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修学旅行2日目

 話をしながら待っていると梢がお土産コーナーから出てきた。


「え!?

 皆んな早ーい!」


 そう言いながら梢がこちらに歩いてくる。


「何買ったの?」


 未央が聞くと


「うちね、おやつと星の砂とこのスタンプ!

 見て見て、こずえちゃんって書いてあるんだって!」


 名前入りがいいのならいっそシャチハタを買うのはダメなのかい?

 とツッコミたくなるがまぁ、年頃の女子はこんなものなのかもしれない。

 かつて自分も若かった時はこう言う物が好きだったかもしれない。


 私達が話しながらロビー近くで待機していると里中がお土産コーナーから出て来て私達と同じく買い物を終えて待機している人達に向けて


「買い終わったやつは早く部屋に戻ってくれ!

 皆んなでロビーで待ってたら他のお客さんの邪魔になるから!」


 と言った。

 私達はそれを聞いて戻って良い事を知ったので、早々に部屋に戻る事にした。

 部屋に戻ってお土産を各々鞄にしまって明日の準備をする。

 明日着る服を枕元に置いて歯を磨く。

 気付いたらもう11時近い時間になっていた。


 そろそろ消灯の時間だ。

 明日もまた活動しなくてはならないから無駄に起きずに大人しく眠ろう。

 ふと一息ついた頃里中がドアをノックして


「11時だから皆んなもう寝てくれ!

 起きてて騒いだりとかしないでくれな?」


 そう言った後早々に隣の部屋に移動して行った。

 隣の部屋にも同じ事を言いに行ったのだろう。

 私達は


「じゃ寝ますか?」


「うん、そうだね」


「起きてて後からなんか言われるの気分悪いから普通に寝よう」


 とそれぞれが寝る事に賛成している。

 素晴らしい!

 君ら凄く優秀だわ!


「そしたら電気消そう!」


「明日起きれなかったら誰か起こしてね!」


 と音葉。


「私も同じく」


 と私もそれに乗っかる。

 だって目覚ましここに無いんだもん。

 明日の朝はラジオ体操があるから里中が各部屋回って起こしに来ることだろう。


「まぁまぁ誰か起きてる人が起こすって事で!」


 と未央がまとめる。


「じゃ消すよ」


 梢がそう言って電気を消した。

 皆先程まで元気にはしていたが、実際は遊び疲れたのだろう。

 数分後には誰かの寝息が聞こえてきた。

 いつしか私も眠りについた。


 ―翌朝―


 ラジオ体操の為時間を知らせるのに里中がドアをノックした。

 誰かが出た。

 その音で私も目覚める。

 まだ眠いなと思いながら、のそのそとトイレに行く。

 う〜ん…。

 急に動いたから立ちくらみが…。


 便座に腰掛けておしっこをしながら立ちくらみが治まるのを待つ。

 その後歯を磨いて服を着る。

 暫く後ホテルの外に集合してラジオ体操が始まった。


 外は眼が覚める程冷えていた。

 寒っ!

 微妙に今まで寝ぼけてたけど、完全に目が覚めたわ!

