いな程女子力の高い部屋であった。


「わぁ、この大きいぬいぐるみ可愛いねぇ」


 梢が熊のぬいぐるみを見てそう言う。


「そう?

 それ妹が生まれた時に妹と私の分を婆ちゃんが買ってきたんだよね」


「へぇ〜。

 いいなぁ、うちそう言うの何も無かったよ」


 そう言う梢に


「うちだって無いよ。

 まぁうちは男に挟まれてるからってのもあるかもしれないけど」


 と未央が言う。


「あ、そっか未央んち兄貴さんだもんね」


「うん、弟もいるけど」


 なんか気付いたら各々の家族紹介が始まった。


「雅んちは?

 誰か兄弟いる?」


 と梢。


「うん、姉が1人いるよ」


「2人姉妹?」


「うん、そう」


「うわぁ〜、うちと一緒だぁ。

 うちお姉ちゃん意地悪だから誰か取り替えて」


 と梢。


「あ、うちも凄く意地悪い姉だけどそれでも良ければ良いよ良いよ。

 寧ろタダで良いから持ってって!」


 と私が言い返すと


「え!?

 雅んちもお姉ちゃん意地悪なの!?」


「うん、意地も性格も悪いよ。

 更にやたら偉そうで図々しいし。

 だからタダで良いから持ってって!」


「あ、じゃあ要らない。

 意地悪な人お断り」


「ハッハッハッ!

 なんかここでお姉ちゃんの押し売りしし合ってるんですけど!」


 手を叩きながら未央が爆笑しだす。

 音葉もつられて笑い出す。


「どこのうちもお姉ちゃんって意地悪なんだね」


 そう言う偏見を言い出す梢に


「え"…!!

 待って!

 そんな事言わないで!

 私一応お姉ちゃんなんだから」


 と音葉が慌てて言う。


「あ"…。

 そうだった…ごめん音葉。

 うちのお姉ちゃんと雅のお姉ちゃん()意地悪だけど音葉は意地悪じゃないよ!」


 と梢も慌てて弁解しだす。

 その様子が何となく可笑しくて私も笑い出す。


「アッハッハ…!

 何か2人を見てると本当可笑しくって。

 何か笑ってごめんね」


 私がそう言うと


「いや良いんだけどさ、別に」


 少し口を尖らせながら音葉が言う。


「何か兄弟いると色々あるんだね。

 うち一人っ子で良かった」


 沙奈ちゃんがそう言うと


「一人っ子なの!?

 良いなぁ。

 何でも新しいもの買って貰えるんだろうなぁ。

 うちいっつもお下がりばっかり」


 梢が羨ましがってる。

 まぁ気持ちは分かるよ。

 私もそうだから。


「まぁ…ね…。

 それよりも例の件の話ずっと気になってたんだけど、そろそろその話しない?」


 気まずそうに流した後、上手く話を切り替えた沙奈ちゃん。


「あ!

 そうだった!

 そう言えば結局学校で何も話せなくて、何が何だかさっぱり分からなかったんだよね」


 と未央。


「ま、ま、先ずは皆んな適当にその辺に座ってよ。

 人数分クッション無いけど」


「あぁ、全然良いよ!

 ありがとう。

 私は無くて大丈夫だから使いたい人がいたら使わせて貰いな〜」


 と私は言う。


「使いたい人〜」


 と未央が挙手をとる。

 皆んな遠慮して挙げない。


「…じゃあうち使っていい?」


 と未央。


「あぁどうぞどうぞ」


 と音葉。


「うん、私も全然良いよ」


 などとクッションの譲り合いをした後、早速私達は本題の森脇さんの話に入った。


「先ずは皆んなにこれを聞いて貰いたいの」


 そう言って私はテープレコーダーをコートのポケットから取り出した。


「それ…何…?」


 4人とも怪訝な顔をして聞く。


「森脇さんに話を聞き出した時の会話を証拠としてテープに録っておいたの。

 後で"私そんな事言ってません"って逃げられ無い為に」


「凄い用意周到だね…」


 と沙奈ちゃん。


「聞きたい聞きたい!

 早くかけて」


 と4人ともうずうずしている様子で口々に言う。


「うん、じゃかけるね」


 私はレコーダーの再生ボタンを押した。

 ザザザ…と言うノイズの後


 "森脇さん、良かったら今日途中まで一緒に帰らない?"


 "え…?

 びっくりした。

 珍しいね、相瀬さんがいきなり誘ってくるなんて"


 "うん、実はちょっと森脇さんに頼み事があって…"


 と森脇を帰りに誘っている様子が再生されている。

 誘っている時の会話が一通り流れた後また暫くザザザ…と言うノイズのみに入った。


 私は4人に何故無言なのか事情を説明して不要なノイズ部分を早送りした。

 そして再び音声が入っている所を再生した。


 "あのさ、最近未央から聞いたんだけど森脇さんと未央は今喧嘩してるって…。

 未央とは仲直りしないの?"


 "…聞いたんだ?

 未央から。

 未央なんか言ってた?"


 "「うち、ちさちゃんに悪い事しちゃった。

 犯人松本君だったのに変に疑っちゃったから。

 謝りたいけどきっと許してくれないだろうな…」

 って言ってたよ。

 森脇さんと喧嘩になっちゃった事を凄く後悔していたよ"


 この部分が流れた後、私は未央の方を見て未央と目が合い、手の平を合わせた。

 未央は手のひらをこちらへ向けて良いよ、良いよと言うポーズをしてくれた。


 引き続き流れている会話に4人とも夢中になっている。


 "そうなんだ。

 ま、分かってくれたんだったら私ももう良いんだけどね。

 謝ってくれたら許すつもりだよ"


 "そっか。

 良かった。

 明日未央にそう伝えておくね"


 "うん、お願い。

 それより私に何か頼みがあったんでしょう?

 頼みってなあに?"


 "うん、今言った事。

 今回の事件はもう解決して誤解だって分かったんだったら仲直りした方がいいんじゃないかって思って"


 "そうなんだ。

 じゃあ明日未央にそう伝えておいて"


 "うん、分かった。

 ところでさ、未央から喧嘩した理由は聞かなかったんだけど、どうして2人とも喧嘩になったの?

 なんかプライベートな事聞いて申し訳ないんだけど、差し支え無いのなら仲直りに協力しているよしみで教えて欲しいんだけど…"


 "え…?

 未央から何も聞いてないの?"


 "うん、単に未央が「私が余計な事を言っちゃったせいで喧嘩になっちゃったんだよね」って言ってたのを聞いただけ"


 "そうなんだ"


 "うん、だから何を話しててそうなったのかって言う具体的な内容は何も聞いてないんだよね。

 だから差し支えなければ聞かせてくれたらって思うんだけど、どう?"

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