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ブラックジャック

「誰回す?」


 未央が聞く。


「誰でも良いよ。

 回したい人で!」


 私はそう答えた。

 後の2人も


「どうする?

 やる?」


 と互いに指を差し合っている。


「私良いや。

 横で見てるから未央やって良いよ」


 と音葉。


「うん、うちも見てるから未央やって良いよ」


 と梢も。


「じゃあうちやる?」


「うん、未央やんな〜」


 軽く頷きながら私も言う。


「OK、じゃあうちやるわ。

 じゃ誰か混ぜる係やって」


「私やって良い?」


 と音葉。


「良いよ、やんなやんな」


 と私と梢。


 話し合いの結果互いの役割が決まった所で私達はアイスクリーム作りを開始した。


「どう回せば良い?

 こう?」


 と言いながらジェスチャーで伝える未央。


「多分それで良いんじゃない?

 適当で良いよー。

 回して」


 と梢。


「うん、それで良いんじゃない?

 やろうやろう」


 と私も同意する。

 そして未央が最初は恐る恐る回し、途中から慣れて来たのかどんどん回し方が力強くなっていく。


「おらおらおらおらおら!

 おらおらおらおらおら!」


 何ともパワフルな掛け声である。

 若いって素晴らしい!

 と言うか、未央ってオラオラ系だったの?

 未央の知らない一面が垣間見えた様な気がした。


「ちょ…未央気合い入り過ぎ。

 アハハハハ」


 梢が笑い出す。

 私も笑い出す。

 音葉もつられて笑う。


「ハッハッハッハ!

 アハハハハ」


 うん、やっぱり楽しい!

 今世では何をやっていてもこの3人が居たら凄く楽しい。


 アイスクリームの方は最初はこんな回してるだけでアイスなんか本当に出来るのだろうか?とやや懐疑的な感じだったのだが、音葉がゴムベラでミルクを剥がす度に少しずつ少しずつ固まって来ているのが分かる。


 凄いな、本当に氷の上でボールを回すだけで出来ちゃうんだなぁ。

 なんか見てるだけでも面白い。

 って過去Aでも一度見てるはずなんだけどね。

 あの時は大人数の輪の外で人の後ろから少し覗く様な形で見ていただけだから、こんなにじっくりと見ていた訳ではなかったのだった。

 だからある意味殆ど見てもいない様な感じだったんだよな。

 殆どの事を忘れていると言うことはそう言う事なのだろう。


 あぁ!

 もう!

 やめようやめよう!

 つまらなかった過去の話なんか!

 今はこんなに凄く楽しいんだから!

 つまんない事なんか忘れよう!

 楽しみが半減してしまう。

 出来る限り私は過去を思い出すのはやめる事にした。


「あ!

 ねぇ凄い硬くなって来てる!

 凄いねぇ!

 本当にアイスが出来ちゃったよ!

 これ食べてみたいな」


 と未央。


「ね!

 私もそう思う。

 食べちゃダメなのかな?」


 と音葉。


「ちょっとくらいならバレないんじゃない?

 こっそり一口食べてみよう」


 と梢。


「良いかな?

 じゃあ一口だけ」


 そう言って未央がゴムベラで少しすくったアイスをつまむ。


「どう!?

 美味しい?」


 音葉と梢がそう聞くと未央が咀嚼中の口を片手で隠しながら反対の手でグーのポーズをする。


「マジ?

 うちもちょっとだけ」


 そう言って梢もつまむ。


「うん!

 本当、普通のアイス!

 普通に美味しいよ、2人も食べてみたら?」


 と勧めてくれる。

 私と音葉は目を見合わせた後


「じゃあ私達も少しだけ…」


 そう言ってつまんだ。

 本当!

 普通に美味しい。

 普通のミルクアイスみたいな感じだった。

 過去でも最後に作ったアイスを各々に配って食べてみましょうと言う事で食べた記憶がある。

 あの時よりも何となく美味しく感じるのはやっぱりこの3人が居てくれたから。


「うん!

 美味しい!

 ね?」


 私も音葉に問いかけながら言う。


「うん!

 ね!」


 音葉も笑顔でそう言う。


 周りを見渡すとどうやら私達の班以外にもアイスが完成した班もあるようだ。


「先生!

 これ出来たやつ食べて良いんですか?」


 と聞いている班も。


「まだもう少し待ちなさい。

 今皆んなにコーンを配るから指示が出るまでまだ食うのは待ってくれ」


 里中は大きな声で皆んなにそう指示した。

 お先に少しつまんでしまった私達は互いに目を見合わせて気まずそうにシーッのポーズをした。

 そして待つ事数分後手元にコーンが渡り私達は各々適当にアイスを乗せた。


「はい!

