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序章~暗黒竜打倒~終わりではなく始まりだった~

時は暗黒戦争と呼ばれた、勇者ジークフリートと暗黒竜ファブニール率いる、ファブニール帝国との戦い。


勇者ジークフリートは、仲間のカルザスらとともに、その暗黒戦争の最後の局面を迎えていた。

「さあ、もうあと少しで、この光のサーベルで、暗黒竜ファブニールを倒せるぞ。」

そんな期待を抱いていたジークフリート。

そして暗黒竜ファブニールとの最終決戦が始まる。

まともにファブニールにダメージを与えられるのは、このジークフリートが装備している、ライトサーベルという伝説の剣だけだ。

「てやあっ!」

暗黒竜ファブニールの体にはそのライトサーベルでさえ、わずかなダメージしか与えることができない。

ファブニールは闇のブレスを吐く。まともにくらったらほぼそのままダメージを受ける。

ジークフリートは闇のブレスをかわす。

その時ファブニールに捕らえられていたアミタ姫の祈りが、ジークフリートの持っていたライトサーベルに力を与えた。


「てやあっ!」


ズガッ!


これで暗黒竜ファブニールに大ダメージを与えられた。


「とどめだー!」


バシュッ!


「グオオオオーッ!」


暗黒竜ファブニールはそのまま断末魔をあげながら倒れた。

その時、ライトサーベルで斬られた暗黒竜ファブニールの傷口から、大量の鮮血が吹き出し、その血がジークフリートの全身にかかり、ジークフリートの体は血に染まった。

そして、こんな伝説があった。暗黒竜の血を全身に浴びた者は、不老不死、つまり不死身の体になれるという。

ジークフリートは、まさに今その暗黒竜の血を全身に浴び、血まみれになった状態。

「…!これが暗黒竜の血…!全身に浴びると、不死身になれるという…。」

だがその時、暗黒竜ファブニールは、最後の言葉を言い残す。

「ぐっ、この暗黒竜ファブニールが…。お前たちごときに倒されようとは…。

しかし人間たちよ、心せよ…。光ある限り、闇もまたある…。

心せよ…。その闇は、お前たちの心の中にも、あるのだということを…。

人間というのは…。いかに自分のことばかり考えるような生き物かということを…、痛感することに…、なる…、だろう…。」


なにやら意味深な言葉を最後に言い残し、暗黒竜ファブニールの体は崩れ去っていった。

そして、ファブニール帝国の居城もまた、その主の死とともに、崩れ去っていった…。

「これが、暗黒竜ファブニールと、その帝国の最期か…。」

勇者ジークフリートとその仲間たちは、その様子を見届けた。


こうして勇者ジークフリートは、暗黒竜ファブニールを倒し、捕らわれの身となってあたアミタ姫を救出した。

暗黒竜ファブニールの築いたファブニール帝国は、深き暗闇へと消え去った。そして世界には平和が戻り、勇者ジークフリートは世界を救った勇者として、アミタ姫と結ばれる…、ここまでは、よくあるファンタジーの話。

ところが、これは物語の終わりではなく、むしろここからが、物語の始まりだったのだ。




勇者ジークフリートの一行は、アークフレア王国に帰還した。

ジークフリートはアクアレイア王国の出身。伝説の聖剣、ライトサーベルの使い手として注目され、お前ならば暗黒竜ファブニールを倒せると、このアークフレア王国の国王から一目置かれ、勇者として暗黒竜ファブニールの討伐に向かった。そして今、見事にファブニールを倒し、凱旋帰国したのだった。


「おお!勇者ジークフリートよ!見事に暗黒竜ファブニールを倒した!

そなたならこのアークフレア王国の次期国王にふさわしい!」

アークフレア王国の国王は、自らの娘のアミタ姫を、ジークフリートの嫁として結婚させ、そしてジークフリートを次期国王に、アミタ姫をその王妃にすることを、やすやすと決めたのだった。


が、その様子を、苦虫を噛むような思いで見ていたのは、仲間として同行していた、カルザスだった。


カルザスのもとには、貴族たちがやってきていた。そしてしきりに、話していた。

「まったくいい気なもんだ。平民のジークフリートが、我らの国王だと!?」

「そうそう、本来なら名門貴族のカルザス殿こそが、我らの国王になるべきところを。」

アークフレア王国の貴族たちは、平民のジークフリートが自分たちの王になることを望んでいなかった。

なんだか、身分の問題、対立もあったようだ。

カルザスはうなずきながら聞いていた。

「しかしな。暗黒竜ファブニールを実際に倒したのは、ジークフリートだからな。俺もその現場は見ていたからな。

…おお、そうだ!いい考えが思いついたぞ!これなら絶対にうまくいく!」

「そのいい考えとは…?なるほど、そういうことか。恐ろしいお方だ。」

「まったくだ。我々では到底思いつかない。そして我々はますます、あなたさまに頭が上がらなくなる。こわい、こわい。」

カルザスは不敵な笑みを浮かべた。そして他の貴族たちは、カルザスの考えた企みを聞いて、感嘆するばかりだった。



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