13 帝国武官
貧民区も場末で、言うことなすこといささかおかしい仮名が文字二つの爺さんに出くわして、偶然の手助けをしたのが切っ掛けだった。
はぐれと知られて、これはよい都合の素材じゃのと言われ、気づいたら変な魔法屋に連れ込まれ年端もいかないのに住み込み下男みたいなものにされて、いろいろ魔法のようなものでいじくられていた。
終わりのない白昼夢が続くような昼夜。自由のない時忘れのそれが年何をかけ続いたのだろう、それでも何よりも空き腹の苦の不満はなかったし、知らぬ間にいろいろ知識をさずかっていた。そしてある日のこと、ここでのことは今日でおしまいじゃと言われ、有無を言わさず記憶のかなりを奪われ、なぜなのか軍学校に放り込まれた。そこを卒業まで支給の多いとも少ないとも言えない額の月銭を含めて、爺さん的にはどうやらそれがそれまでの褒美というか償いということになるらしかった。
初めの月、意識の拘束を解かれてそう日がたたず浮かれ気分の脱けぬまま、級友たちのしんがりになってとある盛り場にきていた。そこであの女子に遭遇した。
「ねえ、きみ可愛い、こういうとこ、初めてなんだ、ふふふ・・・」
可愛いと言われても、どうみても相手も同年配かすこし上。初経があってから年二もたっていなさそうに見えたが、胸と尻が膨らんできた孕める歳の娘子なら自分的には差し支えなかった。
自分は夢中で尾を交えようとして、
「きゃっ、もうこれだから○○は」
と逆にいなされて、自分はしゅんとなりかけたが、そこからは相手の子の手ほどきの独断場だった。
気がついたら尾を強く絡め合って、自分でも信じられくらい熱くて重くて張れあがったものが、自分の上に深く跨がったすこぶる潤い柔らかい温かい相手にとりこまれていた。彼女は悩ましい嬌声を上げ快楽の極地にあるようだった。自分も生まれて初めての抜き差しのとりこで、それしか頭になかった。
相手の子は自分と違って初めてではないとわかっていたが、それはたいした問題ではないと思っていた。何も知らない初な自分は、その子と定番になったとばかり思っていた。
次の休日、当然のようにその盛り場にでかけた。
そして、ほかの男子と盛っているその子に出くわした。
番おわったその子に問い詰めると、
「えっ定番、それなんのこと?、何をいってるのかわからないわ、いろんな男子や年配とつきあってみなきゃ、私の季節卵に誰の精を受けるのがいいか、わからないじゃない。でもきみの最高に具合よかったし、ねえ、今からしてもいいよ」
その後どうしたかはおぼえていない。いや、それは嘘だ、ぼくは誘惑にまけた。
そのあとも何度もかよい、他の娘の誘いにも応じた。
自分はどの相手も独り占めしたがった。だがどの子もいやがった。孵化の巣の出でない自分は、常識がおかしいとさえ言われた。盛り場に出かけても相手にされなくなるまでそう日数はかからなかった。
自分は後ろ指を刺され罪悪感にまみれていた。盛り場に近寄るのを避け、娼館に通うほどの金に欠く身では、清廉をまとい、清廉を矜恃としてそれにすがりついているしか、なかった。そして軍学校というものはそうすることに全く都合が良かった。
そうして学年一の終わりの頃にもなると、その成果は学年順位で自分に微笑んでいた。禁欲は全く無駄にはなって無かった。そうして学年二、飛竜とであい、それに魅せられるように、空軍の進路を選択した。そして学年三、桁ひとつ順位で卒業した自分には、帝都の勤務の誘いもあった。
だが、孵化の巣の派閥に組み込まれる気にはならなかった。孵化の巣たちの番の常識だけはどうしても受け入れる気にはなれなかった。さりとて、新卒の貧乏少尉では相手に定番でもよい、囲われてもよいと思わせる俸給にはほど遠かった。
だから、自分の狙いは帝都とは全く逆の所にあって、それを隠さなかった。
