自由研究
※作中に出てくる童話は著作権フリーの物を一部引用して作成しております。
この小説を書き始めて約半年程が過ぎました。
月日が経つのは早いものですね。
とうとう今日のこの投稿が今年最後の投稿となりました。
皆様良いお年をお迎えください。
拙い小説ですが、また来年も宜しくお願い致します。
今年は何か一風変わった物を作りたい。
いつもはあまり時間のかからない物をと考えているのだが、今年は何となく変わった事をしたくなったのだった。
何となく日常に刺激が欲しかったのかもしれない。
そう思った私はふと昔のゲームブックを思い出した。
特に理由はない。
何となくふと頭に浮かんだのだ。
私は何かを想像したりIFの世界を考えたりする事が好きだったりする。
例えば何か小説を読んでいて、もしもこの登場人物達の出会う順番が違ったら?などと考えたりするのだ。
本編をただ読むだけの楽しみ方もあるが、こう言った違うテイストで考える事はまた違った楽しみがあるものだ。
そう考えた事から短編のゲームブックを作って見ようと思ったのだ。
時間的に考えて長編を書くには夏休みという期間だけでは書き終える事は難しいし、第一私はゲームブックをそもそも作った事がない。
初心者だから短編からやり始めるのがいいのでは無いかと考えたのだ。
これならば材料は何も買う必要は無く、単純にノートとシャープペンがあれば十分に出来る。
さて、では何を題材にするか?
私は図書館に何か題材に出来る本を探しに行く事にした。
―図書館にて―
まずはどんな物を題材に選ぼうか?
普通の小説だとそもそもの話が長くどうしてもそこからストーリーを派生させて付け足して行くと必然的に長くなってしまい、夏休み中に作り終える事は不可能だろう。
だから選ぶのなら童話のような元々の話が短い物を選ぶのがいいだろう。
それならばストーリーを書き足して長くなってしまったとしても、全体的な長さで考えたら短編くらいに収める事が出来るし、頑張れば休み中に作り終える事もできるだろう。
さて、そうと決まったらどんな童話にしようか?
全く知らない話を書くよりは馴染みのある物の方が想像もしやすい所から題材は"ヘンゼルとグレーテル"に決めた。
童話コーナーで本を見つけ戻る途中の席に私と同じくらいの年頃の女の子が何やら難しそうな分厚い本を読んでいるのがチラリと見えた。
本のタイトルは医学書と書いてある。
何か調べ物だろうか?
私と歳が変わらなそうなのになんだか凄いな。
世の中には色んな人がいるよね、としみじみ思った。
さてそれよりもまずは自由研究に集中せねば!
この童話を読んだのはもう何年ぶりだろうか?
あまりにも昔過ぎて内容が少し曖昧だったので、本をもう一度読んでみる事にした。
本を持って椅子に座り私は読みながら今年の自由研究作りに取り掛かったのだった。
―ヘンゼルとグレーテル―
昔々あるところにきこりの一家がありました。
その家族は4人家族でお父さん、お母さん、ヘンゼル兄とグレーテルという妹の4人です。
その家族は木を切ってその木を街に売りに行き、そこで得た収入で細々と暮らしておりました。
ところが、やはりその僅かな収入だけでは一家4人が生活して行くには凄く苦しく日によっては食わず、飲まずの生活を強いられるほどでした。
そこである日両親は…
◎ヘンゼルに仕事を手伝わせる事にしたのでした→Aへ
◎グレーテルに仕事を手伝わせる事にしたのでした→Bへ
◎このままの生活を続ける覚悟をしたのでした→Cへ
◎この兄妹を森に捨てに行く事にしたのでした→Dへ
A→両親は男の子であるヘンゼルの方が力も体力もある事からお父さんと一緒に森へ出掛けて行き、沢山の木を切り街へ売りに行かせる事にしました。
ところが木が沢山あるからと言っても決して売れる訳でもなく、寧ろ沢山あるという事から足元を見られてしまい、安価で捌かれてしまって全く儲かりませんでした。
その為生活が苦しい事には変わりはなく、結局兄妹は森に捨てられる事になってしまうのでした。→Dへ
B→グレーテルは大変器量の良い子だったので笑顔と魅力でいつもの木々を高値でふっかけて売って帰って来る為大変儲かり、生活がだいぶ豊かになりました。
グレーテルの素質を知った欲張りで傲慢な母親は更にもっと多くのお金が欲しくなりました。
だからグレーテルにはもっと他に儲かる仕事が無いかと探し、候補を3つ見つけました。
それは…
◎街の1番儲かっている高級店に働きに行かせる事にしたのでした→Eへ
◎金払いが良いと言えばやはりコレ!
