第1話
テレビをみるときは〜的ご注意。
この作品は小説というより、楓麻視点とフィルムコミック風の体裁で展開していきます。
肝心の絵は無く文字だけですけども。
絵コンテチックな感じと言いますか、ブツ切りの状況説明と、要所要所で入るシナリオ形式のセリフから読者様にシーンの補完と脳内再生をしていただく、投げっぱなしのスタイルであることをご了承願います。
読みにくいと思いますが、仕様ですので、笑ってお付き合いくださいませ。
放送当日。
数時間後に入学式を控えた姉は、通学に時間がかかる事もあって、俺に付き合うこと無く就寝していた。当然、小学生の妹はとっくに夢の中だ。
翌日に何があろうとリアルタイム視聴派の俺は自室で放送を待つ。
「クアドラを語れる友達ができるといいなぁ。それが美少女なら尚よし」
新しい学校生活を妄想しているうちに、アバンが始まる。よくある第一話はOPから入らないタイプだ。
■ 宇宙空間で激しくぶつかり合う赤と白の光球。
直径3m程の白球に対し、その10倍以上はある赤球。
時折、弾かれる白球。だが、白球の勢いはさらに増してアップになる。
光源は18歳前後の金髪美少女だった。
白を基調にした高貴な鎧を纏う美少女が、輝くオーラを発しながら吼える。
「ダンシング・スクライバァァァァァー!!」
華麗に舞いつつ、大剣を構え赤球を穿つ。
画面真っ白に。
提供のテロップ画面に切り替わり、鳩野製菓のCMが入る。一社提供はなにげに凄いな。
■ 朝比奈邸食卓
朝比奈一家の朝食風景。
食卓には今作のヒロイン、赤クア担当の朝比奈輝美と1コ上の兄照雄。
母はキッチンで二人の弁当を詰めている。
テレビでは、正午開園の海上テーマパーク『アクア・シェルズ』完成式のニュースが流れた。
輝 美「アニキ、完成式行くんだよね?」
照 雄「うむ。完成式限定『アクポたん』フィギュアは入手せねばな」
輝 美「いつもみたいに早朝から並ばないの?」
照 雄「整理券なら三時間前に『No.1』を貰ってきた」
輝 美「あ~そ~ですかぁ~(鼻声)」
照 雄「オオゥ、鼻クソほじってその態度……」
母 「ホラホラ輝美、女の子がはしたない。朝練遅刻するわよ」
輝 美「あっ、ヤバッ!」
時計に目をやり、あわててトーストとサラダを両頬いっぱいに詰め込む輝美。
照 雄「リスかお前は」
カメラは俯瞰で朝比奈邸全景から玄関正面へ。ドアが開かれ、輝美が飛び出す。
輝 美「行ってきまーすっ!!」
輝石ニュータウンの街並。レンガ敷きのオシャレな歩道を駆け抜け、徐々に緑広がる丘の上、『輝石が丘』その先の高台に小さく見える学校を目指す。
■ エターナル学園全景
輝美達の通う小・中・高一環のマンモス校『エターナル学園』。
グラウンドがオーバーラップし、場面は女子野球部の練習風景へ。
輝美は投球練習。
練習しながら、親友でありキャッチャーの『杉森美里子』の事を視聴者にそれとなく紹介。
●輝美以外、周囲からは「ビリ子」と呼ばれている事
●劣等天然巨乳三つ編み眼鏡(素人にはオススメできない)な事。
●イジメられっ子だった美里子を輝美が助けた事
●女子野球部に勧誘した事
●魔球? 輝美ボールは美里子にしか捕れない等
■ 時間経過イメージ
練習が終わって水道場で談笑、アクア・シェルズの話題で盛り上がる輝美達。
流れる水道水から海上のアクア・シェルズの流水部分へ場面転換
■ 海上テーマパーク、アクア・シェルズ
盛況な完成式風景。パーティー服の阿久親子が笑顔で関係者に挨拶をしている。
その前を至福顔でアクポたんグッズをかかえた照雄が横切る。
それを引き顔で見る、もう一組の姉妹ヒロインの妹、阿久真凛。
■ 再び冒頭の宇宙空間
赤球の正体は宇宙艇だった。
船体を貫通・バランスを崩した宇宙艇に対し、とどめの体勢に入る鎧少女。
だが宇宙艇は閃光を発し、外装を炸裂・キャストオフ。
鎧少女「目眩まし!?」
瞬間、両腕で「ニ」の字にガードした隙間から脱出艇の軌道を追う。
鎧少女「しまった!!」
飛び散る外装を薙ぎ払いつつ、『シャレコウベ』に似た脱出艇を追跡する鎧少女。
■ 輝石が丘