任官して手にした初めての辞令の封を切ると、番一に赴任先をみた。
灰の魔法の塔とあった。
軍務省のある帝都からは最遠の魔法の塔のひとつ。そこの単身駐在武官。
中央での出世とほど遠い不遇職だろうが、単身と言うところがミソだった。すべて人一でまかなうため、諸手当の盛りが多い。そして裁量権があり、年一の監査を瑕疵なくやり過ごせば、やりかた次第では金銭的にはあたりだった。
”任官装備を受領後、本日より月一以内に灰の魔法の塔の当該部署に出頭し、先任の大尉と交替し、職務を引き継ぐこと”
どこの孵化の巣閥にも属したい自分にはおあつらえ向きの辞令だった。
軍学校で好成績を残すこと、そして縁故なきはぐれものなら、僻遠の一人勤務にまわされるだろう。そのお約束とやらの聞いたとおりで、自分の狙った矢はまとを射貫いていた。
僻地の魔法の塔では、孵化の巣が近くにあるとは限らず、雛子が塔内で育てられることも多い。そして灰の魔法の塔はまさにそれに該当すると、調べ済みだった。 となれば定番も珍しくはないだろうと、推測だがそれもあてにしていた。
自分は期待を胸に任官装備たる翔6飛竜を駆り、帝都の初夏に近い空をあとにした。
駐屯地から駐屯地への旅は、初めの日7だけだった。そして帝国軍の駐留のなき、僻遠の地方がはじまり、そこは魔法の塔や諸侯の勢力圏だった。それらは必ずしも友好的とは限らず野宿の夜もあった。
逆に思わぬほど栄える街に泊まることがあり、あろうことかそこの盛り場で旅の恥のかき捨てとばかり、見知らぬ娘子の誘惑に負けて、気持ちが事後に黒くなることもあった。
灰色の塔が領有の地に到達したのは、帝都をでてより日23を過ぎていた。越せぬ山塊を幾つも迂回したとはいえ、帝都から東方へ直線距離キロ5000あった。そしてそこがここより先、帝国の影響力が果てる、帝国勢力圏最遠の辺境の地だった。
引き継ぎを終えた大尉の出立を見送ったあと、備品の点検をしている時だった。
「あのう、すみません」とふいに後ろから女子の声がした。
ふり向くといつの間にそこにいたのか目のすぐ前にさらさらとした空銀髪の少女の頭があった。その前髪のしたで上目遣いの大きなまなこが緊張したふうにきらめいていた。
「こんにちは。あのう、あなたがあの翔6飛竜の騎手さんですか、そうですよね」と問われて「そうですが」とうなずくと「よかった。初めまして、わたしの仮名はかぜよみ、ここで下師を勤めさせてもらっているものです」とほっとしたように返事を返してきた。
「自分は帝国飛竜騎手少尉、通り名でたつとで呼んでいただいてけっこうです。何かごようですか、かぜよみさん」
ずいぶんと小柄な華奢な容姿で長上着に着られている感があった。でも魔法下師のそれを着ることが許されているからには、例えそうは見えなくとも、間違いは無く成人の歳15には達しているはずだった。
「それについては、まずこれ、塔の長からお預かりしてきたものがあります。ご覧下さい」と長上着の腹嚢深くから、肌身近く大事にしまい込んでいたらしい、どこかほの温い書状を出して手渡ししてきた。それは書き付けと言えなくもない私文書の体裁だったが、ここの塔の長の署名が入っていて、自分の通名宛の本物だった。
灰の魔法の塔に到着早々、任期を終えた前任者から引き継ぎで聞いた際にはなにかの冗談か間違いだろうと思った。風魔法の細かい制御に問題のある下師の初年が飛竜に同乗を希望している。その半信半疑で聞いた話しは雛子まがいの娘の出現で現実のものとなった。
いかに歳足らずに見えようが風魔法の下師ともなれば、飛竜に乗るまでもない。箒一つあればどこからでも飛ぶ、それが伝統というものである。わざわざ竜舎に足を運ぶようなもの好きはよほどの変わり者か、長い距離を急ぐのに飛竜の速さと飛程が必要な公用の場合だけだろう、だからまずあることではない。