グレーテルもそろそろ良い年頃なので街の怪しいお店に働きに行かせるのでした→Fへ
◎「うちの娘は凄く利発で器量が良いんですよ!
まだ若いですし、嫁にでもどうですか!?」
と言う文句をセールスポイントにどこかの金持ち貴族にグイグイ勧め、金持ち貴族に娘を売るかの様に嫁がせる事にしたのでした→Gへ
C→4人とも家族愛という固い絆で結ばれたまま、仲良く飢えてあの世に旅立ちました→end
D→両親も人間なので自分達が飢えて死ぬのは嫌なのでした。
だから自分達が飢えて死んでしまうよりは子供を捨てた方が良いと思ったのです。
そう決めた両親は森に2人を捨てに行きました。
ですがヘンゼルの知恵にて子供達は家に帰って来てしまったのです。
なので今度は簡単には帰って来られないほどの森の奥深くに捨てに行ったのです。
捨てられた2人は沢山歩きまわった後、お菓子の家を見つけました。
お腹がペコペコだった2人は…
◎我慢が出来なくなりガツガツとお菓子の家を食べ始めました→Hへ
◎世の中こんなに上手い話がある訳が無い!
きっと何かのワナに違いない!
そう思った2人は今にも唾が湧いて出てくる所をゴクリと飲み込み、目を瞑ってその家を通り過ぎる事にしたのでした→Iへ
E→利発で器量の良いグレーテルはたちまちのうちにその店の看板娘となり、街中で有名になりました。
その為沢山の収入を得るようになったのですが、このまま母親に収入を絞り取られるだけの毎日に疑問を感じ、大好きなヘンゼル兄さんだけを家から連れ出して2人だけで生活をしたいと考えるようになりました。
後に2人で家を出、人目に付かぬどこかの山奥で細々と暮らしました。
一方、グレーテルに見捨てられた両親はどうなったのかは誰も知りません→end
F→艶かしく美しい娘に成長したグレーテルはある日、常連だった凄く身なりの良いおじ様に見染められたのです。
実はその男はこの国の国王だったのです。
グレーテルはトントン拍子にその男の妻として国に迎えられ王妃となり、大金持ちになりました。
が、しかし嫌がる自分に無理矢理怪しい店で働かせた欲張りで傲慢な母親をずっと恨んでいたので国の兵士に命じて母親は生涯牢獄で幽閉し、父親にはある程度の手切れ金を渡し、今後城へは近寄らないように命じました。
そしてヘンゼル兄は自分の執事として雇い、大切に扱いました。
こうしてグレーテルは一生お金に苦労する事なく幸せに暮らしました→FIN
G→母親のエゴで気持ち悪いおじさん貴族に身を売られたグレーテルはお金持ちにはなりましたが、私を売ってそのお金で自分達だけが楽して良い暮らしをしている母親に恨みを持っていたので、貴族の権力を使って屋敷の使いの者に母親の暗殺を命じました。
その後取り残されたヘンゼルと父親がどうなったのかは誰も知りません→end
H→「私の家をガリガリとかじるのは誰だい!?
