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1日のルーティン

この作品はネガティブな表現や暴力的表現が時折あります。

苦手な方はBackで戻る事をお勧めします。

 私は相瀬雅(あいせみやび)

 低学歴で低収入、恋人もnothingの寂しい32歳です。

 (いま)だ独り者で寂しい人生を送り続けているけど「自分の人生に後悔がありますか?」と聞かれたら「後悔はしていない」と答えると思う。


 だけど「恋人は欲しいですか?」と聞かれたら、そりゃあ恋人はいた方が良いに決まってる。

 そっちの方が幸せだろうよと思う。

 だからと言って"良い人がいたら誰でも…"と言う訳でもないのが難しいところである。


 かと言って別に私は特別に理想が高い訳でもないよ?

 私は学歴も収入もヴィジュアルもあまり(こだわ)らないタイプだし。

 …で結局何が言いたいのかって?

 さぁ?私自身も自分で言ってて何が言いたいのかよく分からないね。


 昔は恋愛に興味もあったけどさ。

 なんというか…(ひと)りに慣れ過ぎたのかな?

 気付いたらもう全てどうでも良くなってる自分がいる。

 まぁ、そんな生き方をしてきた結果が今と言うロクな人生じゃない現在だ。

 さてと、自己紹介はとりあえずここまでにしておいて…。


 今何をしているかというと、いつものように仕事から帰って来て、昨日に作り置きしておいた惣菜(そうざい)と昨日余ったご飯を冷蔵庫から出してレンジでチンして食べた後、

 シャワーを浴びてその後、(なか)ば"面倒臭いな"と思いながら髪と肌の最低限の手入れだけはしてベッドでゴロ寝をしながらスマホでゲームタイム。

 これが私の1日のルーティンなのである。


 ゲームは楽しい!ギルドの人達もみんな優しくて良い人達だし、この一時(ひととき)の安らぎがあるからこそ現実(リアル)で頑張れるし、友人や恋人がいなくても(なん)ら問題は無い。


 そう思いながらゲームの世界に浸りきっていると、突然ゲームの画面を(さえぎ)って電話が鳴った。

 実家からだ。"面倒臭いなぁ〜。今度はどんな面倒を押し付けられるんだろうか?"と思いながら私は渋々電話に出た。


 本心としては無視したい所なのだが、うちの毒親は電話が(つな)がるまで執念深くかけて来るので、酷い時はわざわざ面倒を押し付ける為だけに会社にまで電話をかけてくる始末だ。


 会社の電話を私用で使うと上司や先輩から嫌味を言われたり、

 根掘り葉掘り他人の家庭事情に首を突っ込みたがる人にズケズケと話を聞かれる事だってあるので、

 くだらない内容で会社にわざわざ電話をかけて来るのは本当に勘弁願いたい、と言うのが私の個人的な意見なのだ。


 だが、毒親(どくおや)にそんな常識は通じる(はず)もなく


「電話に出ないアンタが悪いんだから会社にかけられたくないなら電話に出なさい」


 の一点張りだ。

 毒親にモラルは無いので溜息を()きながら嫌々電話に出るのが(つね)なのである。


「もしもし」


「あぁ雅ちゃん?元気だった?」

 

「うん、まぁ普通」


 私が元気だったかどうかなんて本当はどうでもいいミエミエの前置きはいいからさっさと用件を言ってくれないかなぁ?と内心思いながら適当に答える私。


「そうかい」


 まぁどうでもいいよとでも言いたげな返事を返す毒。


「……」


 互いに相手がどう出るかを伺うかの様に沈黙の重い空気が流れる。

 さっさと嫌な事を終わらせたいので「…で今度は何?」と私から話を切り出す。


「悪いんだけどさぁ〜、今月もうビール飲むお金も無くて…。ちょっと2万くらい生活費協力してくれないかい?」


「悪いんだけど何度も言うように私は低収入だから一人暮らししてて私も資金カツカツなの。人にあげるほど余裕無いから」


「なんぼ低収入って言っても本当はちょっとあるんじゃないの?」


「無い」


「何でそんなに無いのさ?まさか自炊もしないで外食ばかりしてるんじゃないでしょうね!?ママなんかもう1ヶ月も外食なんかしてないって言うのに!アンタは随分良いよね…悠々自適(ゆうゆうじてき)(うらや)ましいわ!」


 はぁ〜…。

 私は深い溜息を()きながら


「わざわざそんな事を言う為だけに電話してきたの!?こっちは仕事して疲れて帰って来てやっと一休(ひとやす)み出来たところだったのに!

 大体、ハッキリ言わしてもらうけど私外食なんてもう半年以上してないよ!?

 最後に外食したのなんて梅屋で300円の豚丼食べたくらいしかないわ!

 それに比べたら(むし)ろアナタの方がよっぽど私より贅沢(ぜいたく)してると思う。

 1ヶ月外食しないなんて私にとっては普通の事だし、アナタのように私はお酒も煙草も飲まないし、洋服だってもう5〜6年程1着も買ってないわ!!

 そんな生活の何が贅沢(ぜいたく)!?何が悠々自適(ゆうゆうじてき)!?ふざけるのも大概(たいがい)にしてよ!!そんなにお金が欲しかったら自分で働きなよ!」


「働いてる!!6時間も働いてちょっとしかもらえないからアンタに頼んでるんじゃない!!」


「6時間しか働いてないんじゃん!!私なんか12時間も働いてるんだけど!?アナタの丁度倍働いてるんです!!甘えないで下さーい!」


「そんなに働いてるだったらちょっとはお金持ってるんでしょ?」


「だから無いって言ってるじゃん!こちとら残業は当たり前のようにさせられてるけど残業代なんか(ほとん)ど出てないわ!」


「その会社辞めた方がいいわ!そんなお金にならない仕事続けたって仕方ないから辞めなさい!」


 仕方がないのはお前の脳味噌だ!!