塔の長からの書状の短い文面にさっと目を通すと内容は身元の保証と便宜の依頼で、肝心の用件についての手がかりは記されていなかった。
「ええと、ここで立ち話はなんですから、事務所の方でお話しを伺いましょう」
人ひとり任官のわずか室ひとつだが、帝国の権威を示すために調度品はそれなりの格がある高価なものばかりだった。客に気後れさせる方が望ましいという意図によるもので、自分でいれて娘に勧めたお茶葉も茶器も常人には手に入れがたいほどの高級品だった。
「わあ、美味しい、こんなに香ばしくて美味しいのを頂いたのは初めてです」
「それは良かった」
雛子と見間違うほどの幼げでも間違いなく可愛い娘だった。ちびちびと飲む姿を眺めながら、いっしょに茶葉を楽しんだ。覚えている限り、娘子と席を共にしてほっこりとした気分で和めたのは初めてだった。考えて見れば盛り場で番う熱に浮かされてばかりだった。この子と定番になれたら、ふとそう思う自分がいた。
「ええと、私の顔になにかついます?」
そう問われて見つめすぎていたことに気がついた。
「えっ、失礼しました、美味しく飲んでいただいているのが嬉しく思えて、ついみとれてしまいました」
「みとれるだなんて、私、雛子っぽい見かけだし、からだって実際貧相なのは、わかってます」
「そんなことはないですよ、かぜよみさん」
「いいえ、誰からのお誘いもないですよ」
「それは、かぜよみさんが、若くして下師の職位についておられるせいではないでしょうか。皆さん、気後れしているのでは」
「そうかしら」
「そうに決まってますよ」
「じゃあ、少尉さんはどうなの」
「さあ、どうでしょう、かぜよみさんがたつとと呼んでくれたら考えて見てもいいですよ」
「うふふ、どうしようかな」
「でも、今はご用件をうかがいましょう」
「むう、ごまかされた気がするけど、まあいいわ、あとでね、あとで、尾をかけての約束ですよ」
ほんのりと顔を赤くしてそう言うとかぜよみは話しをつづけた。
「わたしの仮名が示すとおり、わたしの特殊は風を読めることなの、そしてわたしの強い魔法は風集め。その二つが下師になれた拠り所。だから少尉さんも飛竜騎手なら、想像して見て。
わたしたち人二つを乗せて翔6のあの子は私が集めるさほど凍らない下方からの素敵で強い上昇気流に乗って高く、それは高く、かってないほど高く舞い昇ることでしょう」
飛竜は水が凍るほどの空は飛べない。より正しくは寒冷下では体温を維持するにも消耗の度合いが激しく、飛び続けていられる時間は極度に短くなる。そして実際に空は高くなるほど気温はさがる。それでこれまでの高度記録の5000より少し上だった。それを大幅に上回ることができる魔法を起こせるとかぜよみは断言した。
空での軍事は高さの優位確保が基本だ。それを大幅に更新できるとならば無視できるものではないし、世界記録となれば報償間違いなしだ。
だが下師かぜよみの甘言にのせられて早くも翌日到達するはめになった高度6500は夏でもとんでもない空の界面だった。
かぜよみが集めた上昇の、ぬるいとは言えずとも凍らぬ強風は、彼方の積層する雲の頂点より流れ落ちてくる避けがたい規模の極寒の速い下降気流と衝突した。
その空色を緑に染める気象はかぜよみにしても予期せぬ大規模の偶然だったのだろうけど、飛竜の体はそして騎乗する自分とかぜよみは、瞬一のうちに殴りつけてくる乱雹の散弾の渦中にあった。気温はあっというまに下がり、氷点のした10よりもさらに凍えた。
極冷の下向きの乱気流に呑み込まれていっきょに落ちた、墜落の恐慌に耐え死力を尽くして幸運の女神の尖尾をつかみ、錐もみから立てなおせたとおぼしき時には地表まで高500もなかった。
