アイスクリーム作り
「じゃ急ごう!
グーチーグーチー合った者!
…者!
…者!」
3回目で私達はバランスよくグーとチーに分かれた。
「OK!
じゃうち音葉と隣だね!」
「うん、私は梢と隣だね。
宜しく!」
私がそう言うと梢も
「うん、宜しく!」
と笑顔で言った。
バスに乗り込んで奥の方からどんどん詰めていく。
「雅どっちに座る?
窓側と通路側」
本音を言うと車酔いするの嫌だから出来れば窓側が良いのだが。
「梢どっちがいい?
車酔いする方?」
私が聞くと
「…うん。
できれば…窓の方が…」
…ですよね…。
まぁ仕方あるまい。
友人が具合悪くなったら大変だから今回は譲ろう。
「じゃ、良いよ」
そう言って窓側に座るように手でジェスチャーする。
「本当に良いの?
ありがとう!
凄く助かる!」
「いえいえ。
楽しもうね♪」
どちらかが譲らなければ始まらないからね。
仕方ない。
「うん!」
こうして無事席も決まり、私達は現地へと出発したのだった。
バスガイドの初めの挨拶と通る道々の観光案内を軽く聞き流すように聞きながら、後ろの席の未央達や隣の梢との会話を楽しむ。
暫くするとガイドの人とレクリエーションの司会役の人がバトンタッチしてレクリエーションが始まる。
「これから皆んなでゲームをやります。
まず最初のゲームは伝言ゲームです。
こっちの右側の前から後ろに向かって伝えてって一番後ろまで回ったらUターンをして左側の後ろから前の人に順に伝えてって下さい。
じゃあ最初の言葉は…」
と流れてくる。
そして私達の前の席の人が私達に耳打ちする。
"弟のアイスはマニラ味だって"
マニラ味って…何?
どんな味?
多分さ…バニラ味の間違いだよね…?
このまま伝えるのもゲームとしては一興なんだけど修正しておくか。
そう思って後ろの席の未央に
"弟のアイスはバニラ味だって"
と伝えた。
隣の梢も音葉に伝えてる。
そして役割を終えた私達は最後の人まで伝わるのをくつろぎながら待った。
そして暫くして
「え〜と…最後の人まで回ったそうなので最後の人に回ってきた言葉を言ってもらいます。
じゃあ、どうぞ」
「え〜と、弟のあそこはバニラアイス…?」
その言葉の直後バスの中で爆笑の嵐が巻き起こった。
…私はちゃんと伝えたからね?
だがしかし、やはり下ネタは万国共通どんな人でも笑顔になれるお手軽で素晴らしいネタである。
下ネタって最強かも。
ひとしきり笑い終わった後隣の梢が
「ねぇ雅は未央に伝える時何て伝えた?
うちはねぇ弟のライスはマニラ並みって聞こえたから音葉にそう伝えたんだけど…」
…何か色んな人が居るね。
隣ではもう既にだいぶ違うし。
私は失笑した。
「私は弟のアイスはマニラ味って聞こえたんだけど、マニラ味って何!?って思った時に多分バニラの間違いだろうなと思ったから未央にそう伝えたんだよね」
「え!?マジ!?
隣なのにもう既にこんなに違ってたんだね」
吃驚しながら梢が言う。
「私もそれ思った」
「ねぇねぇ未央は何て聴こえてたの?」
と梢が後ろを椅子の上から覗きながら未央に聞く。
「うん、うちも雅からは弟のアイスはバニラ味って伝わって来たよ。
だからここまでは合ってたんだよね」
と自分たちの方を指差しながら言う未央。
「え!?
そうなの!?
私は梢から弟のライスはマニラビ〜ンって聞こえた」
「ぶっ…!
ブァッハッハッハッハ…」
4人で失笑の後の大爆笑。
「本当面白いよね〜。
この時点でちょっとずつ何か違うもん」
と梢。
「そうそう!