そこから見下ろす遥か海上に浮かぶ、開園したての貝型海上テーマパーク『アクア・シェルズ』。
輝美と美里子は部活の練習が終わって『輝石が丘』で寝転び、流れる雲を見ながら会話。
バッテリー間の結びつきを通し、輝美が「剛球左腕」「美里子の恩人」である事を視聴者に印象付ける。
輝 美「アンタ、いい娘だぁ~!」
初夏の風を感じつつ、空を見つめる二人。
が。
激しくぶつかり合う赤と白の光球。
広がる閃光。
流れ落ちる赤球。
輝 美「何だろ……アレ」
飛び起きる二人。
美里子「流れ星? とも違うね。UFO?」
輝 美「わっ! まぶしっ!!」
美里子「海の方、落ちてったよ」
輝 美「隕石っ!? あのままじゃ……」
美里子「アクア・シェルズに衝突だよ~!」
閃光・爆音。
丘の上から崩れ行くアクア・シェルズを呆然と見る二人。輝美、ハッとして、
輝 美「あっ!! アニキ!!」
美里子「え?」
輝 美「アニキが行ってるんだ!!」
美里子「え~!?」
輝 美「美里子、自転車借りるっ!」
言うが早いか、自転車で海方面へ駆け降りる輝美。
■ 崩壊中のアクア・シェルズ
パニックの園内。
アクア・シェルズにメリ込んだ宇宙艇のハッチが開き、逃げまどう人々をよそに、シードラゴンプロダクション作品から『あの』例の三人登場。
例の感じで各々の失敗をなじりつつ、軽く状況説明をしている。
その会話から『ファントム・ダイナ・ストーン』を途中で落としたらしい。
いがみ合っている間に鎧少女=アルテナが追い付き、例の三人に説教。
が、聞く耳もたずに戦闘状態となり、阿久親子がそのバトルに巻き込まれてしまう。
アルテナが防護魔法で庇うが、フォローしきれない。
戦場移動。
例の三人、追い詰められた末に近くにいた照雄を人質にする。
そのため手が出せないアルテナ。
輝美が到着、園内を走り回って兄を捜索する。
数十メートル先にイベントステージ発見。分断され、今にも沈みそうな孤立したステージを見ると。
対峙する善悪と捕まっている兄の姿が。
輝美、機転をきかし兄を掴んでいる手をめがけて魔球? 『輝美ボール』を全力投球。
みごと命中し、海中に落ちる照雄。例の三人は輝美の存在に気付き反撃する。
足場が不安定のため、運悪く左肩を撃たれて兄同様に海中へ落下する輝美。
それを見ていたアルテナが怒り、大技のモーション。
炸裂し、例の三人は破れた服で天高く吹き飛ばされる。
我に返るアルテナ、右腕のブレスレットから携帯っぽい物を取り外す。
それがポンッとハジけると、パステルカラーの煙から妖精・サフィーに変化。
アルテナ「サフィーはあの子をお願い!!」
サフィー「まかせてフィー!!」
妖精、元気にカワイく返事をし、輝美が沈んだ方へ飛んで行く。それを見届け、アルテナは照雄が沈んだ足下の海へ飛び込む。
照雄を引き上げるアルテナ。気絶中の照雄は眼鏡がズレて、二枚目顔露出。「アラ素敵」みたいなお約束を交えつつ人工呼吸をし、なんとか息を吹き返す。
意識朦朧の中、サフィーの方へ向かうアルテナの背中を見送る照雄。
■ 輝石が丘海岸
重傷の輝美を看て何かを考え巡らすアルテナ。
サフィー「ア、アルテナさま~?」
決意するアルテナ。
サフィー「ナニをしようとしてるでフィー!?」
アルテナ「サフィー、彼女を助けるにはコレしかないのです」
アルテナが両手で包む感じに自身の胸の中心へかざすと、中心が発光し、青い宝石が出現。
その宝石を二つの宝玉に分け、一つは自分に、もう一つを輝美の胸に吸い込ませる。
王家の証であると同時にアルテナの命の源でもある宝玉を与えるとは何ごとかと説教するサフィー。
恩人を見殺しにはできない、とアルテナ。
輝美が復活し、状況をかいつまんで説明する。
会話中に時折、肩に違和感を感じる輝美。
しばし会話のやりとり後、アクア・シェルズの惨状を改めて確認する輝美達。
アルテナの魔法により死人は出ず、逃げ遅れた人々は軽傷で帰宅する。
続いて建物を修復しようとするが、輝美に力を与えた為に、パワー不足で気絶するアルテナ。
Bパート
■ 夕方・輝美の部屋
ベッドで寝ているアルテナ。
輝美がアクア・シェルズからはるばる担ぎ込んできたようだ。輝美の看病のおかげか回復し、今までのいきさつを語るアルテナ。