不時着だろうが生きて帰還できたのが本当に嘘なくらい、落下が速く高さが足りなかった。そしてかぜよみも自分もひどい凍り傷に打撲を負い、巨体なぶん魔法が効きがたい騎乗竜にいたっては両脚の骨折もあって全治月2もの重傷の、事大となった。
かぜよみは魔法の塔から即刻、謹慎隔離の処分をくだされた。軍からの責任の所在追及という名の塔への介入を避けるための方便だろう。かぜよみも同じ塔内で療養のはずだったが連絡も取れず、あの約束は置いておかれた。
それでも帝都軍務省あての高度6500達成の詳細報告には多大な反響があった。飛竜の傷も癒える頃、遠路をはるばる臨時の交替武官が帝都に呼び出しの辞令をもってやってきた。そして宮殿で陛下に拝謁の栄誉で階級一、そして授章でもう階級一、合わせて階級二の特進。それから帝国大尉たるにいると言われ、資格を年をまたぎ春いっぱいまでかけて取らされた。
それでいて不時着になって飛竜を危うくしたことの瑕疵は免れなかった。出過ぎた尾、やっかみの対象になったらしい身には、出自ゆえ軍上層部に個人的な伝手を欠くこと、それ自体もまさに瑕疵であろうと思い知らされた。
瑕疵持ちとあれば軍の中央での栄達は難しい。そして、あの危険極まりない高空に再度挑戦して高度記録をさらに更新しても、それで瑕疵の経歴が消せるものではなかった。
俸給はともかく辺境の不遇職からの移動はかなわないだろう、帝都で栄誉の味を知ってしまった自分はそう考えてしまうたび暗澹たる気分になった。望んでえた灰の魔法の塔の駐在武官の職が、今や罠に姿を変えてその虎口に呑み込まれた気分だった。
盛り場のかりそめの番に溺れる日々をすごした。皮肉というか名の通る大尉となった自分は、娼館にいかずとも移り気な番相手に不自由することはなかった。
とはいっても、灰の魔法の塔の任地をいつまでも臨時武官にまかせておくことが許されるはずは無く、さりとてこのまま退官するには未練があった。盛り場に出入りする娘子たちに、禄付きの褒章に大尉の俸給で贅も許される暮らしに、溺れていた。
だがそこに灰の魔法の塔での上司のいない思い通りの短かかった日々の充実はなかった。わずかほんの日二つばかりの、かぜよみとの出会いとはたされぬままの約束、そして飛翔の記憶は濃密となる方一だった。かぜよみはまだ番うことを知らずにいるだろうか。盛り場で番うかりそめの情交に爛れるほどにそして娘子たちの情けにほだされ癒やされるほどに、相手のなかに約束をかわしたかぜよみがいないこと、その満たされることのない思いは強まって行った。
夏の初日、別れを告げた盛り場の娘子たちになぜかわざわざ見送りまで受けて帝都をあとにした。灰の魔法の塔に向かって飛び立った。
通り名を知られるようになった自分が絡めとられる誘惑は多く、それが理由に行程はなかなかはかどらなかった。そうしておよそ夏の終わりに近い頃まで日数をかけて、ようやくたどり着いたのがその日だった。
かぜよみは、遙かなる空の彼方にあった。霞みの底にしずむ自分の手にとどいたことのない、遙かなる、切るがごとく澄む極高の天空にあった。
あの雛子まがいの幼子風情濃い娘は、魔法の塔の下師かぜよみは、今度は飛竜ですらなく命無き凧を浮かび上がらせ、余人の助けなくおのれひとりの魔法で、途方もない高みをめざす最中にあった。
それは偶然だったのだろうが、そのときに塔に戻ってきたのはなにか必然にすら思えた。
かぜよみの、自分が知るかぜよみの、そのかぜよみの鮮やかな上昇の風のきれは最高だった。最後はあやうく心中まがいの不時着になってしまったが、なぜそれを忘れていたのだろう。あの素晴らしい飛翔に比べれば中央での栄達などどうでも良い気がした。どこかで間違ってしまっていた。