しかもマニラビ〜ンって何?」
私がそう言うと
「そうそう!ビーンズとかなら分かるけど何その寸止め感!」
と未央。
そしてそれを聞いた私達はさらに笑いのツボにハマっていく。
「アッハハハハ…」
4人の間で暫く笑いが続いた。
そしてその後何回か伝言ゲームを繰り返した後次のゲームに変わった。
「え〜と次は記憶しりとりをやります。
ルールはまた右側の前の方から順にしりとりをやっていくんですが、例えば1番目の人がサルって言ったら2番目の人はルビーって言うとしたら、1番目の人が言ったサルって言うのを付け加えてルビーって言ってください。
3番目の人は1番目の人と2番目の人が言ったやつを加えてルビーから繋がる物を言うと言う感じでどんどん前の人が言った物を付け加えて言って下さい。
1人ずつ言って行ったら時間がかかるので、隣の席の人と2人1組でやってって下さい」
うわぁ〜やだなぁ〜。
なんか記憶力テストみたいな。
私は時間をかけて何かを覚える事は出来ても、こう言う即席の物をパッと覚えて下さいって言われたら凄く苦手なんだよね。
でも仕方ない…。
とりあえずやってみる事にしよう。
皆んながなるべく簡単な物を言ってってくれてると少しは覚えやすいかも知れないから嬉しいかも。
簡単な物が流れて来ることを願いつつ私は順番が回って来るのを待った。
暫し待った数分後に前の席の人から回ってきて
「あのね、飴→目糞→蕎麦→ババア」
ババア!?
それ有り?
隣の梢と目を見合わせる。
そしてまたもや失笑が漏れる。
「ぷっ…。
ババアって!
アハハハハ」
隣の梢も爆笑している。
前の席の2人も私達につられて笑う。
「笑ってないで早く回して!」
私達より後方の席の人達が若干イライラした雰囲気で言う。
「あ!
早く回さないと!
何する?」
私がそう言うと梢が
「あ〜…。
"あ"だよね?」
「うん、"あ"から始まるやつ」
と私。
「じゃあね、あ…あ…、秋で!」
「OK!
じゃ次回すね」
私達は後ろの席の未央達に回した。
そして暫し待ち数分後に皆んな終わった様子で最後の人がマイクで
「え〜と…飴→目糞→蕎麦→ババア→秋→菊→糞→空→ラクダ→ダ◯フンダ→暖炉→ロバ→バキューム→ムチ→チ◯コ→駒→ま◯こ→昆布でした!」
と笑いながら言う。
それを聞いた皆んなもまたまた爆笑の嵐。
やたら下ネタが多く感じるのは気のせいか…?
しかもなんか一つ物じゃない物も混じってなかったか?
でも楽しければ良いや♪
私も皆んなにつられて笑った。
まだ1日目。
1日目にして明日腹筋が筋肉痛になるのではと思うほど凄く笑った。
過去Aでの修学旅行なんて何かを思い出せと言われても楽しかった事など何も思い出せないほど何もない存在だったのに、今世でのこの違いは何!?
修学旅行ってこんなに楽しかったっけ?
―現地にて―
あぁやっと着いた〜。
ずっと座りっぱなしで腰とお尻が痛くなり始めていた私はバスを降りた時両腕を広げて思いっきり伸びをした。
着いたのは何処かの広い公園のパーキング。
どうやら今お昼時らしい。
時計が無いと時間って分からなくなる。
班ごとに並んで担任の指示に従って公園内に移動する。
公園の木々もイチョウの葉や紅葉の葉が色付いて色鮮やかに繁茂している。
公園の真ん中辺りと思しき場所まで来た時、各クラスの担任は足を止めてお昼の指示を出す。
「今から昼御飯の時間にする。
時間はえ〜と…」
里中が自分の腕時計を見ながら
「今が12時15分くらいだから1時15分まで休憩にします!
弁当の他に持参して来たおやつも食って良いけどちゃんとゴミは各自持ち帰るように!
以上、じゃあ時間まで解散!」
各班ごとに集まって敷物を敷いて弁当を広げる。
「わぁ!梢の弁当可愛い!
ねぇねぇ!
ちょっと皆んな見て!
梢の弁当めっちゃ可愛いんだけど!」
そう言って感嘆の声を上げているのは未央だった。
言われるままに見ると可愛いキャラ弁だった。
なんのキャラかは分からないけど可愛かった。
きっと梢のお母さんはこう言うの作るの好きな人なんだろうな。
手が器用なのだろう。
「うふふ、皆んな良かったらお好きなのをどうぞ」
そう言って梢が照れ笑いしながら私達に差し出す。
「え〜でも悪いからいいよ。
梢がお食べ」
私がそう言うと
「良いの良いの。
うちも雅の何か貰うから♡」
なるほど!
それなら気まずくないね。
「うん、それなら遠慮なく頂こうかな?
私は…わぁ!
コレなあに?卵?」
「うん、ゆで卵。
それにする?」
「これうさぎ?
可愛い!
良いの?これ頂いて」
「うん、全然良いよ!
うちいっつも遠足とかの時弁当に入ってるから珍しくないから」
何と!
贅沢な。
「それより雅の弁当も美味しそう!
これスパゲティ?」
「うん、そうだよ。
それにするかい?」
「良いの?
