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夏休み

 あっという間に1学期も終わり、夏休みに入った。

 学校の宿題も沢山あったけど、幸い普通の1年生の宿題なら内容が簡単なので直ぐに終わらせる事が出来た。


 強いて何が大変だったかと言うならば、分かりきっている答えを次々とプリントに書き込む作業だった。

 久しぶりに手が痛くなった。

 普段はこんなに無理して書いたりする事が無いからだ。


 自由研究も早々に済ませたい為、要らない端切れを祖母に貰い手縫いで巾着袋を作る。

 要らない物で作れるので何も買う必要は無い!

 実に経済的である。


 同じく裁縫系の物でもあくまでもコストがかからない物を作る、と言うのが重要である。

 例えばもしも巾着袋では無く、クッションなどの綿を必要とする物ならばわざわざ自由研究の為だけに綿を買わなくてはならなくなる。


 しかも簡単に綿を詰めただけのクッションなど寝心地も座り心地も悪い為、今後使う機会もこない確率が高い。

 つまり作ってもただのゴミになる確率が高い。

 わざわざ後に捨てると分かってて買い物したり、作ったりする事ほど勿体ない事は無いと私は思う。

 非常にコストパフォーマンスが悪いと個人的に私は思う。


 それに比べて巾着袋なら何か小物を入れておけるし、エプロンなら掃除用のエプロンにするのも有りだ。

 あ、来年はエプロンにでもしようかな?

 そんな事を考えながら作業を始める。


 あぁ、ミシンが恋しい…。

 もしもミシンを持っていたならば、巾着袋など裁断(さいだん)から完成までの時間を考えたとしても、ものの5分程で作れてしまうものを…。


 現代が恋しい病がまたもや発症。

 現代がと言うよりも現代の私の所持品が恋しい、と言う方が正しいかも知れない。


 一応この時代にもミシンは存在する。

 現代程の自動で刺繍をしてくれたりする様な高性能な物は無いだろうが、普通の薄い布生地の縫い付けくらいならばどのミシンでも十分可能である。

 当たり前な事だがミシンとは最低限その機能を兼ね備えた物だからだ。

 縫い付けが出来ないミシンなどあってたまるか!!

 と自分で自分にツッコミを入れる。


 まぁ、無い物ねだりをしても仕方あるまい。

 そう自分に言い聞かせながら首と肩の凝りを体操でほぐしながら渋々終わらせる。


 残すは読書感想文だけ。

 私苦手なんだよね…。

 本を読むのは好きだけど、それに対して感想を述べなさい、と言われる事自体が凄く苦手。


 それを読んでどう思いましたか?

 って言われてもなぁ…と言うのが正直な感想である。


 "いや、単に面白かっただけ"


 "だからどんなところがどのように?"


 と言う所でいつも頭を悩ませている所だ。

 だが、皆が通る道。

 いずれはやらなくてはならないので嫌な事は早く終わらせなくては!


 そう自分を鼓舞し、取り掛かる。

 読む本はパッと速く読める物を選ぶ。

 いつもは読書感想文に選ばないタイプの物を書いてみようと思ったので、子供らしくもあり、夏らしくもあるホラーの本をテーマにしようと思った。


 無事3〜4日で学校で出された全ての宿題を終わらせて塾の宿題に取り掛かる。

 塾は夏期講習があり、学校が休みと言う理由から出される宿題もいつもより多く、普段よりもしんどい。

 通う頻度も普段は週に2回だが夏期講習は土日以外の毎日だ。

 しかも内容が大人でも難しいだけに色々と手古摺(てこず)っている。


 とある日親戚一同が祖父の家へ集まった日があった。

 うちの家系は時折りこうして親戚一同が集まり、酒を飲みながら団欒(だんらん)している時があるのだった。

 恐らく父方の祖母が割と寂しがりな性格で、人が集まってるのが好きだからであろう。

 私と姉もこの日は親に連れられて近所にある祖父の家に顔を出していた。


 大人同士の談笑の途中で祖父は私を呼び


「ちゃんと休まないで塾に通っているか?」


 と聞く。


「はい」


 私がそう答えると親戚のおばさん達が


「あら、小さいのにしっかりしてるねぇ」


 と関心の声を上げる。

 もしも私の中身が本当の小学生だったらこうはならなかったであろう。

 私の行儀良さと日々の努力に対してすっかり機嫌を良くした祖父は


「ほぉ〜。

 偉いなお前。

 良し!

