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子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
10/46

10、映画のオーディション

 そろそろオーディションですかね。

 「凜々さん、ちょっと話があるんだけど。」


 この日、ダンスのレッスンが終わって帰ろうとすると、演技担当の先生に呼ばれた。


 「はい。」


 なんだろうな、と、先生と近くのソファに座る。


 「いきなりなんだけど、このオーディションに出てみない?」


 と、先生がポケットから紙を差し出した。


 「これは…え?えっと。」

 「嫌なら、いいんだけどね。ほら、あなたオーディションの経験ないじゃない?これはそれなりに良い役だし、どうかしら?」

 「……はい。母と相談してみます。」








 と、いうことで、やってきました!オーディション会場!

 ……同じようなことを前にも言ったような。


 ま、とりあえず、先生から勧められたたオーディションは、あるコメディー、感動漫画の実写化(映画)なんだけど、重要人物の役だ。ただ、映画自体が、あんまり有名にならなさそうなやつらしいので、そんなに良いとは言えないらしいけど、現場経験のためにはかなり良い条件だったので、やってみようと思う。地方ロケとか、内容の割にはハードだと先生に批判されていたぐらいだ。まぁ、今のところ良い役のオーディションは無いし、先生が言うには、ゴールデンタイムの連続ドラマが始まる時期は大体同じだから、作り始める時期も大体同じ、でもそれはもっと後だから今は経験を積んでおいた方が良いと言われた。確かにドラマが始まる時期って同じだなぁ、と納得しながらそれなら、とオーディションを受けることにしたのだ。


 「十五番から、二十番までの人、部屋に入ってください。」


 おっと、呼ばれた。入るか…。

 部屋の中には椅子が5つと、向かい合うように5人の男女が椅子に座って並んでいる。


 入ってきた子達は、私よりちょっと大きい子だった。場違いかな?

 まあ、演技力は一番のはずですので。あれ?なんか雰囲気に緊張して泣いてる子いる。あ、なんか連れていかれた。確かに怖いよねー、特にこの高血圧そうなおっさんと、めっちゃ怖い近所のおじいさん的なひと。あと、いかにも子供にスパルタ教育しそう(教育ママって感じの)な女の人と、キャンキャンうるさそうなおばさんと、めっちゃこわそうな着物のおばあちゃん。なんか着物の人だけ場ハズレだな。


 「君!何やってるんだ!座りなさい!」


 あら~、お怖い高血圧ねえ。

 え~、あそこか、椅子おおきいな。


 「よいしょっと」


 あ~、どっこらせ。

 なんか変な目で見られてんだけど、スルーしていいのかな?


 「ゴホン、では、オーディションを始めます。」

 「まず、いまから台本を渡すので、一人ずつ、読んでいきましょう。」


 うわー、おじいさん唾つけてやがるよ、キッタネ。

 つばのところに触れないようにみてみた。


 佳凛:お兄ちゃん、あれ……

 洋平:ああ、あれって…

 佳凛、洋平:幽霊?

 佳凛:キャー!

 洋平:落ち着け、大丈夫だ。

 幽霊:あの、

 佳凛、洋平:うわー!

 幽霊:あの、私はただ……

 佳凛:やだ、来ないで!

 幽霊:あの……

 洋平:近寄るな!

 幽霊:お友達になってください!

 佳凛、洋平:へ?

 

 とのことだった。叫んでいいのかなあ?ちゃんと防音性?

 そういえば幽霊が見えるようになった兄妹の話だっけ…。

 忘れてました、すいません。


 「はい、じゃあそこの端の子から始めて!」


 私は…、3番目か。何この小物感。普通初めか最後でしょ!

 あー、上手くないな。この子もあの子も下手だな。前世の同い年の頃ももっと上手だったはず。加賀先生の厳しすぎるご指導のおかげでね。あ、でもあれか、事務所みてたら分かるけど、事務所に所属してる子って大抵親がこういうのに熱心なだけで、子供にはやりたい、っていう熱意が無いんだよなぁ。あ、でも特待生クラスの子達は結構熱意に燃えてる子達が多かったな。


 「君!次だよ!」


 また怒られてしまったよ。やりゃーいいんだろ、やりゃー


 「お兄ちゃん、あれ…」

 「ああ、あれって…。」

 「幽霊?」

 「キャー!」

 「落ち着け、大丈夫だ。」

 「あの、」

 「うわー!」

 「あの、私はただ……」

 「やだ、来ないで!」

 「あの…」

 「近寄るな!」

 「お友達になってください!」

 「へ?」


 全体的に涙目でやった。コメディーだしなーって感じで演技した。ちなみに、お兄ちゃん役は、高血圧のおじさんが、棒読みで読んでた。何故棒読みなのか気になるところだが、まあ、どうせ公平にするため、とかだろう。


「じゃ、じゃあ次」

  


 

 で、結果発表はその場でやるらしい。もう2時間待たされたよ。審査かな?50人近く受けてるから、そのせいかも知れない。先生曰くこういうケースは少ないらしいけどね。


 「只今より、結果を発表させていただきます……」


 今回のは、レベルが高くてどーのこーのと、長い長い説明をおえ、いよいよ結果発表してくれるらしい。なんて無駄な時間なんだ!


 「合格者は、十八番の方です。」


 私、だ。


 「十八番の方は、保護者の方とステージまでお上がりください。」


 わっ、なんか大げさだね。

 緊張してガチガチになってるお母さんとステージに上ると、


 「あなたが合格ですよ」


 っていわれて賞状っぽいやっつを渡された。え~っと、左手からだったよね。

 着物のおばあさんが、結果発表一通りやってたんだけど、その貫禄にお母さんが圧倒されてた。

 そのあと、小声で、


 「一度降りて頂けますか?」


 って言われて、ガチガチのお母さんを引きずるようにして降りた。周りのお母さんから睨まれるような目つきで見られてしまった。なんか怖いな。睨まないでくれ~!


 「では、これで結果発表の方を終わらせていただきます。」


 そういうと、どんどん人が出て行った。私たちはどうしよう?と思っていると、着物のおばあさんにあ手招きされて、オーディションやった隣の部屋に通された。


 「「失礼します。」」


 お母さんと一緒に部屋に入ると、審査員ずらり。


 「合格も決まったことだし、説明に入りたいと思います。まず、ロケについて。ロケは……。」

 ざっとまとめると、ロケはここから結構近く、隣隣町の田舎ロケで、あと、撮影期間は半年。上映は一か月。キャスティングはまだ決まってなくて、撮影は来月からだって。


 「ということで、よろしくお願いします。」

 「「よ、よろしくお願いします。」」


 と、いうことで、映画出演決定!!


 よっ、頑張れ!

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