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暗黒竜、いきなり復活!

ここはカルザス帝国の都にある、カルザス城。この城の名前も、カルザスが皇帝に即位してから、カルザス城と改められた。


アミタ姫に迫るカルザス。怯えるアミタ姫。


「さあ、アミタ姫。俺の相手をするんだ!」

「いや!来ないで!」

「アミタ姫…。どうしてこの俺をそんなにまでして拒絶する…。俺は今やこの国の皇帝だぞ…。」

「いや!私にはジークフリートがいるわ!」


アミタ姫はジークフリートの名を口にする。

カルザスはそのとたんに、いきなり激昂(げきこう)する。


「まだジークフリートのことを思っているのか!

いいか、ジークフリートはな、あの時に断頭台にかけられて首を切り落とされて死んだんだ!

アミタ姫も、その光景は目の前で見ただろう!」

「でも…。でも、それでも私にはわかるの…。

ジークフリートがあのまま死んでしまったとは、思えないの…。

なぜだかわからないけど、もしかしたら、一度は確かに死んだけれど、またどこかで、生まれ変わってきているような…。

そんな気がしてならないの…。」


アミタ姫はカルザスの手によって、愛するジークフリートを奪われたばかりか、今また貞操をも、カルザスに奪われようとしていた。


「ジークフリートが、実はどこかで、生まれ変わって、生きている…。

…そうとも、ジークフリートは、一度死んでから、生まれ変わって、どこかにいるんだ。

そうだ、この際だから、アミタ姫にも教えてやろう。ジークフリートはな、あの暗黒竜ファブニールの力を借りて、復活したんだ!

そして、自分を貶めた、俺たちへの復讐のために、その暗黒竜ファブニールと、手を組んだんだ!」


アミタ姫はまだこの事実を知らなかった。そしてこの事実は、カルザスによって聞かされた。


「暗黒竜ファブニールと…!

嘘よ!そんなのでたらめよ!」

「嘘などではございません。

残念ながらアミタ姫、ジークフリートはこともあろうに、あの暗黒竜ファブニールと手を組んだのです。これらのことは全て事実なのです。」

「そんな…。だけど、それはあなたたちへの復讐のために、やむなくそうしたんでしょ?」


その時、先ほどまでの雲一つない空を、黒雲が覆い尽くす。

黒雲に覆われると同時にあたりは暗くなり、雷鳴が轟く。


「なっ…!なんだ…!」


その時だった。恐るべき報告が入る。


「たっ…大変です!暗黒竜ファブニールが、復活したもようにございます!」

「何!?」

「ですが、なにゆえ今、この時に暗黒竜ファブニールが復活したのか…!」


そこに、どうやら暗黒竜ファブニールとの戦闘で傷ついたらしい兵士が、息も絶え絶えの状態で入ってくる。


「たっ…!大変です…!暗黒竜ファブニールらしき黒い竜が、この国に姿を現しました…!」

「何っ!?ま、まさか、本当に…!」

「ええっ…!それじゃあ、まさか、ジークフリートが…!?」

「我が軍は…。まだ全滅ではありませんが、ファブニールを迎え撃つために戦いましたが…。

既にファブニールを止めるだけの戦力はなく、既にこの城へ向けて…。」

だが次の瞬間、その虫の息の兵士は、


「…ぶっ!げほっ!げほおーっ!ぶげえあっ!げほおーっ!ぐっ!ぐふっ!」


吐血し、そして息絶えた。そしてカルザスによって死亡が確認された。


「なっ!なんたることだ…!」


カルザスの表情が凍りつく。さしものカルザスも、これには恐れおののいていた。


アミタ姫はどうすることもできず、おろおろしていた。


次の瞬間、


ガシャーン!


城の窓を割って、黒い馬が突入してきた。


「あっ…!」


そしてその黒い馬は、そのままアミタ姫を背中に乗せて、割れた窓から、再び走り去っていくと思いきや、次の瞬間、羽根を広げて、黒雲に覆われた空に飛び去っていった。どうやらこの黒い馬の正体は、ファブニールのしもべの黒い天馬だったようだ。その黒い天馬が、アミタ姫を城から連れ去っていったのだった。


「しまった!アミタ姫が…!

おい!お前たち!あの黒い馬を、天馬を追え!

あの黒い天馬を捕まえて、アミタ姫を連れ戻すんだ!」


カルザスは兵士たちに命じようとしたが、それもむなしく、こんどはひときわ大きな邪竜の鳴き声が響き渡った。


「グオオオオーッ!」


「いや、もうあの黒い天馬には、到底追い付けないでしょう。」


「それよりも…!

…うわあ!暗黒竜ファブニールが、姿を現したぞ!城の方へ向かってくるぞ…!」


あの巨大な影は、まぎれもなく暗黒竜ファブニールだ。


カルザスの城下町の一般市民は皆避難し、あとには皇帝カルザスによって配備された、カルザス帝国の軍勢が、ファブニールを迎え撃とうと、構えていた。


「こっちには、伝説の聖剣、ライトサーベルがある!

奴はライトサーベルさえ持っていれば、こっちのものだ。

ライトサーベルは祭壇のところに飾られているはずだが…。

おい!お前たち!持ってこい!」


皇帝カルザスは聖剣ライトサーベルを探すが、どういうわけか、祭壇のところに飾っていたはずなのに、どこを探しても見つからない。


「何っ!?どこを探しても見つからないだと!?」


そしてふと思い出した。


聖剣ライトサーベルは、心が汚れた者には装備できない。


聖剣ライトサーベルは、心が汚れた者の手元には渡らない。


「それじゃあ俺は、その心が汚れた者だというのか!?」


聖剣ライトサーベルがなければ、暗黒竜ファブニールを倒すどころか、まともにダメージを与えることすらできない。カルザス帝国軍の攻撃はことごとく跳ね返される。


ファブニールはカルザス帝国軍を蹴散らしていく。


「ぎゃふっ!」

「ぼげっ!」

「ぶげえっ!」

「ひ、ひゃふっ!」

「た、たす…!ぶわっ!」


ファブニールは炎のブレスでカルザス帝国軍を焼き尽くしていく。


ドガーン!ドゴーン!ボゴーン!


まるで怪獣映画の怪獣が建物を破壊するような感じで、ファブニールは、カルザス帝国城を破壊していく。


「ぬわっ!ぬわあああーっ!」


皇帝カルザスもその巻き添えとなる。


これによりカルザス帝国軍の精鋭部隊は全滅。


ドガーン!ドゴーン!ボゴーン!


城の左右の塔も、本丸の建物も、取り囲む城壁も、ことごとくファブニールによって、砕かれていく。


「カルザス帝国城が…!破壊されていく…!」


これがジークフリートの復讐の始まり、そして、カルザス帝国終焉の時だった。


その頃、ジークフリートは、ヘレナアイランドで、気ままな日々を送っていた。



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