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遠神の帝国Ⅰ  作者: ペコ
29/60

29 ゾルの襲来、トMワ焦土戦

「伝令、伝令」と呼ぶ声に応じ、ひとり若い兵士が駆け参じた。


「はい、指揮官殿」


貴様(きさま)は、函門(かんもん)の手前500、街道のその点地を確保せよ。いっさいの救援行動は禁じる。そこに待機して全てをみとどけよ、そしてトMワに知らせよ」


「それはどういうことでしょう?」


「我が部隊は熟練の選抜。尾青(びせい)の貴様以外はな」


 指揮官は声を落として続けた。

「貴様はkミエ様のご博愛・・・いやさすがにまだか。


 我らはこの身にkミエ様を(たてまつ)る。貴様にはまだその資格がない」


「それはどう言う意味でしょうか、指揮官殿」


「敵は圧倒的、そして我らは寡兵(かへい)。いかにいなそうが、突破を許すのは時間の問題だ。

 今いちど命じる、離れ待機せよ、全てをみとどけし(のち)、至急トMワに戻れ。


 いちはやく知らせる者が必要なのだ。その任務を脚速(あしはや)(ほま)れの貴様に申しつける。よいな、頼むぞ、抗命は許さん。(めい)を受けたら復唱するのだ、新兵」




 その命を受けて(のち)およそ時間1と半。


 爆破で始まった阻塞堰(そそくせき)は爆破のごとき決壊で終わった。そして函門より(みの)りの沃野(よくや)に放たれるは、渓谷(けいこく)の水を吸いに吸ったゾルと土石の奔流(ほんりゅう)


 待機位置で衝撃波と爆風をやり過ごした若い兵士は、眼前の有様(ありさま)に絶句が絶句にならなかず、言葉がこぼれた。

「なんてこった」


 無事な者がいるようにはとても思えなかった。


 粉塵のせいだけでなくにじんで止まない視界でもひとめで部隊全滅とわかった、そしてどう魔力で若い目をこらしても、尾に感応するものなく、確かな部隊全滅だった。


 全てを見とどけた兵士は(きびす)を返し、玉砕(ぎょくさい)の報を伝えにトMワへ急いだ。


『はあ、はあ、はあ、ちくしょう、なんで震えがくる、脚がもつれる、いっ、いつのまにあの大煙が、とてつもない、トMワはトMワは大丈夫なのか』


 息せき切っても焦る思いほど速くは進めず、青いと言われた尾も背後の敵、その喰思(しょくし)に感応してちりちりしていた。




 出撃部隊でたったひとり帰還を果たした兵士が伝えるkミエの覚悟の(げき)。その口伝(くでん)伝説(レジェンド)となった。


 天の劫火(ごうか)に焼かれた(いにしえ)の戦跡、そこに()つ憂国の早世(そうせい)の魔女の碑の文面がそれである。


 苦難の千年紀(ミレニアム)の大絶滅を経てなお、伝わるその足跡(そくせき)は、やがて成立の共和政体とともに遙か時空を越え超地球(スーパーアース)に渡ることになる。






 膨大な魔力を誇る上級魔女とて、()で町中心域を取り巻く防壁をまるごと周一処理するのは、手際(てぎわ)に時のリソースを要する、そして土鉱の連れは急げと告げた。


 尾なき相手のしかも通信であったが、タrアが連れの助言を信じない理由はなかった。


 魔力の高きものを、防塞壁のうちそとに重二に並ばせ、外からは加熱、内からは冷却の魔力をかけさせ、それをタrアが増幅(エンハンス)して、外壁の全周のガラス化を仕上げていく。「ジョルのぐんたいにちかいほうから、りょうほうこうにむけ、ぐるりとそうしゅていけば、はやいのではないでしょうか、タrアしゃま」