塔の天蓋広場で待ち受ける大勢のうちのひとりだった。今の自分はまだかぜよみにとって少しでも特別な存在なのだろうか。たぶん、もうそうではないに違いない、それでもそこにいる選択しか、自分には思い浮かばなかった。
奇怪な傘のかたちの凧にぶら下がった姿は、はじめ見つけたときはまだ湖上の空にあり、豆粒のようだったが急速に大きくなっていった。その帰還をみようと集まった天蓋広場の人混みは、にわかに騒乱の状態になった。
高度10000を賭けて飛んだと聞いた。とんでもない高さだ、高度6500どころではない空だろう。そして降りてくるかぜよみの小さな姿は、東の青い空を後ろの景に西日をうけ金色に強く輝いて、まさに凱旋そのものに見えた。飛竜で自分となした高度記録が大きく更新されたことを直感した。
着地減速のための向かい風がごうと音をたてて吹いた。かぜよみらしい容赦ない今や懐かしい変わらぬ強すぎるいたずらな風に、無防備な裾という裾が翻った。その混乱のさなか、着地の瞬一にちらりとみえたかぜよみの凍り傷は、自分と飛んだ時より、みえた小さな横顔のところだけでもにひどく凄惨なものだった。すぐさま泡を喰って治療魔法をかけ始めた塔の長の指示で階下に運ばれていった。
そこには、かぜよみの所までひとをかき分け、大丈夫かと声をかけるまなどなかった。
いらない、いらない、置いてかれた自分がいた。
ふろく [ 娘子会の話 」
「ああ、行っちゃったね、彼。
見送るってやっぱり、貴方たち、彼の精を受けて温かいの産むんだ」。
「そういうあんたも腹下を愛おしげになでてるじゃない」
「彼っておかしいよね、初めての頃、私達を独り占めしたがって」
「それでいて、あそこがすごいの、普通じゃとてもない、なんの魔法なの」
「うん、新しい子は知らないだろうけど、年何か前はみんなしてうんと我慢して省かないと、彼の尾相手ばかりでほかの男子たちとえらい騒動になるところだったわ」
「でも、英雄として帰ってきたら、変わっていた」
「すごいの、あれがすごいのは変わらないのに、もう私達の誰も独り占めにしようとしない」
「・・・女、きっと定番にしたい女子がほかにいるんだわ」
「そういうの理解しがたいけど、彼はそうなの?」
「そんなに思われるほうだってきゅうくつじゃないのかな?」
「でも度一くらいは、いいかも」
「ふうん、そういうものかな、わたしはいやだけど」
「よくいうよ、番一に盛って腰ふってたくせに」
「それは彼の初めては私がしたの、そのなじみがあるし、彼とするほど素敵に気持ちよくなることはないし、それはみんなも同じでしょ、それに」
「それに?」
「みんなも自分の閥の孵化の巣より、英雄の卵の話しがきているでしょ」
「私、その話しぬきでも、こうしてたよ」
「うんうんわかる、私も卵宮口まで許しちゃった」
「どうのこうの言っても、彼、優しいよね」
「定番に思われている子、いるよね、どんな子かしら」
「きっと、ぼん、きゅっ、ぼんって、私みたいに素敵なからだで尾上手な子だよ」
「たしかに、彼はげしいから、雛子みたいに華奢な子だと壊れちゃうかも」
有尾人の社会には結婚の習慣はないです。出産は卵で、その卵は孵化の巣で孵り、そこで育てられるのが普通です。卵生ですが、孵った雛子はかなりの未熟児で哺乳で育てるので、成熟牝性には胸はあります。臍は本来はないです。サブタイトルの定番は孵化の巣の閥にたよらず、産んだ番が卵を孵し雛子を育てるというものです。孵った雛子はひとで言えば胎生7ヶ月すぎ相当、手慣れた孵化の巣でも無事育つ率はとても低く、定番ともなればなおさらまず無理です。そのため有尾人の社会は一部の特権階級をのぞいて非家族主義です。
あと娼館と盛り場の違いは、娼婦は客に無断で孕むことは原則としてありません。盛り場にお手軽なお付き合いを求めて出入りの牝性は誰を相手に孕むのか、建前は本人の自由です。