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リベンジ

 翌日、朝学校に登校するなり


「ねぇねぇ、昨日袋田に告白されたって本当!?」


 美甘ちゃんと凛子ちゃんが面白そうに話しかけてくる。


「え…どうして知ってるの?」


 私がそう言うと、


「新道達が言ってたよー」


 そう言って新道達を指さす。

 あ、本当だ。

 皆んなにふれまわってるな、あの人達。

 人の恋愛話ってやっぱり面白いんだろうか?

 新道達は凄く楽しそうだ。

 あーあ、袋田が登校して来たら大変な事になりそうだね。


「…で振ったって聞いたんだけどさぁ、それ本当なの?」


 2人も楽しそうに聞く。


「うん、本当」


「え〜、なんて?なんて?」


「うん、大嫌いって言った」


「そうなんだ〜、で、何で嫌いなの?」


「こないださぁ、渋谷さんの事殴ってる所私見ちゃったんだよね。

 平気で人に暴力を振るったり傷つけたりする人、私大嫌いなんだよね」


「あぁ〜見た見た!私もそれ見た〜」


 美甘ちゃんが言う。


「あの人さ、渋谷さんだけじゃなくて色んな人に嫌がらせしてるよね。

 こないだ私も鉛筆で太もも刺された」


 と凛子ちゃん。


「え!?

 そうなの!?」


 美甘ちゃんが驚愕の声をあげる。


「うん、こないだって言っても3学期くらいの話なんだけど新学期に入る前、袋田の隣の席だったんだよね…」


「うっわぁ〜マジ!?」


 美甘ちゃんと話が盛り上がっている凛子ちゃん。

 そしてその間で話を聞いている私。


「ねぇ、被害に遭ってる人多いみたいだから一回先生に言った方がいいんじゃない!?」


 と美甘ちゃん。


「ん〜でもさぁ、逆恨みされるのも怖いしさぁ」


 と凛子ちゃんが言う。

 きっとこういうのがダメなんだろうな。

 こういう対応が袋田のようなクズをつけ上がらせるんだろうな。


 私も過去Aでは何も出来なかったし、何も言えなかった。

 だけど嫌な物には嫌って言う声を上げる勇気って大事だと思う。

 いつぞやかの大竹達の時の様に。


「凛子ちゃん、大勢の人が同じ様に被害に遭っているのならそう言う人達を一度集めてみない?」


「…え?

 雅ちゃんどう言う事?」


「今の話の中では少なくとも凛子ちゃんや渋谷さんが被害に遭った事が分かっているでしょ?」


「うん」


「…で、もしも凛子ちゃんと渋谷さんだけが先生に言ったのだとしたら袋田に逆恨みされるかもしれないけれど、他に被害に遭った数人の人達が一緒に抗議したらターゲットが複数人いる事から袋田は誰に仕返しして良いか寧ろ分からなくなると思わない?

 抗議した人達全員に仕返しをするっていうのはちょっと非現実的な感じがするし」


「…う〜ん…」


「しかも仮にその中の誰かに仕返しに行ったとしても何人もの証人や目撃者がいたらまた先生に報告しやすくもなるし、また報告されたら困る袋田からしたら寧ろ仕返ししにくいんじゃないかな?」


「…そうなのかなぁ?」


「うん、このまま黙ってても被害が大きくなるだけだから一度被害者を集めてみようよ!

 クラス中に声をかけて」


「それ良いかもね」


 美甘ちゃんが同意する。

 被害者が少なかった場合、学校の先生は虐めを隠蔽(いんぺい)するかもしれない。

 だけどもしも多数被害者がいて、その被害者の親が皆んな一斉に学校に押しかけて来て騒ぎ出したら学校はどうなりますか?

 解決せざるを得ないんですよ、あなた達は虐めを。

 味方は多い方が良い。


 凛子ちゃんも渋谷さんも声を上げて親に助けを求める勇気を持ちなさい。

 あなた達には私と違って自分を大切に思ってくれる親が存在するのだから。


「でも〜何か怖いから美甘ちゃんと雅ちゃん付いててよー」


「私はいいよ!

 雅ちゃんは?」


「私も良いよ」


 一生に何人出来るか分からない数少ない貴重な友人だしね。

 ここは友人のために人肌脱ごうじゃないか!

 出来る限り何か協力せねば!

 運動会のダンスも助けてもらった感謝もあるし。

 そんな話をしていると普段話した事も無いようなクラスメートが


「ねぇねぇ、新道達から聞いたんだけどさぁ袋田振ったって本当!?」


 面白おかしく色んな人が次々に聞いてくる。

 もう、新道達本当に勘弁して欲しい。

 一々答えるのが面倒臭い。

 美甘ちゃんと凛子ちゃんは友達だから全然良いけど、関係ない人まで絶えず来るのは面倒臭い。


 終いには違うクラスの人達まで来出す始末…。

 本当マジで勘弁して欲しい。

 とりあえず違うクラスの人達は置いておいて、話しかけて来たクラスメートへの対応ついでに被害に遭った事がないかどうかを聞く。


 驚いた事にクラスの半数以上が何かしらの被害に遭っていた事だった。

 予想していたのはせいぜい4〜5人くらいだろうと思っていたんだけど、まさか被害に遭ってない人の方が少ないだなんて。


 主に飯田さんや美甘ちゃんのようにキツく言い返すタイプの人以外は大抵被害に遭っているようだった。

 この結果こそが声を上げる事の重要性を物語っているなと私は思った。


 あの人ってこのクラスからしても害悪以外の何者でもないな。

 いつもの様子と違って他のクラスまでが騒がしくなっている事に気付いた白城がいつもより早くに教室に入って来て


「おい!何騒いでんだ!?

