第0話 放送直前SP的なアレ(前編)
「ねぇ楓麻! 今度の『クアドラ』は双子の姉妹が主役だって! 私達みたいね」
「俺達の場合、姉弟な?」
なんの澱みもなく女扱いするよなコイツ。まぁ、異性一卵性双生児だから姉の静香にしてみれば鏡を見ているようなもんだろうけど。
実際、俺が同じように髪を伸ばして並んだ場合、二秒以内で判別できるのは2コ下の妹・ミヤコくらいだし。
「ヒロイン2人から姉妹2組の4人になるんだ」
情報によると、今度の番組はクアドラ発売10周年かなんかで、とても豪華な内容らしい。
まず、注目したいのは制作会社。老舗の『10A』が、深いストーリーと劇画タッチのキャラで有名な『シードラゴンプロダクション』とスーパーカーを題材にしたアニメ以来、数十年ぶりにコラボするのだ。
そして、なんといっても『シードラゴンプロダクション』の人気キャラが今回の敵勢力として登場する夢の共演。
「来週からか。当然、全裸待機だな」
「お姉ちゃんも付き合うわ」
スポンサーの鳩野製菓が店頭で配布していた、関連商品の販促を兼ねた番宣用パンフを読み進める。
【4人でquadra!! ジュエルシスターズ】
=あらすじ=
天空より降り注ぐ輝きの狭間にある幻想宝石の世界、『ジェルティス』。
宇宙の星々はジェルティスより誕生していた——————
そこでは宝石妖精の守護の中、新たな星の核となる、生きた鉱石『ファントム・ダイナ・ストーン』が数百年に1つ自然精製される。
惑星1個分の超エネルギーを秘める為、厳重に守護されていたが、宝石の悪用を企む『キョアーク星』の『アクドーン』一味に強奪されてしまう。
ジェルティスの女神『ジュエリスター』に変身し、一味を追うジェルティスの王女『アルテナ』。
攻防の末、ファントム・ダイナ・ストーンは地球に埋没してしまう。
事件に巻き込んでしまった人間界の少女『朝比奈 輝美』の双子姉として一味討伐と宝石回収の為、朝比奈家に滞在する王女。
以降、輝美の協力を得てアクドーン一味との長い戦いが始まる。
「クアドラ要素どこいったのよ? ガン無視じゃない。タイトルに『quadra』ってつけときゃいいってもんでもないでしょうに」
「一応4色あるし、宝石がカードの役目なんだろ」
地水火風じゃなさそうだけど。
「カードから宝石にしちゃうあたり女児層狙いかしら?」
「いやいや、ココを見ろ。ヒロインが乗り込むメカがあるらしい」
「なんか昭和テイスト溢れるコミカルなデザインだわ」
【レプリスキューシリーズ】
●レプリスキューシリーズ1
『レプリスキュー・アン』(チワワ型の陸メカ)
●レプリスキューシリーズ2
『レプリスキュー・ドゥー』(ドードードリ型の空メカ)
●レプリスキューシリーズ3
『レプリスキュー・トロー』(マグロ(中トロ)型の海メカ)
「前作に登場した『夢松明』の別解釈で、男児へのアピールも含まれているらしいな。今回はアイテムの組合せ次第で3タイプの突撃台座になるわけか」
「なんなのよ、『ゆめたいまつ』って。ドリーム感がないわね。それ以前に中トロて……お姉ちゃんにはアンコウにしか見えないんだけど? ドードー鳥もペリカ……んきゅう」
うるさいので鳩尾に一発入れておく。ドリーム感てなんだよ、トーチ狂いやがって。
【なりきり変身シリーズ】
●変身アイテム指輪『アクセス・リング&ガントレット』
各アクセサリーとリンクし、音声認識で発光。
●パーソナル妖精『腕掛ケータイ・ワンセグコミューン』
モバイル&ワンセグコミューンのセット。
「ガントレットとアクセスリングの復活かぁ。このオマージュはファンとして嬉しい」
大きいお友達に向けた商品展開のページが終わり、登場キャラクターのページへ。
「なん……だと」
そこで俺は留奈ちゃんと運命の出会いをする。
【登場キャラクター】
●クア・ルテミ
『朝比奈 留奈CV:大野スズメ』
メインヒロインである赤&青の2人は、デザインこそ違えどキャラ名と声優さんは初代ヒロインを採用していた。
「旧作ファンへの嬉しいご褒美だな!」
杜鷺楓麻15歳の春。高校入学を来月に控え、これから始まる学校生活と俺得深夜アニメに期待で胸がいっぱいだった。
次回の「後編」(キャラクター紹介)を経て、本編に入る予定です。