第3話
テレビをみるときは〜的ご注意。
この作品は小説というより、楓麻視点とフィルムコミック風の体裁で展開していきます。
肝心の絵は無く文字だけですけども。
絵コンテチックな感じと言いますか、ブツ切りの状況説明と、要所要所で入るシナリオ形式のセリフから読者様にシーンの補完と脳内再生していただく、投げっぱなしタイプのスタイルであることをご了承願います。
読みにくいと思いますが、仕様でもともとすので、笑ってお付き合いくださいませ。
「ホラ、杜鷺! カラオケ行くわよ」
学園トップクラスの美少女ともなれば、周囲も黙っていない訳で。
「あ! オレも! オレも行きたい!」
「霊仙寺さん、俺達もいいかな?」
学園ライフを初期段階で地固めしようと群がる男子生徒達。
「私達も一緒に行っていい?」
霊仙寺さんを取り込もうとするカースト上位の女子もチラホラ。
「別にいいけど、アニソン縛りよ? 特撮もアリだけど」
スゲェ。一瞬で凍りつかせちゃったよ! 冷気すら感じるよ! そして俺も聞いてません、そんなルール。
なおも食い下がるイケメン男子達もいたが、クリア条件に『10曲分のオーダー票』を提出させらていた。
これは逃れるチャンス! 引くほどの打線組んで一抜けしてやるぜ! と、意気込んで俺も歌唱リストを霊仙寺さんに渡す。
……結局、無駄な足掻きだった訳だけれども。
てっきり駅前の大型カラオケ店へ行くと思いきや。
霊仙寺さんが選んだのは商店街の中程にひっそり建つ、俺の行きつけだった。マイナーな曲が充実している誰得店舗だ。
「で、なんで二人きりなんだよ?」
「もともと杜鷺と行くつもりだったしね。まぁロクな選曲センスを持った人がいなかったってのもあるわ」
「俺もとっておきの選曲したハズなんだけど?」
ファッション感覚でコチラ側の領域に踏み込んで欲しく無くて、かなりエッジの効いた曲名を書き連ねたんだが。
「いいから、その順番で歌いなさいよ」
霊仙寺さんの打線は明かされないまま、俺が先攻で交互に歌う事になった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
結果から言えば、思わず『結婚してください!』と口走りそうになっていて。
「あんたガチなヤツだな……」
だって普通の女子なら相の手に、こおろぎパート担わないもの。こおろぎ自体知らないもの。
「チョットは心、開いてくれたかしら?」
俺の四曲目、『青雲健児の歌』に『紅洋の旗』で返された時点で、彼女に対して男女の仲を越えた別のルートへと入った気がする。
そんな感じで、濃い20曲が歌い終わる頃にはだいぶうち解けて、最後に『俺ら宇宙のパイロット』をデュエットしてカラオケ大会は幕を閉じた。
帰りに駅前のファーストフード店へ寄ることになったが、彼女のパーソナルエリアがゼロに等しい事もあって、不釣り合いなカップルと思われながら肩身の狭い食事をとった。
そんな目まぐるしい一日の終わりに。
「彼女みたいなのを残念女子と言うのだろうか……? まぁいいや。今は第三話に集中しよう」
第3話 『サブタイトル』
■ アクア・シェルズ内倉庫に仮設された阿久姉妹の部屋
薄暗い、コンクリート打放しの部屋の中。わずかな家具はあるが、生活感はあまり無い。
木枠の姿見に向かう、着替え中の少女。
鏡に映る手が、セーラーのスカーフを締める。
振り返るセーラー服少女。
「行こう、姉さん。」
「えぇ……」
姉と呼ばれた少女は、メカニックな棺から哀しげに身を離し、妹のもとへ。
「行ってきます……父さん、母さん。」
■ 通学路
輝美&瑠奈の登校中。
画面は足下の路面に写る二人の影。
昨夜の反省会を、姿は映さずに路面の影で会話。
●謎のプリキュアの事
●大技・エメラルド・ハンマーへの対処方法
●一夜にして修復したアクア・シェルズが敵のアジトか?
