表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/144

お土産

 それを説明する事は出来ないけどね。


「無い!

 全く無い!」


 そう言い切る私。


「その人ってさ、うちらと違う学校だよね?」


 と未央。


「うん、そうだけど」


「どこの学校の人なの?」


「確かね…(こう)の森小学校って言ってた気がする。

 どこにあるか詳しくは知らないけど」


「そこの小学校の人って中学校は同じになるのかなぁ?

 中学校ってさ、小学校と違って色んな小学校の人が集まるんでしょ?

 うち兄貴がいるから前に兄貴がそう言ってたからさ」


 へぇ未央兄貴がいるんだね。

 そう言う世間話を普通に出来るって事は兄妹仲は良好って事だね。

 良い事だ。

 うちはそんな世間話をする程お互いに仲良くないから、全然学校での話なんて聞いた事が無いな。

 仲良くしたくも無いし。


「よく分からないけど、もし黄の森小学校の人が同じ中学に来たとしてもその人は緑中(りょくちゅう)にはもしかしたら来ないかもしれない。

 前に塾で話した時に進学校の受験受けるって言う話を聞いた事があるから、受かったらそっち行くんじゃないかな?」


 緑中とは特に進学校へ受験して行かない限りは私達が来年から普通に通学する事になる、近くの緑の森中学校を指している。

 緑の森中学校を短く略して緑中と呼ばれる事があるのだ。


「進学校?

 受験?

 って何?」


 そうだよね。

 私も過去Aの時は同じ反応をしたと思う。


「まず進学校って言うのはザックリ言うと合格する事が難しいと言われている大学に合格させるために力を入れている学校の事だね。

 そう言う学校は入学する為にある程度の学力を必要とされていて、その有無を測るのが受験って言う事になるかな。

 受験って言うのは主に筆記テストで、学校によっては面接もあったり…かな」


「えぇぇ!?

 もう大学の事考えてるの!?

 早くない!?」


 と3人揃って口々に言う。

 うん、私も過去Aでは全く同じように思ったよ。

 でもね、世間ではきっと早くはないんだと思うよ。

 だから進学校が存在する。

 そして大学とやらの事を考えているのは当人ではなく当人の親御さんが考えているのだと思うよ。


「うん、私もそうは思うけどきっと親御さんが良かれと思って子供のために考えているのだと思うよ」


「ははぁ〜…。

 なんか…凄いね…。

 うち学校のテストとかしか考えた事無いわ」


 と未央。


「うちも」


「私も」


 と音葉と梢も。


 まぁ多数の人はそうだと思うよ。

 よっぽど偏差値の高い大学とかを目指しているので無いのなら、受験の事を考えるのは中学生になってからでも良いと思うし。


「雅は進学校?って所に行くの?」


 と音葉。


「私は受験は特に考えてはいないかな。

 普通に近くの緑の森中学校に行くつもり」


「そうなんだ。

 じゃあ来年からも私達と一緒だね!

 また同じクラスだったら嬉しいね」


 と音葉。


「うん!

 また同じクラスになれたら良いね!

 まだ気が早いけど、中学生になってもこうやってまた皆んなで話せたらいいね」


 私もそう返事をする。


「うん!」


「ね!

 皆んな仲良くしてね!」


 と未央と梢。

 話の流れが一段落した所で他のクラスの子達や他のグループの子達も露天風呂に到着した模様で、露天風呂は一気に賑やかな空気になった。


「そろそろ熱くなって来た。

 うちもう上がるけど皆んなどうする?」


 と未央。


「私ももう上がるかな?」


 私も風呂の淵に手をかける。


「あ!私も上がるよ!」


「うちも!」


 と音葉と梢も一緒に上がる。

 脱衣所で各々の着替えを始めてホテル備え付けのドライヤーで髪を乾かす。


 学校の規則でドライヤーの持ち込みを禁止されており、部屋で使用しないで欲しいとの事だ。

 その代わりに備え付けのドライヤーを使用していいとの事だったので遠慮なく借りる。


 髪が短い梢と音葉は乾くのが早く私達を待っていたので、


「何だか申し訳ないから良かったら先戻ってて良いよ」


 と私は言う。


「どうしようかな?

 どうする?

 先戻る?」


 と隣の音葉と相談してる梢。


「う〜ん…そしたら戻ってようかな?」


「あ、戻る?

 じゃあ私も戻ろうかな?」


「あぁ音葉も戻る?

 じゃ一緒に戻ろうか!」


 2人の話がまとまったようで


「じゃあうちら先に部屋戻ってるわ!

 部屋の番号分かるしょ?」


「うん、大丈夫!」


 と私が。

 そして未央も


「うん、分かる分かる!」


 と返事をする。


「OK!