 何かあったのか!?」


 そう聞く。

 これはチャンスだと思い私は美甘ちゃんと凛子ちゃんに付いて来て貰って白城に話をしに行く。


「先生、重要な報告があります」


 私がそう言うと白城が何か面倒な事を言われそうだなとでも良いたげに目を泳がせながら


「何よ?」


 と言う。


「皆んな!

 被害に遭った事がある人全員こっちに集まってくれる!?」


 私が周りの子達に大きな声で声をかける。

 白城は何が始まるのだろうと言う表情で困惑している様子だ。


「先生、ここにいる子達は全員袋田君に何かしら暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりなどの不当な虐めを受けた事のある被害者達です!」


 私がそう言うと


「え"…待って、待って!!!

 こんなにいるの!?」


 白城もビックリだぜ!

 と言う表現がピッタリな程白城は驚愕している。


「この間私は渋谷さんが袋田君に暴力を振るわれていた所を目撃し、その話について友人に話をした所私の友人も被害に遭った事があると言う話を聞き、その上もっと沢山の人も被害に遭っていると言う話も聞いたので、どの程度被害者がいるのか話を一人一人に聞いてみた所、これだけの人数の人が被害に遭っていたと言う事実が分かりました。

 皆袋田君に仕返しをされるのが怖くて何も言えずにずっと我慢をしていたそうです。

 だけど今回こう言う機会があったので皆んなには


 "ずっと我慢して来たけど辛いめに遭って来たんだ!"


 と言う声を上げる勇気を持って貰う事に成功しました!

 袋田君の虐め問題はこれだけの被害者が出てるくらい大きな問題になっているので、ぜひこの機会に先生のお力添えでこの問題を解決に向けて何かしらの対策をして頂けませんか?

 余りにも問題が解決出来ない状況が続くようであれば皆んなには一度各々の親に相談し、学校に対して抗議を呼びかけて…」


 そこまで私が言いかけた所で白城は


「ちょちょちょちょ…待ってくれ!?

 まだ俺対策しないとは言ってないだろう!?」


 と慌て出す。


「あくまでも先生のお力添えがあっても解決出来なかった時のお話です」


 白城は眉間のあたりを指で擦りながら深いため息をついて


「うん、お前らの話は分かった。

 1時間目は学級会開くから学級代表ちょっと仕切り頼むわ!

 とりあえず俺、まだ朝の仕事残ってんだよ…。

 ちょっとそれやって来るから先に進めといて!」


 そう言って足早に職員室へ戻って行った。

 恨むんだったら実際に問題を起こしている袋田を恨みなさい。

 クラス中でこんな事が起こっているとは知らずに袋田はノコノコと朝のチャイムが鳴るギリギリの時間に登校して来た。


 クラスの不穏な空気は袋田にも伝わり、状況を見ていた新道から何かしらの報告を受けたらしき袋田はヤバイとでも言いたげな表情をしていた。


 まぁ、袋田にとって今日は踏んだり蹴ったりの一日になるであろう。

 昨日私に散々言われて振られた挙げ句に、新道達にはその恥を他のクラスの人達の果てにまで面白おかしくふれまわられ、色んな人に数々の嫌がらせや虐めをしていた事を先生に報告された挙句の果てに学級会まで開かれる始末。

 そしてその後恐らく担任から親に電話もいく事でしょう!


 因果応報とは正にこの事を言う。

 大人はこうやって戦うんですよ、ほっほっほっ…。


 白城の宣言通り1時間目は学級会となった。

 学級代表が


「これから学級会を開きます!

 今日の議題は袋田君の虐め問題についてです」


 書記の人が黒板に議題を書き始めた時白城が自ら手を挙げながら


「ちょっと先生の方から良いか?」


 そう言いながら話し始める。


「朝ちょっとクラスの色んな奴から聞いたんだけど、袋田から虐めを受けたやつが多数いるって言う話を聞いたんだけど、袋田どうなんだ?」


「……」


 うつむきながら無言である。

 こう言う人って教師や親、大人が相手だと途端に弱くなる癖に相手が何もしてこない気の弱い人間だったら途端に強くなるクズの典型的な例の人だよね。

 こう言う奴は強く拒否らないとずっとしつこく危害を加えて来るから、一度こう言う風に大きく問題にして取り上げる必要がある。


「どうした?

 何も言わないって事は認めるって事でいいのか?

 弁明があるんだったら今だぞ?

 どうなんだ?」


 まぁ、認めざるを得ないわな。

 これだけ被害者や目撃者がいるんだから。

 この状況で皆んなが納得できる弁解が出来たら寧ろ凄いと私は思う。


「……」


 尚も無言を続ける袋田。

 白城は


「皆んな!

