ouverture
...
......
.........
重い瞼をゆっくり押し上げると、光が入り込んでくる。
「うっ...」
眩しい。
窓から差し込んできた、オレンジの光は優しくも厳しくもあった。
「おっ、目が覚めましたか?ここは病院ですよ」
体を起こそうとするが。
「あぁ、待って待って。そのまま、そのままで大丈夫です...あの、わかりますよね?言葉」
頭を縦に動かし頷いてみせる。
「そうですか、よかったです。言語は、大丈夫みたいですね。さて、次は...自己紹介しますね。私は、エウアです」
エウア...恐らく、知らない名。
軍にそんな名前の女がいるなんて、聞いたこともない。
「あなたは、ソエル...さんでよろしかったですか?」
また、同じように頷いてみせる。なぜ、俺の名を知っているのか不思議ではある。だが、おおよその検討はつく。
ドッグタグだ。
「ソエルさんですね、よかったぁ読みが合ってて。で、次か...えっと、体に違和感ありますか?」
目に付いた両足から動かしてみるが、特に違和感はない。
手はどうか。
右手を挙げ、見ながら動かそうとしたが。
動いてるのは、右手ではなく。
鉄の塊。
右手を模した鉄の塊。
それが、思うように動く。
「うぅ、ああぁぁぁああ」
動く。
この意味を考えるまでもない。
「あああぁ、落ち着いてください。今、落ち着かせますから」
このエウアという女は、注射器を俺の首に差し込んで薬品を注入してきた。
......
即効性なのか、かなり早めに落ち着いてきた。
「落ち着いて、落ち着いて。でも、いつかは受け入れなければなりません。さぁ、視線を体に...」
「はぁ、はぁ、はぁ、ああああぁぁぁあ!」
両手は作り物。
義手。
その事実が重く、心が強く折れ曲がる。
暴れたせいでズレたタオルケットとベッドの隙間にも金属。
両足も作り物。
義足。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
目を瞑り、現実から背ける。
「いつかは受け入れなければなりませんよ。それが、遅いか、速いかです。今日でなくても構いません。ゆっくり...ゆっくり自分のペースで受け入れましょう」
そのまま、意識が途切れる。
何かどこかの名作を元にして作っちゃいましたw