家を壊さないでおくれ!」と怪しい老婆が現れて家の中に招待されました。
お腹が一杯になるまでご馳走を振舞ってもらい、夢のような1日を送った2人でしたがその老婆は魔女でした。
ヘンゼルは幽閉され、ヘンゼルが太って食べ頃になるまで毎日毎日グレーテルは魔女にこき使われました。
「何故私達がこんな目にあわなければならないの!?」とずっとストレスを溜め込んでいたグレーテルは…
◎家の中にあった斧を振りかざし魔女を殺そうと襲いかかる事にしたのでした→Jへ
◎外に生えている毒草で毒薬を作り魔女の食事にこっそり混ぜて魔女を毒殺する事にしたのでした→Kへ
◎まだ行動すべき時ではない、そう思ったグレーテルはじっと様子を伺ってチャンスが到来する時を待つ事にしたのでした→Lへ
I→もうどのくらい森の中を歩きまわったであろうか?
お腹はペコペコだし、喉もカラカラで頭が朦朧とし始めた頃、湖のほとりの様な場所に出ました。
そしてその向こう側に一軒のお屋敷の様な建物が見えました。
あぁ、とうとう幻まで見える様になってしまった。
僕らはもうこのまま死んでしまうのかもしれない。
だが、このまま何もせず死んでしまうくらいならあのお屋敷が本当に幻だったかどうかを確かめてから死にたい。
そう思った2人は湖を迂回して湖の向こう側に建っているお屋敷を目指して歩く事にしました。
「でもまずは水だ!」
ヘンゼルはそう言ってグレーテルと一緒に湖の水をガブガブと飲みました。
お腹は減っているものの、まずは水を飲んだ事によって落ち着きは取り戻せました。
そして歩き回り、お屋敷へ辿り着きました。
お屋敷は幻では無かったのです!
空き家なのか、人が住んでいるのか分かりませんでしたが2人は誰か大人の人が僕らを助けてくれたら…と思いそのお屋敷を訪ねてみる事にしました。
ドアを叩くも誰も出ません。
しかしそっとドアを押すと鍵はかかってませんでした。
ヘンゼルはグレーテルと顔を見合わせ、入ってみる事にしました。
すると車椅子に乗った4〜50代くらいの男が現れて、
「うちは私と妻だけで暮らしているもので、使用人も居ないので出るのが遅くなって申し訳ありません。
うちに何かご用ですか?」
丁寧な口調で男は言った。
「あの、僕たちは家が貧しくて両親に森に捨てられてしまったんですが、もう妹と一緒に何日も森の中を彷徨い歩いていて何も食べていないんです。
何か食べ物を恵んでもらえませんか?」
ヘンゼルはそう言いました。
「それは大変なご苦労をされましたね。
うちで良かったら何か食べていくといいでしょう」
そう言って車椅子を迂回させてヘンゼル達を家に招きました。
その男の妻と思われる杖をついた、男と同じ年頃程の女性が奥から現れて
「あらあらお客様?」
「あぁ、子供が2人で森を彷徨っていたそうだ。
何も食べてないそうだから何かご馳走してやりなさい」
「そうだったのですか。
では今準備をしますのでこちらの部屋へどうぞ」
そう言って大きなテーブルが置いてある部屋へ案内され、ご馳走を振舞ってもらいました。
その後客室を貸してもらい2人はフカフカのベッドで眠りに就くことができました。
そしてその次の日も温かくて美味しい食事とフカフカのベッドを与えてもらいました。
更に翌日の食事の時に車椅子の男は言いました。
「私達はご覧の通り身体が不自由な為子宝に恵まれませんでした。
もし良ければうちの子になりませんか?