 コーン皆んなもらったか?

 もらってない奴いたら手を挙げてくれ!

 貰った奴はアイスを食べていいです」


 里中からの指示が出たので私達は早速乗せたアイスを食べ始めた。

 お互いに目を見合わせながら


「美味しいね」


 と言い食べた。

 作りたてのアイスは想像していたよりも柔らかくて口当たりが滑らかで美味しかった。


 バニラアイスというよりも牛乳アイスという感じの味でバニラ特有のツンツンとした癖のある香りはしなく、バニラアイスが苦手な人でも食べれてしまう一品かもしれない。


 アイスを食べ終わった私達は再び担任の指示に従ってバスへと戻りその後郷土資料館へと向かう。


 資料館に入る前に展示物に触るなとか館内で走り回るなとか騒ぐな、おやつを食べるな等の、ごく当たり前過ぎて聞いててつい欠伸が出そうな程の内容の注意を促された後館内に入る。


 館内は閑散としていて私達以外の一般客は殆どいなかった。

 まぁこういう場に一般客としてくる人はこういう資料物に本当に興味のある人しか来ないだろうから少ないのだろう。


 ここでも班で纏まって入り口付近の辺りから順に奥の方へと展示物を見ながら歩いていく。

 数十年前も同じ物を見たんだろうけど、どれも全部記憶がない。


 あの当時は展示物や資料を見てもあまり意味が分からなかったからだろう。

 今になって見てみると、ここがそもそもなんの郷土資料館だったのかがやっと分かった。


 どうやらここはこの地域の農場を誰が一番先に始めて、その人が当時では画期的だと思われた方法で土地を改革し町を盛り上げたと言う事についての資料館だったらしい。


 そしてその人物は何て言う名前の人物で、その人がどこの生まれでどんな生い立ちで、何年にどこで何をしたのかと言うような感じである。


 まぁこう言っては申し訳ないが個人的にはあまり興味がないかもしれない。

 班の他の3人も展示物や資料を見てはいるものの私と同じようにあまり興味がなさそうな雰囲気である。

 まぁ小学生なら大抵そうだよね。

 興味ある人の方が少ないのではないだろうか。

 と私は思った。


 一通り見終わった後は他のお客さんの邪魔にならないよう外に出て待っていていいと言う事になっていたので、私達は外で待つ事にした。

 その暫く後時間になり集合した後私達は再びバスに乗ってホテルへ向かった。


 室内の浴室は使うなだとか、洗面台で洗髪をするななどの恒例行事のような決まり事を聞かされた後、私達はようやくホテルにチェックインした。


 ホテルの鍵をリーダーの梢が里中から受け取る。

 一般のお客さんの邪魔にならないようエレベーターの使用は禁止とされているため階段で部屋へ向かう。


 鍵に書かれている番号の部屋に移動して夕飯までの暫しの間部屋で休憩となった。

 部屋は4人には十分な程のスペースがあり、広々としている和室だった。


 畳のい草の香りが何とも心地良く落ち着く。

 お茶でも飲みたくなったので部屋の隅に荷物を置いた後、早速私はお盆に乗っている茶碗に用意されていたティーパックを入れてポットのお湯を注いだ。


「お茶飲む人ー!」


 私がそう聞くと


「はーい!」


 と3人ともが手を挙げる。


「OK!

 じゃ全員分用意するね!」


 そう言って私はお茶を入れた。

 部屋に着くやいなや私達は早速ティータイムとなった。


「はぁ〜…落ち着く」


 そう言ってお茶を飲見ながら深いため息を漏らすと


「ハッハッハッハ!

 雅ババくさいよ!」


 と未央が大笑い。

 後の2人もつられて笑う。

 そして私も笑う。

 うん、ババァだもん。

 もうね、ババァは今日はあちこち行ってくたびれましたよ。


 と言ってもお昼含め3カ所だけど。

 バスに乗って数時間揺られてるだけでもくたびれるもの。


 今日はもう早く寝たいわ。

 明日は軽い登山もあるし体力を温存しておかないとね。


「そういえば今何時?」


 と未央。


「ん?

 部屋に時計とかあるっけ?」


 私はそう言いながら部屋をキョロキョロ見回す。


「あ!

 テレビつければ分かるかな?」


 と音葉。


「あ!良いね!

 付けよ付けよ!」


 そう言って梢がテレビのスイッチを入れる。

 何やらニュース番組のようなものが映る。

 その左上の方に時刻が表示されている。

 丁度良かった。

 前にこの部屋に泊まった人も私達と同じ目的でテレビを付けたのかもしれない。


「夕飯までにまだ1時間以上あるね!

