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回転箒の真相

「じゃあさ、()()()って言う形じゃなくて、ゲームをポイント制にして1番勝った人に()()として何かお菓子とか渡すって形なら良いんじゃないかな?

 どう思う?」


 と私が一案を。


「あ!

 それだったら良いんじゃない!?

 うちはそれで賛成!」


 と未央。


「うん!

 良いよ!」


 と梢。


「良いね!OK!

 じゃ今ちょっとおやつ持ってくるわ!」


 と音葉。


「じゃうちも〜♪」


 と未央がノリノリ。

 私もおやつを鞄から取り出した。

 良かった、小分けできる系のおやつを持って来てて。

 個別包装されてないタイプだと分けるの難しいもんね。


「最初誰が親やる?」


 と未央。


「やりたい人がいなければジャンケンでどう?」


 と私。


「良いんじゃない?

 それで」


 と2人も。

 私達はジャンケンで親を決め、ゲームを開始した。


「ポイントどう付けていく?」


 と音葉。


「親と子がポイント同じだったら親の人にメリットがないよね。

 3人に勝たなきゃいけない訳でしょ?この場合」


 と未央。


「そうだよね、そしたらさ親の人が勝ったらポイント3点で子は勝った人は1点、負けた人は0点って言うのでどう?」


「3点かぁ〜…」


 どことなく不満そうな未央。

 きっと何か逆転を狙えるようなスペシャル感が欲しいのだろう。


「じゃ親が勝ったら5点とかでも良いよ?」


「あ!5点なら!」


 と未央が納得。

 後の2人も


「うん、良いよそれで」


 と了承してくれる。

 私達はゲームを再開した。


「私ここでストップにしておく」


「うちは引く!」


「私も!」


 などと口々に言いながらゲームは盛り上がった。

 ただゲームをして勝ち負けするよりもおやつという目標に向かってゲームをした方がより楽しめるのだろう。


 修学旅行のしおりの裏に4人の名前と各々のポイントを書いていく。

 親の役で勝つ事は実際はかなり難しく、子の役でちまちまと1点ずつ稼ぐのが現実的な流れであった。


 10ゲーム程繰り返した時に得点が高かったのは音葉だったので、優勝という事で各々から少しずつ出されたおやつの景品を手にしたのは音葉だった。


「おめでとう♪」


 とエールを送る私と梢と未央。

 そして


「おやついいなー」


 と少し羨ましそうに言う未央。


「みんなありがとう!

 本当にこれ貰っちゃって良いの?」


 と音葉が少し申し訳無さ気にも、少し嬉しそうにも言う。


「良いの良いの!

 勝ったんだから!」


 と私達3人。

 その様子を見て音葉は笑い


「じゃあ、遠慮なくもらいます」


 そう言って机の隅におやつを置いた。


「じゃ次こそうちも勝つぞー!」


 と未央が意気込んだ時ドアをノックする音が聞こえた。


「私出てくるよ!」


 そう言って私はドアを開けた。

 ドアを開けると里中が立っていた。


「そろそろ夕飯の時間だから2階の食堂に集まるように皆んなに声かけするように石垣に言ってくれ。

 じゃよろしく」


 そう言って里中は去っていった。

 学級代表も大変だな。

 そう思いながら私は音葉に伝言を伝えた。


「あ!忘れてた!

 雅ありがとう、私ちょっと行ってくるわ!」


 と音葉。


「手伝おうか?」


 と聞くも


「いやいや、良いよ!

