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子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
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7、先生

先生来たー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!、、、。書こう。

お泊まり会終わってから五ヶ月、小雪ちゃんや、佳苗ちゃんとの遊ぶ約束をこなしながら、演技、歌、ダンスの練習とレッスンに没頭し、勉強をチビチビやりながら、平仮名の練習で、子供の不器用な指を鍛え、色々な役を演じるためにその役の利き手を使えるように、両利きになるためのトレーニングもして、まあまあ忙しい日常を続けていた。


ただ、問題がある。先生に嫌われすぎて、事務所のプロフィール写真を両親に絶句されるほど不細工に撮られたたり(前世から写真写り悪いせいでもあるけど、光の当り具合が最悪だった)、先生に許可をもらわないとオーディションを受けられない、という規則のせいで、先生に許可をもらえずオーディションを受けられなかったり、散々だ。こんなことが続くのなら、そろそろ事務所を変えようとも思っている。


自分で言うのもなんだけど、私は結構演技上手いし、別にレッスンでの態度が悪いわけでもない。


で、今日も重たい足をひきずりながら演技の授業へ向かっている。


「はい!この前組んだ二人組で、先週配った台本をやってください。五分あげるので、各自で通し練習をしてください。」


二人組。これ本当に大嫌いなんだよ。だって、友達が私達以外いない佳苗ちゃんと組まなきゃいけないんだもん。勿論小雪ちゃんと佳苗ちゃんで組んでもらってもいいんだけど、先生が、「バランスがいいように佳苗さんと凜々花さんで組んでください。」って言うからもうお手上げよ。バランスが良いってなんだよ。別に佳苗ちゃんが悪いわけじゃないけど、佳苗ちゃん先生のお気に入りじゃん?ただえさえ嫌われてるのに。凄いのさ、お説教が。


ってことでムカついた私は今日本気で演技しまーす。今までは「転生って事がバレたら」って思ってたけど、もういいです。本気出します。幼児なめんな!


ってことで、台本ではなるべく難しい役を引き受けた。加賀先生に教わった最終段階の、「観客を意識する演技」をできるように練習した。最終段階といっても、三つしかないけど。でも、ひとつクリアするのにかかる時間が半端じゃないからね。私がこの三つ目をクリアできたのは十八のとき。それと同時に、上京した。で、三つの中の一つめは、「感情が入った演技」。二つ目は、「役になりきる演技」。そして、三つ目は、「観客を意識する演技」。


泣く演技で例えれば、一つめは、泣いてる時の感情を出せればいい。で、二つ目は、泣くにしても、役に合わせた泣き方をすればいい。ツンデレとか、泣き虫とか。で、三つ目は、見てる人まで泣かせられればいい。というより、感情移入させれば合格だ。もちろん、百発百中、誰にでも。加賀先生が泣いた時は腰抜かしたなあ。私


で、一週間ずっと演技の練習を頑張った。ちなみに、役柄はいじめられっ子役。中々子供らしいいじめがリアルに書かれた台本で、やる気満々!完璧に仕上げた。とは言えないけど、女優顔負け位にはなったと思う。


「つぎは...、佳苗さんのグループ。」


演技の復習をしているうちに、私たちの番きた。

待ってろよ。


私「ねえねえ、何してるの?」

佳「砂遊び!」

私「私も入れて!」

佳「えー、やだ。あっち行って。」

私「この前も入れてくれなかったじゃん。」

佳「だって、美和ちゃんのお母さん危ないから近づいたらダメって、ママが言ってたもん。(砂をかける動作)ギャクタイジはあっち行け!」

私「っ。うっ。っまっまは、っ、ママは、あ、あぶな、くなんか、っ、ない、もん!うっ、ギャクタイ、ジ、なんか、じゃ、ないっ、もん!」

佳「え、えっと…。」


佳苗ちゃんの台詞が止まって、劇が続かない。

回りの人は、息を飲んでる。あ~、気分が良い。なんか性格悪いな、私。佳苗ちゃんには少し申し訳なくなった。怖がって?涙ぐんでる子もいて、少し申し訳なってくる。まあ、もとを正せば先生のせいだし?と言い訳していると、


「大丈夫!?」


小雪ちゃんが駈けてきた。


「え?大丈夫だけど?」

「でもいま…。」

「なんか変だった?演技だよ。」


そういうと小雪ちゃんは、なんだ、と言って、自分の席に戻った。

その 瞬間


「何やってるの!」


突然どなられ、何事かと声の主を見る。


「回りの役者に合わせる、それが役者の基本です。分かりますか?」


佳苗ちゃんに言ってるのだと思ったその台詞は、


「返事をしなさい、凛々さん。」


私はきっと、とんでもない顔になっていただろう。でも、それも仕方がない。だって、こんな理不尽な理由で怒られたらたまったもんじゃない。


「でも、演技はどんどん伸ばすものだと言ったじゃないですか?」

「黙りなさい!」

「でも!」


バチン

その瞬間、大きな音と共に、頭部に激痛が走った。

同時に尻餅をつく。


「…痛っ」


何が起こったのか分からない。頭を抱えて立ち上がった。


「止めなさい!」


ドア方から怒声聞こえた。そこには、見たこともないおじさんが立ってた。


「あなたはそれでも教師ですか!?一人の子供の才能をねじ伏せるような事をして、理不尽な理由をつけて殴るとは、どういうことですか!?」


そういうと、そのおじさんは、先生をどっかに連れていった。そして、従業員みたいな人が、今度はわたしを連れていった。代理の先生が部屋に入って行くのを横目に見ながら、教室をでた。

廊下を曲がって少し歩くと、部屋に着いた。そこは、保健室のようなところだった。そこで一通り色々調べられた。怪我は、尻餅をついた所と一緒にぶつかったすねに小さい痣ができてた事位で、あとはずっと質問攻めだった。日頃から暴力はあるの?とか、いっつもひどいこと言われてるの?だとか。まあ、本当の事を話したよ。後で監視カメラ確認しないと、とぼやいていて、監視カメラなんてあるのか、と改めて都会に感動した。


で、一通り話終わると、お母さんが、半泣きで駆けつけた。なんか、事務所やめるとか言い出したから、先生が変わればいい、みたいなことをいって、なんとかやめないことになった。ちなみにあのおじさんは、かなり偉い人だったそうで、その日はうちのクラスの教師に用があって、ついでに授業を覗き見してたとか。


先生も変わるし、仕事用の写真もとりなおすことになったので、気分爽快だった。

でも、まさか、あんなことになるなんて、思ってもいなかったから、結構疲れたけど。それと、あの時教室にいた子供達がちょっと心配だな、トラウマとかになってないといいけどなぁ、なんて思いながら帰りの車の中で一人反省会をした。

先生怖いですねー。何で五ヶ月待ってたんだよ!

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