●アクドーン一味の事
●大気圏で分散したファントム・ダイナ・ストーン(FDS)回収の事
会話中、モバイル・コミューンのレーダーにFDSの移動反応があり、飛び出す二人と1匹。
「危険だから」とアルテナに居残りを言い渡される輝美。
だが、フラフラのアルテナを気づかい、道案内を強引に買って出る輝美。レーダーではおおまかにしか場所がつかめず、結果的に輝美の世話になる。
FDSの性質からさらに場所を絞り込み、輝美がその場所に気付く。
■ 夜・輝石海岸の崖上広場
現場到着。
FDSを発見、ゲットするも、アクドーン一味が大型の怪物を引き連れ登場。
FDSをめぐり戦闘突入。
アルテナは鎧姿へ変身ポーズをとるが、なにも起きない。
何度試してもコミューンには『Error』の表示が。
万事窮す。ここぞとばかりに攻勢にでる例の三人。
FDSを死守し、ジリジリと断崖へ追い詰められピンチの二人。
輝美への攻撃を庇って崖から落ちるアルテナ。しかし。
死を覚悟をしたアルテナが見上げると。
伸びた右手は、栄養ドリンクのCMかと突っ込んでしまうほど、輝美の左手にがっちり握られていた。
左肩の激痛を堪えながらアルテナを引き上げようと頑張る輝美。
チクチクと邪魔をする例の三人に対し、微力ながら二人をガードするサフィー。
「はなせ」とアルテナ。
「いやだ」と輝美。
輝美はアルテナを、アルテナは輝美を。
双方、自分を犠牲にしても相手を助けたい、その一心に答えるがごとく、アルテナの抱えるFDSが宙に浮遊し発光、二人の握った手から吸い込まれると。
輝美の左腕にコミューンが、右中指には赤のアクセスリングが発現し、握った手から徐々に全身へ、真紅の炎をイメージしたオーラに包まれる。
続いてアルテナも共鳴するかのように、青いオーラに包まれ、ゆっくり宙に浮く。
そして二人のコミューンには表示が。
輝美には『Qua Apollon』、アルテナには『Qua Artemis』。
なにか思いあたるアルテナ。
手を繋いだまま、しっかり大地を踏み締める二人。
アルテナ「サフィー!!」
サフィー「ハイでフィッ!!」
アルテナの右腕にあるコミューンへ装着されるサフィー。
アルテナ「輝美、私と同じ動きをして!!」
輝 美「こ、こう?」
アルテナ「で、読み上げるっ!!」
輝 美「クアポロン!?」
アルテナ「クアルテミス!!」
繋いだ手のブレスレットにアクセスリングを接触させると、その手を境に、輝美は炎の柱の中心で、アルテナは青い静寂の光の中心でそれぞれ変身していく。
力の入った神作画の変身シーン深夜Ver.が長尺で流れ、クア・ポロン&クア・ルテミス誕生。
アルテナ「こ、これは……?」
輝 美「!!」
アルテナは先の鎧少女時とは別形態のコスチュームになっている。
一方、輝美はコスチュームこそアルテナとほぼ変わらないが、アルテナの宝玉の作用で、見た目が18歳前後の肉体に成長していた。
輝 美「ちょっ、アルテナ、これスゴくね!? 見て見てっ! 胸、胸あるのぉ~っ!!」
胸を両手で揺すり、涙を流し狂気乱舞の輝美(輝美のバストは同年代平均以下)。
例の三人はいつもの調子で興奮したりコケたり。
仕切り直して戦闘シーンへ。
アルテナは戦い慣れている為、ある種勘で戦っているが。
輝 美「どうやって戦えばいいのぉ~っ!!」
なんとか持ち前の運動神経で攻撃をかわしているが、プチパニックの輝美。
コミューンの表示パネルにいくつかの単語が入れ代わり表示されていく。
輝美の頭の中にその単語とイメージが強制的に流れ込んでさらにパニック。輝美のおつむは、あまり良くはないのだ。
アルテナのサポートで、どうにか平静を取り戻す輝美、次第に力の使い方を覚える。
アルテナ「輝美っ! 右手を出してっ!!」
変身時と逆位置で手を握り合う二人。
アルテナがリードし、互いに片膝しゃがみ状態で、握った手のアクセスリングを同時にアンクレットへ接触させると。
輝 美の表示(妖精の機械声)『Rubellite Tourmaline』
アルテナの表示(妖精の機械声)『Indicolite Tourmaline』