「まあ、なんて賢いの、(わたくし)の可愛いrウ、貴方はその幼い小さな体のいったいどこにそれほどの知恵と知識を隠しているの」


 タrアが連れとの間の(ひそ)かな雛子、rウの献策をとらない理由もなかった。




 函門の大岩壁落としの大爆破の轟音(ごうおん)は遠い雷のごとくトMワにとどいた。


 トMワをあげての火付けと消火の混乱(マッチポンプ)喧噪(けんそう)に、どろどろどろと重い低い大音が()され、タrアの不安をいや増した。


『kミエ達は接敵したようね。出立(しゅったつ)してまだ時間1と言うのに、早すぎる』


 そこまでゾルの群体がせまっていたのかと思うと、タrアは防塞壁の熱処理によりいっそう没入した。


『外方向への延焼はあきらめよう、いえ、むしろそれを奇火(きか)に盾に武器に敵を迎えよう。ゾルは自分の焼けた臭い肉でも()らってればいいわ』


 領民達も布告された脅威の(まこと)を悟ったか、目の色が変わり、魔にそそのかされた狂者も出てきた。


 タrアは危機の緊迫に(さらさ)されて、意識に登ることなくこれまでこれた眷属(けんぞく)を支配することへの忌避、縛り、意思の自由の尊重をそれと知らず手放(てばな)した。すぐに衛士(えいし)が強いるまでもなく、おのれの体以外の財を惜しむものまでいなくなった。



 その応報、領民から(かえ)される敵に屠城(とじょう)されることへの恐怖。その荒ぶる恐れが尾の感応の不全を越えてタrアに襲いかかってきた。


火焔(かえん)に騎乗し、舞い上がる

黒煙と火の塵を我が(ころも)とする


 眼下は一面、(くれない)の大海

劫火(ごうか)こそこの(ただ)れた(その)にふさわしい』


 明けて久しい白昼というのに、夢魔が現れ、騎行の悪夢の掛かりを思い出させて、牙を()いてきた。


(わたくし)のトMワが火に包まれて、

 あちらこちらで我が物顔に、渦巻く炎竜Sが渦巻いて、立ち登る煙竜Sが立ち登る。

 爛れた園なんてとんでもない、

 (いつく)しんだ町並みを焼かなければならないなんて、

 焼いて焼いて私の中のトMワへの思いまでを焼いて、その怒りどこに向けよというの。

 遠き神よ、それを私の(カルマ)というの、(ごう)なる(えん)というの』



 心魂が千々に(みだ)されようとも、決して屈し(ふく)すわけにはいかなかった。


 幼魔女rウはすでに大尉にかかりきりになり、心拍で(クロック)を合わせて、目覚めぬ大尉の心魂に潜行(ダイブ)をはかっていた。大尉の胸にあずけ、(まなこ)も閉じた幼気(いたいけ)な体の無防備は、タrアに芽生(めば)えた雛親の子守(こも)りの情をかき立てて止まなかった



 そうしてさらに時間1を越えて、トMワに再び大轟音がとどいた。度二目は空振(くうしん)が町をビリビリ震わしさえした。爆破の向きが下流、トMワの方向を指向し、風魔(ふうま)(たぐ)いがそれにつけいったのだ。


『予測しがたいのが未来のこと。今朝まではこのようなはめに(おちい)ろうとは、

 誰も、どの邪魔(よこしまなるま)も、思いもつかなかっただろうに。


 それは今という事案が変化するその子細(しさい)が、予知の正しきほど遠からずの、

 神なる身ではないものにはわからないということ。


 それを理解していれば、いかなる事態の到来にも驚かず平然として

 領主の諸行(しょぎょう)にあたれるはずなのに、

 なんで二つ目の大音の(ひびき)が私の心まで震わせる、

 なんで常に無く、涙がこぼれそうになる、心を()れそぼらせる。


 湧き上がる不安が黒い、つきない、いや、まとわりつく。

 いや、これはなに、いや、これはなにの知らせなの』



 あまりの猛火の勢いに乗じ、(おご)り高ぶる火煙竜属の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)。その灼熱の旋風(せんぷう)()かれ火の松明(たいまつ)と化し膝をつき倒れる犠牲者の悲鳴。