 大丈夫、すぐ終わると思うから。

 ちょっと行ってくるね!」


 そう言って音葉は靴を履いて部屋を出た。

 私達はとりあえず畳の上に広げて置いてあるおやつを各々の鞄にしまい、食堂に行く準備をして音葉を待つ事にした。

 そして数分後音葉が戻ってきて私達も食堂へ向かった。


 まだ早い時間帯の為か食堂は空いていた。

 大きい長テーブルが置いてあり、班ごとに奥の方から詰めて座っていく。

 どうやらこの雰囲気だとバイキング形式ではなく、コースで出てくる感じらしい。

 私達は椅子に腰掛けながら夕飯が並べられるのを待った。


 暫くして前菜が並べられる。

 季節の物を取り入れましたという感じできのこをメインとし、その他ブロッコリー、トマト、パプリカなどが彩りよく入った炒め物の様な物が出てきた。

 前菜を眺めながら担任からの指示を待つ。

 まもなくして


「夕飯はコースで出てくるから料理が来たやつはもう食べ始めてて良いからな」


 との担任からの指示が出たので隣の未央や音葉達と


「来た?」


「うん」


「あぁ、じゃ食べよ食べよ!」


 などと会話をした後私達は料理を食べ始めた。

 ドレッシングのようなもので和えているのか、酸味がある刺激的な味がする。

 正に前菜と言う感じのメニューだ。

 酸味の効いた食べ物は割と好きな方なので美味しく頂けた。


 その後サラダやらスープやら色んな物が流れてきて、デザートが流れてくる時には既にお腹一杯になっていた。

 一品一品は少量ずつに感じて、本当にこの量でお腹一杯になるものだろうかとも思ったものだったが、そんな心配は無用だったようだ。


 その後夕飯を終えた私達は部屋に戻った。


「はぁ〜…お腹一杯だね」


「うん。

 おやつ入らないわ」


「分かる」


 と3人がそんな事を喋ってる。

 私も同感。


「それよりさ、お風呂までまだかなり時間あるから心理テストでもやろうよ!」


 と未央が。


「OK!

 今鞄から出してくるからちょっと待ってて」


 と音葉が自分の鞄をまさぐる。

 その間私達はテーブルを囲んで座布団に座りながらまったりする。

 音葉が本を持ってきて心理テストタイムが始まった。


「えぇと、あなたは寝ています。

 その時何か夢を見ました。

 夢に出て来たのは誰ですか?」


 と音葉が読みあげる。


「えぇ〜誰だろう?

 誰でも良いの?」


 と早速楽しんでいる未央。


「えぇ〜誰…かぁ。

 分かんないなぁ〜」


 梢も一生懸命何か考えているもよう。

 …これってさ、ありがちなパターンで


 "夢に出て来た人はあなたが今1番好きな人です"


 とか


 "夢に出て来た人はあなたにとって凄く大切な人です"


 とか言うんでしょ?

 そしてそう言う暗示にかかって意外とそれがきっかけで好きになっちゃう子もいたりいなかったり…。

 もう想像できちゃうよね。

 とりあえずあたり触りないものを言っておこう。


 そういえば夢と言えばこないだトイレで大をしていた夢を見たな。

 トイレットペーパーでお尻を拭いたら手が…と言うかティッシュが滑ってう◯こが手についた夢だったんだよな…。

 あれは寝覚めが悪かった。

 起きた後直ぐに自分の右手を確認してしまったくらいだ。

 本当に夢で良かったなと心の底から思ったものだった。


 そう言えばう◯こが手に付く夢って金運上昇の兆しがあるとか言われてるよね。

 根拠は凄く下らないけど


 "()()が付く"


 からなのだろう。

 実にくだらない。

 しかしそのジンクスのようなものがもしも本当だったとしたら空から100万円くらい降ってきてくれないだろうか?などと軽く願望を抱いていたりする。


「袋田」


 そう答えたのは梢だった。

 マジ!?

 もしも私が袋田の夢を見たとしたらその日一日気分がグロッキーだわ!

 と言うくらい夢に絶対出てきて欲しくない人物だわ。

 梢、どうかあんなのを好きになんかならないでね…。

 私全力でドン引きするから。


「下田」


 そう答えたのは未央だった。

 へぇ〜…。

 未央と下田って仲良かったっけ?

 喋ってるところあまり見た事無い気がする。

 でもやっぱり元気が良くて目立つタイプの人ってこう言う所で話題になりやすいんだなぁと思った。


「ねぇ雅は?」


 と音葉が聞く。


「ん?私?

 私は猫かなぁ」


 猫大好き。

 個人的な意見としては世界一可愛い動物だと思っている。


「ねぇ動物でも良いの?」


 と動物とかじゃつまらないと言う雰囲気を出す未央。


「ん〜…。

 いいんじゃないかな?

 多分…」


 と答えてる音葉。


「あぁ…そうなんだ。

 じゃ…良いや」


 渋々納得した様子の未央。


「んで結果何?」


「結果は夢に出て来た人はあなたの好きな人です」


 ほらね。

 まぁそんな事だと思ったさ。


「ウェ〜!!

 袋田!?

 ヤダヤダ!!

 キモい!」


 と身震いしながら全否定する梢。


「下田…」


 とか言いながら爆笑してる未央。

 皆んな若いなぁ〜。

 自分も子供だった頃にはこんな感じの反応をしていたのだろうか。

 実に楽しそうである。


「袋田好きなの!?」


 と真面目に梢に聞いている音葉。


「待って!待って!