美里子が合流、二人を見てビックリ。
輝美も瑠奈も、身体中に包帯やら絆創膏やらで痛々しいが、つとめて明るい二人。
美里子は何があったのか聞くが、追求をごまかす二人。
■ 校門
なにやら騒がしい学園。
記者・テレビカメラ等、マスコミ陣が押しかけているようだ。
人だかりを遠巻きに見ると、その中心には高等部の女生徒二人が質問攻めにあっている。
美里子がマスコミによる阿久姉妹の現状を説明。
●事故の原因は手抜き工事ではないか
●保険金殺人疑惑
●関係者から、やり場のない怒りの鉾先にされている等
輝雄が現れて、その会話に補足する。
●阿久一家の潔白
●姉妹の人柄
●姉の菫先輩に憧れている
●妹の真凛はクラスメート
誰も気付かないが、阿久姉妹を囲む人々から負のオーラが出ている。
それに呼応するかのように、渦中の阿久姉妹に向けて、マスコミや生徒達の非難が急激に増し始めた。
見かねた照雄が阿久姉妹を助けに人ゴミへ分け入り、ピューと連れ去る。
標的を見失った連中の前に一台の高級車が。
スーツ姿の三人組登場。
アーク・エン・ジュエル建設の社長代理であると宣伝、競りでの独占取材権を提示する。
■ 急造・ドクロマークのついた競り会場
お馴染みのエスニックなBGMが流れる中、一室に集められるマスコミ陣。飛び交う札束。
三人組「ありやとやんした、ありやとやんした〜〜!」
いつもの手口で金を巻き上げられるマスコミ連中。
■ 屋上・給水塔エリア
阿久姉妹と照雄の三人。
騒動をフェンス越しに眺める真凛は悔しそうな表情だ。
姉・菫は病弱な為、フェンスを背にして足を「く」の字に倒し、辛そうにもたれている。
照雄がドアの隙間から撒いた事を確認すると、阿久姉妹に駆け寄り安心だと告げる。
●真凛とのツンデレ会話
途中、菫に優しくする照雄になぜだかムッとしたり。
ヲタの照雄を嫌ってはいるが、真凛の意識は変わりつつあるようだ。
騒ぎが納まる頃、予鈴のチャイムが鳴り、屋上をあとにする三人。
■ 昼休み・照雄の教室
真凛に対して、よそよそしい態度のクラスメート。
普段なら真凛を中心に、楽しいランチタイムなのだが。
真凛の評判—— 明朗快活・スポーツ万能、社長令嬢でありながら、微塵も鼻にかけない上、男女問わず告白される——にもかかわらずこの空気。
生徒達のわずかな妬み。
目に見えないこの思いは、黒いオーラとなって真凛の身体へ吸収されて行く。
苦しむ真凛、耐えきれず教室を飛び出す。
真凛がいなくなると、クラスメート達は一斉にハッと正気を取り戻したようになる。
なにかありそうだ。が、照雄には異変を感じ取る事は出来ない。
真凛のあとを追う照雄。さすがに足が速く、見失いはしたが見当はついていた。
行く先は屋上の給水塔エリア。先程、身を隠していた場所だ。
人のいる屋上のメインエリアより、数段高い位置に設けられた、給水タンクの並ぶ場所。
はたして真凛は、いた。
寂しそうな背中に声をかける照雄。返事はないが、照雄なりに励まし続ける。
「私より姉に言ってやれ」と追い払う真凛。
照雄に背を向けたままの顔は、泣いているが赤面し、嬉しそうだ。
取りつく島もないと感じた照雄、渋々教室へ戻る。
途中、菫が数人の女生徒に絡まれているのを目撃。
照雄には見えないが、やはり真凛と同様に周囲の黒いオーラが菫に吸収されて行く。苦しむ菫を保健室へ運ぶ。
■ 保健室
ベッドで苦しむ菫を看病する照雄。
憧れの菫先輩。なぜこの人が恨まれるのか。
成績優秀・容姿端麗、ヲタの照雄にすら分け隔てなく優しい彼女が。
まさに「それ」が原因の一端なのだが、照雄は知る由もなく。
暫くして保健室に駆け付ける真凛。照雄に礼を言い、阿久姉妹は早退する。
Bパート
■ アクア・シェルズ内部
カプセルの中で眠っている阿久姉妹。
裸体の各所に怪し気なコードが付けられている。
「イイ感じに光ってるじゃないか」
「そうですネ、やはり負のエネルギーは地球人に限りますネ」
「ホンマ、一時はどうなるかとヒヤヒヤしたマンネン」
三人組の会話内容。
●アクージィがFDSの利用方法に気付いた事
●強制的に阿久姉妹へFDSを埋め込み、対ジュエリスター戦士を誕生させた
●地球では負のエネルギーが集め易い=黒FDSの価値が高まる
●負のエネルギーを集めつつ、ジュエリスターも倒せて一石二鳥