 なんか暇じゃない?

 トランプでもする?」


 と未央。


「あ!良いね!

 賛成ー!」


 と梢。


「私もー!」


 と音葉。


「うん!

 やろうやろう!」


 私もそう言う。

 未央が鞄からトランプを取り出してテンを切りながら


「何やる?」


 と言う。


「どうしようか?

 何かやりたい人いる?」


 私がそう聞くと


「うちじじ抜きとババ抜きしかルール知らないんだよね。

 あ、あと神経衰弱だったらルールは分かるよ!」


 と梢。


「音葉は?」


 と梢が音葉に問いかける。


「私はさっき梢が言ったやつと豚のしっぽなら知ってるよ」


「あー!

 知ってる!

 あの丸く並べて真ん中のカード叩くやつでしょ?」


 と梢。


「うん、そう」


「個人的な意見なんだけどさぁ。

 叩く系やめない?

 ゲームに夢中になり出したら争いになりそうじゃない?」


 とややしかめっ面で梢が言う。


「あぁ、分かる。

 今の痛かったとかさっきの本気で叩いたでしょ?とか、わざとじゃないとか、強く叩いたつもりは無かったとか…。

 確かに争いの種になりやすいし雰囲気が悪くなりやすいよね」


 私も激しく同意する。


「まぁ…否定はしない。

 けどまぁ!

 あくまでルールを知ってるって言うだけの話だから!

 ババ抜きとかで全然良いよ!」


 と音葉が気を遣ってフォローを入れてくれる。


「うん!

 まぁまぁまぁまぁ!」


 と双方に気を使って同意している未央。

 2人とも何だか気を遣わせてしまってすまないね。


「雅は何か知ってる?」


 音葉が私にふる。


「さっき2人が言ったやつとブラックジャックとポーカーなら知ってるよ」


「ブラックジャック?

 なぁに?それ。

 何か名前がかっこいいね〜」


 と梢。


「はーい!

 うち知ってるよ!」


 と未央。


「じゃあ未央説明お願い」


 私がそう言うと未央がブラックジャックのルールを2人に説明してくれる。


「まず親と子っていう役を決めるんだよね。

 親は1人で子は親以外の全員。

 親は誰がなっても良いんだけど、大抵はゲーム強い人とか運が強い人なんかがやるのがゲームのバランスとしては良いって言われてるね。

 そして親と子で対決して親が負けたら親が交代、子が負けたらそのままゲームを続けるっていう感じ」


「ねぇねぇ、それって例えばうちが子で未央が親だったらうちと未央が対戦した後に音葉と雅が未央と対戦するって事?」


 と梢の質問。


「ん?いやいや!

 1人ずつじゃなくて皆んなで勝負するのさ。

 あくまで役は役。

 例えばうちが親だったら、うち対3人さ。

 3人の中の誰か1人がうちが持ってるカードの数字よりも強ければ子の勝ちって事で勝った人とうちが役交代するってだけさ」


「あ!なるほど!

 そういう事!」


「んで続きなんだけどまず2枚ずつ全員にカードを配って、それぞれ手元に来たカードを相手に見られないように見るんだよね。

 そしてカードの数字の合計が21に1番近い人が勝ちなんだけど、中々都合よく揃ってはくれないからそれぞれ追加でカードを引くの。

 Aは1、2〜10まではそのまま書いてある通りの数の数え方で、J、Q、Kは絵柄って言って3つとも数字の10扱いでの数え方になるよ。

 例えば、AとJを引いたら合計した数は11って事になるよ。

 そしてお互いに丁度良い所で勝負するのさ。

 カードを引いた時に21を超えたらその時点で負けになるからカードを追加する時は考えた方が良いね」


「21を超えなければ良いの?」


 と音葉。


「うん、そう。

 例えば2枚の合計が15とかだったらかなり迷い目だから引いたカードの運が悪かったら21超えて負ける事もあるよ。

 7以上を引いたら負けるし、運良く6を引ければ丁度21になって一番強い数字になるし。

 もしくはカードを引かなくても相手のカードが15以下だったらそのまま15で勝つ事もあるし。

 その辺は自分の勝負運次第ってトコかな」


「うん、何となくだけど分かったよ」


 と音葉と梢がルールを理解した様子。


「どうする?

 何か賭ける?」


 未央がトランプをいじりながら言う。


「固い事言っちゃうと賭博って駄目なんじゃなかったっけ?

 前にうちのお父さんが言ってた様な気がする」


 と音葉。

 真面目だねぇ…。


「う〜ん…。

 でもただ勝負するだけじゃなんかつまんなくない?」


 と未央。

 梢は2人を交互に見つめながら様子を伺っている。

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