 頑張ってるみたいだから何か好きな物買ってやるぞ。

 何が欲しい?」


 と予測外の棚ぼた案件が舞い込んで来た。

 どうせ頼むのなら自分では絶対買う事の出来ない高価な物をこの機会にちゃっかりねだってみるのが一番いいのではないかと思った。


「では日本の歴史が分かりやすく漫画になっている本が欲しいのですが、シリーズを全部揃えるとなると値段が高いので悩んでいました」


 と言ってみた。

 私はあまり歴史が好きではない。

 故にあまり社会科が好きではない。

 なのでせめて漫画で出てくる登場人物達あたりからゆっくり覚えて行きたいなと考えていた。


 今までは近所の図書館へ行って読んでくる事が多かったのだが、もしも買って貰えるのならこれからは図書館へ行くと言う手間が省けるだろう。

 そう言う諸々の事情で頼んでみた(てい)だ。


「お前本当にそんな物でいいのか!?

 真面目に答えなくても本当に好きな物頼んでいいんだぞ!?」


 まぁ、確かに中身が本物の小学生でこんな事を普段から言う子供がいたら凄く薄気味悪いなと私だって思う。


「家には歴史が分かりやすく本になっている物は無いですし、今塾で色々勉強していて登場人物とかがちょっとごちゃごちゃになってるんですよ」


 祖父とそんな会話をしていると横で話を聞いていた姉が


「ズルイズルイ!

 この人塾のお金を出してもらってるのにその上一人だけそんな高い物を買って貰うだなんてズルイ!

 私なんて塾通ってないからお金かかってないのに!」


 アナタの場合は単に自分が勉強したくなくて塾に行きたくないだけでしょ?

 さも自分の方が凄くて偉いみたいな言い方は()して欲しいわ。


 親戚一同に様子を見つめられる中、祖父は少し気不味(きまず)い面持ちで


「ほぉ〜。

 そうか…。

 速、お前も塾に行きたいんだったら行ってもいいんだぞ?」


「え…。

 あ、いや…。

 私は学校で習ってる勉強だけで良いし…、だから塾に通う必要…ないし…」


 と予測外の祖父の言葉への反応に困り、口籠(くちごも)る姉。

 ほら図星じゃん。

 単に勉強したくないだけじゃん。

 気持ちは分からなくも無いけどさ。


 私だって勉強で1番になってあの人に逢う、って言う目標がもしも無かったら姉と同じく、ただ大人や他人から与えられた事だけを無難にやり過ごすだけの無気力な人生だったのだから。


 人生に目標を持つ事って凄く大事なんだな、と改めて強く実感した。

 それがどんな動機であれ…だ。

 姉の返答を聞くなり祖父は深く溜め息を吐いて沈黙する。


 横で一部始終を聞いていた親戚達は


「社長、今回の件はまたの機会にしたらどうですか?

 子供達を不公平にするのは良くないですし…ね?」


 と場の重い空気を収めようとしている。

 それを聞いて祖父は頷きながら


「それもそうだな…。

 この話は無しだ」


 そう言った。

 残念…。

 うちの祖父は親戚や、自分と親しい関係にある人達だけで経営している言わば家族経営の様な小さな会社を経営している。

 勿論うちの毒両親もその会社で働いている。

 今日の様な集まりも言わば社員の飲み会の様なものだ。

 しかも社員にとっては会費も要らなく、ノーコストでお酒とつまみを食べれると言う感じだ。

 社員は全員親戚なので変に気を使う必要もないと言う雰囲気である。


 横で姉は


 "ザマァ見ろ、アンタ一人に良い思いなんかさせないから!"


 とでも言いたげな面持ちでこちらをチラリと見た。

 まぁ、気分が悪くなる事をされるのはいつもの事。

 潔く諦める事にしよう。


 だが数日後、あの日親戚一同達と共に同じ部屋で会話を聞いていた毒父が恐らく数万はしたであろう日本の歴史シリーズの全巻を(まと)めて大人買いして来たのである。


「俺は馬鹿だったから良い学校行けなかったけど、お前は頑張れよ」


 いつもの如くの他力本願台詞が来た。

 何!?

 俺はやりたくなかったけどお前は頑張れよみたいなやつ。

 ここまで清々しいと軽蔑するより寧ろ笑いがこみ上げてくる。

 何だか知らないうちに凄く期待されているようだ。


 嫌だなぁ〜。

 私は人から期待されたりプレッシャーをかけられるの嫌いなんだよね。

 まぁ、今は光り輝いている未来の自分を妄想して突っ走っている最中だから自分の為にやっているのであって誰かの期待に応える気などサラサラ無いのだが。


 だがまぁこうして一応応援をしてくれている訳だから感謝をしておこう。


「ありがとう」


 その時部屋のドアの陰から見ていた姉が


「ズルイ…。

 みんな雅ばっかり…」


「どうせお前こんなの読まねぇだろうが」


 そう言いながらも一応姉に同情はしたのか財布から3000円を取り出し、


「お前はこれで良いだろう?

