表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

帰還

礼貴が玄関に飛び出した。


そこには、桃髪を2つのお団子にした少女が微笑んで立っていた。





「す……鈴華ぁ!?」








その声に貴徳も驚いて出てきた。





「鈴華だよ! 久しぶり、お兄ちゃん、お父様!」





礼貴と貴徳は言葉を失った。




「あれっ、手紙、届いてなかった?」



「……あー、いや、ちょうど今届いて読んでいたところだ」


貴徳が少しぎこちなく言った。



「あら、ちょっと手紙出すの遅かったかな」


が、鈴華は全く気付いていなかった。




「……ほ、本当に、鈴華か?」


礼貴が言った。


鈴華は笑って、


「本当だよ〜、偽物に見えるの?」


と言った。



「……ずいぶん、変わったな」


「えっ、そうかな?」


鈴華自身は気付いていなかったが、この5年間で、鈴華は見違えるほどの美女になっていた。


「前まであんな、犬みたいなチビだったのに……」


「ひどいよお兄ちゃん」


「いや、でも本当に変わったぞ。見ない間に美人になったな。まるで……」


貴徳が何か言いかけて、やめた。


「……いや、なんでもない」


「そ、そっか! えーっと、ありがとう」



少し微妙な空気になったところに、凛蘭が来た。



「あら! もしかして、その方が例の妹さん?」


「はい、鈴華です! えーっと、貴女は……」


凛蘭は微笑んだ。




「礼貴様の妻ですわ。凛蘭と申します」




その言葉に鈴華は驚き、礼貴を見た。


「お兄ちゃんに、奥さんが……!」

「いちゃわりーのかよ」


礼貴は照れてか、少しぶっきらぼうに言った。



「ううん! おめでとう!」


「おせーよ。もうガキも居る」


「えぇーっ!」


礼貴は顔を真っ赤にしていた。


「2人目もここにいますわ」


凛蘭は自分のお腹をさすりながら言った。



「5年ってながいんだなぁ……」


鈴華がしみじみと言った。


「少なくとも、犬が女になるくらいの長さはあるな」

「もうっ、お兄ちゃんってば!…でも、お兄ちゃんも5年間で男前になったね」


鈴華が言うと、礼貴はまた顔を赤くした。


「……お前に言われても嬉しくねー」


「ふふっ、照れちゃって〜」




懐かしいなぁ、と鈴華は思った。


5年前に、2週間だけ、家族でゆっくり過ごした時。

あの時もこんな言い合いをして、笑っていた。




「……とにかく入ろうぜ」


「じゃあ、おじゃましまーす!」


「おいおい、ここはお前の家だぞ」


「……そっか、そうだね! じゃあ改めて……ただいまっ!」


礼貴と貴徳は声を合わせて言った。


『おかえり!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