今までずっと2人だけで暮らしていたもんですから妻も喜びましょう」
と。
2人にとっては願っても無い申し出です。
迷わず2人の子になる事にしました。
こうしてヘンゼルとグレーテルは身体は不自由だけど心優しい2人の両親を手に入れ、暮らしには不自由なく生きる事が出来るのでした→FIN
J→グレーテルは魔女の背後から襲いかかろうとしましたが、殺気を感じた魔女に気付かれてしまい返り討ちに遭って殺されてしまいました。
その後グレーテルもヘンゼルも窯で焼かれてムシャムシャと食べられてしまいました→end
K→魔女は目は悪いのですが、その分鼻はよく効き毒の匂いに直ぐに気付きました。
こっそり自分の皿とグレーテルの皿を取り替えたのです。
グレーテルはそうとも知らずに自分の盛った毒で自ら命を落としてしまいました。
その後ヘンゼルの運命は言うまでもありません→end
L→ヘンゼルが動物の骨で自分が太ってない様に見せかけて誤魔化していた為、魔女はヘンゼルを早くも食べたくてとうとう我慢が出来なくなりました。
魔女は肥るのを待たずにヘンゼルを食べてしまう事に決めたのです。
グレーテルに窯の用意をさせ、窯の様子を見てくる様に命じました。
「私火の頃合いがよく分からないので代わりに様子を見て頂けませんか?」
と上手く言いくるめてグレーテルは魔女を窯の前に誘き寄せました。
◎魔女殺しを企みつつもいざ本番になると躊躇をしてしまったグレーテルは魔女が火の調子を見ているところを黙って見ている事しか出来ませんでした→Mへ
◎メンタルが逞しいグレーテルは今という好機を逃さず「今だ!」と魔女を窯に押し込み窯の鍵をかけました→Nへ
M→「良し!
良い頃合いだよ」
と満足気に魔女はヘンゼルを牢屋から連れ出し窯に放り込みました。
そしてヘンゼルはあっけなく食べられてしまいました。
その後グレーテルもヘンゼルと同じ運命にあるのでした→end
N→窯で悲鳴を上げながら魔女は息絶えました。
そして牢屋の鍵を探し出しヘンゼルを助ける事に成功しました。
そしてそのお菓子の家の中の秘密の部屋には沢山の財宝が!!
◎その財宝を持って元居た自分の家を探し、帰る事にしたのでした→Oへ
◎もうあの家には帰りたくない!
その財宝を持ってグレーテルと2人で何処かで暮らそう→Pへ
◎邪魔だった魔女も居なくなったので、財宝もお菓子の家も私達の物!
わざわざ家を出る必要は無いのでそのままここで暮らす事にしたのでした→Qへ
O→やっとの事で家にたどり着いた2人はお父さんと涙の再会を果たしました。
お母さんは流行り病で2人が魔女の家に囚われている間に既に亡くなっていたそうです。
魔女の家から持ち帰った沢山の財宝を売ってお金にし、家族3人で幸せに暮らしました→TRUE END
P→兄妹2人で財宝を売ったお金で御殿を建て2人仲良く、まるで夫婦の様に暮らしました。
その後2人の両親の事は分かりません→FIN
Q→そもそもお菓子の家は魔女の魔法の力で作られていた物なので、魔女が亡くなった事により魔力を失ったお菓子の家は日を追う毎に腐り、ある日崩れ去ってしまいました。
兄妹はそのお菓子に埋もれ、甘い一生を遂げました。
ある意味幸せな死に様だったのでしょうか?→end
さてとこんな所で良いだろう。
初めて作った割には中々の出来だと我ながら思う。
私は本を元の場所に戻し帰る事にしたのだった。
出口まで来た時に後ろから名前を呼ばれた。
「相瀬さん!」
驚いて振り返ると見知らぬ女の子が立っていた。
誰だっけ!?
この辺では見かけない子だと思う。
何故私の名前を知っているのだろうか?
「これあなたのでしょう?」
そう言って差し出してきたのは先程の自由研究だ。
危ない、危ない!
鞄に入れるのをすっかり忘れてたんだな。
「ありがとうございます。
あの…私達会ったことありましたっけ?」
私が受け取りながらそう言うと、
「え?」
相手の子はそう言う。
「あの、私の名前よく分かりましたね」
私が不審げにそう言うと
「あぁ…、それに名前…書いてあったから…」
目を泳がせながらそう言った。
はっ…!
自由研究の紙にそういえば自分の名前書いたんだっけ!
私は変な早とちりに恥ずかしくなった。
「あ、そっか…。
そうですよね、すみません」
私がそう言うと
「あぁ、いえいえ、気にしないで下さい」
そう言って相手の子は図書館の中に戻って行った。
あ!
さっきの子医学書読んでた子じゃあ…。
まぁ、いっか!
よく分からないし。
私は自由研究の宿題を終えた達成感を感じながら家に帰った。