●最終的には阿久姉妹の身体から育ったFDSを回収する
●前線基地も完成し、監査役の受け入れも準備万端
「さすがだねェ、頼りになるねェ〜、男前だねェ〜」
だがブタは出ない。
「アンサンの悪知恵で騙し取ったカネも、ガッポガッポォ〜」
「さァ、その金でギルティーネ様をもてなす準備だよォ!」
「「アックーサー!!」」
■ 放課後・校門
阿久姉妹と面識はないが、後ろめたさを感じている輝美&瑠奈はアクア・シェルズへお見舞いに向かう事に。
校門を出た所で後ろから呼び止められる。
二人が振り向くと、変な猫を抱いた女性がいる。
「ちょっと、いいかしら? アクア・シェルズって、ドコォ?」
女子大生? にしては艶めかしい印象。
どこか違和感があったが、目的地が一緒なので同行することに。
途中、携帯モードのサフィーが自身でコールし、留奈に取らせ会話する。
●あの女、アヤシイ
●変な猫も自分達と同じ妖精の匂いがする
アクア・シェルズは目視出来ているため、理由をつけて謎の女性と別れ、物陰に隠れて女を尾行。
■ アクア・シェルズ内部
謎の女は三人組のボス『アクドーン』の愛人『ギルティーネ』だった。
アクア・シェルズがアジトだと確信する二人。
では阿久姉妹は一体? その事は考える間も無く。
ギ ル「カワイイお客さん、連れてきちゃったみたぁ〜い」
尾行に気付いていたギルティーネが、わざとらしく言う。
見つかる輝美&瑠奈。
三人組と黒タイツの戦闘員『シモベー』が二人を追い回す。
「ジィ、カーン、早くとっ捕まえるンだよォ〜ッ!」
「「アックーサー!!」」
ギルティーネは興味なさげで、ソファーに腰掛け、優雅にワインをくゆらす。
輝美&瑠奈、変身してシモベー達を一掃。
■ アクア・シェルズ近辺上空
三人組は、マスコミ陣から巻き上げた資金で強化したメカ怪物を投入。
今までとは違い、三人乗りの操縦席が設置されている。
善戦するも、必殺技の前に散る。
爆発→ドクロの煙→残るシャレコウベ型の操縦席。
ジェネレーションギャップか、お約束を知らない二人の少女は、なおもトドメの体勢。
恐いわー、バーチャル世代。そんな事を思う三人組。
「どぉーすんだヨ、スカッ! あっさりやられちまったじゃないないのサァ〜ッ!」
「ご安心下さい、アクージョ様ぁ。こんな時のためにネ、コレ、ホラ。ポチと」
二人がシャレコウベに蹴り込む直前、突如、真横から聞こえる機械音声。
妖精の機械声『Emerald Hammer』
同時に受ける衝撃に弾かれる二人。
またも立ち塞がる緑のジュエリスター『アーク・ア・マリン』。
輝 美「今日は遅れを取らないわよぉ〜っ!」
二人の作戦。
●留奈がサフィア・カリバーで初撃を食い止める
●その間、輝美は個人大技の準備
●ラッシュが繰出されるまでの僅かな間が無防備になるようだ
●同時に輝美の大技が炸裂
イメージ通り。
留奈が食い止め、輝美は準備。
アクセスリングを胸のブローチに接触、「Prominence Driver」の表示。
ブローチにはめ込まれたファイアオパールが輝く。
輝 美「プロミネンス・ドライバー!!」
輝美が紅炎に包まれ、球状になって体当り。
ギ ル「へェ〜やるわねェ、あの子達。ねぇ? アクーニャン」
変な猫「ニャ〜」
ギ ル「でも……」
ジュエリスター同士の空中戦を見ながら、膝元の猫に話しかけるギルティーネ。
ここまでは完璧。だが。
体当りは何か透明な硬質の壁に遮られてしまう。
目一杯の加速が仇となり、自滅する輝美。
回転しながら弾き飛ばされる一瞬、近距離でラッシュをモロに受けている留奈が目に入る。
輝 美「失敗!? 留奈ァーーッッ!!」
追っ付け留奈もアーク・ア・マリンに殴り飛ばされて来ている。
輝美、めいっぱい踏ん張って体勢を整え、留奈を抱き止める。
二人が注視する先には。
アーク・ア・マリンを庇い、寄り添うように佇む少女の姿が。
但し、彼女もまた、紫色のクア・ドレスを纏って。
輝 美「またジュエリスターなの?」
留 奈「伝説の大売り出し? ココ(地球)、どうなってんのよ!?」
対峙する二組の姉妹の引き画で第三話終了。
「毎回、急展開だなぁ。朝やってる女児向けアニメと違って、1クールで纏めるとなると仕方なしか」
次週を楽しみに、床へついた。
次回更新は7月30日です。