 じゃ部屋で待ってるわ!」


「うん!

 じゃあまた後で!」


 私達は手を振って一旦別れた。

 引き続き髪を乾かしている未央と私。


「ねえこの後ってさ、お土産の時間だよね?」


 と未央。


「うん、そうだったと思うけど?」


「雅はお土産誰と誰に買うの?」


「私?

 私はとりあえず家族と祖母の分かな?

 あとは予算的な都合で自分の分も買えたらって感じかな?

 未央は?」


 祖母には修学旅行のお土産代としてのお小遣いと言う事で先日1000円頂戴したので返さなくてはならない。

 あとは言わないけど御和君の分もね。

 何かしらお返ししないと申し訳ないから。

 何が良いか考えておかないとね。


「うち?

 うちも家族かなぁ?

 兄貴の分と、お母さんとお父さんかな?

 あとはうちのもなんか買おうかなぁって感じ?」


「そっかそっか。

 婆ちゃんとかは近くに住んで無いのかい?」


「うん、そもそもうち婆ちゃんに会った事あるっけ?って言うくらいもう何年も会ってないし。

 すごい小さかった頃に会った事はあるらしいんだけど、うち全く覚えて無いんだよね」


 まぁよくあるパターンだね。


「そっか。

 お兄さんには何買うの?」


「うーん…。

 どうしようかね?

 まだ何も考えてない」


「そっか。

 だよね、私も。

 見てから決めようかな」


 髪も乾いたところで私達は部屋に戻った。

 部屋に戻ると既に布団が敷いてあった。


「お帰りー2人とも♪」


 梢と音葉が布団に腰掛けながら手を振ってる。


「ビックリしたよ!

 布団いつ敷いたの!?」


 と未央が驚いている。


「うちらも戻った時にはもう布団敷かれてたからビックリしてたの」


「そっか。

 きっと私達がお風呂に入ってる時にホテルの人が敷きに来たんだね」


「ね!」


 と音葉。


「皆んな場所どこがいい?」


 と未央。

 早速布団の場所の話を始める。


「私どこでも良いから余ったとこで良いよ」


 と私は言った。


「2人は?」


「うん、うちもどこでも」


「うん」


 と梢と音葉も。


「本当?

 じゃあうち端でいい?」


 と未央。


「うん、良いよー」


 と私。

 それに続いて2人も


「うん、良いよ」


「本当?

 じゃあうちここで♪

 皆んなありがとう」


 そう言いながら未央は端に敷いてある布団に自分の荷物を、置いた。


「2人は?」


 私がそう聞くと互いに目を見合わせて


「どうする?」


「どっちでも…」


「じゃあ適当にここで良いや」


 と自分の今いる位置から近い方を適当に選んで2人も場所は決定した様子。


「じゃあ私ここで」


 そう言って空いてる場所の布団に腰掛けた。


「ふぅ〜…。

 お風呂入ってさっぱりしたね」


 そんな風に雑談をしていた時またドアをノックする音が聞こえた。


「私出るよ」


 そう言って音葉がドアの方に歩いていく。

 ドアの方で里中と


「時間になったら皆んなに声掛けして1階のロビーのところに集合するように言っといて。

 お土産買うから財布忘れないようにって」


 と話をしている。

 私達は鞄から財布を取り出して待機した。


 暫くして音葉が戻って来て私達は1階のロビーに移動した。

 少し待つ事数分後里中もロビーに現れて


「皆んな居るか?

 これから買い物するけど店では騒がないようにな!

 それと今しかお土産買う時間設けないから買う人は今買ってくれ!

 それと一般のお客さんの迷惑にならないようにしてくれ!」


 との事だった。

 里中の話が終わって私達はお土産を選んだ。

 持ってきて良い限度額が3000円とは言え、毒両親の分と毒姉の分と祖母の分、御和君の分の4つ程なら過剰に値段を気にせずとも充分足りる金額だ。


 だが浮いたお金をこっそり貯金に回すと言う事も考えているので、出来れば安く済ませられたら良いなと思っていたりする。


 要は見栄えである。

 明らかに安物だろう、と思われるような見栄えでなければ良いのだ。

 値段さえバレなければ良いのだ。


 そう思いながらお菓子コーナーを見ながら色々と吟味していると300円くらいで15センチ大の箱入りサブレが売っていた。


 これなら値段が分からなければ5〜600円くらいには見えるだろう。

 毒姉と祖母にはこれを。


 毒両親に同じ物を買うと文句を言われ兼ねないので、毒両親には本当に600円くらいかそれ以上の物にしなくては。


 下らない事で説教されて時間と労力を無駄にするのが嫌なので数百円でそれを解決出来るのならそれが一番手っ取り早くて良いだろう。


 出来るだけ箱が大きくて美味しそうな物を探した。

 美味しくない物を買っても文句を言ってくるのが毒ファミリーの特徴だ。


 色々と吟味しているとミルフィーユみたいな美味しそうなお菓子で箱がそこそこ大きくて中身も割と入ってる感じのお菓子を発見した。

 お値段は700円程。

 買った!!!