それぞれのアンクレットを読み込んだ瞬間、二人のコミューンの表示パネルには同じ文字が。
=Siberite Tourmalin Crash= そのルーンを叫ぶ二人。
輝美&アルテナ「シべライト・トルマリン・クラッシュ!!」
技が発動、天高くジャンプした二身一体を核に、輝美の赤オーラとアルテナの青オーラが絡み合い、上空で紫色の三角錐のエネルギーフィールドを形成、全体重をつま先に乗せて、大型怪物の身体を貫く。(ギリシャ文字ライダーの必殺技風)
爆発の余波に巻き込まれ、またもや吹き飛ばされる例の三人。
二人の勝利、みごとFDSの一片を回収した。
■ 夜・輝美の部屋
FDSの回収を喜ぶ彼女達。
だがアルテナは変身にエネルギーを使い、見た目が輝美と同年齢の肉体に。変身の事、若返りの事について憶測を語るアルテナ。
●二人が変身した姿は、伝説にあるジェルティスの守護女神・ジュエリスターに似ている
●二人揃ってないと変身出来ない等
会話中、輝美のコミューンが輝き、ポンッと妖精・ルルビーが誕生した。
ルルビーによると、自分はサフィーの弟だという。
本来、アルテナの守護宝石はサファイアで、その妖精がサフィーである。その為、輝美に与えた宝玉が覚醒したとしてもサファイアの精なのだが、輝美のオーラがあまりにも強烈だった為、ルビーへと性質変化したそうだ。
当面の問題。アルテナの滞在場所をどこにするか。
輝美は自分の部屋に隠れ住むようにススメるが、それでは輝美に迷惑がかかると拒むアルテナ。
一進一退。互いに譲らず、ヒートアップ。
そこへ騒ぎを聞き付けた照雄が現れる。
照 雄「輝美、うるさいぞ。なに騒いで……って友達来てたのか」
アルテナ「お騒がせしてスミマセン」
照 雄「いや、気にしないで。いらっしゃい」
輝 美「アニキ、ゴメンネェ……って無事だったんだ!!」
照 雄「フッフッフ……素敵なコスプレレディにマウッチュウゥマウッッ!!で助けてもらったのさ。」
救助シーンを回想し、取り乱すアルテナ。
輝 美「あ~そ~ですかぁ~(鼻声)」
照 雄「オオゥ、鼻クソほじってその態度……まぁいいさ、お茶でも入れて来るよ」
階下へお茶の用意をしに行く照雄。
赤面してナニやらブツブツ言っているアルテナ。
輝 美「?どうしたの、アルテナ?」
アルテナ「あ、あ、あ、あの素敵な殿方は輝美さんのお兄様……で?」
輝 美「素敵かどうかは解らないけど一応アニキだよ? あんなオタク瓶底眼鏡がお好みで?」
アルテナ「……分かりました。私が折れましょう。ここをFDS探索本部に決定します。」
輝 美「へ?」
アルテナ「では私は地球のしきたり通り、押し入れで……青いし」
輝 美「ち、ちょっと、アルテナ! ソレ、チガウ」
軌道修正。
アルテナの記憶操作魔法により、アルテナの身の上設定は以下の通り。
●幼い頃、双子の姉は家庭事情で海外赴任の朝比奈パパが養育
●パパの仕事の都合でアルテナだけが昨日帰国したと言う事に
輝石ニュータウン一帯で朝比奈家事情を知る者には、その魔法がかけられた。
バックに明るい曲調のオープニングテーマが、エンディング曲としてスタッフロールと共に流れ始める。
輝 美「ホントに大丈夫なのぉ~?」
半信半疑の輝美。そこへ照雄がお茶を持って入る。
照 雄「お茶はいったよ。あ、留奈、今度の日曜日に必要な家具を見に行こう」
アルテナ「ハイ~、お兄さま」
輝 美「へ?」
照 雄「輝美、留奈と仲良くな。じゃ、おやすみ」
アルテナ「問題無し……ですわね」
輝 美「留奈って?」
アルテナ「もちろん私の事ですわ。アルテナじゃ日本名とは思えませんから」
輝 美「そ、そうね」
アルテナ「今日から私達は双子の姉妹。宜しくね、輝美」
輝 美「うんっ、宜しく、アルテ……る、留奈っ!!」
二人堅く握手。
曲、終了。
Cパートへ
■ アクア・シェルズ跡地近辺の海上
波間にプカプカ浮かぶ例の三人、ジュエリスターの登場に憤る。
遠くに発光体を目撃、その正体は————
「フゥ。やべぇ、興奮して眠れねぇっ!」
結局、朝まで繰り返し観てしまい、俺は寝不足のまま入学式を迎えた。
次回更新は7月16日です。