表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
9/46

9、特待生クラス初日

 いよいよ特待生クラスです!

  佳苗ちゃん、どうしたんだろう?帰りの車の中でずっと考えていたけど、もう考えるのをやめようと思う。最初から本気でやっていた訳じゃないかもしれないし。あんまり深く考えてもどうせ結果は出ないんだし、とりあえず、私の考え込んでる様子に心配してるお母さんを元気づけなきゃね。










 今日は小学生の特別クラスのレッスンがある。楽しみだ。

 佳苗ちゃんの事を忘れたわけじゃないけど、月に一回ぐらい事務所をやめる人がいるらしいし、気まぐれにやっていたのいかもしれないし、連絡を取りたいとは思うけど、お母さんのスマホも、連絡が取れないらしいし、遠くに引っ越したのかもしれない。忘れるしかないんだと思う。


 私は準備を整えて、車に乗り込んだ。

 小雪ちゃんとも会えなくなるのかあ。実は、特待生クラスに入ると、歌とダンスもグレードアップするから、小雪ちゃんとは違うクラスを取る事になるらしい。同じ事務所内だけど、そういうことになるよね。

 なんだかワクワクしてたのに、複雑な気持ちになる。


 まあ、新しい友達作ればいいよね!?ほら、同い年かちょっと上の美香ちゃん?あの子と友達になればいいよね。

 気を取り直して、丁度着いた車から降りて、一年生の教室ゾーンに行く。といっても、四階だから前の教室の位置とさほど変わらないんだけどね。


 今日は前のクラスに行って、お別れの挨拶をしてから特別クラスに移動なんだって。ワクワクしてきた。


 「凜々ちゃん!」


 そんなことを考えながら廊下を歩いていると、後ろから声がした。


 「小雪ちゃん!」


 小雪ちゃんは少し涙目だった。


 「凜々ちゃん、特別クラス行っちゃうんでしょ?昨日ママが言ってたよ。」


 この事は今日報告のはずなんだけど、お母さん伝いで伝わっちゃったらしい。


 「うん。」

 「佳苗ちゃんも辞めちゃったし、私寂しいな。」


 うう。そんな上目使いで見ないでくれ。


 「小雪ちゃんには友達居るじゃん!それに、私達もたまに遊べばいいでしょ?」


 小雪ちゃんの肩をトントン、と叩く。


 「でも……。」

 「ほら、もう着いたよ。」


 私達が教室に入ると、もう全員(たぶんね。)揃ってた。

 私たちが席に着くと、


 「実は今日、大切なお知らせがあります。」


 先生が見計らったように言って、私も前に出る。


 「今日から、場緒 凜々さんは、特別クラスに行く事になりました。」

 「皆さんいままでありがとうございました。クラスが変わっても頑張ります。」


 あらかじめ決めておいたセリフを言うと、そこからはもう心の準備もなしに、特別クラスに送られた。

 



 「ここよ。」

 「うわー」

 通された部屋は、なんか、豪華だった。

 私が前いた部屋は、おっきい部屋の側面に鏡が張ってある感じの、質素な部屋だったけど、このクラスは、なんか凄い。広くて、個室みたいなのがある。何なんだろ?