やったぁ!」
梢は嬉しそうに冷凍食品のスパゲティをつまむ。
私の弁当は卵焼きと米以外は全部冷凍食品だった。
梢のように手間をかけてお弁当を作ってくれる親がいる人からしたら冷凍食品のお弁当って魅力的に見えるのかもしれない。
隣の芝生は青く見えるものなのだろうな。
未央のお弁当は冷凍食品っぽい物も入ってはいるがちゃんと手間がかけられている物も入っている。
うさぎに見立てられてカットされてるりんごとかお弁当サイズに小さくカットされている焼き魚などだ。
色んな意味でバランスが良いお弁当だ。
そして音葉は弁当がまたキノコや山菜ばかりで嫌だと嘆いている。
う〜ん…子供だからウインナーなどの脂の乗った物が食べたいんだろうけども、考えてみたら凄く贅沢な悩みである。
大人になって自分で自炊をするようになると、山菜をスーパーで買う事を躊躇するようになる。
腹が膨れる程の量が無い割にとにかく値段が高いからだ。
少量の山菜が入ったパックを1パック4〜500円も出して買うよりもキャベツや大根など安くて大きい野菜を買ったほうが満足感は得られるし経済面で凄く助かるからだ。
キャベツも大根もどちらも美味しいし。
そう言う理由で私は山菜などもう何年、何十年食べていないことか。
お互いの利益が一致するのならここはひとつ物々交換と行きませんかね?
そう思いながら私は音葉に
「音葉も良かったら何か交換するかい?」
と声をかける。
「本当!?
雅ありがとう!
じゃあそのナゲットもらって良い!?
私の山菜とかキノコどれでもいいよ!
本当好きなの持ってっていいから!」
目を輝かせながらナゲットをつまむ音葉。
私は
「じゃあこのこごみの天ぷらもらって良いかい?」
と聞くと
「あぁ!
もう!
全ッッッ然良い!
持ってって持ってって!」
と嬉しそうに音葉が言う。
何と贅沢な。
きっと将来このこごみの天ぷらの価値がわかる日が来るよ。
意外と高級なんだって。
冷凍食品のナゲットなんかよりずっと単価高いと思うよ。
それよりも…。
あぁ〜…久しぶりにこごみの天ぷらなんか食べた。
美味しいわ!
滅多に食べれないからなぁ。
こういうのって本当に胃にしみるよね。
食の幸せだわ。
私は山菜の天ぷらを噛みしめながら味わって食べた。
ご飯を食べた後はおやつを食べても良いことにはなっているものの、何だかんだでお腹一杯でおやつを食べようという気にはならなかった。
だけど友人3人はおやつの交換を楽しみたい模様だったので私も交換だけ楽しんで食べるのは後に回すことにした。
どこかでまたおやつを食べても良い自由時間くらいは設けてくれる事だろう。
そうこう休み時間を楽しんでいるとそろそろ時間のようで担任から出発の準備を促される。
私達はそれに従って弁当や敷物などの荷物を纏める。
私はこの後の予定をしおりで確認した。
この後はアイスクリーム作りの体験だ。
今世ではこの4人でアイスクリーム作りをする。
絶対楽しくやれるだろう。
そう言う自信さえ湧くほど私は今、凄く充実した気持ちだ。
時間になり私達は再びバスに乗り移動をした。
―アイスクリーム作り体験―
アイス作りはどこかの施設の室内で行われる。
施設内に入ったら既に直ぐに始められるよう器具や材料などが用意されている。
用意されているのはステンレス製のボールが2つとゴムベラ、それとミルクと思しき物と氷であった。
各班でペアになって分かれる。
そしてこれから何をどうすれば良いのか、施設の人の説明が始まる。
まずボールに入った氷に塩を混ぜて温度が下がりやすい環境を作るらしい。
それを聞いた時に昔、氷に塩を混ぜて試験管の水を凍らせる実験を理科の授業でやった事を思い出した。
あの時は特に深く考えたりしなかったが、意外とこんなに身近な使い方があるもんだなと思った。
アイス作りは身近ではないけれど、この環境を利用して缶ジュースを短時間で冷やすと言うような使い道なら普段家でも使えそうである。
塩を混ぜた氷の上にもう一つのボールを乗せてその中に用意されているミルクを入れてボールを氷の上で回すらしい。
ある程度回したら都度ボールの端にくっ付いているミルクをゴムベラで剥がしながらまたボールを回すのだそうな。
一度過去Aで体験したはずなのにこんなのやったっけ!?と思ってしまうほどに忘れている。