 せっかくのrウの策だったが、こうなってはやむを得なかった。領民はみな中心側に撤退させ、防塞壁を内側から総出(そうで)で冷却と防火にあたらせた。


 そしてひとりタrアは、赤い火の(じん)(すす)降る焦熱(しょうねつ)の暴虐の中、さらなる火力の投射に専念した。


 東の山街道側の半周の工程を何とかおえた頃には、壁の仕様の詳細を知ってはいても加工のできを保つのに手直しの手間もいるようになり、両方向あわせての進行はあきらめた。


 時の進みに同期する時計からくりの魔法針の回転の向きに逆らわず順方向で、ガラスの円環を閉じて行くその(さき)に立った。


 火炎の乱舞をしつける作業に掛かりきり、自分に躍起(やっき)を許し、そのために体から排熱の魔火が噴き出したことさえ、そのまま(いと)わなかった、それこそ魔が竜が(おそ)恭順(きょうじゅん)してくるほどに。


 それでも黒い不安を(すみ)のように黒い不安を焼き尽くすには足りなかった。()がれて大火の修羅(しゅら)の大魔女と化そうとも、つき(まと)う不安を無害な灰にかえて排することには足りなかった。


『rウとトMワはこの身に()えても領の(かみ)(わたくし)(まも)ってみせる、でもkミエ、貴方(あなた)には、貴方には手がとどかない・・・いない貴方には私の手がとどか・・・』






「あっ、ああ・・・」


「急にどうした、なにかあった、仮想世界が(にじ)んでるぞ」

『これは天才幼魔女が動揺している?』 


 大尉の膝の上で、見上げてくる双の玉宝(ぎょくほう)のような澄んだ(まなこ)が透明な涙をこぼれんばかりに(たた)えていた。

『これは現実(リアル)でも泣いているというのか』

「何があった」


「なにもないの、、あるはじゅのものが、ないの、なくなった、つ、つながりをかんじなくなった・・・kミエしゃまのがkミエしゃまのが」


 仮想世界はさらに滲み、高解像を(うしな)い、コードとブロックノイズの混沌(ケイオス)となった。それもすぐに暗い灰単色の無情報の背景描写に()ちた。


『膝上でしゃくり上げる幼女をどうなぐさめろというのか』

 大尉は小さく震える小さな体の小さな背に腕を回して抱きしめ、残された仮想の体の指の腹でぽんぽんと優しく叩いてなだめるしかなかった。


 rウはそうされているうちに自分をとりもどしてきたようで、大尉を背後から不意打ちした渦蛇(かだ)を呼び込むことになった今朝の特別濃い(もや)経緯(いきさつ)から、ぽつりぽつり、順に(こく)りはじめた。



「・・・それでタrアしゃまがいったの、、ばついちかいひゃくで、、ていこくにかれつなしょぶんをくだされるという、、だいだいだいのきゅうちなの、、rウもしょうおもうの」


「まさか、それはありえん。本官は竜魔(りゅうま)()く辺境の小属領に赴任(ふにん)のたかが尉官のひとり、高価な軍資を投じてそこまで報復するほどの階級でもないし、ましてや幹部候補ではない」

『もしやあの徴用兵の素人同然が演技で、機会に便乗(びんじょう)して準戦略兵器ゾルをして土鉱と対立するトMワを襲わせた、もしやそんなことがあるのだろうか。


 そもそも自分がここにきたのは土鉱と共和の緊張の実体を確かめるためでもあったのだが・・・帝国軍の魔法知性(MAI)の攻勢防壁を定命(じょうみょう)のものが出し抜けるなど信じられん。


