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子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
1/46

1、体内

 いよいよ始まります!緊張しますねえ。

 「こんな家、飛び出して、大物になるんだ!」

 あるところに、役者を夢見て家を飛び出した少女(十八歳)がおりました。

 その少女の夢は、転生することによってかなえられることになるのです…………。


                        


 窓の外には、高層ビルや二十階近くありそうなマンションが建ち並んでいる。

 私は、期待に胸を膨らませながら、窓をみていた。 

 ここで、必ず___

 ブッブー

 キイー

 そのとたん、タクシーが急停車した。

 かと思うと、体がフワッと宙に浮いた。

 必ず、女優に…

 頭部に暖かいものを感じた。

 それからの事は、覚えていない。

 

 

                        


 「・・->’’~?」

 何?

 綺麗な女の人……いや、神々しいという言葉が似あうような、美しい女の人が、変な言葉をしゃべっていた。どうやら、私に話しかけているようだった。

 まもなく、その女の人は何かをつぶやくと私の額に手を当てた。その瞬間、深い睡魔が私を襲った。


                       


 次に目覚めたところは、真っ暗な場所だった。私は息をしていなかった。でも、生きていた。不思議な感覚に陥って、一瞬思考が停止していたが、頭が動くようになると、パニックに陥った。

 とりあえず体を動かそうとした………が、 う、ご、か、な、い?! 






 うん、はい、落ち着きました。取り合えず、思い出せるところまで思い出すことにした。 

 あ、そうだ、確か、女の人に眠らされて……その前は、車の事故で……。

 あれ?もしかして、私、死んだの?冷静にそう考えた。じゃあ、あの女の人はだr…


 体が動いた。いや、揺れた。何かと思った、次の瞬間、くぐもった声が聞こえた。「ねえ、陽ちゃん、朝だから起きて~」


 なにこれ、女の人の声?すごいくぐもってて聞き取りにくい。


 「いいじゃん、もうちょっと寝かせてよー。」


 その声は男の人の声だった。夫婦なのかな、この二人。って、誰だよこのバカップル。


 「あのね、大切な話があるの。…実は、妊娠、しちゃった。」


 この瞬間、私の頭にある言葉が思い浮かんだ。





 「転生?」


 

                         



 はい、ということで今は順調に六か月を越してきたところでございます。

 あれから程なく、今、私がお腹の中にいる事がわかって、うちの両親がラブラブな事も分かったところなんだけど、あれだ、こういうカップルってさ、一、できちゃった婚でしょ?二、別れるでしょ?三、シングルマザー、四、ネグレクト。ポン、ポン、ポン(ポン)な訳だ。

 心配な訳だ。

 私は生まれ変わったら子役になるってきめてたのに…。


 と思ってたら、父親がかなりいい会社勤めてるらしい。

 母親は父親に会うまえまで族に入っているような人だったけど、今じゃ専業主婦としてよく働いている。安心じゃー。


 安心すると次の問題が出て来た。

 暇。そう、暇。

 一日の大半は健やかに寝ているけど、起きたらいつも暇。


 「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。おばあさんが川に洗濯に行っていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が……」


 と思ったら、母親が胎教を始めた。

 桃三郎だった。

 まあ眠気を誘いはしたんだけどね。

 ということで六か月目にはいると、胎教が始まりました。


                   







      


 はい、皆さん。大分時が飛び、ただいま入院中です。これまでに分かったことは、両親の名前。父親は場美緒 陽介、母親の名前は場美緒 朔美、だ。私の名前はまだ決まってない。


 陣痛は少しづつ始まってたんだけど、今日のお昼、特に陣痛が酷かったらしく、頑張って自力でタクシーに乗り病院まで向かった。


 お母さんはかなり辛かったらしく、病院に着くなりうなっていた。そこにお父さんも到着して、お母さんの隣で励ましている。


 「んんー!」


 お母さんは結構順調に分娩室に通してもらえて、頑張って踏ん張っている。

 ってことで私も頑張って外に出ようと力む。


 にしてもさっきから頭がすうすうする。

 と、頭に冷たいものが当たったような感じがして、


 「先生!赤ちゃんの頭が出ました!」


 看護師さんが甲高い声をあげた。


 寒っ!

 冬の朝に布団から出た時みたいな感じなんですけど。


 「先生!抜けました!」

 「泣かないぞ!」


 バシッ、バシッ

と、先生がいきなりスリッパで私の体を打った。

 うぎゃー!先生の力すご!

 泣きますよ、泣きますから!


 「うぎゃー!うぎゃー!」


 「凜々花、誕生日おめでとう。」

 「凜々花?」

 「うん。名前、考えたんだ。」

 「うん、良い名前だね。」


 場美緒 凜々花、ただいま生後一分です。

 

 

 やっと産まれました!

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