 逆に凄く嫌いなんだけど!」


 と全否定。

 まぁ世の中言い方を変えれば大嫌いは無関心よりも大好きになれる関係…みたいなこじつけもあるよね。

 こじつけだしたらキリが無い。

 個人的な意見としては私はその論理否定派なんだよね。


 大嫌いな人は大嫌いで終わると思う派なんだよね。

 個人的な恨みがある場合には特にその傾向が強くなると私は思う。


 恨んでるのに好きになれる訳がない。

 万が一にも億が一にも今後想像もつかないアクシデントに遭遇する事があったと仮定して考えて、命を助けてもらうシチュエーションが存在したとしても、好きになる事は絶対に無い!!!


 命を助けてもらった事に()()()感謝をすれど、好きになるかどうかは別である。


「うちさぁ4年生の時に袋田と同じクラスだったんだけど、袋田に回転箒で肩の所思いっきり殴られた事があるんだよね!

 しかもその時かなり痛くてさ、痣までできてなかなか治らなかったんだから!

 うちまだ恨んでるからね!」


 そうだよね。

 私もそう。

 箒で殴られた訳では無いけど。


「え?

 なになに?

 なんで殴られたの?

 虐められてたの!?」


 未央が興味深々に身を乗り出して聞いている。


「なんかそれに近い。

 あの時さぁ新道と袋田が回転箒でチャンバラやっててさぁ。

 あ、新道って知ってる?

 今は別のクラスなんだけど、3〜4年生の時は同じクラスで袋田とよくつるんでた男子なんだけど」


「うん知ってる。

 1〜2年生の時同じクラスだったから。

 んで、それで!?」


 と未央。

 音葉はうんうんと相槌を打ちながら話を聞いている。


「でね、あの人達のチャンバラのせいで箒についてる埃とかそこら辺に散らばるんだよね。

 折角掃除してんのに!

 だからサボってないでちゃんと掃除してって言ったら逆恨みされて、うるせぇ!とか言って殴られたんだよね!」


 肩を殴られた事件の全貌を今やっと知った。

 そう言えばふと思ったんだけど、回転箒と言えばさぁ…私過去Aの時に不運にも壊れた回転箒の第一発見者になってしまったせいで里中に無理矢理嘘の自白をさせられた事があったんだよね。

 今世での松本君のように。


 もしかして回転箒を壊したのって袋田達なのでは…?

 過去Aでは私は虐めに対抗する術もなくされるがまま、虐められるがままだった。


 だけど今世では出来る限りの抵抗を精一杯した。

 当時の担任に話を大々的に取り上げてもらって。

 それから袋田が少しは大人しくなった訳だからここでもこうやって未来は変わったんだな。


 今世では箒が壊れていたと言う話は聞いた事がない。

 恐らく白城に叱咤された事がキッカケで大人しくなり、今世ではチャンバラごっこはあれきりでやめたのであろう。

 意外な所で回転箒の寿命を救ったのだろうな、きっと。

 ちっとも嬉しくないけど。


 それにしてもここへ来て知りたくも無い真実を知ってしまったが、やはり袋田って私にとって人生の害にしかならない人物だなと改めて思った。


 今世では箒は無事だったが、その代わりにと言わんばかりに中神さんのシャープペンの事件が起こったんだよな。

 本当、人生生きているとトラブルも何も無い生活って中々ないのだろうな。

 クラスのメンバーが変われば事件の内容も変わるものですかね?


「…でね、そん時に雅がうちらのために白城先生に色々言ってくれてさ。

 本当雅はうちの恩人だよ!

 あれから袋田からの嫌がらせは無くなったし、本当ありがとう!」


 突然の梢からのお礼に私は焦った。

 まさかこの話の流れから私の話へ移行するなどとは想像もしていなかったからだ。


 私は人助けをしようなどと言うような崇高な動機があって言いに行ったのでは無く、袋田への個人的な恨みを晴らすために起こした行動だった。

 だからこんな事に感謝をされるだなんて、かえって罪悪感すら感じてしまう。


 だけど誰かに面と向かってありがとうと言われると何となくむず痒いというか、嬉しいような上手く言い表せない感覚になるものだ。


「あぁ…いやいや…。

 あれから何も被害が無いのなら本当に良かったよ。

 私も言いに言った甲斐があったというものだよ!」


 何となく面と向かってお礼を言われた事に照れ臭さを感じながらも私はそう言った。


「いつも毅然としててさ、先生とかが相手でもはっきり自分の意見をスラスラ言えていつも凄いなぁと思ってたんだよね。

 うち、今だから言うけど雅に密かに憧れてたよ。

 だから友達になれて凄く嬉しかった」


 マジ!?

 梢の憧れはこんな人で本当に良いのか!?

 私中身をあまり外に見せないようにしてるから良く見える事もあるのかもしれないけど、中身は凄くグチャグチャしててしょうもない女だよ。

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