 幼魔女の嘘とは思えないが、状況誤認のほうはまだしもありうる。対絶あってはならない異常起動を聞かされただけで容易(たやす)く信じるわけにはいかない』



「それで、kミエしゃまがトMワぼうえいのじかんをかしぇぎに、ちたいしぇんとうにでて、でて、、つながりがかんじなくなったの、、kミエしゃま・・・」


「そのつながりというのはなんだ、どのベースの魔法リンクか」


「、、rウはとのしゃまにはかくしごとしないの、rウのひみつ、ひみつのひみつもとのしゃまのものなの。


 あのね、とのしゃまがrウをみつけてたすけてくれたべつしぇかいがあるの、しょれはぜんしぇいなの。

 そのじょくしぇいはしんこんにきじゃまれていて、まほうじゃないの、しょれはあみのようにつながっていて、きょうかんなの


 rウたちにとってはいしきできないほど、こんげんてきで、いしきにのぼらなくて、たぶんrウひとりだけが、このしぇかいのかみしゃまにしることをゆるされている、ひみつのひみつなの


 しょれはていこくのしはいがおよばない、いぶつなちからなの」


「きょうかん、そうか共感か、それで自然に(つど)う。丸秘で()された共和の民の背景としてそう言うこともありか。


 異世界からの集団転生が事実なら、帝国に限らず、この世界の主権、この世界の神権の侵害にかかわる問題だ。そして小さな魔女殿の話しを信じるとすれば、本官もそのひとりということになる、本官の(つまび)らかでない幼生もそのからみかもしれん」


「rウたちはいせかいからのしんりゃくしゃじゃない、とのしゃまはひとりでないでしゅ。

 とのしゃまはとのしゃま、rウのごしゅじんしゃまでしゅ、きょうわにつどう、たみみなのごしゅじんしゃまでしゅ」


「急にそういわれても、覚えはないぞ、話しだけで事実の裏付けがない」


「まえのしぇかいで、みなのきゅうしぇいしゅで、みなのとのしゃまだったの。おねがいなの、おねがい、rウたちをたしゅけて、またこんどもたしゅけて、kミエしゃまも、じぇったいまにあってたしゅけて」


「本官は護民官を兼任している。

 共和の民とて、帝国の属領民であるからには、そうしてやりたいのがやまやまだが、渦蛇(かだ)の不意打ちを直撃されたというなら、その際に本官の脳幹の網様体といわれるものまで深刻な損傷を受けたようだ。

 そこも修復が実行中で、生来(せいらい)の意識が戻るにはまだ刻限をようする。


 小さな魔女殿のお相手をする今の自分は仮想の意識にすぎないだろうと認める自覚くらいはある。


 本官の現実脳は脳幹を封じられて施錠(ロックドイン)されている。

 帝国の軍事情報基盤にアクセスできる状態ではなく、小さな魔女殿の申し立ての真偽を確かめることすらできない」


「とのしゃま、とのしゃまのほんとうのいしきがもどれば、じょるをとめられるの」


「ああ、多分。事態が小さな魔女殿のいうとおりなら、おそらく本官とのリンクが切れて応答がなく、共和領で攻撃をうけ失陥(しっかん)したと判断があり今の危機に繋がっているのだろう。