 ちょっともう一回確認するぞ!?

 袋田から何かされましたって奴手挙げて教えてくれ!」


 皆んな最初は周りの様子を見ながら恐る恐るだったがチラホラ勇気を出して手を挙げ出した人達を見て安心したかの様に次々と手を挙げ、最終的には半数以上の手が挙がった。


 白城が人数を数え出す。

 女子も男子も含め30人近くの人が挙手していた。

 凄いよね、よくぞこんなに沢山の人に害を加えておきながら今まで明るみに出ずにいたよね。

 皆んな本当に何も言わなかったんだろうな…。

 かつての私の様に。


 やっぱりね、虐めに関しては本当我慢しちゃダメよ!

 私今後自分が関わっていく人達の中に虐めを受けた人がいたら皆んなに同じ事を言い続けると思う。

 虐めは我慢をしてはいけません、辛いって声を上げましょう。


 どうやっても解決出来なかった時には最終手段として不登校する事も有りだと思います。

 だかどまだ出来る事や、やってみてもいない事が有るならば簡単に不登校する道を選んでしまうのは勿体ない事だと思うので、まずはやれる事をしっかりやりましょう!って。


「じゃあこっちから順に何をされたのか一人ずつ順番に内容を教えてくれ」


 白城が逆コの字型の廊下側の席の端の方から順に証言をしていくように指示する。


「3学期の時の話なんですけど、給食を食べてる時にわざと牛乳をかけられました!」


「僕は掃除用の雑巾で顔を拭かれました!」


「私は授業中に鉛筆で足を刺されました!」


「俺は中休みの時にグラウンドで石をぶつけられました!」


「私もトイレに行ってる間に椅子を隠されました!」


 お〜ぉ〜次々と…、よくぞこんなに嫌がらせの方法を次々と思いつくなぁと、ある意味その発想力に感心してしまいそうなくらいだった。


「私も掃除当番中なんですけど、回転箒で殴られて暫く肩の所に痣が出来ていました!」


「休み時間中に上靴を後頭部にぶつけられました!」


「切り刻んだ消しゴムを次々にぶつけられました!」


「サッカーボールで的当てゲームだ!と言われ的の代わりにボールを何度もぶつけられました!」


 …以下省略。

 色んな人が色んな証言をし、全員が言い終わった所で、


「オイ、袋田!

 どうなんだ!?」


 白城が声を大きくして強めに言う。

 袋田は顔を真っ赤にしながらめそめそと泣き始めた。


 うわぁ何泣いてんだ!?

 お前の方がだっせぇ!!

 おい!

 生まれてきてすいませんってお前が言えよ、ゴミ!

 お前今後自分の席から動くなよ、汚ねぇ粗大ゴミめ!

 汚ねぇからクラスに雑菌撒き散らすな!(笑)

 あぁ、そんな風にやり返せたらエクスタシィ♡

 正に言葉のブーメラン!

 怨みが深すぎて頭がどんどんクレイジーになりそうだ。


「オイ袋田ァ!!!

 先生も皆んながお前にされてきた事と同じ事をお前にやってやろうか!?

 お前にボールぶつけて、お前を箒で殴って、お前に鉛筆刺して、お前の顔を雑巾で拭いてやろうか!?

 袋田ァ!!!

 人の痛みを知れぇぇぇっっっ!!!」


 白城は声を荒げた。

 興奮し過ぎてひっくり返った白城の声が教室中に響き渡る。

 教室中がシーンとなっている中、袋田の嗚咽だけが聞こえている。

 まぁこれでもう不当な虐めを繰り返す事は無くなるだろう。

 クラスに平和が戻ったのだ。


「袋田、前出てきて皆んなに謝れ!

 前に出て来い!!」


 白城の怒鳴り声に袋田は服の袖で涙を拭いながら教壇の前に出て来て


「…ず…ずぃ"ま"ぜん"でじだ…ゔぅ…お"ぉォ…ふぉっ…ふぉっ…」


 泣きながら謝罪をした。


「皆んなこれでもう袋田が暴力を振るったりする事は無くなると思うけど、また袋田じゃない奴からでも誰かに何かされましたって奴がいたら我慢しないで先生に教えてくれ!

 そして袋田、先生の方からお前の親にもこの事報告するから家に帰ったら自分からもちゃんとこの事を親に話すように!

 以上だ!」


 と白城が言って学級会は幕を閉じる事となった。

 そしてその後、袋田はだいぶ大人しくなったらしい。


「相瀬に関わるとロクな事ねぇから俺もう二度と関わんねぇ…」


 そうクラスの数名に言っていたと言う話が後日周りのクラスメート達の口から私の耳に入る事となった。

 お前がそれを言う!?

 どの口がそれを言う!?

 その腐ったア◯ルのような口か!?

 と内心思ったものの、これで二度と袋田が自分に関わってくる事は無いと言う安心感を持ったのだった。


 全力で抵抗していればこうして嫌な人の方から自分の周りから去って行ってくれるのだなと改めて思ったのだった。

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