転生~救出~辺境の島国
ここはかつて暗黒竜ファブニールの居城があった大陸の、深い森の中。
ファブニールが倒されるとともに居城も落城し、跡形もなくなっていた。
ここはカルザス帝国の都のある大陸から、はるか南西の位置にある。そこからさらに西へ海をわたって行くと、辺境のヘレナアイランド諸島王国がある。
この深い森の中で、1人のエルフの女が、敵の追っ手から逃れるため、さまよっていた。
そのエルフの女こそ、アイリスだった。ジークフリートがその後の冒険の旅において、大いに関わりを持つことになる…。
「はあはあ…。誰か助けて…。」
アイリスはカルザス帝国兵に追われていた。このカルザス帝国兵たちが、エルフの村で殺戮を行い、アイリスの家族は父母、兄弟姉妹を皆殺しにされ、さらに村の仲間たちも、その多くがこのカルザス帝国兵たちに殺され、アイリスはそこから命からがら、逃げ延びてきた。
しかしこの帝国兵たちはなおも執拗に追いかけ、生き残ったアイリスたちをも、殺そうとしていた。
そのアイリスの目の前に、突如として、漆黒の鎧と、古の暗黒竜の頭部をかたどった兜を身にまとい、右手には魔剣アルハザードを、左手には漆黒の盾を持つ、謎の剣士が現れる。
この謎の剣士こそが、カルザスによって断頭台で処刑され、そして今まさに地獄から甦ってきた、ジークフリートだった。
ステータス
名前 ジークフリート
装備
武器 魔剣アルハザード
鎧 漆黒の鎧
盾 漆黒の盾
兜 暗黒竜の兜
装飾品1 アミタの指輪
装飾品2 黄金の腕輪
装飾品以外のこれらの剣、鎧、盾、兜は、普通の人間は装備できない、いや普通の人間がこれらの武具を装備したら、呪われてしまうような闇の武具なのだが、暗黒竜ファブニールの究極の力を授けられたジークフリートなら、装備できるというもの。
そこにアイリスがやってくる。
「はあはあ…。助けて…。
あなたは…?もしかして、あなたもあの人たちの仲間なの…?
わかったわ、もう好きにしたらいい!殺すなら殺して…!」
どうやらジークフリートを、カルザス帝国兵の仲間だと勘違いしていたようだが、そこにカルザス帝国兵たちが、追いついたようだ。
「へへへ…。エルフの女、見つけたぜ。
ん?なんだお前は…?見かけない顔だが…?」
ジークフリートはアイリスをかばうようにして、
「エルフの女、ここは俺に任せて、下がっていろ。」
そう言うなり、ジークフリートは魔剣アルハザードを振りかざした。
「…!」
バシュ!!
「…!!」
カッ!ズガガーン!
「ぎえふっ!」
「うげーっ!」
「ぶげーっ!」
黒い衝撃波が放たれ、次の瞬間、カルザス帝国兵たちはあっという間に吹っ飛ばされ、ただの肉片と化してしまう。
「ひいいいいっ…!」
1人だけ残ったカルザス帝国兵はこのことを報告するために逃げようとするが、ジークフリートは逃げようとするこの兵士に対しても容赦なく剣を振るう。
ザシッ!ドガッッ!!
「ぐえあっ…!」
ドシャッ…!
追っ手のカルザス兵たちは全滅。しかしこの程度の者たちは、カルザス帝国軍全体から見ればほんのザコに過ぎない。
「あ…!ありがとうございます…!
私はこの先の村にいた、エルフのアイリスといいます。ですが、私の家族たち、仲間たちは、彼らによって皆殺しにされてしまったのですが…。」
「いやいや、奴らのエルフ狩りが、目に余ったのでな。」
ジークフリートはすました表情で答えた。
この先は行くあてもなかったが、とりあえずは辺境の島国、ヘレナアイランド諸島王国を目指すことにしたのだった。
この近くにある小さな船着き場から、ヘレナアイランド諸島王国に向かう船に乗っていく。
「それでは、お気をつけて。」
船着き場の主のおやじが、そう言って船の行方を見送っていた。