 寒くて鳥肌が立つのがわかる。

 体も寒さに耐えきれずぶるぶると震える。


 両腕の二の腕を手でさすりながら背の順に並ぶ。

 軽快なラジオ体操の音楽が流れて音楽に合わせて体操を始める。


 あぁ…寒い…。

 もう体操なんかしなくて良いから早く室内に戻りたいものだ。

 寒い中わざわざ寒いのを我慢してまでやるラジオ体操の存在意義が分からない。

 心の中で愚痴愚痴と文句を言いながらラジオ体操をする。


 そして数分後ようやく終わり建物の中へ戻る。

 梢達と寒かったねぇなどと話しながら私達は部屋へ戻った。

 そして朝ご飯はバイキング形式だった。

 とは言え置いてあるメニューが少ないのでさほどお皿に取り分けたりするのには時間がかからなかった。


 卵とか焼き魚とか納豆とかいかにも"朝"と言う感じの質素なメニューばかりだった。

 メニューが少ない為他の3人も持ってくるメニューが大体同じだった。

 適当に焼き魚とご飯を食べて味噌汁をすする。

 あまり沢山朝から食べてしまうとこれから動くのが嫌になるので腹7分目以下にしておく。


 食べ終わった後はまた私達は部屋に戻り出発の準備をした。

 そしてその後まもなくホテルをチェックアウトして修学旅行2日目が始まった。


 バスが何処かのパーキングに到着した。

 手元の修学旅行のしおりを見る。

 予定表によるとどうやらこれから自然沼と言う沼を観に行くようである。

 旅行前の学校での説明に山を登る事がある為、必ず旅行にはスニーカーなどの歩きやすい靴で来るように言われた事を思い出した。


 恐らくその登山が今から行われる行事なのだろう。

 嫌だなぁ…。

 あまり坂がキツくなければ良いなぁ。

 この軽い登山の様な重い行事の為に昨日は体力を温存したものの、今から気が重い。


 観たい人だけ観てくれば良いのに…と個人的には思う所だが、まぁ一生に一度の登山かもしれないので我慢をする事にしよう。

 内心ため息をつきながら私は未央達とバスを降りた。


 里中の指示により背の順に並び、里中の前に歩いている登山ガイドの人について行く。

 ガイドの人は仕事慣れしているせいか、息切れする様子も無くサッサカサッサカと軽快に登っていく。


 付いていくのが辛い。

 無駄に体力を消費しないように無言でひたすらガイドの人のペースについていく。

 心臓がバクバクと鳴っている。

 こりゃ予想通り明日は筋肉痛だな。

 日頃の運動不足が身に染みる。


 暫く登る事何分後か分からないが頂上と言うのか、折り返し地点とでも言うのか目的の沼に到着した。

 どろりと濁った緑色の大きな水溜りの様な沼を遊歩道を歩きながら眺める。


 広々としているのは良いとは思うが、わざわざ汚い沼を観る為だけにこの労力は見合わないなと個人的には思った。

 沼の周りに作られた遊歩道を一周して私達は山を降りた。


 山を降りると天然の湧き水が流れている所へ出た。

 そこは水汲み場になっており私達以外の一般の観光客の人が水をボトルに汲んだり飲んだりしていた。

 ガイドの人の案内によるとここは著名な名水公園の様で日本の名水百選にも選ばれる程ポピュラーな観光地らしい。


 私達も水を汲んだり飲んだりして良いとのことだった。

 但し、一般のお客さんの邪魔にならないように配慮しながら利用するようにして欲しいとの事。

 水を汲める場所は3カ所しか無く、全部に並んでしまうと邪魔になってしまうので私達は一カ所の方に固まって並ぶ様にとの里中からの指示もあった。

 そして1人で何度も並ぶと時間にキリが無いので1人一回ずつまでとの制約付きだ。


 まぁこれだけの人数がいたらそれもいた仕方ない部分があるのだろう。

 私は音葉達と集まって一緒に並んだ。

 列に並んでいる間、サラサラと流れる水の音を聴きながら辺りを見回す。

 時折射し込む太陽の光が水に反射して眩しく光る。


 そしてここでも赤々とした紅葉の葉や黄色に色づいたイチョウの葉がそこら中に繁茂している。

 秋だなぁ。

 今が丁度見ごろであろう。

 あと1ヶ月もすればこの木々達も冬の準備に入り、一斉に葉を落とすのだろうな。

 本当にいい時季に来れた。

 この時期に修学旅行の予定を組んだ教員に感謝をしたい。


 沼は興味無かったけれど、この名水公園は来て良かったな。

 こういった癒しスポットはまたいつか来たいものだ。

 ぼんやりと自然を眺めながら待っているうちに自分の水飲みの順番が回って来た。


 流れてくる水で軽く手を洗い流してから手で器の形を作って水をそこに溜めて飲む。

 涼しい季節のお陰か水は眼が覚める程に冷たかった。


 美味しい!

 水道水とは違って水道水独特の塩素の香りなど微塵もせずに無味無臭で美味しかった。

 身体の中が水で洗われているかの様な清涼感を感じる。


「どう?

 どう?

 美味しい?」


 と後ろに並んでいる梢が聞いてきた。


「うん、冷たくて美味しいよ!

 梢も飲んでみなよ」


 そう言って私は梢に順番を渡した。


「本当!?

 うちも飲んでみよう!」


 そう言いながら梢も水を手に溜めて飲む。


「うわぁ〜!

 本当、凄い冷たい!