 「今日は、新しい転入生がいます。場緒 凜々さんです。

 このクラスには、史上最年少で入ったことになりますね。

 では、自己紹介をどうぞ。」

 「場緒 凜々です。仲良くしてください。」


 こちらも、あらかじめ決めてたセリフを言った。

 背が高い子もいっぱいいるなー。怖いな、この体だと、めちゃくちゃ大きく見える。


 「じゃあ、そこに座ってね。」

 「はい。」


 ちなみに今日のレッスンでは、本気を出すか出さないか決める。先生が良ければ本気を出したいけど、周りの子を見て考えよう。


 「じゃあ、まず、台本やりましょう。」


 と言い、私が挨拶していた間に練習してたであろう台本を出させた。

 見るところ、裏表二ページ二人劇の台本だった。


 「私も参加していいですか?」


 と、手を上げると、


 「もちろんいいですよ。出来るところまでやってください。せっかくなので、美香さんと組んでください。」


 と言われ、台本を渡された。

 きっと美香ちゃんが一番上手いからなんだろうな。


 「じゃあ、私が美咲やるね。よろしく。」


 なんだろ、美香ちゃんの大物感。

 じゃあ、私は梨花か。


 「じゃあ、少し読んでいてください。」


 先生が気を使って、読む時間をくれた。

 五分程読むと、発表が始められた。

 私達のグループは、一番最後になった。

 話は、ありがちな喧嘩。

 しばらく集中してると、先生に呼ばれて前に出た。


 「「よろしくお願いします。」」


 礼をして、向かい合った体勢になる。


 「どうして約束破るの!?今日は私の番だって言ってたじゃん!」


 美香ちゃんの迫真の演技に、一瞬息をついた。おま、お前、五歳児なのか!?


 「そんな約束しーてないもーん。」


 子供っぽい台詞だなー。役作りが大変。


 「昨日したもん!」


 ちょっと涙目になった美香ちゃんに、驚きを隠せなかった。て、転生仲間なのかな?

 負けるものか!


 「昨日?昨日のいつ?どこで?地球が何回回った何時何分何秒?(ニヤつきながら)」


 あー子供っぽい。集中できないよー。


 「……。」


 ってな感じで、美香ちゃんの演技力に圧倒されながら、演技が終わった。

 ここからは~恒例のアドバイスタイム!


 「まず美香さん、今日も良かったですね。ただ、声色があんまり変わらなかったのと、目がまだ不完全ですね。次も期待していますよ。」


 おおおー。厳しい先生だこと。


 「次に凜々さん、まず、覚えがいいですねえ。一週間の台本を五分程で覚えました。素晴らしいです。(宿題の台本だったらしい。)それに、動作や表情まで作れていて、完璧でしたよ。これからも頑張ってください。」


 わーい。やったあー。…ってなに浮かれてんだろ。相手は五歳児だったのに。

 と、いうことで、皆終わり、歌やダンスに移るのかと思ったら、


 「はい、今週は、三つも来てますよ。お家の人と読んで、やりたかったら言ってね。」


 と、何やら紙を配り始めた。三つも。

 何だろ。

 紙をみると、

「オーディション開催!!」

みたいな事が書かれてたり、

「全テレCM!」


 とか書かれてたりして、一目で、オーディションの紙だと分かった。特別クラスだからなあ。あ、ちなみに全テレというのは、全国テレビだったか、全国民テレビだったかの略で、その名の通り、全国放送されるテレビ局のこと。もちろん他にも全国放送のテレビ局はあるけど、全テレが王道。転生前のテレビにも、地方放送と全テレ、って感じだった。


 帰ったら見てみよう。と、てきとうにかばんに入れておいた。でも、デビュー作=ヒット作がいいよね。できたら。あと、CMヒットだと、可愛いっていうのがメインになっちゃうかもしれないから、(ナルシストとか言わないでね!事実可愛いんだから!……いや、普通に考えてさ、あのお父さんとお母さんの子供だよ。可愛くないわけがないじゃん?)CMは控えとこ。というより、特待生クラスレッスンの内容濃すぎて美香ちゃんと話す時間無かった。あぁあああ!ぼっちは嫌だよおぉぉぉ!と、内心絶叫しながらダンスのクラスに向かった。


 歌とダンスは、ちょっと厳しくなったかな?って感じだった。

 ダンスのレッスンが終わり、迎えに来ていたお母さんにオーディションのことを話すと、その場で見せて、見せてとせがまれた。仕方ないからその場で見せると、

 「全部全テレじゃない!」

 と大声を出して、恥ずかしかった。


 ちなみに、一つ目は全テレの人気番組の再現ドラマの子供時代の役で、二つ目はアイスのCMで、三つ目は又しても再現ドラマの子供時代の役だった。


 どれもあんまりぱっとしないな。贅沢だけど。

 一つ目と三つ目って、回想シーンばっかりな訳でしょ?だって、「社畜生活スタートです!」と「ストレス発散TV」って、どうして子供が出て来るんだろう、って感じじゃない?

 贅沢かもしれないけど、私の夢はトップ子役。我慢、我慢。

 でも、この役も面白そうだなあ。回想シーンっきりの役だけど。

 そんな事を考えながら、家へと帰る、特別クラス初日でした。

 

 


 有名子役って、デビューまもなくでヒットとかしますよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