 これにしよう!


 こういうタイプのお菓子なら日持ちもするし大抵の人が美味しいと思うはず。

 それに見栄えもお値段もリーズナブル!

 毒両親にはこれを買おう。


 さぁ、残りは御和君の分だ。

 お値段は出来るだけ安いもので、頂いた物と相応な物をお返し出来たら良いのではないかなと思う。

 何が良いか雑貨コーナーを見て回った。


 方言が書いてあるシャツとか変な旗とか微妙な物ばかりだ。

 しかも全然お安くない。

 中には"これ、わざわざここじゃなくてもどっかのコンビニとかでも買えそうじゃない?"と思われるような普通の物も置いてある。


 う〜ん…やはり同じくキーホルダー辺りが無難なのだろうか?

 そう思った時現地のキャラクターの様な絵が書いてある文房具を発見。

 とうもろこしに顔つけただけじゃん!?と言う様な単純なキャラだったが何となく憎めない顔をしている。


 手に取ってみるとどうやらボールペンのようで、赤と黒の2色ボールペンだった。

 ボールペンなら使うかなぁ?

 赤いボールペンは勉強に割と使えるから悪くないよね。

 赤いシートで隠れるから暗記物書いたりするのに良いし!

 それに黒は何処かに自分の名前を書いたりするのにも使える。


 ただお土産を適当にお返しするよりも、出来るだけ実用的なものを渡して今後使ってもらえた方が良いもんね。

 お値段も300円と丁度良いお値段だ。

 まぁ、あくまでもお土産として考えると、と言うレベルの話だが。


「お土産何買った?」


 と梢が言う。


「ん?

 これが姉でこれが親で…」


 とそれぞれを梢に見せる。


「え?

 雅の分これだけ?

 うち自分にもいっぱい買っちゃう。

 これでしょ…あとこれとこれとこれ…」


 本当に沢山買おうとしてるね。

 ここじゃなくても買えるじゃんってツッコミたくなる物もあるけど本人の自由だから否定はしまい。


「雅ももっと買えばいいのに」


「うん、まだもう少し見てから決めようかな?」


 と曖昧に返す。

 う〜ん…、実際にはボールペンは自分のって言うより御和君のお土産だからなぁ…。

 家に帰った時自分の分を何も買わなかった所を見られると毒両親があいつ金いくら残しやがったんだ?

 などとうるさく勘ぐられ兼ねないので、もう一つくらい何か買うべきかもしれない。


 何か実用的な物はないか私は自分用のお土産を探した。

 耳かきや爪切りまで売られているのが目に入った。

 確かにこの辺の物なら実用的だな。


 普段私は毒両親とあまり関わりたくなくて、毒両親のいない時間帯を狙って爪切りや耳かきを使っているので、これを機にリビングに降りずに済むアイテムを買ってしまうのも一つの手だな。


 そう思った私は耳かきと爪切りの値段を見た。

 耳かきの方は350円、爪切りは500円だった。

 高っ!


 こんなのドラッグストアでもっと安く売ってるよと思う所だが、まぁ耳かきの方ならばまだ買っても良い値段か。

 そう思って耳かきの方を買うことにした。


 あとはお土産の箱の裏を見て値段が書いてないかをチェックする。

 値段がバレないように。

 今はネットがない時代なので言わなければバレないだろう。


 そしてまるで沢山お金を使ったかのように家に帰って値段を聞かれた時に仄めかしておこう。

 毒両親のお土産は1200円だった、毒姉と祖母のは600円、耳かきは500円、そして+3%税だったと言っておけば殆どお金が残らなかった事は伝わるだろう。


 いくら毒両親の頭が悪くとも足し算くらいは出来るはずだ。

 うふふ…1000円以上は浮くね♡

 腹のなかで笑いながら会計を済ませた。


 お土産コーナーから出て音葉達を待っていると未央と音葉が出てきた。


「あれ?

 早いね」


「何買ったの?」


 と2人がこちらに歩いてくる。


「お菓子と雑貨とか文房具かな?

 2人は?」


「うち?

 うちは全部お菓子」


「私お菓子と雑貨♪

 見て見てこれ可愛くない?

 そう言いながら誕生石入りのキーホルダーをこちらに見せる音葉」


 うん、まぁこう言うの好きな人いるよね。

 くれぐれも学校に持って来ない事を強く推奨するよ。

 去年の中神さんの時の話もあるしね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