 それでも準戦略兵器ゾルが起動してしまったのが本当なら事態は非常に重大だ。なにか埋め込みか、見逃しの内因の瑕疵(かし)があるのか、それとも外部からの・・・」


「とのしゃま、とのしゃまのいしきが、かそうでなくて、ほんとうのとのしゃまのいしきがもどれば」


「共和領を制圧する根拠が無くなれば、兵器ゾルに活動停止の優先命令を送ることができるだろう。ただし、それでうまくいくとしても刻数を要する。

 もう数刻かかる脳幹の修復に加えて、司令官装備との必要な再接続の際の認証をとるのにさらに時間1はかかる。正直(しょうじき)なところ、間に合わないかもしれない。


 よし、小さな魔女殿を信じよう。

 よいか、小さな魔女殿は現実に戻ったら、本官の帝国大尉記章をもち、庭に降りたという飛竜のもとに走り()がせ。

 あれは乗っ取り防止でひとりしか騎乗を許さぬ仕様だが、もしも最後となれば小さな魔女殿を本官の指揮下と認め、乗せて飛び立つだろう。

 本官の大尉記章の取り外しの鍵コードは×××だ。そこに記録されている情報の持ち帰りを頼む」


「やだ、いや、ひとりだけたすかるのは、や。

 や、やっとあえたのに、きせきなのに、やっとあえたのに、もうにどとあえなくなるかもしれないのに。


 rウはいかない、rウはここでこうしてる、ほんとうのとのしゃまのいしきがもどるまで、ここでこうしてる、rウのからだはちいさくてよわくてほかになにもできないもん。


 もし、もしほろんでもいっしょ、rウはとのしゃまといっしょなんだから。


 こわくなんてない、ない・・・おねがいでしゅ、いっしょにいしゃせて、とのしゃまのおひじゃのうえで、とのしゃまのおむねのうえで、とのしゃまとつながっていしゃせて」


 万象(よろず)ねじ伏せる魅力、その化身(けしん)、幼魔女rウの捨て身のお願いに仮想の帝国大尉ではなすすべなかった。






 ほほう、ほう、これはこれは、たいした騒ぎになっているわね。領主が火煙竜Sを引き連れ、領都を焼いてまわるとは、うむ、たいした狼藉(ろうぜき)、いえ覚悟だわ。


 火力で退けるにしてもそれだけでは、ゾルの群体のマスの暴力にはとうてい不足でしょうに。そこで私の出番(および)と言うわけね。


 あら、あらら、あの若い兵士はなんでその劫火(ごうか)の方へやみくもに向かっているの。()(この)んでそれをはかるものを止めてよいのかしら、いえ、止めなきゃだめじゃない、まだ壊れないで私。



「まったく尻尾に火がついたようなあわてようね、坊やの素敵な青い尻尾に」


「坊やって、誰にいっている。あんたは誰だ。どこから現れた。軍務の邪魔するな」


狭間(はざま)からきたお節介なお姉さんよ。ほら、見て見て見とれて、出来(でき)たて、ナイスバディのぴちぴち尾人(びじん)さんでしょう」


「あんたの相手をしている時間はない、どけ」


「火の海にひとりで突撃をかますのが軍務なの。勇ましい坊やね」


「うるせー、坊やいうな、急ぐ邪魔だ、伝令の邪魔だ、どけ」


「あっぱれだこと、よほど大切な伝令の任務のようね、もしあたしが敵なら、坊やを阻止すると思わないの、まあ、放っておいても、火煙竜Sの黒焦げごはんになるだけだし、もったいない。それよりあたしの晩ごはんにならない」


「何を言ってる、桃色女、あんたは敵か」


「逆よ逆。勇ましい坊やを助けてあげてもいいわよ」


「どう言う意味だ」


「狭間の魔女って聞いたことない?」


「知らん」


「えー、ないの、あたしも伝説になるにはまだまだ若いってことね、残念」


「魔女様ならトMワには・・・ふたり、いらっしゃる・・・」


「急にどうしたの、お姉さんに話してみ」


「軍秘を話せるはずないだろ。それよりあんたも魔女、魔女様なのか。領主のタrア様に伝える至急報がある、このまま火の中に突き進んでも伝えたい、助けてもらえるか」


美味(おい)しい晩ご飯のためなら、肌一といわず肌何でも脱いであげるわよ」



 任務がひとつ終わる都度(つど)の強制若返り。

 老いた心魂にも春はくる。


 まあ、私の言葉だけで尾先までおったてて、なんて(うい)々しい坊やなの。


「あたしが火煙と竜を退ける役で人二様(カップル)で魔猪猛進する特攻も悪くないけどね、遠き神にかけて、坊やの素敵な脚でまだ炎上してない方に急ぎ廻る方が早いわ」


「あんたは、いや魔女様は遠神様のお使いなのか」


「さあ、どうかしら、そうかしら、さあ急がないとね、坊やの領主様もあたしに用があるに違いないから」

なん年か前の欠薬パニック:民に降る(タミフル)、インフルエンザ、ウイルスの、死に目とれるや(シンメトレル)、蓮座もなしに(リレンザ)

今日日         :民に降るインフルエンザぞふる座に(ゾフルーザ)、蓮座もありて死に目とれるや


だめだ、頭がぼけーっとして冬眠したがってる。




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