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子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
18/46

18、引っ越し

 すいません。色々書きたいことがあってあんま良いところじゃないです。汗

 「マジか……。」

 「ほら、荷物もって。」


 立ちすくむ私の前を、お母さんがぐんぐん進んでいく。

 引っ越し発言から一週間。ちょっと遅れて来た引っ越し先は、


 「しかも20階。最上階じゃん。」


 そう、高層マンションでーす!イエーイ!

 って気分でもないんだけど。

 もともと住んでた家は一軒家。しかも広い庭付きで新築。なのに高層マンションだと?


 「お父さんの仕事って、何?」

 「お?どうしたいきなり?」

 「いや、ただ気になって。」


 前の家は祖父母などの助けがあって買えたと思っていたが、もしかしたらこのお父さん……、


 「お父さんは普通のサラリーマンだぞ。」


 少なくとも残業はないしブラック企業ではないんだろうけど、


 「どこの会社?」

 「ん?パソコンとかの、"ワールド"って会社だよ。」


 なるほど。うん、なるほど。

 予想はしていたものの、そこまでいい会社とは。

 ワールドっていうのは、日本が誇るインターネット会社。海外でも今有名な会社で、アメリカを中心に規模を広げている。

 すごいな、わが父よ。

 そのうち海外に転勤とかにならないかな……。そこが一番心配だ。


 「凜々花ー!早くしなさーい!」


 マンションのエレベーターの前で叫ぶお母さんに、


 「はーい。」


 と返事をして、私の私物等が入った、リュックとスーツケースをもって、エレベーターまで走った。

 まずは中身ですよ。中身。

 そうして、ちょっとホテルっぽい廊下を抜けて部屋に入ると、


 「わあ!」


 まず見えたのは、正面の壁一面のガラス窓からの絶景。

 つくりはというと、入って右側にはキッチン。その奥にリビングと窓。そしてキッチンとリビングの間は左右それぞれ廊下になっており、部屋が二つずつあった。トイレはキッチンの隣で、アメリカ式なのか、トイレの横にお風呂がある。といっても、トイレの隣にお風呂場がある感覚で、分厚いガラス戸で区切られたトイレの横には、洗い場の隣にどすんと大人二人でもよゆうで入れそうな浴槽がかまえている。


 いいのだろうか。こんな贅沢をしても。


 「ほら、凜々花の部屋だよ。」


 そういわれて入ったのは、右側の一番手前の部屋。なんとなんとの一人部屋だ。引っ越しを機に、一人部屋になるらしい。前世ではずっと兄弟三人で一部屋だったのに。


 ちなみに両親は、左側の二番目、奥側の部屋。左側一番目は客間、右側奥は両親の書庫。もしくは倉庫。


 家の家具は一通り揃っていて、後はお皿とか持ってきたものを整理する。私は自分の部屋の整理をやってから、お母さんを手伝った。

 そうしているうちに日が暮れかけた。もう九月で、最近日暮れが早い。今日は早目の外食にしよう、という話になり、近くのファミレスで思う存分食べて、その日は早目に寝た。







 翌朝。


 「あー、良く寝たなー。」


 と起きてみるともう十時。レッスンがある日ではないのだが、いつもはとっくにレッスンに励んでいる時間なので、落ち着かず、急いで身支度をして朝食(昼食)を食べる。


 「昨日良く寝れた?お母さんはやっぱり落ち着かないのよ、新しいところだと。」

 「全然良く寝れたよ。」


 これは前世からずっとで、たとえ床でも地面でも、眠ければ寝れる。もっともそれで、翌日に筋肉痛になったり、肩に薄い痣ができて、後で後悔してた。(まあ、眠くなったらすぐ寝ちゃいたいタイプだからその繰り返しだけど。)


 「いいわねえ。私達はあたらしいところでは全然寝れないんだけどねえ。」


 お母さんがため息交じりに言いながら新聞を読み始めた。

 前世の特徴って、時々でたりするのかな?私演技も感覚派っていうか、体が覚えるタイプなんだけど、全然できたし。前世からなぜかよく遅刻したり忘れ物したり迷子になったりするし。あ、これは違うか。ただ私が出来ないせいですよね。はい、すいません。


 最後のスープを飲みながら、そんなことを考えていた。


 「ごちそうさまでした!」


 食器を下げて水につけていると、

 ピーンポーン 

 と、チャイムの音がした。


 「はあーい。」


 私がインターホンのカメラを覗くと、


 「和樹さん、芳樹君も!」


 そこには、芳樹君と和樹さん、そして二人のお母さんがいた。


 「どうぞ。」


 とドアを開けると、引っ越しのお祝いに、と、お菓子を貰った。

 三人を通して、もらったシュークリームを食べて、芳樹君と私は、私の部屋に行った。和樹さんはテレビを観てるし、お母さん達は話してるし、暇なので二人で遊ぶことにしたのだ。


 「久しぶり、芳樹君。」

 「お久しぶりです。」


 この子は何故か敬語を使う。家が結構いいところなのか、ため口が慣れてないらしい。

 その後は二人で、演技の話や、演技の先生の話、芳樹君の幼稚園の話などをした。話を聞く限り、芳樹君は、私立幼稚園にいってるらしい。さては、金持ちだな?あれ?ということは、和樹さんも私立小学校とかに通ってる可能性が高い訳で、ということは、同じ学校に通っている梨花さんも金持ち!?そういう事になるのかもしれない。一人で勝手に『玉の輿に乗ったわ』と高笑いする梨花さんを妄想していると、リビングから声がかかった。


 「芳樹ー、そろそろ帰るから支度しなさーい。」


 一時間ほど経っただろうか、芳樹君のお母さんがリビングから声をかけた。


 「うん…、じゃあ、ばいばい。」

 「さようなら。」


 こうして芳樹君は帰っていった。






 「どうした芳樹、食べないのか?」


 お父さんの声にふと顔をあげると、いつの間にか家族全員に心配そうに見られていた。


 「ちょっと具合が悪いので、今日は部屋に戻ります。」


 折角お母さんが作ってくれた夕食も、今日は喉に通らなかった。


 「ごちそうさまでした。おやすみなさい。」


 両親に挨拶をして、足早に部屋に戻ると、ベッドに倒れこむようにして、今日の事を思い出していた。


 (行儀悪いな、何やってるんだろう。)


 具合が悪いというのは事実だった。さっきから頭がボーっとして、集中できない。もっともそれは心の問題なのだが。


 (あの子に会ってからだ。あの子に会ってから、何かがおかしい。)


 あの子とは、もちろんあの、馬場 凜々だ。


「はあーー。」


 自分でついたため息に、だがしかし驚いた。


 (凜々さん、いっつも笑顔だけど、本心が見えないし、僕の事嫌いなのかな。)


 「はあ。」


 こうして芳樹のため息は果てしなく続く……。


 芳樹視点難しかったです。

 更新遅れてすみません。明日は頑張ります。明日から。

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