 この人の脳内は完全にカオスである。

 クズの極みとは正にこう言う人の事を言うんだろうなぁ〜…。


「辞めてどうするの!?私が失業して無職になったらアナタ私の生活費出してくれるの!?アナタの言うような良い給料の就職先でも紹介してくれるの!?そしたら私辞めても良いよ!?アナタが全てなんとかしてくれるんですね!?」


「それもそうだけどさぁ〜」


 いつも思う事…この毒親から私が生まれた事自体がミラクルなんじゃないかと我ながら自負(じふ)してしまう程だ。

 確かに私は世間から見たら低学歴で低収入の落ちこぼれかもしれない。


 だけどこの人の様に周りの人間に迷惑をかけてないだけ私は凄く上出来な人間なのではないかと思ってしまう。


「まっ、アンタがそれで良いんなら良いだけどさ。今の会社に居ればいい。それよりもそしたら1万でも良いから送ってくれないかい?」


 クズの癖に相変わらず上から目線で図々しい毒。


「無理。お酒か煙草かどっちかやめたら?」


「何なの!?さっきから人が下手に出て黙って聞いてれば偉そうに!!

 アンタ自分が一人で大きくなったもんだと勘違いしてるんじゃない!?

 アンタが高校出るまで散々育ててもらった分際で偉そうに!!

 親に対する感謝の気持ちってのは無いのかい!?

 そんなに偉そうにするんだったら高校出るまで育ててやった分の金を全額耳揃えて今すぐ返せ!!

 この親不孝者が!!

 お前が金出すまでずっと付き(まと)ってやるからな!?

 いいか!?覚えとけよ!!

 明日もまたしつこく電話かけてやるからな!

 出ろよ!?

 無視したらお前の会社に行って騒いでやるからな!!」


 興奮した毒が前々から用意しておいた台詞でも読むかの様にやたらと早口で(わめ)き散らす。

 誰かこの人を消してくれないだろうか…。


 一度警察に相談した事が以前にあったのだが警察は家族同士の内輪揉(うちわも)めには介入出来ないと言われてトボトボ帰った事がある。


「事件にならないとこちらも動けないので、実際に会社に来られて何かされたとか現行犯で捕まえるとかじゃないとねぇ〜、こちらは何とも言えないんですわ」


 とも言われた。

 だけど実際に会社に来られてからでは遅い。

 私の首が飛ぶかもしれないし、何とか首の皮一枚繋がったとしても無傷で今まで通り会社に残れる訳がない。


 ずっと後ろめたい気持ちで続けなくてはならなくなる。

 だからと言って自ら退職してまた就活を一から始めるのはキツい…。

 今のままではいられなくなる。


「1万円で勘弁してくれる?悪いんだけど本当に無いの。」


 結局こうしていつも強請(ゆす)られる関係が私が社会人になってからの十数年続いている。


「あら協力してくれるのかい?助かるわぁ〜。

 最初からそう言えばいいのさ。

 そしたら現金書き留めでも振り込みでも何でもいいから頼むね!

 そっちまで取りに行くの面倒臭いから。

 用はそれだけだからね?頼むね?」


 コロッと声色(こわいろ)を変えて電話を切る毒。

 くどいようだが誰かこの人を消してくれないだろうか?

 電話がかかってくるまではゲームの世界に浸りながらささやかな幸せモードだったのに一気に気分がどんよりした。


 とりあえずこれでまた(しばら)くは電話がかかって来ない事を願おう。

 …え!?自分の人生に後悔してるか?って!?

 後悔しても意味ないよ。


 だって努力じゃ自分の生まれた環境を変える事なんて出来ないし。

 例え私がもう一度人生をやり直して勉強や何かを頑張ったとしても人並みに幸せになどなれはしないのだから。

 あの毒親が存在する限り…。


 だから何かを望んで何かを努力するだけ無駄なのである。

 もうこのまま今すぐこのアパートの一室でいっそ()ち果てたい…。

 そう思っているとまた再び電話が鳴った。

 発信元はまた毒だった。


 私から度々(たびたび)お金を強請っておいてこれ以上私に何をさせたいのだろうか?

 絶望感に駆られながらも嫌々通話ボタンをタップする。


「あぁ、ママだけどねぇさっき言うの忘れてたんだけどなんだかね、

 中学校の時のクラスメイトだかなんだか知らないけど、熊田さんって人からこっちに電話来てたわ!

 同窓会やるから電話折り返してくれってさ。

 番号は080の〜だから!ね?よろしく!それじゃあね!」


 自分の言いたいことだけ(まく)し立てて一方的に毒は電話を切った。

 同窓会か…。

 行かなくても良いかな。

 そもそも私友人いなかったし。


 仲の良い友人もいなければ話す相手も居ない私が何故呼ばれたのかすらよく分からないくらいだし。

 ネタの為に呼ばれただけの可能性があるから行っても気分が悪くなるだけだろう。

 行かない事にしよう。


 今日はもう時間も遅いし、精神的ダメージも深いので熊田さんに欠席の返事をするのは明日にしよう。

 とりあえずは突然落ちたのでギルドのメンバーが心配してくれてるかもしれない。


 もう一度ログインして突然電話がかかって来たと言う事と、今日はもう寝ると言う事を掲示板に書いて落ちる事にした。











素人が初めて書くものなので内容や文章の拙さを予めお詫びします。

どうかご理解下さい。


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