 美味しいわ!」


 そう言いながら後ろに並んでる音葉に順番を渡していた。

 飲み終わった人が集まって待機している場所に私達も移動して待機した。

 私達の後ろに並んでいた人達を後ろから眺めているとちゃっかり水筒に水を汲んでいる人もいた。


 私も水筒は昨日のお昼の時用に持ってきてはいたけど、中身がまだ入ったままだったから水を汲む事は出来なかったのだ。

 昨日から水を汲む事を予測してか、それともたまたまかは分からないが中身を前もって空にしてあったのだろう。

 用意がいいなと思った。


 そういった要領の良い子もいれば典型的どこのクラスにもあるあるな水のかけ合いをして先生に怒られている人達もいる。

 きっとこんな子達は毎年存在するのだろうな。


 自然を眺めながら堪能していると無事に皆んなが水を飲み終えた様なので、教師からの指示によりこれからお昼ご飯を食べる場所へと移動した。


 お昼ご飯は焼肉らしい。

 地場で育てている牛のカルビーやホルモンなどの肉と野菜が沢山盛り付けられた大皿が、各鉄板付きのテーブルに乗せられている。


 里中の指示により班毎に分かれて座る。

 各テーブルに乗せられたピッチャーから4人分の水をコップに注ぐ。

 3クラス全員が各テーブルに落ち着いた頃食べて良いとの指示があったので私達は肉を焼き始めた。


 未央が積極的に肉を並べる。

 私は野菜を並べる。

 玉ねぎやピーマン、南瓜などはもやしとは違って火が通りにくいのでなるべく早くに焼き始めた方が良い。

 途中火が強いのかカルビーが炎上した。


「わっ!

 どうしよう、どうしよう!?」


 炎上したカルビーに慌てふためく未央。


「火強いのかも。

 弱めるかい?」


 そう言いながら私はテーブルの横を覗く。

 火の強弱を調節できるらしきツマミを発見。


「うん、ちょっとだけ弱くして」


 と未央。


「OK!」


 と強と中の間に設定されていたツマミを捻って、中と弱の間に合わせる。


「ありがとう」


「いえいえ」


「焼くのうちらも手伝うよ!」


 そう言って梢と音葉も気遣って焼けた肉をお皿によけたり野菜や肉を並べるのを手伝ってくれる。

 肉の他に用意されていたパックに入ったおにぎりを頬張りながら肉が焼けるのを待つ。


 そしてその後私達は焼肉を美味しく頂いた。

 お腹一杯である。

 普段は行事ごとの時はあまり満杯まで食べない様に気をつけているのだが、今回は残すのも勿体ないというのもあってついつい満腹まで食べてしまったのだ。


 ジワジワと眠気が襲ってくる。

 だがまだ私達はこれから帰らなくてはならないので、眠気を堪えながら昼食後教師の指示に従いバスに乗った。


 眠いので乗車中のレクにあまり参加もしたくない気分であったが、これも一つの行事なので仕方あるまい。

 レクが終わった後、2日間騒ぎ疲れている為か皆誰に何とも言われる事も無く静まり返った。


 私も欠伸を噛み殺しながらぼんやりと起きてはいたものの、隣を観ると梢も気持ち良さそうに目を閉じて眠っている。

 私も一眠りしようかな?

 そう思って私も目を閉じた。


 すやすやと安眠していた所、いつの間にか学校に到着した模様で全員の様子を見に来た里中に膝を叩かれて目を覚ました。


「着いたから降りる準備してくれ」


 そう言ってまた私の後方の席の方に歩いて行った。

 そして同じ台詞を言っている。

 まだ半分寝ぼけた状態だったのでヨダレが垂れてないか手で確認して、垂れて無かった事にホッとしてから降りる準備を始める。


 そして隣の梢を起こす。


「着いたって」


 そう言って梢が起きたのを確認した後、私は自分のリュックを手元に置いた。

 突然起こされてビックリした表情をしていた梢も状況を飲み込んだ様でバスを降りる準備を始めた。


 里中からの指示でバスを降りて自分の荷物を持ったら、帰りの会を今日はしないのでそのまま帰って良いとの事。


 バスが学校の駐車場に到着し、止まった。

 降りて良いとの事なので、私達はバスを降りて大きい荷物の方がバスのトランクから降ろされるのを待った。


 自分のリュックを見つけて回収した後、音葉達の様子も伺う。

 4人とも無事に荷物を回収する事が出来たので


「じゃあ帰ろうか!」


「うん」


「楽しかった!

 皆んなありがとうね!」


「うん、お疲れ様〜」


 と互いに挨拶を交わして私達はそのまま別れた。

 楽しかったけど、疲れたな。

 山も登ったし。

 家に着いてベッドに倒れ込みたい所だったが、荷物の整理を先に終わらせる事にした。


 まず着替えて来ていた服と旅行中に出た洗濯物を網に入れて洗濯機に放り込む。

 水筒と空の弁当をリビングの流しに出しに行く。

 修学旅行のしおりなどのゴミはゴミ箱に放り込み、お土産を分ける。


 毒ファミリーの分と近所の祖母の分を出しておき、御和君の分は塾用の手提げカバンに入れておく。

 最後に手を洗って私はベッドに倒れこんだ。

 疲れていたので夕飯時に毒母が起こしに来るまで、夢も見ない程深く眠っていた。

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