 それとも雅と交換してもらうか?」


 そう言って姉に渡すと


「いや、お金の方が良い。

 歴史の本なんか別に欲しくないし」


 そう言って満面の笑みでお金を受け取る姉。

 私としてもそうしてくれて嬉しい。

 私への嫌がらせで


 "じゃあ交換してよ!"


 と言われた方が困るところだった。

 姉がお金にがめつくて助かった。

 夏休みの間は空いている時間にはなるべくこの本を読むようにした。


 子供の時は読んでもあまり意味が理解できなくてつまらなかった内容も、今は何となく理解する事が出来るし、読む度トリビアでも発見するかのように全てが新鮮に映る。

 意外と歴史って面白いかもしれない。

 この夏休みでの収穫は嫌いだった歴史を少し好きになった事だった。

 こうして今世では人生初の夏休みが終わった。


 ―おまけ―


 日本のオバケを読んで考えさせられた事

 1年B組 相瀬雅


 皆さんは日本の幽霊と言うとどんな幽霊を想像するでしょうか?

 私が真っ先に思いついたのは皿屋敷のお菊さんとろくろ首と言う幽霊です。

 他にも色々な幽霊が沢山書かれていましたが、どの幽霊も女の人をモチーフにした幽霊が多いと感じられました。


 何故女の人が多いのでしょうか?

 幽霊は怨念がある為、成仏出来ずにこの世に存在している存在だと良くテレビ番組などで言われておりますが、女の人の方が男の人よりも怨念を持ちやすいと言う事なのでしょうか?


 以前祖父が親戚の集まりで「女は感情で生きる生き物だから会社のトップは継がせたくない」と言っているのを聞いた事があります。


 そうなのでしょうか?

 女は感情で生きるからドロドロとした怨念がこの世に残りやすいのでしょうか?

 よく恋愛関係においても「男よりも女の方が嫉妬深いから…。はぁ〜…女のドロドロは怖いぜ全く…」と言う台詞を先日ドラマで俳優さんが言っておりました。


 幽霊が出てくる時の"ヒュ〜…ドロドロドロ…"と言う効果音は感情の方のドロドロを現しているのでしょうか?


 ろくろ首と言う幽霊は節操の無い帰らぬ夫を待ち過ぎたが故に首が長くなってしまったようです。

 "首を長くして待つ"と言う言葉はこのろくろ首が元になっているのだなと改めて気付きました。

 首が長く伸びてしまう程に、わざわざ節操の無い男なんかを待ち続けるだなんてある意味情熱的だな、と思う反面その執念が怖いなと思う気持ちも有りました。


 私にも将来そこまで情熱的に尽くせる人が現れるでしょうか?

 もしも将来私の首が長くなってしまったらそれはきっと節操の無い男の人に捕まってしまったと言う事なのでしょう。

 そうならない様、人を見る眼を養っておきたいなぁと思いました。

 そして私は待たされる事が嫌いなので無駄に待たせない男の人を見つけたいと思います。


 だけどここまでこんな事を書いておきながらこんな事を言うのは変かも知れませんが、実は私は基本的に神も悪魔も仏も幽霊も信じていない無神論者です。

 何故ならそれらはどれも目に見えない存在だからです。


 私が信じているものはお金と目の前にある現実と己自身の日々の努力です。

 お金は自分を裏切りませんし、結果的に戦争が起きようが世界が滅びようが自分自身を助ける事が出来るのは他でも無い自分自身でしか無いと私は思います。


 そして世の中を変えて行けるのも世の中の人間達の力やたゆまぬ日々の努力があってこそだと私は思うからです。

 寧ろピンチの時に他人が助けてくれたとしたらそれは凄くラッキーなだけに過ぎないのです。

 最初から誰かに助けてもらう事をあてにしてはいけないのです。


 だから私は神頼みはしません。

 信仰心が無くてごめんなさい。

 だけどこの国には思想の自由があるので信じる人は信じれば良いですし、信じない人は信じなくていいと思います。


 人によっては信仰心がある事によって心や思想が豊かになる人もいるからです。

 なので思想の自由は大切です。


 例えば恋愛関係においても男の人が男の人を好きになっても良いと思いますし、その反対も然りだと思います。

 色々な人間が居るからこそ世の中は面白いと思うし、色々な発想が飛び交うからこそ世の中に色々な物が生まれるからです。


 思想の偏りや偏見、差別が1番良く無いと私は思います。

 人間の思想の在り方について沢山考えさせられました。

 以上で終わります。





















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