悪の帝国VS復讐の勇者
ようやく辺境の島国、ヘレナアイランド諸島王国に逃れたジークフリートとアイリス。
他の国々はすでにカルザス帝国の傘下に入り、この大陸にある国々で、残っているのはいくつかの辺境の国々だけとなっていた。
ヘレナアイランド諸島王国
数百もの島から成る、大陸から南西に行ったところにある辺境の島国。
「こんな島国があるなんて…。ですがここなら、カルザス帝国の追っ手も当面は来ないでしょうね。」
「しかし、こんな辺境の島国が、よくも今まで、他国に侵略されることもなく存続してきたな。」「地理的条件もあるのかもしれません。交通の便が不便で、海上では補給もままならない。
それと、この辺りの海には海の魔物がウヨウヨいますからね。」
2人が話をしているところに、カインと名乗る騎士が現れた。
どうやらカルザス帝国に滅ぼされた、アクアレイア王国から、はるばるここまで来たようだ。
ジークフリートも、この騎士のことは知っていた。
ジークフリートはさっそくカインに話を聞くことにした。
「ジークフリート!?ジークフリートなのか!?
俺だ!カインだ!ジークフリート!お前、本当にジークフリートなのか!?
断頭台で処刑されたと聞いていたが…。」
「ああ、カイン。ところが、どういうわけか暗黒竜ファブニールの力によって、このような形で、俺は復活したんだ!」
「暗黒竜ファブニールが…!?
いや、この際だからどんな形でもいい。俺たちのアクアレイア王国は、アークフレア王国から国号を改めたカルザス帝国によって、ただただなぶり殺しにされたんだ。
聖剣ライトサーベルもあのまま敵に奪われ、そして生き残った者たちも、次々と奴らに殺され、それでおめおめと、俺だけが逃げ延びてきたってことだ。」
「……。」
「無念だ…。このままでは…、このままでは終われない!いつか奴らに復讐を…。そのためなら、暗黒竜ファブニールの力だろうが、何だろうが、何でもいいから奴らを倒せるだけの力がほしい。」
「俺も思いは同じだ。一緒に手を組んで、カルザス帝国を倒そう!」
ジークフリートとカインのやり取りを、アイリスはただ聞いていた。